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トピックス2023.06.14

【レポート】次世代まちづくりスクールのオンライン講座「地域活性・不動産活用のためのアートの取り入れ方」に登壇しました。

一般社団法人 地域未来創造大学校「次世代まちづくりスクール」主催のオンライン講座に、弊社のブランディングプロデューサー布施太朗が登壇しました。講座のテーマは「地域活性・不動産活用のためのアートの取り入れ方」。弊社がブランディングを支援している一般社団法人 アートのある暮らし協会代表理事の枝澤佳世様をゲストとしてお招きし、アートによる地域ブランディングを成功させた国内外の事例をもとに「まちづくり×アート×ブランディング」の基本となる考え方について対談を行いました。さらに後半では次世代まちづくりスクールの受講生が登壇し、現在進行形の地域活性化事例についてご紹介がありました。

この記事では講座の内容の一部をアフターレポートとしてお伝えします。

<講座の概要>

テーマ:地域活性・不動産活用のためのアートの取り入れ方

主催:一般社団法人 地域未来創造大学校「次世代まちづくりスクール」

登壇者:
布施 太朗 (ふせ たろう)
株式会社パラドックス ブランディングプロデューサー/クリエイティブディレクター/oton+to 編集長/企業ブランディング、商品ブランディングからクリエイティブディレクションまでを一気通貫で携わる。著書に「父親が子どもとがっつり遊べる時期はそう何年もない」(三輪舎刊)がある。

枝澤 佳世(えだざわ かよ)
一般社団法人アートのある暮らし協会代表理事/アートライフスタイリストプロデユーサー。全国各地にて講座、企業研修、トークイベントなどの開催や、アート&ライフスタイル普及のためのマッチングサイトの開発、取材ライティング活動など、アートを身近に届けるための人材育成やビジネス支援などに努めている。

北城 みどり(ほうじょう みどり)
次世代まちづくりスクール受講生。起業型地域おこし協力隊として宮城県七ヶ宿町に移住。空き家をリノベーションし、宿に滞在しながら地域のつくり手と交流できる「半芸ハウス」を2023年5月に開業、オーナー兼運営管理者を務めている。

目次:
前半/布施×枝澤氏によるクロストーク(まちづくり×アート×ブランディングの考え方について)
後半/受講生の北城氏による実践事例(七ヶ宿町「半芸ハウス」)

■レポート1:「ここにしかない価値」を、どのようにしてアートと結ぶか(布施×枝澤氏によるクロストーク)

日本におけるアートはいま、個々の作品の文化・芸術的価値という議論を超え、アートの観光資源化や、芸術家の自由な発想力を仕事に応用する「アート思考」の流行など、ビジネスや経済の文脈で強い関心が寄せられています。枝澤氏はこうしたアート熱の高まりの背景に、2010年ごろから経済産業省がアートと地域・公共の接面を広げ、経済効果を上げるために積極的に予算を増額してきたことを指摘します。

枝澤氏:本来であれば、芸術による経済効果を狙ってではなく、人々が豊かに幸せに生きるなるために芸術がインフラになるべきだと思ってはいます。しかし日本で文化芸術に力を入れるべきではないかという気運が高まっているのは、経済面から国が力を入れるようになったことが後押しになった面はあると思います。

 

国を動かすきっかけとなった事例が、2010年に始まった瀬戸内国際芸術祭です。芸術祭の舞台である直島や犬島では、90年代より空き家を使った「いえプロジェクト」や製錬所跡に建てられた美術館など、地域にもとからある不動産や構造物をアートで生まれ変わらせる試みが続けられてきました。

今や72万人を超える観光客が押し寄せるこの現代アートの祭典は、来場者がアートを味わうとともに島々の文化や自然にも直接触れる機会を生み出しています。

▲空き家を使った「いえプロジェクト」の作品の一つ、宮島達男氏による「角家」。島民にとても喜ばれた作品だという。
▲空き家を使った「いえプロジェクト」の作品の一つ、宮島達男氏による「角家」。島民にとても喜ばれた作品だという。
▲犬島の銅製錬所の遺構。現在は「犬島精錬所美術館」が建設され、銅製錬所ツアーも行われる。
▲犬島の銅製錬所の遺構。現在は「犬島精錬所美術館」が建設され、銅製錬所ツアーも行われる。

講座では国内の芸術祭の事例として、ほかに大地の芸術祭、横浜トリエンナーレ、道後アートなど、また海外の事例としては、治安の悪い倉庫街の倉庫の壁をキャンバスにしてアート散策のできるエリアへと改革したアートバーゼルマイアミなどが紹介されました。これらに共通するのは、いずれもその地域固有の課題に沿って手法を考え、そこにしかない価値(歴史・文化・伝統など)を掘り起こしながら新しい文化・技術・現代美術と結びつけることで発展してきたという点です。

 

▲アートバーゼルマイアミ。立ち並ぶ倉庫の壁にさまざまなアートが描かれている。
▲アートバーゼルマイアミ。立ち並ぶ倉庫の壁にさまざまなアートが描かれている。

枝澤氏:どんなアートを入れるのか、どんなアーティストを呼ぶのかが大事なのではなく、ここにしかない価値を考えることが大事です。

布施:自分たちの誇りたいものはなんなのか。このまちが大切にしているものはなんなのか。そういうものを掘り下げて考えていった時に、そこにアートを活かすなら、どんなアートがふさわしいものなのかという思考回路ですね。これはブランディングの考え方と非常に近いものがあります。弊社が行う対企業のブランディングでも、「自分たちは何を大切にする企業なのか」をまずは掘り下げていきます。

 

■レポート2:七ヶ宿町から「半芸のある暮らし」を広げる(受講生による実践事例)

講座の後半では、次世代まちづくりスクールの受講生である北城みどりさんが登壇し、ご自身が宮城県七ヶ宿町で開業した「半芸ハウス」についてお話しされました。北城さんは大学で建築を学んだあと、設計事務所や美術予備校の講師等を経験し、3年前から起業型地域おこし協力隊として七ヶ宿町で暮らしています。

北城さんの運営する「半芸ハウス」は、空き家を一棟丸ごとリノベーションしてつくった宿。生活の半分で芸術活動をしている七ヶ宿町の人々(半芸生活を送る人々)を「地域のつくり手=生活を楽しむヒントをくれるガイド」として巻き込み、滞在者はつくり手と交流をしながら地域に溶け込み、「半芸のある暮らし」を体験できるのが特徴です。同時に地域の外から多様なバックグラウンドを持つアーティストを招聘し、滞在しながら作品制作をしてもらうことで、地域の子どもたちが自由な表現を当たり前に感じられるような環境づくりも行っています。

▲半芸ハウスの内側
▲半芸ハウスの内側
▲空き家のリノベーションの様子。ほとんどを自主作業と大学生ボランティアで行った。
▲空き家のリノベーションの様子。ほとんどを自主作業と大学生ボランティアで行った。
▲一人目として滞在中の現代美術家・佐藤香さん。七ヶ宿町で採取した土を使って客室の壁画を製作中。
▲一人目として滞在中の現代美術家・佐藤香さん。七ヶ宿町で採取した土を使って客室の壁画を製作中。

ほかの土地で「半芸ハウス」と同じことができるかどうか?という問いに、北城さんは次のように答えられました。

北城氏:半芸というコンセプトを踏まえて考えたときに、七ヶ宿町のように冬が厳しく、一年を通して季節の濃淡があるところだからこその半芸なのではないかと。年中同じような生活環境の得られる場所だと、なかなか「生活の半分」ということにピンと来ないのではないかと思ったため、今のところはここ独自のものではないかと思います。もちろん同じようなローカルさのところではありえるかもしれません。

▲計画している宿泊体験オプション
▲計画している宿泊体験オプション

最後に、参加者からの質疑応答を通じ、枝澤氏より下記のような総括がありました。

枝澤氏:こうした活動のための公的な補助金は取得も大変で、しかも補助金だけでは継続的な運営ができない現実がありますので、資金を出せる企業や個人を仕組みの中に入れるべきだと思います。あるいはその仕組みを作っていくことが必要です。また、地域おこしのために新たなアートを制作するのか、今あるまちの資源の中からアートを見つけ出すのかはどちらでも良いと思います。重要なのは、何をするのかの意思やコンセプトがしっかりとあることです。

*弊社では地域創生・地域ブランディングのご相談も承っております。 
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