株式会社パラドックス

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世界に届けたい価値を明文化した
中期経営・ビジョン策定支援プロジェクト。

CLIENT:日本光電工業株式会社さま

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  • インナーブランディング
  • 東京都

1951年に創業した医療機器のパイオニア企業、日本光電工業(以下、日本光電)。「少数の名医がいても、その診療を受けられる人の数は限られている。優れた医療機器をつくって、世界中の医師に使ってもらえば、自分が医師になるより何倍も多くの人びとの役に立つ」という創業者・荻野義夫氏の想いのもと、日本光電は今や医療現場に欠かせないベッドサイドモニタやパルスオキシメータを世界で初めて開発したほか、日本初の国産AEDを製造するなど、医療を前進させるテクノロジーを生み出してきました。現在は世界120カ国以上で日本光電の技術が活躍しており、今後はこれまで培ってきた技術力とノウハウを生かし、人類が抱える新たな医療課題に立ち向かっていきます。

1. 未来への覚悟を顕にしたビジョンステートメント

2019年、日本光電は2030年に向けた新たなビジョンを策定していました。先進国の超高齢化、医療業界の人材不足、世界の医療格差など、グローバル規模の医療課題が深刻化するなか、日本光電の決意を新たにし、全ステークホルダーに発信していきたいと考えていたのです。

 

社長の荻野氏や経営企画チームは日本光電の各国の拠点を巡りながら、日本光電が70年にわたり培ってきた強みや価値観、未来に受け継ぐべきコアコンピテンシー、これから解決したい課題について、社員と対話しながら紐解いていきました。そこで得た情報を外部環境とすり合わせながら、どのような事業・組織戦略を立てるかを検討していました。

 

2030年のビジョン・戦略を効果的に社内外に発信したいと考え、パラドックスにお声がけをいただきました。ターゲットは日本光電の顧客やパートナーはもちろん、国内外で働く社員へのコミュニケーションも欠かせないと感じていたのです。もともと創業者の想いや企業理念に共感して入社してきた人たちが多いなか、その共感を土台にビジョンの必然性を理解していただき、社員一同で実現していくことが欠かせないと考えていました。

 

まず取り組んだのは、プロジェクトの軸となる「ビジョンステートメント」。パラドックスは、日本光電の中堅社員によるディスカッションに参加させていただき、ビジョンステートメントをつくるための想いや未来への期待を紐解いていきました。

 

創りあげたビジョンステートメントは“Illuminating Medicine for Humanity: Create a better future for people and healthcare by solving global medical issues(グローバルな医療課題の解決で、人と医療のより良い未来を創造する)”。日本光電の社章に描かれたシンボルマークの「灯台」からインスピレーションを受け「Illuminating(てらす)」という言葉を用いて、医療課題解決への決意表明を示しました。また、日本光電の事業の中心に有り続ける「人」にも焦点があたる表現になるよう工夫しました。

ビジョンステートメントをより具体的に解説するために、ビジョン実現に向けた3つの柱も英語・日本語で言語化しました。

2. ビジョンステートメントを戦略に落とし込んだ「価値共創の羅針盤」と「挑戦する5つの世界観」

ビジョンステートメントを軸に戦略を展開していく中で、戦略の中身もわかりやすく社内外にコミュニケーションしたいと考えました。

 

特に中心的な役割を果たすのが、「価値共創の羅針盤」。日本光電が2030年に向けてどのようにソリューションや強みを生み出すかを表現したモデルです。医療現場で長年培ってきた独自の技術と知見、そして最先端の技術を融合することで課題解決にあたることを、ビジュアル表現を通して社内外のステークホルダーにわかりやすく伝えることを目指しました。

また、このモデルを通して日本光電がどのような未来を描いていくかを中堅社員と討議し、「挑戦する5つの世界観」として表現しました。日本光電が強みとしてきたコアテクノロジーに最先端技術を掛け算し、世界が抱える医療課題にどのように貢献できるかが描かれています。日本光電の提供価値をより明確にしたほか、国内外の社員に向けて、皆で創っていく世界観をより鮮やかに表現しました。

3. 世界中で働く社員の心を一つにする「グローバル共通価値基準」

日本光電には創業期から大切にしてきた行動指針がありました。しかし、その行動指針は国内社員に浸透していたものの、海外拠点ではあまり認知されていませんでした。

 

経営企画チームは、ビジョンを実現するために日本だけではなく全世界で働く社員の心を一つにする必要性を感じ、行動指針を一新することを決意。

 

まずはグローバル社員へのヒアリングから得た言葉や、中堅社員で構成されたプロジェクトメンバーの想いを紡ぎ、「グローバル共通価値基準」の日本語版を作成しました。

 

その後、英語版を完成していくにあたり、アメリカ・メキシコ・ドイツ・アラブ首長国連邦・インドなど、各国の現場を深く理解している人事責任者とヒアリングや対話を重ねました。

 

一人ひとりに「日本光電らしさとは何か」「ご自身の拠点で働く社員にとってわかりやすい表現とは何か」などを伺い、文化を越えてわかりやすい、行動に移しやすい表現を一緒に模索していきました。その結果、単に英訳した言葉ではなく、グローバル社員の想いが反映された行動指針をつくることができ、より多くの方が所有感を持ちやすいアウトプットになりました。

 

新しい「グローバル共通価値基準」は世界中で働く新入社員のオリエンテーションや研修に組み込まれており、評価や表彰にもつなげていくことを予定しております。その実行に向けて、各国の社員が行動指針を発揮したグッドエピソードを集めはじめています。

世界中で働く社員にも経営理念やビジョンを理解したうえで「グローバル共通価値基準」を体現していただけるように、「グローバル共通価値基準」がなぜ大切かを解説し、それぞれの行動指針に沿った世界中のエピソードを集めた「A Guide to Nihon Kohden’s Management Philosophy and Core Values」を作成しました。

4. 日本光電の過去・現在・未来をつなぐビジョンムービー

ビジョンプロジェクトの中で生み出したアウトプットを国内外のステークホルダーに効果的に、情緒に訴えかけながら伝えていくために、ビジョンムービーも作成。日本光電の原点となった創業者・荻野氏のストーリーから、医療機器メーカーとしての歩み、これから描きたい未来をすべてつなげ、日本光電にしか表現できない物語を創り上げました。

 

以下4つのパートで構成されたムービーを制作しました。

 

・日本光電の歴史と理念を紐解く”History”
・未来への覚悟を表明する”2030 Vision Statement”
・ビジョンの実現を具現化した”Value Creation Compass”
・その先に描かれる未来を表現した”A Picture of the Future”

 

このムービーは、グローバルのステークホルダーに向けて、英語ナレーションをベースに日本語・スペイン語・中国語字幕で作っています。

5. 得られた成果

新しいビジョンステートメントと戦略は2020年の9月に全社に発表され、ビジョンムービーは2020年の11月、社員が集まる全体会にて公表されました。2021年の年末には中国語・スペイン語の動画も公開され、本格的なグローバル浸透も開始。英語版の「グローバル共通価値基準」と「A Guide to Nihon Kohden’s Management Philosophy and Core Values」は、2022年9月に正式に世界の社員に渡りました。

 

長期ビジョンを「数字」や「戦略」だけではなく、情緒に訴えかけながら表現したことで、より多くの社員が共感した状態でビジョン達成に向けてスタートを切ることができました。

 

また長期ビジョンやビジョンムービーは、自社内を越えて、外部ステークホルダーと協業するにあたって目線合わせを行うことにもご活用いただいております。