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理念を象徴するプロダクト開発で「言行一致」した事業へ。

CLIENT:日本サニパック株式会社さま

  • コーポレートブランディング
  • カスタマーブランディング
  • 東京都

1. 創業50周年を、向かうべき未来を見直すきっかけに。

2020年に創業50周年を迎えた日本サニパックさまは、国内で初めて紙製の一般用ゴミ袋を発売して以来、私たちの日常に欠かせないゴミ袋をつくり続けています。現在では、一般的なゴミ袋は化石燃料である石油由来のポリエチレン(プラスチック)製ですが、環境問題の観点から削減が求められる社会となりました。こうした背景から、あらためて今後の会社のあり方を見つめ直したいとご依頼をいただきました。

 

そこでまずは、会社として向かうべき方向を明確にするため、日本サニパックさまは「なんのためにある会社」なのかを再定義し、言語化を行いました。

 

昨今はスポーツの試合などで日本人がゴミ拾いをする姿や、そのきれいな心が世界で注目を集めていますが、ゴミ袋をつくるということは「きれいにする」ということを支えているとも言えます。一方で工場のあるインドネシアなど、発展途上の国では、まだまだゴミが散乱しているという現状もある。そこで、コーポレートスローガンには「きれいな地球と、きれいな心を。」と掲げ、ミッションは環境を整えることで快適な社会づくりに貢献する会社となるべく、「清潔で快適に暮らすためのソーシャルインフラになる。」と設定。さらに、その先にあるビジョンを「世界と手を取り合って、地球を美しくする。」と定めました。

2. 時代と理念を象徴する商品をつくる。環境配慮型ゴミ袋「nocoo」誕生。

言葉をつくっただけでは、当然ながらありたい姿には到達できません。次に取り組んだのは、理念と事業の言行一致をはかるための象徴的なプロダクトづくりでした。地球をより美しくするために、自分たちになにができるか。その問いに向きあい、2021年4月に誕生したのが「nocoo(ノクー)」という環境配慮型のゴミ袋です。

「nocoo」は、石灰石を使用することでプラスチックの使用量を20%削減できるだけでなく、製造時、燃焼時におけるCO₂排出量も20%削減できるゴミ袋です。また、原料である石灰石の輸送時間を短縮したり、製造工程では再生可能エネルギーを使用するなど、徹底して環境に配慮しています。そういったことがわかりやすいよう、商品のネーミングは「NO CO₂」ということから「nocoo」と名付けました。

 

このネーミングは、商品の強みを捉えるということにとどまらず、マーケティングの観点からも戦略的に検討したものです。環境問題についての独自アンケートを行ったところ、消費者がもっとも関心を持っていたのが地球温暖化の問題でした。そこに直結する「CO₂の削減」が想起される「nocoo」は、「いつも使うゴミ袋でCO₂の削減に貢献できる」という消費者に向けたメッセージでもあるのです。

3. ブランドパートナーと手を取り合い、共創する。

商品をより多くの人に知ってもらうためのプロモーション活動に当たっても、「EARCYCLE(アーシクル)」というコンセプトをつくりました。Earth+Cycleを表す造語で、地球を良くするサイクルをつくる活動を意味しています。この言葉の背景には、さまざまな活動を通して消費者やブランドパートナーと共創することで、社会全体の環境意識を高めていく狙いがあります。

 

「EARCYCLE」は実際のプロモーション活動において求心力として機能し始めています。その一例として「渋谷区お花畑プロジェクト」をご紹介します。このプロジェクトでは渋谷区とタッグを組み、花柄がデザインされた渋谷区の推奨ゴミ袋「nocoo渋谷」を作成。CO₂排出量を抑えるだけでなく、ゴミ集積所に花を咲かせることで景観の向上を目指しました。こうした行政と連携しての環境改善の取り組みは、日本各地で現在も行われています。

「nocoo渋谷」が街に置かれたイメージ

さらに、一般家庭にも広く「nocoo」を知ってもらうため、人気VTuberのキズナアイやサンリオの人気キャラクターを起用した広報活動を展開し、SNSで話題に。これをきっかけに、多くの人が「ゴミ袋なら、環境改善にも貢献できるnocooを使う」という選択をするようになりました。

4. 共創活動が絆を生み、成長につながる。

こういった共創活動を通して、自治体などブランドパートナーとの絆が生まれただけでなく、もともとキャラクターを支持していた新しい消費者との間にも絆が生まれました。その結果、コロナ禍においても「nocoo」は好調に売り上げを伸ばし、2020年度には企業として過去最高益を達成。現在は海外情勢や原油高の影響はあるものの、それでもなお「nocoo」は売り上げを伸ばし続け、2022年度は売上全体の13%を担い、2023年度は18%を期待される主力商品となりました。

 

また、社内においてもマーケティング部署が立ち上がったり、社内の理解を深めるための勉強会が開催されるなど、「nocoo」を一丁目一番地の商品と宣言し、社内活動をすることで、ミッションやビジョンを達成するための道標ともなっています。

 

今後は、さらに「nocoo」を中心に据えた第二次リブランディングを予定している日本サニパックさま。これからもパラドックスは伴走を続けながら、ゴミ袋から始まる小さな活動を、地球環境の改善という大きなアクションへとつなげていきたいと考えています。