“おもしろおかしく”を土台に
世界中の仲間と豊かな未来を築いていく
ブランディングプロジェクト。
CLIENT:株式会社堀場製作所(HORIBAグループ)さま
- コーポレートブランディング
- インナーブランディング
- 京都府
1953年に京都で設立し、数々の革新的な分析・計測機器を開発してきた堀場製作所。70年以上の歴史のなかで、グローバルシェアNo.1のさまざまな製品を生み出し、29か国に50のグループ会社をもつグローバル企業へと成長してきました。この実績の背景にあるのは、社是「おもしろおかしく」に代表されるユニークな企業文化、そして、人間や生命の可能性、他者への貢献に基づいた技術力。それらを土台に未来を創っていくために、ブランディングプロジェクトが始まりました。
1ブランディングの背景
2023年に70周年を迎えたHORIBA。それを機に、世界中のプロジェクトメンバーが集まり、HORIBAを未来へと導くビジョン・ミッション・バリューを策定しました。
しかし、ビジョン・ミッション・バリューの言葉のみでは、プロジェクトメンバーが込めた想いや背景・意味の深度を伝えることができないという懸念がありました。
特に課題として挙がっていたのは、長年大切にしてきた社是「おもしろおかしく」。何ごとにも「おもしろおかしく」取り組むことで「働く時間」は充実し、人生は実り多きものになっていくという創業者・堀場雅夫氏の想いに基づいています。その考え方を世界中のホリバリアン(「ホリバリアン」とはHORIBAの役員及び従業員を意味します)と共有するために、英語では“Joy and Fun”と翻訳され共有されていたものの、特にグローバルにおけるM&A、それに伴う創業者の考え方に触れていない従業員の増加が加速するなかで、「おもしろおかしく」の真髄を本当に伝えられているのかという不安を持たれていました。
HORIBAがめざす未来を世界中・社内外の仲間とともに実現するために、ビジョン・ミッション・バリューに込められた想いを正しく伝え、共感していただける人たちを増やしていきたい。このような想いが起点となりパラドックスへお声がけいただき、一緒に言葉に込められた文脈を明文化し、世の中に発信していくプロジェクトを始めていきました。
2世界中のホリバリアンのインタビューを通じて、言葉の文脈を明文化
新しく策定されたビジョン・ミッション・バリューや、その根底にあるHORIBAの考え方「おもしろおかしく」や「ほんまもん」を紐解くために、世界中のプロジェクトメンバーをインタビューし、言葉づくりを進めていきました。
そのときに大切にしたのは、堀場雅夫氏を知る人物をはじめ、HORIBAの精神を大切にしながら世界中で働くメンバーをインタビューすること。特に、日本の文化のもと育っていないホリバリアンがHORIBAの文化をどう理解し、なぜ共感し、どのように行動に移しているのかを知ることを心がけ、コミュニケーションにおけるヒントを掴んでいきました。
インタビューにご協力いただいたのは以下のメンバーです。
・経営層3名
・日本に所属するメンバー20名
・アメリカに所属するメンバー4名
・イギリスに所属するメンバー3名
・フランスに所属するメンバー2名
・ドイツに所属するメンバー2名
・韓国に所属するメンバー1名
・中国に所属するメンバー1名
一人ひとりの想いに基づき、日英でビジョン・ミッション・バリューに込められた想いを一緒に言葉にしていきました。
3HORIBAがめざす未来を一枚の絵としてビジュアル化
ビジョン・ミッション・バリューに込められた想いを言葉で伝えることに加えて、“おもしろおかしい未来とは?”を視覚的に表現し、言葉のみでは伝わらない創造力や遊び心を感覚的に伝播することをめざしました。
表現の軸となったのが、HORIBAがめざす未来へと伸びていく木のモチーフ。HORIBAが現在から未来にかけて取り組んでいることを木の土台に、その先に実現できる地球と社会のあり方を真ん中の層に、そして2053年(堀場製作所の設立100周年)に向けてめざす“おもしろおかしい未来”を最上の層に描きました。
ビジュアルを手がけてくださったのは、イラストレーターのアイハラチグサさんです。
4クリエイティブを通した社内外への発信
ビジョン・ミッション・バリューに込められた想いを自社を超えて発信し、ともに豊かな未来をめざすために、特設サイトとムービーを日英で制作しました。
<特設サイトのURL>
日本語の特設サイトはこちら:https://www.horiba.com/our-future/ja/
英語の特設サイトはこちら:https://www.horiba.com/our-future/en/
お客さまの声
私たちのビジョン・ミッション・バリューができあがった当初は、社内外の人にしっかりと伝わるのかという不安を抱えていました。多くの時間をかけてつくったこの理念が伝わらないのはもったいない、みんなが自信を持って共有できるようにしたいと考えていたのです。パラドックスさんは、ビジョン・ミッション・バリューを構築する王道を理解しつつもそれを押しつけず、私たちが辿ってきたプロセスを尊重しながら一緒に進め方を考えてくれました。HORIBAから関わるメンバーはトップマネジメント、プロジェクトメンバー、そして広報スタッフと多岐にわたり、一人ひとりに「HORIBAらしい良いものにする」という妥協のない姿勢があるなか、幾度も打ち合わせや議論を重ねて思いが詰まったワードを抽出いただくことができました。
また、HORIBAが30年後に実現したい、まだ誰も見ていない未来を視覚化するという大きなチャレンジもありました。想像と可能性の余白を残しつつ、受け手が自分ごととして共感できるような具体性もあわせもつ絵を描こう。そんな難題に対してさまざまな可能性を探りながら、決してあきらめることなく、一丸となって取り組むことができました。
社内発表の当日。完成した未来の絵、サイトやムービーを初めて目にする社員たちから、自然と拍手がわき起こったことは忘れられない記憶です。一番に、電話でそのときの様子をパラドックスさんにお伝えしました。
今回のアウトプットは、HORIBAグループにとって大切な財産となりました。社内外に向けてビジョン・ミッション・バリューをメッセージとして発信できたこと、だれが見ても分かりやすい形に落とし込めたことに、マネジメント層も含めて大きな価値を感じています。そして今後、グローバル全体でどのように活用していけるか、ワクワクしています。