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600年の歴史ある泡盛と琉球文化を、未来へ。
「泡盛ツーリズム 那覇」ブランディングプロジェクト。

CLIENT:沖縄県酒造組合さま

  • カスタマーブランディング
  • 沖縄県

1976年に設立され、沖縄県内の47酒造所がすべて参加している沖縄県酒造組合さま。泡盛を仕入れ、長期貯蔵により古酒として良質な泡盛を県外に安定的に移出するとともに、原料米その他資材の共同購買を行い、業界の安定と経済的地位の向上を図る活動を行っています。今回パラドックスでは、泡盛を通じて那覇市の観光を盛り上げる「泡盛ツーリズム 那覇」のブランドアイデンティティの設計、スローガンとロゴ開発をお手伝いをさせていただきました。このプロジェクトの一環の取り組みについて、プロジェクトのご担当者である沖縄県酒造組合 富村さまにお話をお伺いしました。

 

1ご依頼のきっかけと課題

富村さま:

47酒蔵所が集う沖縄県酒造組合として、泡盛の本質的価値を見出したいと思ったことがきっかけでした。よく他県の関係者の方から「『琉球泡盛』という言葉は全国的に知名度が高くていいですよね」と言っていただくことがあるのですが、私たちとしては『琉球泡盛』を知っていただいていても、現状の「知られている」というステージから脱却仕切れていないというか、中々消費拡大に繋がらないという課題がありました。これまで色々なプロモーションを行ってきたのですが、どうしても目先の売るための施策に走ってしまい、毎回違うことをやっているような感じで。ふと立ち止まって振り返った時に、「泡盛って一体なんなのか」ということが段々分からなくなってしまったんです。そこで、ちゃんと自分たちの一丁目一番地を見据えることを作らないといけないなと思いました。

 

あるお客様から、「泡盛って、まだ歴史文化で売ってるの?」と言われたことがありました。とても悔しくて。でも、その時に言い換えせる言葉が無かったんです。「泡盛は600年の歴史があります」とか、「日本最古の蒸留酒です」とか、もちろんそれは事実なんですけども、それを一丁目一番地の価値にするのは違うのではないかと。自分たちでも、泡盛の本質的な価値を見出せていなかったんですよね。泡盛業界として5年後、10年後どういうふうな方向性で何を掲げて、何を見出したくて走っていくべきなのか。そういった指針をつくりたくて、今回パラドックスさんお声がけさせていただきました。

2地域の方をプロジェクトメンバーに巻き込む

富村さま:

どのようにこのプロジェクトを進めていこうかと考えた時に、国税庁で募集をしていた「酒蔵ツーリズム」という、お酒を通じて地域の観光を盛り上げる企画がありまして、組合としてもぜひにエントリーしたいなと思っていました。はじめは、47全ての酒造所を巻き込もうとしたのですが、しっかり地域の個性を見出したいなと考えました。やはり泡盛を語る上で那覇(首里)は外せないので、まずは那覇地域をモデルケースとして行うことにしたんです。

 

プロジェクトメンバーを考えた時に、私たち酒造組合だけでブランドアイデンティティをつくるのではなく、地域のみなさまと膝を付き合わせて議論をして、全員が納得のいくものをつくる必要があるのではないかと思い、首里最古の酒造所である瑞穂酒造さん、現在組合の会長である瑞泉酒造さん、そしてツーリズムということで観光の観点でのお話ができる那覇市観光協会さんにお声がけをし、プロジェクトメンバーとして議論に参加していただきました。せっかくやるんだったら、楽しく自分たちを鼓舞できる、やりがいのある、胸を張れるものをつくりたい。組合だけでなく、地域の皆さんが自信を持って旗を振ることができるブランドアイデンティティができたらいいなと思いました。

実際のセッションの様子。状況に応じてオフラインとオンラインで開催しました。

3MISSION:琉球の泡盛に、新たな魅力を仕次ぎつづける。

富村さま:

今回議論をしていく中で、沖縄全体ではなく「那覇市の」泡盛や観光について考えることがとても重要でした。これまで私たちの中では当たり前になってしまっていたことを、改めて真剣に時間をかけて議論をする。那覇市はかつて琉球王朝が存在した泡盛発祥の地ですから、歴史の部分は外せない、けれども、そこに頼ってばかりでは今までと何も変わらない。泡盛発祥の地である那覇市だからこそやらなければいけないことは何か、ということを考えた時に、その歴史ある泡盛に新たな魅力を継ぎ足していく必要がある、という結論に至りました。泡盛には古酒に少しだけ若い泡盛を継ぎ足して育てる「仕次ぎ」という技法があり、私たちがやるべきことは、まさに泡盛全体の「仕次ぎ」なんだということに気づいたんです。

4VISION:世界中のMY AWAMORIの源流となる。

富村さま:

那覇は今も昔も、世界と沖縄を繋ぐ玄関口。そういった観点で考えた時に、那覇から世界中に泡盛が広がって行ったらいいなと思いました。ただ、お土産として買って終わりではなく、泡盛の本来の楽しみ方を知ってもらい、世界中の人が自分好みの「MY AWAMORI」を持っているような未来を作れたら。そのきっかけに那覇がなれたらいいなと。そういった思いを込めて、このVISIONができました。

5得られた成果と今後の展望

富村さま:

ブランディングセッションが終了した直後に、沖縄で「ツーリズムEXPO」というEXPOがあり、さっそく完成したビジュアルを設置して、ブランドブックと共にリリースしたのですが、「泡盛業界、何があったの?!」と真っ先に言っていただきました。これまでタレントさんを起用して商品をわかりやすく見せるようなプロモーションツールはよく制作していたのですが、こういうメッセージ性のある、ある種宣言のようなものをリリースするのははじめてだったので、旅行会社の方々から、「なぜこういったものをここでうたったんですか?」というような質問をたくさんいただきました。その時にはじめて、組合としての想いを堂々と語れたことが、とても嬉しく誇らしかったですね。「ぜひ関わらせてください」という方もたくさんいらっしゃいました。今回開発していただいたロゴマークは、中心の首里城の部分を別の地域のモチーフに入れ替えて使うことができるという仕掛けがあります。まずは那覇から、沖縄全体へと広がっていくように。そんな泡盛ツーリズムができたらという私たちの想いと期待が込められています。

プロモーション用ポスター

EXPOで配布したコンセプトブックとステッカー

コンセプトブック