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創業者の感性を言語化し、スタッフとともに紡ぎあげた
理念策定・ブランドブック制作プロジェクト。

CLIENT:株式会社 Norms(オッフェン運営)さま

  • インナーブランディング
  • 兵庫県

Öffen(オッフェン)は、“軽やかで開放的な履き心地”を追求するシューズブランドです。
ブランド名の由来であるドイツ語の “Öffen=開放する・解き放つ” を軸に、「まるで裸足のような自由さ」「シンプルに美しく生きる女性の日常に寄り添う一足」を届けています。

トレンドを追うのではなく、“ワードローブに残る一足”をつくり続けること。地球に優しいリサイクル素材を使用し、製造工程を極力ミニマムにすることで、環境負荷を抑えた未来を目指しています。
創業者の 岩本英秀さん・日坂さとみさん の美意識から生まれた Öffen は、その履き心地と静かな佇まいでファンを増やし続けています。

1プロジェクトの出発点
最初のご要望は「ブランドブックをつくりたい」。

きっかけは創業者おふたりからのご相談でした。
「ブランドブックのような、Öffen の“軸”を示す一冊をつくりたい」
ブランドは成長し、スタッフも増え、店舗運営も多拠点化していました。しかし創業者の世界観や価値観は、これまで「感覚」で共有されてきました。

スタッフからは、

 

・「Öffen の良さを、お客様にどう伝えればいいかわからない」
・「創業者が大事にしてきたことを、自分の言葉で話せるようになりたい」

 

という声が上がっていました。
そこで、創業者の感性を言葉にすることで、未来のスタッフに受け渡す仕組みをつくることを目的に、理念策定プロジェクトがスタートしました。

2創業者ヒアリング
“感覚 × 論理” の二軸が Öffen を形づくっていた。

複数回にわたり、創業者の人生・価値観・Öffen をつくる上でのこだわりを深掘りしました。

 

「感覚」の軸

・履いた瞬間、気持ちがふっと軽くなる
・外に出たくなる靴でありたい
・静かで、凛とした佇まい
・「解放」という感覚の美しさ

 

「論理」の軸

・ゴミを出さない製造工程への再設計
・工場の労働環境を改善する投資
・リサイクル素材の採用
・大量生産に依らない構造づくり
・継続的に作り手を守る仕組み

 

この二軸が「Öffen の独自性」であることが明確になり、理念の言語化の土台となりました。

3スタッフミニインタビュー
お客様の “本音” を拾う、小さな聞き取りを積み重ねて。

店舗スタッフに対し、日々の接客を通じて「お客様が Öffen を選ぶ理由」を丁寧にヒアリングしてもらいました。

実際に聞こえてきた声を集めました。

 

・「足どりが軽くなる」
・「長く歩いても疲れない」
・「外に出るのが楽しみになった」
・「暮らしの景色が少し変わった気がする」

 

ここで見えたのは、機能性以上に “気持ちの変化” を評価する声が非常に多いということです。これは Öffen が創業時から大切にしてきた「解放」の感覚と自然に重なり、ブランドの価値の核に迫る重要な示唆となりました。

4SEEDS × NEEDS を丁寧に重ねる
Öffen の価値の核にあるものは何か。

創業者の SEEDS(価値観・こだわり)とお客様の NEEDS(本音・体験価値)を照らし合わせながら、Öffen が社会に果たしている価値を紐解きました。

浮かび上がったのは、

 

・素材・工程への「誠実さ」
・足元から日常をふっと軽くする「ときめき」

 

という “誠実さ × ときめき” の両立。これが理念やストーリーづくりの中核となりました。

 

5言葉の体系化
世界観を壊さず、ブランドの“軸”となる表現へ。

複数回のセッションを経て、Öffen の価値を支える言葉が段階的に整えられていきました。

 

・ブランドストーリー
・ミッション
・大切にしていること

 

ここで大切にしたのは、創業者の“静かな美意識”を壊さないことでした。強い言葉で輪郭を固めるのではなく、余白やニュアンスを大切にしながら、ブランドの本質をすくい取る作業が続きました。

6スタッフ全員でつくる「スピリット」と接客マニュアル。

理念は現場で体現されてこそ意味があります。全スタッフ参加のワークショップを実施し、ブランドの想いをどう接客に落とし込むかを議論しました。スタッフから出てきた言葉はどれも Öffen の空気をよく表していました。

 

・「声かけは“背中をそっと押す”ように」
・「履いた瞬間の表情の変化を大切にしたい」
・「軽さだけじゃなく“気持ちの軽さ”を届けたい」

 

創業者とスタッフの共創で、スピリットと接客マニュアルが完成しました。

7理念浸透Bookの完成
Öffen の価値を未来へ手渡す“旗印”に。

プロジェクトで積み重ねた言葉をまとめ、理念浸透Book(ブランドブック)を制作しました。

 

・創業ストーリー
・ミッション
・大切にしていること
・サステナビリティ
・接客スピリット
・接客マニュアル

また、ブランドブックには FSC®認証紙 を採用し、Öffen の誠実なものづくりと環境への姿勢を紙面の質感としても大切にしました。書き込みをしながら、長く使っていただけるよう、丈夫で余白の多い設計としています。

完成後、スタッフ自らが店頭パネルを制作し、新入社員教育や接客時の説明に活用され始めるなど、言葉が“現場で動き出す循環”が生まれています。

8未来のつくり手へ ー Öffen が紡いでいくこれから

Öffen は、誠実なものづくりと、足元から日常をそっと解き放つ体験を届けるブランドとして、これからも静かな進化を重ねていきます。今回のプロジェクトで整えた言葉と仕組みは、創業者の美意識を未来のスタッフへ手渡すための、確かな“芯”となるものです。この言葉たちが、それぞれの現場で息づき、Öffen がこれから歩んでいく日々をやさしく支えていくことを願っています。