創業90年、仕事の誇りを再び。
新しいビジネスの景色をつくる、
ブランディングプロジェクト。
CLIENT:株式会社岐阜造園さま
都市空間・公共施設から、個人邸の庭園まで、全国各地の造園を手がける株式会社岐阜造園。古くは、岐阜公園(旧・金華山公園)の大規模改修や、高度成長にともなう公園、都市インフラ、レジャー施設、ゴルフ場など、時代とともに成長してきました。創業90年を迎え、業界初の上場を果たすなど、業界をリードする企業です。
1課題(プロジェクトの背景)
かねてより企業として拡大路線へと舵を切ったことで、仕事の数は増加し、結果として上場も果たしました。しかし一方で、「以前ほどクオリティの高い仕事ができていない」「若手が育っていかない」という課題も生まれていました。これらの根底には、90年という長い歳月の間で、創業の精神や職人としての魂が薄まっているという背景がありました。そこで、自分たちの仕事の誇りを再定義する“アイデンティティ策定プロジェクト”がスタートしました。
2アイデンティティ策定プロジェクト
プロジェクトはベテランから若手まで、年齢を横断した主力メンバーで実施。セッションを通し、社史に残るような伝説の仕事、その真ん中にあった本来自分たちが持つべき精神性を洗い出しました。その中で、自分たち真の顧客は、所得ではなく感度の高い人であることことを再確認。岐阜造園独自の「価値観」を明らかにしました。社内に目を向ける一方で、社外=世の中の課題にも思考を伸ばします。そこには「ストレス社会」や「感受性の欠如」といった課題がありました。利便性や整合性ばかり追い求める中、手間や隙間、余白のある生活といった人間が本来持つべき感受性が失われているのではないか。造園を通して自分たちが提供しているものとは、感受性豊かな人間味や、コントロールしようがないものをあえて面白がる大きな人間性を取り戻すことなのではないか。こうした自社と社会課題の接点を結びながら、自分たちのミッションを策定しました。
▲ミッション。造園は、風景ではなく、人の心を変えること。心が変われば、普段の暮らしや、人生そのものの視界をも美しく変えることができる。そんな本来の造園のあり方を、自社のみならず業界全体のクオリティを背負う気概で、本来の造園のあり方をミッションワードとして掲げました。
当初はミッション策定(言語化)がゴールでしたが、ミッションを果たすためにはスピリットが必要不可欠だと判断。ミッションを成し遂げるための行動規範、心構えを言語化しました。
▲スピリット
3ツールへの展開
次に取り掛かったのが、理念を表現するツールの制作です。「つくりかたの約束」と題したブックをつくることで、社内に自分たちのスピリットを伝えるとともに、顧客・パートナーといった社外へ対して岐阜造園の在り方を表明するツール。「約束」とは、ある意味では自分たちにプレッシャーをかける言葉。この本にある事例を超えるクオリティを発揮する仕事を約束する。業界を背負う企業の仕事の在り方を宣言しました。
事例を交えながら、ひとつひとつの仕事の背景やストーリーを紹介しました。また、最新事例として国内のみならず海外でのプロジェクトも紹介。未来への約束というかたちで本を締めくくっています。
4効果
言語化、さらにはツールまで落とし込んだことで、社内に対して仕事の誇りを伝え、社員のモチベーションを焚きつけることができました。またブックは商談の場ではパートナーづくりに、採用のシーンでは仲間づくりに貢献。そして、海外での新しい案件獲得の広がりにも効果を発揮しています。造園という、古来より続く事業を、未来へとつなげていく。そんな約束を果たしていく機能をも担っています。