「捨てない」を「選択する」社会に。
ゼロ・ウェイスト実現を目指す新プロジェクト
CLIENT:SUTE.lab(ステラボ)さま
- カスタマーブランディング
- 東京都
かつては建設廃棄物の中間処理業者。ごみを処理する会社だった石坂産業は現在、ごみをごみのままにしない社会「ZERO WASTE DESIGN」をビジョンに掲げ、産業廃棄物の再資源化・環境教育活動に取り組んでいます。そんな同社が発起人となって集まったのが、SUTE.lab(ステラボ)。そしてそこから始まったのが、ゼロ・ウェイストな製品やサービスを認定する取り組み、「CHOICE! ZERO WASTE AWARD」でした。
1SUTE.lab(ステラボ)発足の背景
社会的な課題となっているごみ問題。「なんとかしたい!」と想いを持つひとは多いのに、みんなが集まってつながれる場は少ない。そんな場所をつくり、そこから多くの人たちに想いを発信したい。そんな石坂産業の想いに賛同し、パラドックスをはじめ、有志で集まったメンバーで立ち上げたのが、捨てるを考えるラボ「SUTE.lab(ステラボ)」という活動でした。
参加したのは、事業企画やクリエイティブなど、さまざまな領域に強みを持つメンバー。一人ひとりの強みを活かして、ここから世の中へ貢献する活動ができないか。まずは大切にしたい想いの言語化からはじめました。
▲SUTE.lab の活動コンセプト:https://choice-zero.org/sute-lab/
◎SUTE.Lab PROJECT MEMBER
石坂 典子(石坂産業株式会社 代表取締役)
田口 一成(株式会社ボーダレスジャパン 代表取締役社長)
田部井 進也(株式会社タベイプランニング 代表取締役)
春山 慶彦(株式会社ヤマップ 代表取締役)
榊 良祐(電通 Art Director,OPEN MEALS founder)
望月 重太朗(株式会社REDD 代表取締役,Creative Director,UMAMI Lab 代表)
鈴木 祐介(株式会社パラドックス 執行役員,Branding Director,Creative Director)
松永 実 (株式会社パラドックス Creative Director,Copywriter)
奥山 千遥(株式会社パラドックス/Project Management,Planner)
淵 憲一(株式会社パラドックス/Art Director,Designer)
2ゼロ・ウェイストな社会の実現のための目標
社会全体でゼロ・ウェイストを実現していくために必要なのは何か。自分たちにできる世の中へのアプローチから考え始めました。
プロジェクトメンバーでの議論を重ねるうちに、環境配慮の意識が高いひとだけではなく、街を歩く若者が興味を持てるような「ゼロ・ウェイストな製品を選ぶきっかけ」を、世の中に発信していくことを目標にすることが決まりました。
3アワード実施までの道のりと想い
製品開発やセミナーだけでは、関心がある一部のひとたちにしか届かない。広く世の中に伝えられる取り組みは何か。その第一歩としての施策として「アワード」という形に至るまでに、1年ほどの構想期間がありました。
まず必要なのは、世の中にゼロウェイストな製品を選ぶ“基準”なのではないか。そんな仮説をもとに、消費者が気軽に「より良い選択肢」を見つけられる、客観的な基準をつくること、そしてその基準をもとに選択肢を世の中へ、普及していくことの2つに取り組もうと考えました。
街中で製品を見かけたとき、ゼロ・ウェイストという視点から良い選択肢がひと目でわかる。それを選ぶことが当たり前になり、つくり手側の企業も、捨てないことを前提とした製品・サービスの開発に取り組むのが当然の社会構造へと改革していきたい。そんな、つくり手とユーザーの双方へのアプローチになることを目指した結果が、アワードという1つの形でした。
一人ひとりの選択が、世の中を変えていくパワーがあると信じ、ゼロ・ウェイストな製品やサービスに特化した「CHOICE! ZERO WASTE AWARD」の実施へと至ったのです。
4制作物のポイント
「CHOICE! ZERO WASTE AWARD」というネーミングには、「選択する」ことの大きなパワーに対する期待が込められています。ものづくりを消費者の「選ぶ」から変えていく。「捨てる」を「捨てない」に変えていく製品やサービスを、みんなで選ぼうというメッセージです。
Webサイト・ロゴマークはSUTE.lab(ステラボ)のメンバーで出し合った意見を元に、パラドックスがコンセプトワークやデザインを担いました。
Webサイトは性別や年齢を問わないフラットなデザインにすることによって、ゼロ・ウェイストな選択を世の中に広めたいという願いが込められています。
▲OFFICIAL WEB SITE:https://choice-zero.org/
ロゴマークはゼロ・ウェイストを象徴する「0(ゼロ)」の円形をベースに、選択を意味するチェックのマークをシンボルにしています。製品につけても馴染むシンプルさがありながら、親しみを持ってもらうため、ハチドリがとまるイメージも制作。「ハチドリのひとしずく」という南米に伝わるお話で、森が火事になってしまったとき、口ばしで一滴ずつ水を運んだといわれているハチドリ。そんなお話から「小さな一滴でも自分にできることから、世の中を変えていく人を増やしたい」というプロジェクトへの想いを込めました。
5「CHOICE! ZERO WASTE AWARD」の詳細
「CHOICE! ZERO WASTE AWARD」の発想から実施までは、およそ10ヶ月。Webサイトなどの制作とともに、最も重要な審査基準の策定に取り組みました。
これまで行われてきた既存のアワードの中には、「サステナブル」や「SDGs」などの観点はあったものの、ゼロ・ウェイストに特化したものはありません。
策定にあたって、一般社団法人ZERO WASTE JAPANの代表理事である坂野晶さんにご協力いただき、元来廃棄物処理・再生の専門家である石坂産業の知見も活用し、明確な基準づくりに努めました。
▲CHOICE! ZERO WASTE AWARD 2021 審査基準:https://choice-zero.org/wp-content/themes/choice-zero/assets/pdf/choice!zero_2021nintei.pdf
開催初年度、認知もない中で、エントリーしてくれる製品やサービスを集めるしかけも工夫しました。名だたる著名人から応援の声もいただきました。
応募のあった製品やサービスは基準に沿って審査し、ごみゼロの日である5月10日に認定製品の発表とカンファレンス(https://www.youtube.com/watch?v=taGsq6qC9qw&t=31s )を実施。7月30日には認定証の授与式を行い、認定製品を生み出した企業からものづくりの発想法やビジョンについての講演もしていただきました。
6反響と今後の展望
ゼロウェイストな視点から、本質的な製品・サービスを認定したいという強い思いにより、厳選された初年度の結果は、ノミネート9製品(サービス含む)、認定2製品となりました。
認定に至った製品の応募企業に共有していたのは、ビジネスの根本が「社会課題の解決」にあることでした。製品のストーリーの中に、ゼロ・ウェイストにつながる強い想いと背景があることが、認定製品とノミネート製品との大きな差につながりました。
今後、世の中のものづくりの視点を変革していくには、既存の製品やサービスづくりにおける視点の転換も必要不可欠です。認定に至った製品のストーリーなどを発信することで、つくり手の意識の変革にも取り組む重要性が見えた初年度となりました。
認定マークをつけた製品をさらに増やし、その製品を世の中のひとに選んでもらえるように、アワードの認知度をあげていくことで、今後も、つくる側・使う側の双方向から、アプローチを深め、より良い未来の実現を目指していきます。