日本、世界が抱える壮大な医療課題に挑む。
急成長する企業の想いを言語化するための、
理念策定と社名変更プロジェクト。
CLIENT:株式会社シーユーシーさま
- インナーブランディング
- カスタマーブランディング
- 東京都
株式会社シーユーシー様(以降CUCと表記/旧社名:エムスリードクターサポート株式会社)は2014年創業のベンチャー企業。医療機関の経営コンサルティング・運営支援を通して、病院・在宅医療・透析医療等の質の高い医療サービス実現を支援し、さらに在宅ホスピス、訪問看護、病院給食、医療データ等の各種事業をグループ会社として展開することで、コンサルティング領域に留まらない総合ヘルスケア企業として成長を遂げています。
また、それらの実績で培ったノウハウを諸外国に展開する海外事業もスタート。日本の超高齢社会、世界の医療格差など、課題であふれる医療業界に変化を起こすことで、より多くの人に最適な医療サービスを届けることを目指しています。さらに、世界中の医療機関・医療従事者が新型コロナウイルス感染症(COVID-19)と戦う中、院内や企業内の感染対策ガイドライン策定や実行支援、対策コンサルティング事業の開始など、社会に不可欠な貢献を始めています。
ご依頼のきっかけ
2014年8月、在宅医療を行う医療法人の経営支援事業からスタートした同社。その後は支援領域を病院医療、透析医療へ拡大。グループ会社として訪問看護、在宅ホスピスなどの事業会社設立も通じ、2019年には、ご支援する医療機関は全国約50ヶ所、グループ会社拠点を足し合わせると100拠点を超えるまでに拡大しました。それに伴い組織も拡大し、グループ従業員数約1,000名以上という規模にまで成長。事業やサービスの拡大に伴い従業員数も急増する中で、あらためて、創業の想い・企業としての価値観・描いていく未来を言語化し、社内外に共有することが必要ではないかという背景から、理念策定のご依頼をいただきました。
1課題の解決と方向性
日本は超高齢社会を迎えるなか医療に対する不安は高まり続けており、世界でも医療品質や提供体制に大きな格差が生まれています。しかし、いまだ各国とも適切な医療サービスを普及していく明確な解決策はなく、世界中で模索されている状況です。創業から日が浅く、ビジネスパーソンから医療専門職まで幅広いバックグランドをもつ社員が所属するCUCが、この壮大かつ難しい課題に挑戦する中で、全社員の想いを一つにし、一人一人が主体的に挑んでいく必要がありました。そこで、まずは社長を含む12名のプロジェクトメンバーを選出し、それぞれの想いや未来像をすり合わせるセッションを実施することにしました。
2具体的なプロジェクトフロー
プロジェクトは、下記の3つの流れで進めていきました。
①プロジェクトメンバーへの事前取材
②セッション(1回3時間程度✕5回)
③ワーディング〜プレゼンテーション
①プロジェクトメンバーへの事前取材
本プロジェクトのメンバー全員に個別インタビューを実施。これまでのキャリア、医療に対する想い、メモリアルワーク、自ら起こしたい変革、この会社で描きたい未来などについて詳しくお聞きし、分析を行いました。
②セッション(1回3時間程度×5回)
セッションメンバーが集まり、共通のモチベーションや問題意識について話し合ったほか、医療における「未来年表」を作成し、日本や世界が迎えるであろう10年後、20年後をイメージする中で、自分たちがその未来にどう貢献できるのか、誰にどんな価値を提供し、どのような社会をつくりたいか、などを考えました。
③ワーディング〜プレゼンテーション
セッションで得られた意見を整理し、それをもとに「使命(MISSION)」「行動指針(SPIRITS)」「原則(PRINCIPLES)」「合い言葉(SLOGAN)」をワーディング。その後、プロジェクトメンバーにプレゼンテーションを行い、議論を重ねながら細かな調整を行いました。
決定した「使命(MISSION)」は、「医療という希望を創る」。
医療とは本来、人に安心をもたらし社会を進歩させるはずのものですが、その本質が失われてしまってきたことに大きな課題感を感じていました。医療から生まれてしまっている不安、不満、負担、負荷を解消し、子どもたちの世代のために、理想の姿へと変えていくという想いを込めています。
3社名変更とロゴ作成
同社は当初、医療情報ポータルサイトを運営するエムスリー株式会社のグループ企業「エムスリードクターサポート株式会社」として創業されましたが、社名にある「ドクターサポート」(医療機関や医療従事者に向けた経営支援・コンサルティング)だけでなく、患者様、業界、その先にある社会全体にまで変化をもたらす企業へと成長していたため、新しい理念に込めた想いや価値観と社名が不一致するだろうという懸念がありました。その結果、社名を変更することを決断されました。
策定した理念をもとに、パラドックスがワーディングを行い、数百案にのぼる社名をご提案。その結果、もともと行動指針の一つとして策定した「変わるまで、変える」の英訳、<Change Until Change>の頭文字をとった、「株式会社シーユーシ―(CUC)」に決定。医療における様々な固定概念や常識と向き合うために、社員たち自身に変化を起こしつづけることが求められる。社員一人ひとりが社会のマイナスを希望へと変えていくために、「変わるまで、変える」という想いを込めています。
その後、新しい社名をもとにロゴ作成に着手いたしました。「グローバルで活躍する日本企業になる」という目標から、多くの医療系企業が選ぶブルーではなく、日の丸にも使われている紅色でロゴをデザインしました。
※2019年8月、正式に「エムスリードクターサポート株式会社」から「株式会社シーユーシ―」に社名変更されました。
4在宅医療事業 事業ブランディングについて
同社が支援(または運営)する在宅医療拠点が全国に広がり、関わる人の数も増えたことを受け、在宅医療事業単体でのブランディングを行うことになりました。全国に広がる医療従事者やスタッフが、「大義」で結びつくこと。スタッフが現場で判断に迷うことがあったとき、拠り所となる「基準」があること。そして一人ひとりがブランドを「体現」すること。それらを目指したプロジェクトです。
プロセスは上記の理念策定プロジェクトとほぼ同じでありながら、経営層や多忙な医療従事者のメンバーが集まりやすいように「セッション合宿」を河口湖近くのキャンプ場で開催。メンバー全員で山小屋にてセッションを行い、短期集中で議論を繰り広げました。その後、数度のセッションを経て、<私たちが目指す未来>「『家』で暮らし続けられる社会」、 <私たちの使命>「そばに在り続ける医療で、あなたの幸せを応援する」、また社員が意思決定時や日々の言動に迷った時に立ち返る<大切な価値観>が決定しました
55周年を節目に実施した、インナーブランディング
2019年8月、5周年という大切な節目を機に、正式に社名を「株式会社シーユーシー」に変更しました。同時に、社員向けの5周年イベントも計画。CUCがこれまでの5年間で育ててきた想い、成し遂げてきた変革を未来に受け継いでいくために、全社員に改めて企業理念を浸透し、感化する「フィロソフィーブック」を制作。新社名に込めた想いのほか、CUCの代表的な出来事の解説、社員からの証言や代表的なエピソードを掲載。またブックの後半には白紙を残し、社員一人ひとりが決意を書き込むことができるページを設けました。
6得られた成果
パラドックスが理念策定プロジェクトのお手伝いを開始したのは2017年。株式会社シーユーシーはその後も、事業数・社員数ともに目覚ましい成長を遂げております。理念や社名を新たにし、事業のブランディングも行ったことで、働く人はもちろん、新しく加わるメンバーや、外部の方からの印象も大きく変わったようです。2019年8月8日の社名変更を正式に発表するイベントでは、社員はもちろん、パートナー企業や投資家に向けても理念と新しいアイデンティティを共有する場を設けました。創業から5年で早くも、医療業界に大きな刺激を与える存在となりました。
新型コロナウイルス感染症(COVID-19)と生きる今の時代こそ、CUCの医療インフラやサービスを創る力が、日本と世界に欠かせないものとなるでしょう。そんな中、このプロジェクトでつくらせていただいた理念や社名が、今後のCUCの土台となることを願っております。