トピックス2020.06.12
『こころざし探訪記~action for vision~』♯001
このたび、パラドックスでは、誰かの勇気ある一歩が、業種や地域を超え、誰かの志を動かすヒントに繋がることを願って、ブランディングのリアルな実情報をお届けする『こころざし探訪記~action for vision~』の配信を初めました。
第一弾となる今回は、エー・ピーカンパニー様による「他社就労」の取り組みです。“理想と現実”をつなぐあくなきアクションを続ける。経営の現場にこそ、確かな未来への始まりはあります。
♯001 食のあるべき姿を追求する。エー・ピーカンパニー様の action
つなげる力で、新たな価値を。「他社就労」から広がる未来。
「食のあるべき姿を追求する」をミッションに掲げ、生産者と消費者を直結させる六次産業モデルを創造。塚田農場や四十八漁場などを、多数の飲食店を運営しているエー・ピーカンパニー様。コロナの影響が色濃く出ている業界の中で始めた新たな挑戦「他社就労」の取り組みをご紹介します。
「私たちに、もっとできることがあるのではないか」
2020年3月31日。エー・ピーカンパニー本社。店舗の営業を続けるか。お客様や従業員の安全のどちらを優先するか。すべての飲食店に投げかけられたこの難題に、同社は、東京都からの休業要請を待たずしていち早く「全店舗休業」の決断を下しました。その社会的責任を自ら鑑みる姿勢に、お客様からは「休業があけたら必ず行く」などの応援が多数寄せられました。
しかし、情勢は余談を許しません。長期化すれば従業員の雇用不安にもつながります。組織としても、昨年からの社内改革が功を奏し「いよいよこれから」と機運が高まっていた時期。「今、コロナに負けるわけにはいかない」「もっとできることがあるのではないか」。経営幹部チームでリーマンショックやオイルショックなど過去のあらゆる企業の対応策を調べ、辿り着いた答えが「他社就労」というアイデアでした。「お店を休まざるを得ない状況の中で、それでもまだ何か世の中に対して貢献できることがあるのではないか。人手不足で困っている業界に自分たちから働きかけていこうという話になりました」(人材開発本部、越川康成本部長)。すぐさまこの構想を親交の深い企業様に相談し、そのわずか2日後に「他社就労」の取り組みはスタート。多くの企業から共感と応援があり、緊急事態宣言中、小売業や流通業など13社へ、約400名の社員が文字どおり「就労」しました。
外にふれることで再認識した「独自の文化」の強み。
実際に「他社就労」をおこなった社員の方からは、「人手が足りず困っている会社も、自分たちの会社も、どちらも助けたい!」とポジティブな意見が多くありました。また社内SNS上において、就労先の現場で学んだことを共有。自社とは違ったオペレーション、マネジメント、考え方など、これまででは得られない学びの期間となったそうです。一方、就労先の企業様からは、その働きぶりに対してお褒めの言葉もありました。同社には、「神細(神は細部に宿る)」という独自のスピリットがあり、それを普段通りに実践したところ、「いつも以上に売り場がキレイになった」と評価されたのです。また、統括料理長が、あるスーパーの鮮魚部門で就労したところ、スーパーの現場メンバーから「おいしい料理をつくるには、という視点が刺激になっている」という声をいただいた例もあります。このように、異なる価値観や文化が混ざり合うことで、就労先企業の組織の活性化にもつながるという好循環を生み出しつつあります。
-あとがき
生産と消費、地方と都市をつなげてきたエー・ピーカンパニー。強みのひとつである「人財」という経営資産が、こんどは企業や業種の垣根を超えて、世の中とつながりはじめました。「強みの上に強みを築く」とピーター・ドラッカーも語るように、根と幹のないところから豊かな緑の繁りはありません。同社は、生産者と家庭を直接つなぐ「おうちで塚田農場」、医療従事者向けのお弁当支援クラウドファウンディング(子会社の塚田農場プラスの取り組み)も開始。「社会のために」という一貫した企業姿勢は貫きながら、ビジネスモデルとしての変化の種まきが始まりつつあります。本質的な企業ブランドとは、行動の積み重ねの上に築かれるもの。企業の価値観が不測の事態に組織を動かす底力として、背骨として機能することを、あらためて学ばせていただきました。
(担当ディレクター:江本 記)
エー・ピーカンパニー株式会社:http://www.apcompany.jp/
【NEWS】
VISIONS CONFERENCE
6.23(火)19:00-20:30 ON AIR
昨年発足した、人や組織の“志”の醸成から実践までを研究・創造する機関であるPARADOX創研。このたび、PARADOX創研主催で、みなさまと共に経営とブランディングの実践知と体系的な学問知の相互向上を目指したいという想いから、『VISIONS CONFERENCE』と題した、オンラインカンファレンスを開設することにいたしました。
第一回のテーマは、「なぜ、あなたの会社は採用をするのか」から考える採用ブランディングです。ゲストに「HR領域でフォローすべきTwitterアカウント40」に2期連続選出される株式会社ヨシタケ 採用人事 浅野允氏、新著「組織論と行動科学から見た人と組織のマネジメントバイアス」が話題の人材研究所 代表取締役 曽和利光氏をお招きして、withコロナ時代における採用のあり方を共に考えます。
参加は無料ですので、ご興味のある方は下記のお申し込みフォームよりお申し込みください。
※お申込後に、別途担当者よりメールにてご案内致します。
※本カンファレンスはオンライン(YouTubeライブ配信)を予定しております。
『こころざし探訪記~action for vision~』では、今後も志あふれる企業様の様々な取り組みを共有してまいりますので、ぜひ次回もご覧いただけますと幸いです。第二回も近日配信予定です。