株式会社パラドックス

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“食”への想いを、次世代に受け継いでいく。
リアルな場と紐づけた理念ブックづくり。

CLIENT:イートアンド株式会社さま

  • インナーブランディング
  • 東京都

イートアンドは、「大阪王将」をはじめとした外食チェーン店舗の運営や冷凍食品の製造・販売など、幅広く食品を扱う企業。その歴史は50年前、餃子専門店「大阪王将」を開店したところから始まりました。2002年には「大阪王将」より「イートアンド」へ社名を変更し、そこから「大阪王将」「よってこや」だけでなく、さらに幅広いフードビジネスを展開。主な外食事業は、「大阪王将」や「太陽のトマト麺」、「R Baker」など。ジャンルにとらわれず、次々に新たな食品事業へ挑戦しています。

ご依頼のきっかけ

イートアンドでは、2002年から「EAT & WAY」という理念と精神を掲げて事業を営んできました。2017年7月、前社長が退任し会長となる際に、この想いを次世代へと受け継ぎ、改めてイートアンドの成長に役立つ基盤となるように冊子をつくることになりました。会長としては、伝えたい想いはたくさんあるものの、共感を得られる伝え方や表現方法を模索しており、伝えていくべき内容から表現の仕方に至るまで、パラドックスに冊子制作のご相談をいただきました。

1課題の解決と方向性

課題解決にあたっては、理念がまとめられた冊子の制作と、それを浸透させるための施策を打ち出しました。まず「EAT& WAY」に込められた想いを紐解くべく、会長や新社長、コア事業に関わる社員に取材。そこで明らかになった想いをもとにコンセプトを設定し、「EAT& WAY」の裏にある“食”への想い、また一つ一つの行動指針を社員のエピソードに紐付けて解説した「WAY BOOK」を制作。次に、「WAY BOOK」の内容がより多くの社員に真っ直ぐ伝わり、共感を得られるように、「EAT& WAY」について会長と社員が直接対話できる研修の場を設けました。

2プロジェクトフロー

STEP1) ブックコンセプト設計

4時間にもわたり会長に取材をさせていただきました。取材の中で、長年掲げられてきたイートアンドのミッションである「おなかいっぱいの幸せ」について尋ねたところ、以下のようなご回答をいただきました。

”かつてはお金がなくても、餃子をおなかいっぱい食べて、幸せになってもらうことを目指していたことから掲げられた。しかし、現代は豊かになり、みんなおなかいっぱいが当たり前。イートアンドがこれからやっていくべきことは、さらなる「幸せを感じる食のシーン」を生み出すこと。”

会長の言葉に基づき、「おなかいっぱいの幸せ」を補足するブックコンセプトとして、「幸せな、食のシーンをつくろう」を設定。幸せな食のシーン作りのために、これまでイートアンドの社員が取り組んできたことを紐解くエピソードや、「幸せな食のシーン」を思わせる笑顔あふれるビジュアルを用いて伝えていくことにしました。

STEP2) エピソードマッチング

「EAT& WAY」の裏にある考え方や大切にしてきた想いを伝えるためにはどうすべきか。そのために考えたのが、社員の共感しやすいエピソードを中心に「WAY BOOK」をつくっていくこと。新任の社長やイートアンドのコア事業を作り上げてきた社員12名にお話を伺い、イートアンドで働く中で体験した印象的なエピソードを抽出しました。それらのエピソードを、「EAT& WAY」に含まれるイートアンドのミッションワードや、これまで掲げてきた心構えである「10 SPIRIT」に紐付ける形で分類。具体的なエピソードをそれぞれの言葉と結びつけることで、「EAT& WAY」を共感して理解できるように構成しました。

STEP3) グラフィックファシリテーション

イートアンドの今後向かうべき未来について考える施策の一環として、会長や社長、次期リーダー候補の若手社員に参加いただき、「グラフィックファシリテーション」を開催しました。グラフィックファシリテーションとは、参加者が話した内容をリアルタイムに絵で可視化することで、議論を活性化し相互理解を促すための手段。グラフィックファシリテーターのやまざきゆにこさんにお越しいただき、「食生活の課題」と「どんな食のシーンを生み出していきたいか」について議論し、全てその場で描き起こしていただきました。日頃の仕事の中では、課題や進むべき未来について意図的に考える時間を設けることは、なかなか難しい。しかし、グラフィックファシリテーションという右脳を活性化させる要素を取り組むことで、課題や描きたい未来をもとに日々の仕事について考える重要性を認識する機会となりました。

STEP4) WAY BOOK研修

理念や精神をまとめた「WAY BOOK」を制作したものの、作っただけで理念が社員に浸透しなければ意味がありません。そこで、「WAY BOOK」をワークブックとして使用し、実践につながる形で「EAT& WAY」を落としこめるように「WAY BOOK研修」を企画。事前課題の実施から、会長直々の解説、自身や周りの人の仕事をSPIRITに紐付け、理解を深めるところまで行い、「EAT& WAY」がさらに浸透するような内容に仕上げました。

3得られた成果

これまでイートアンドの事業拡大に大きく貢献してきた会長の想いが1冊のブックとして言語化され、「EAT& WAY」の言葉とエピソードをより効果的に継承できました。また、グラフィックファシリテーションや取材撮影を通して、幅広い年齢層の社員にご協力いただき、一人ひとりに「EAT& WAY」を自分ごと化していただくきっかけにつながりました。

成功の”真の原因”を言語化する、貴重なパートナー。

「WAY BOOK」をともにつくっていく中で、パラドックスは企業が文化として自然と培ってきた、成功の”真の原因”を特定することに長けていると感じました。それは、言葉を大切にしてるからに、他なりません。”真の原因”は、当事者である経営者や社員にとっては当たり前なことが多く、究明することさえ困難で、言語化するとなるとさらに難しい。パラドックスはそこを探して、言葉にしてくれる、貴重なパートナーです。
成功の”真の原因”を言語化する、貴重なパートナー。