3,000人の、働く誇りをつくる。
グループの中で自社にしか言えない使命を言語化し、
新たな旗印をつくるブランディングプロジェクト。
CLIENT:株式会社神鋼環境ソリューションさま
神戸に本社を置く環境系プラントエンジニアリングを主力とする企業。「水処理関連事業」、「廃棄物処理関連事業」、「化学・食品機器関連事業」の3事業を軸に、木質バイオマス発電やユーグレナ(食品原料)など、新事業にも取り組んでいます。海外拠点、グループ会社を合わせて約3,000名の社員が働いています。
ご依頼のきっかけ
神戸製鋼グループとしての共通理念もある中、自社の事業内容に即した独自の企業理念を持ちたい、という強い想いをお持ちでした。また、ご相談いただいた当時(2018年秋頃)は株式会社IHI環境エンジニアリングの廃棄物関連事業の統合を控えており、両社の社員が共に目指せる旗印を必要としていました。
1課題解決の方向性
5ヶ月間の理念言語化プロジェクトを行い、役員メンバーと一緒に、自社の使命を”神鋼環境ソリューションらしい”言葉に落とし込みました。
その後、経営層の本気度を伝え、一人ひとりに理念を自分ごと化してもらうために、全国の各拠点に役員自ら足を運ぶ浸透キャラバンを実施。パラドックスはプログラム企画やツール制作などのサポートを行いました。
2取り組み
STEP1 理念の言語化
プロジェクトには当時統合前のIHI環境エンジニアリングの代表取締役にも参加いただき、両社の歴史や印象的な仕事からDNAを紐解いていきました。水処理・廃棄物処理といった、目立たないけれど暮らしに欠かせない「環境インフラ」を担う使命感。困難な状況においても最後までやり抜く力強さ、泥臭さ。そして、「今」だけではなく次の世代、地球規模へと広がっていく未来志向の眼差し。異なる歴史を持つ2社の中に多くの共通点があることがわかり、それらを理念ワードに落とし込んでいきました。
核となるミッションは、「今を越える発想で、健やかな環境と暮らしを次世代へ。」神鋼環境ソリューションの仕事は、子どもたちの未来を守ること。事業の社会的意義を、一言で言い表せるようになりました。
▲言語化したミッション・ビジョン・バリュー・スローガン。神戸製鋼グループの理念・行動規範は、企業理念のベースにあるものと位置付けました。
STEP2 理念の伝達
①:役員陣への理念言語化プロジェクトおさらい会
全役員を対象に理念策定の背景や言語化の経緯を伝える 「おさらい会」を実施。言語化の経緯を知り、納得感を醸成するため、 理念策定プロセスの一部を追体験するセッションを行いました。理念言語化プロジェクトに不参加だったメンバーにも、言葉への理解を深めてもらうことができました。
▲「おさらい会」で使用した資料
②:社長からのメッセージムービーを制作
理念策定の背景や言葉に込めた想いについて、社長自身の言葉で伝えるメッセージムービーを制作。記事化して社内報にも掲載しました。
③:全社員対象の理念浸透キャラバン実施
「おさらい会」を経た役員メンバーと、浸透プロジェクトメンバーで、全国の各拠点に理念浸透キャラバンを実施。感想の共有と、「理念を日々の仕事にどうつなげるか」を社員同士で対話するワークショップを行いました。
全国9拠点で計50回以上、約1ヶ月半かけて行い、以降グループ各社でも実施いただきました。
④:部署単位でのワークショップ
「バリュー:約束する価値・強み」をどのように発揮していくか、部署単位でワークショップを実施。理念を日々の仕事で実践する方法を考えました。
※③、④ではパラドックスは企画部分をサポート。当日の運営はすべて浸透プロジェクトチームが中心となって行いました。
STEP3 理念の発信
社長インタビューが掲載された社内報と、企業理念が書かれたカードをセットにして全社員に配布。スローガン「Keep the Earth Sky-blue」からイメージを広げた、新聞掲載用の全社広告ビジュアルも新たに制作しました。その他、社内用ポスター、スクリーンセーバー、会社案内へ掲載、HPリニューアル・理念ページ追加など、社内外に向けての発信を行いました。
▲新聞広告
▲統一したビジュアルで、社内掲示用ポスターも制作
▲企業理念カード(全社員に配布)
▲スクリーンセーバーを制作し、社員のPCに設定
さらに、社員に対しては、ミッション・ビジョンをより身近に感じられるように。社員の家族や顧客・地域に対しても、神鋼環境ソリューションが果たしている意義を知ってもらえるようにと、「次世代へ紡ぐ事業」への共感を呼ぶブランドムービーを制作しました。
▲ブランドムービー<URL:https://youtu.be/Cg-M25og230>
3得られた成果
浸透キャラバンでは「建てたら何十年も維持継続する設備をつくっている。扱っている品目自体が胸を張れるものだと、あらためて感じた」「仕事を聞かれて、ごみ屋だと答えてしまうことがあったが、これからは違う視点で答えられるし、仕事に取り組める。家族も誇りに思えるようになると思う」といった感想が共有され、日々の仕事と社会とのつながりに気づくことで「働く誇り」が生まれました。役員自ら伝道師として浸透活動を行ったおかげで、大人数を対象としながらも納得度高く終えることができました。「踏み込む。挑む。やり抜く。」というバリューワードは、事業統合後の2社が共に同じゴールを目指す上でも機能する言葉となっています。社内賞の評価軸にバリューを組み入れるなど、日々の仕事との紐付けをより高める活動も実施しています。