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トピックス2024.01.30

【レポート】「理念経営を行う企業だからこそ実践できる、人事のあり方とは?」をテーマにセミナーを開催しました。

パラドックスは、“こころざし”でつながるコミュニティ「visions」を起点に、さまざまなセミナーを開催しております。1月11日には理念経営企業の経営者様・人事責任者様を対象にしたセミナーを実施。ゲストに株式会社人材研究所代表の曽和利光様をお迎えし、最近の採用トレンドや課題、人事に求められる改革について二時間にわたりお話いただきました。本記事ではセミナーの内容の一部をアフターレポートとしてお届けします。

<セミナーの概要>

テーマ:理念経営を行う企業だからこそ実践できる、人事のあり方とは?
主催:株式会社パラドックス
形式:オフライン(パラドックス東京オフィス)/オンライン

ゲスト登壇者:
曽和 利光(そわ としみつ)
株式会社人材研究所 代表取締役社長

愛知県豊田市生まれ。京都大学教育学部卒業後、リクルート、ライフネット生命などで採用や人事の責任者を務める。その後、人事コンサルティング会社人材研究所を設立。日系大手企業から外資系企業、メガベンチャー、老舗企業、中小・スタートアップ、官公庁等、多くの組織に向けて人事や採用についてのコンサルティングや研修、講演、執筆活動を行っている。著書に「人事と採用のセオリー」「人と組織のマネジメントバイアス」「できる人事とダメ人事の習慣」「コミュ障のための面接マニュアル」「悪人の作った会社はなぜ伸びるのか?」他。現在、Y!ニュース、日経、労政時報、Business Insider、キャリコネ等、コラム連載中。

主なトークテーマ:
・理念経営企業が直面する組織の課題とは
・理念経営企業の人事に求められる力とは
・いま求められている採用活動の変革とは

1. 時代は発掘型採用へ。“基準”を変えずに“場所”を変え、原石を見つけ出す。

――最初に、昨今の採用市場のトレンドや課題感について、曽和さんが感じていることをお聞かせください。

いろんな会社のお手伝いをして思うのは、どこも単純に人が足りないということです。

パーソルの予測では、2030年ごろには約300万人の労働力が何をしても確保できなくなるそうです。300万人とは労働人口の大体5%ですから、20人に1人足りない計算です。ただ、これはあくまでも平均ですので、大企業や人気企業では充足し、中小企業やベンチャーだと4-5人足りないという状況になるでしょう。現在でも新卒の採用目標数が達成できている会社は4割程度です。ここからさらに奪い合いは激しくなっていきます。

じゃあどうすればいいかというと、みんなが求めるピカピカのダイヤモンドのような人材を奪い合うのではなく、ダイヤモンドの原石を探す、発掘型の採用をする時代になるんじゃないかなと。たとえばサイバーエージェントは昔から内定者の6-7割は地方(東京以外)の学生を採っています。東京には人がたくさんいるように見えますが、有効求人倍率は全国で一番高い。東京で採るのは非効率だとわかっているからこその戦略です

――いかに自社のターゲットのいる“場所”を探せるかどうかですね。たとえば体育会系でも、サッカーや野球、ラグビーじゃなくて。

ラクロスとかダンスとかね。あとは練習場所が隔離されているヨット部や馬術部も、就活市場に出てきにくい傾向があります。就活をあまり頑張っていない、でも自社向きだという人材をこちらから見つけにいき、前向きな「この会社でいいか」を引き出して入社してきてもらうのも一つの理想系だと思います。

もう一つの課題は採用の非効率性です。これまで何十年も、母集団形成と評価に多大な労力が割かれていました。これからはそういう部分はAIやデータ採用、適性検査、スカウトメディアなどを使って効率化し、動機づけの方にマンパワーと予算を配分しないといけない。このポートフォリオ配分がうまくいっていない会社は苦しむだろうなと思います

2. 参加企業の採用課題〜母集団形成から育成まで〜

――ここからは参加企業の皆様からいただいた質問に沿って進めたいと思います。

――まず、「母集団形成が量も質もうまくいかない」というお悩みです。

細かい話ですが、スカウトメディアのフリーワード検索を使って人材を探している人があまりいない印象です。属性で検索するとみんな同じ人にたどり着いてしまいますので、ぜひフリーワード検索を多用しましょう。たとえば論理的思考力が高い人を探したい場合、そういう人のバイトは飲食店?家庭教師?塾講師?オフィスワーク?趣味は将棋?など。こうやって探していくと、「法学部」「理系」などの属性検索ではたどり着けない人に会えますので、ぜひ試してみてください。

あとはリファラル採用の強化です。博報堂、トヨタ、富士通など、ナビでいくらでも人を集められる会社ですらリファラルに力を入れています。気をつけてほしいのは、「紹介してね」と内定者にメールを打つだけではまったく意味がないということです。そうではなく、今の採用市場がどれくらい厳しいか、きちんと熱意を持って語り、コミットしてもらう。そしてちょっとでも接点を持った人は全員が採用対象だと考え、プールしていく必要があります

――次に「母集団形成に力を入れるという考え方から見直したほうがいいのでしょうか?」という質問です。

母集団形成、つまり最初の応募者を増やすのが最もお金がかかり、ブランド依存にもなります。ですからそこに力を入れる前に、選考過程で受験者がどのくらい辞退しているかをみておくべきです。選考全体の辞退率は平均30%です。それを超えているなら、「辞退したくなるような負荷がある」「選考スピードが遅い」など何らかの問題があります。辞退を水漏れにたとえるなら、水漏れ対策を先にした上で、最初にプールに入れるべき水の量を逆算する。水を増やすのは最後の最後です

――「人事だけではなく、会社一丸となって採用に取り組むには?」という質問です。

自分の本業以外で採用に貢献するとしたら、それは組織市民行動と言われるものですね。その根っこにはワークエンゲージメント、つまり自分の携わる仕事に熱意を持てているか、没頭できているかがあります。これが高まっていけば組織エンゲージメントが上がり、組織に貢献する行動が生まれます。つまり、本質的かつ中長期的に見れば、ワークエンゲージメントを高めることが大事です。

ただ、よりテクニカルですぐできることを言うなら、採用に協力してくれた方々にフィードバックをきちんとすることです。あなたが発見してくれたあの学生は◯◯社を蹴ってうちに入社してくれました、ありがとうございましたとか、残念ですが辞退になりましたとか。「僕のした作業は一体どうなったんだ?」と思ったら、やる気がなくなるじゃないですか。もし今までフィードバックをあまりしてこなかったなら、ちゃんとやるべきだと思います

――最後に「採用した人材を、配属先でどうやって育成していけるか」という現場の育成体制についてのご質問です。

育成研修をつくるのにも専門性が要りますし、配属先の上司の育成力がマネジメント研修を受けさせたからといって突然に上がるわけではありません。そんな中ですぐにできるのは、相性のいい上司・同僚と組ませてあげることです。配属においては能力や志向・価値観が重視されがちですが、性格的相性のほうが業績に影響する場合もあります。新人にとって「やりやすい状況」をつくることは、早期退職の防止にも効果的です

3. 価値の浸透を図るなら、「明文法」より「判例法」

――理念経営企業の人事が、理念をどう社内に浸透させていくべきかについてお伺いします。

こう言うと拒否反応が起きるかもしれませんが、“理念が浸透している会社”というのは排除によってしかできないと思っています。採用の段階で価値観に合う人かどうかをきちんと見極め、そうでない場合はもっと合う場所に出て行きやすいようにしてあげるということです。浸透、つまり、もう出来上がっている大人の価値観を「変える」ということが本当にできるかというと、僕はNOだと思います。

ただ、必ずしもすべての会社が一つの価値観に揃えてなければいけないわけではありません。みんなバラバラでいいんだという受容的な文化の中で、ある一貫性を持って組織を運営していくのも理念経営です。まず自社がどちら側に近く、どちらでいくのかを考える必要があります

――人事評価を通じて行動指針の浸透を図るのに、良い進め方はありますかという質問がきています。

上司がすべてを評価すると強いバイアスが生じますので、最初に明文法ではなく判例法的なやり方で社内に概念を浸透させていくことをお勧めします。たとえばメルカリだと「Go bold(大胆に行け)」というバリューがありますが、一つ一つのエピソードに対して「Go boldか、そうじゃないか」「Go boldの度合いはどれくらいか」をみんなで議論して貯めていく。そうするとだんだん社内に概念が形成され、普段のミーティングでも「それってGo boldじゃないんじゃない?じゃあうちがやる仕事じゃないよね」なんて言葉が飛び交います。MVPを決める際などにも判例を貯めていくと、過去の判例に照らし合わせながら評価することができます

 

 

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