株式会社パラドックス

HOME > ブランディング事例 > 琉球アスティーダスポーツクラブ株式会社さま

沖縄から「有志有途」の体現を。
理念を軸にブランドをつくるプロジェクト。

CLIENT:琉球アスティーダスポーツクラブ株式会社さま

  • コーポレートブランディング
  • カスタマーブランディング
  • スポーツ
  • 沖縄県

2018年に設立された沖縄発の総合型スポーツクラブ、琉球アスティーダスポーツクラブ。プロ卓球リーグであるTリーグに参戦する「琉球アスティーダ」を中心に、卓球スクールやスポーツバルの運営など、多岐にわたる活動で地域を盛り上げています。設立から3年を経て、日本のプロスポーツチームとして初の上場を目前に控えた2021年3月、琉球アスティーダの理念を言語化するプロジェクトが実施されました。

1. ブランディングの背景

琉球アスティーダの代表・早川周作氏は、経営手腕のみならずその壮絶な半生でもよく知られた人物です。10代で家業が倒産、家族を残して父が蒸発。行政にも見放される中、一人の弁護士が親身になって助けてくれたことから、「自分も困った人の力になれる人間になりたい」と若くして起業し、政治やコンサルティングなどさまざまな分野で活躍を続けて来られました。

 

その早川氏が2018年、Tリーグが立ち上がるのをきっかけに、卓球関係者から打診を受けて設立したのがプロチームや卓球スクールなどを併せ持つ琉球アスティーダスポーツクラブです。設立直後はリーグ最下位だったチームも3年で首位獲得。2021年にはプロスポーツチームとしては日本初の株式上場も果たそうとしていました。上場を機にさらなる飛躍が見込まれる中、改めて自分たちの理念を明確化し、これから出会う新たな投資家やファンに「琉球アスティーダとは」を共通言語で説明したい。そんな想いから、今回の理念策定プロジェクトはスタートしました。

2. ブランドの成長モデルと理念の策定

上場前には言語化すべきという認識のもと、プロジェクトは数週間に凝縮する形でスピーディに進められました。参加メンバーは早川氏ほか、当時のほぼ全社員にあたる2名の社員でした。

 

まずは早川氏や社員の方の考えを引き出しながら、「大切にしている価値観」や「実現したい未来」を言語化。中でも早川氏が繰り返したのが、恩師から教わったという「有志有途」という言葉(志があれば道は拓けるという意)、そして琉球アスティーダを設立した理由でもある「弱い地域や、弱いものに光をあてる社会をつくる」という自身の志でした。

 

「卓球はラケットとボールさえあればできるスポーツ。お金をかけずに始められるので、貧富の差の影響をあまり受けません。また体格差や性差も勝敗に響きにくく、小柄な選手が大きな選手に勝つこともあります。そんな卓球を通じ、貧困率が全国の二倍とも言われる沖縄が日本一になることで、不平等な世の中にあっても志を持って努力すれば道は拓けるということを示していきたいんです」(早川氏)。

 

誰にでもチャンスがある卓球で、沖縄という小さな島から世界で一目置かれるクラブをつくる。苦難を乗り越えてきた早川氏自身の人生とも重なる、琉球アスティーダの像が結ばれていくうち、「琉球アスティーダの使命とは、地方発の小さな企業が世界に挑む姿を見せて、”自分にもできるのではないか”と勇気を伝播させていくことなのではないか」との結論へと到達。ここから「太陽の循環モデル」と名付けたブランドの成長モデルが生まれました(詳しくは下の図を参照)。

▲「ティーダ」は沖縄の方言で「太陽」を指すことから、「太陽の循環モデル」と命名

▲ミッションへの共感がビジョン実現へとつながることを図示

さらに社員たちの想いを織り込みながら、スローガン、ミッション、ビジョン、スピリット、バリューを策定しました。スローガンでこだわったのは、卓球の試合会場の熱狂した空気とのフィット感。選手入場の際にMCが演出の掛け声として使用しても似合うような、短く口語的な表現を模索し、「世界を獲りいくよ。」に決定しました。

▲「獲り”に“いくよ。」ではなく、あえて「獲りいくよ。」。口に出しやすさとスピード感を意図

▲社名の「アスティーダ(明日+太陽)」と「有志有途」の哲学も踏まえて策定したミッション

▲「太陽の循環モデル」が進んだ先に実現する未来をビジョンとして策定。「ハンディがあっても、何度失敗しても、コネがなくともチャンスが与えられ、若者が夢を持てる社会にしたい」という想いを一行に込めた

▲スピリットはアスティーダの中でよく使われている言葉をベースに、大切な価値観を7つ言語化

▲エモーショナルであること、成長できることといった、琉球アスティーダならではの魅力を取り込みながらバリューを策定

3. 効果と反響

理念策定後、琉球アスティーダスポーツクラブは東京プロマーケットに無事上場を果たしました。早川氏は新たな投資家へのプレゼン時には、必ずミッションとビジョンの話から始めるそうです。理念への共感は広がり、当時12社だったスポンサーは、現在(※2023年3月末)までに180社超へと増加。引き続き、スポーツにお金が循環する仕組みを作り上げるべく、「スポーツ×○○」などさまざまな掛け算でファンの方々の購買意欲を掻き立てる仕組みを生み出されています。2023年2月に実施されたアスティーダフェスでは2日間で約35,000人という異例の来場者数も達成しました。

 

アスティーダの輪が着々と大きくなる中、図らずも生じてくる理念への「温度差」を解消するため、今後は早川氏の想いや理念の浸透施策もさらに検討されています。沖縄から、世界へ。その姿を見た人が、夢を持ってまた世界へ。琉球アスティーダの存在が逆境にある人を一人でも多く勇気づけていけるよう、当社も共に未来への道筋を模索してまいります。

代表取締役会長 早川 周作 さま

私は常に、「弱い地域や、弱いものに光を当てる社会をつくる」「誰もが夢に向かってチャレンジし、実現できる世の中にしたい」という想いを持って生きてきました。そしてこの「志」に合ったことだけをやると決め、事業を興す際には「その事業がどのように社会課題の解決につながるのか」を考え、ビジネスを展開してきました。

企業の課題を引き出して地域課題と結び付け、循環型モデルをつくる。これが私の「志」に深く結びついた事業であり、これからも変わることはありません。理念が明確に言葉になったことで、この「志」がさらに人に伝わっていく力を持ち、より多くの人の心を集めていくことを願っています。