地域密着企業として、オフィスを地域の防災拠点に。
社員の防災意識を高めるインナーブランディング。
CLIENT:株式会社リクルートライフスタイルさま
- インナーブランディング
- 東京都
株式会社リクルートライフスタイルは「じゃらん」「ホットペッパーグルメ」「ホットペッパービューティ」など、旅行・飲食・美容といった、日常消費領域で事業・サービスを展開している企業。拠点は全国に約50箇所以上、社員は約3500名以上にものぼる。
1プロジェクトのはじまり
2011年東日本大震災にはじまり、熊本地震、西日本豪雨など、全国的に地震や風水害といった災害が見舞われるなか、同社の地域拠点においても大きな被害を受けていました。今後必ず起こりうる様々な自然災害から全国で働く社員やスタッフの命をどう守るかという企業としての責任。そして地域に根ざした企業として、社員の家族や地域の人々への責任をどう果たしていくべきか。社員一人ひとりの防災意識を高め、地域の防災拠点になっていこう。そんな企業の姿勢から生まれたのが「らすた防災プロジェクト」です(「らすた」はライフスタイルの略称)。
2プロジェクトの目的
地震・津波・風水害・火災・土砂災害・噴火・感染症・テロなど、私たちのまわりにあるあらゆる災害に対して、防災リテラシーを高めていく「防災の日常化」。そして、いざ有事の際に組織として仕組みや制度でどう対応するかの「減災のシステム化」。それによって、被害を最小限にできるだけ早く回復させる「縮災」を目指す、という考え方を根底に、様々な社内施策を実施していきました。
※防災は災害時に被害を出さないように備えることに対して、減災は被害を最小限に抑えること。
3コンセプト・シンボルの策定
らすた防災のコンセプトは「尊厳と笑顔を忘れない防災」。いかなる有事の際でも、人間としての尊厳を大切に、笑顔を忘れずにいよう。“日常をちょっと豊かにする”という、リクルートライフスタイルらしさを大切にしながらシンボルマークを策定していきました。
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4啓蒙ブック「はたらく私の逃げ方ブック」
社員の平均年齢が若く、パート・アルバイトスタッフには主婦も多い。そんな社内に対して一人ひとりの防災意識を高めていくための防災ブックを制作しました。一般的な家庭の防災ではなく「オフィス・仕事中」に特化した防災ブックです。編集コンセプトは「逃げろ」。災害時に、もっとも大切なことは、まず自分が危険から逃げること、怪我をせず、無事であること。自分がまず真っ先に逃げる意識を持つことで、危機回避行動が伝播していく。そして、災害のメカニズムといった知識や、災害がいかに恐ろしいかというネガティブなリスク認知ではなく「その時、どうやって逃げればいいか」という行動示唆に偏重し、地震や異常気象、テロや感染症など7つの災害からの逃げ方を編集していきました。
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▲学術的な内容も、リクルートライフスタイルらしく、できる限りわかりやすくユーモアを大切にしながら表現しています。
5マネージャー防災ツール「隊長のここぞセット」
社内のマネージャー・自衛防災隊長に対しては、有事の「ここぞ」という時に、メンバーを守るためのマニュアルや、ペンライトやマーカーなどのツールを同梱したセットを制作。初動マニュアル内には、行動フローや安否確認・エスカレーション、応急処置の方法などをわかりやすくまとめています。
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6社内防災インフラ「備蓄品ダンボール」
防災拠点の要となる備蓄品、そのダンボールケースもオリジナルで制作。ダブルダンボールといわれる荷重に強い特殊な素材を使用し、一目で内容物や備蓄期限がわかるような外装に。また、空になったダンボールを活用したパーテーションやスツールなど、一時的な避難生活時に使えるツールの作り方も掲載しました。また備蓄品内には、地域の子どもやお年寄りを想定したグッズも備えています。
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▲食料品・水・衛生用品・簡易トイレやラジオに加え、暇つぶし用品まで。
7社内防災インフラ「オフィスサイン・AEDボックス」
備蓄品置場や避難口、防火扉などを示した防災サインのVIも整えていきました。またAEDボックスはオリジナルで制作し、BOX内には蓄電器や太陽光パネルなどが備蓄されています。
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8お客様の声
弊社のマネージャー陣は平均年齢30歳。育メン・ワーママも年々増加しています。つまり、災害弱者が初動対応時の率先リーダーです。だから、初動対応時の行動は単純化しなければいけません。先日の北海道胆振東部地震では、らすた防災の備蓄品やAED-BOXが、現地の災害対策本部での配布品の中心となり、さらに納品されたばかりの「逃げ方BOOK」が、本社の災害対策本部に持っていかれ、むさぼるように社員が読んでいました。6月18日大阪北部地震、7月末逆走する台風12号、記録的猛暑、9月4日スーパー台風21号、そして北海道胆振東部地震。この3ヶ月だけでも自然災害の猛威にさらされており、残念ながらこれは今後も増加していくはずです。これからも「被災しても人としての尊厳と笑顔を忘れさせない」らすた防災・減災・縮災プロジェクトを推進していきたいです。