【不易流行の考え方】経営を長く続けるために知っておきたいアレコレ

経営に携わっている、もしくは経営について日々学んでいる読者の皆さんは、カタカナやアルファベットのビジネス用語があふれかえる中、きっとその経営活動や学習の中で、この4文字の漢字に出会い、意味自体はなんとなく知っているけれど、経営とのつながりやその大切さがよく理解しきれず、気になっていることと思います。

さて、自己紹介が遅れましたが、私はブランディングに携わって3年目、株式会社パラドックスのディレクターです。正直にお話をすると、私もこの言葉を最初に聞いたときは、難しそうな言葉だと思いましたし、経営にとってどう大切なのか・活かすことができるのか、よくわかっていませんでした。

ですが、実際に複数の企業様のブランディングにも携わり、その企業様の「不易」と「流行」を一緒につくっていく中で、ビジネスとの関係や大切さの理解がぐんぐん進んでいきました。そしてなにより実感したのは、この「不易流行」を意識して経営ができている会社は息が長い!ということ。

(大切な話なので、パラドックスのコーポレートブランディングの企画書には、いつもこの話が一番最初に置かれています。)

今回、この記事を読んでいただき、「不易流行」の意味はもちろん、
ビジネスとの関係・大切さをご理解いただき、皆様の経営活動のヒントになれればと思います。

それでは、乱文乱筆ではありますが、お付き合い下さいませ。

1:「不易流行」を理解する

ビジネスの中で使われる「不易流行」という言葉ですが、
パラドックスでは、

「不易」=変えてはならない企業の使命や価値

「流行」=変えていくべき日々の活動

とそれぞれを説明し、
「不易」の部分を明確にしてしっかりと踏まえた上で「流行」を考える、
どちらも大切にする経営が長期的に成長するビジネスにつながっていく
と考えています。

こちらのビジネスとの関係を詳しくお話する前に、ご存知の方もいらっしゃるとは思いますが、まずは、「不易流行」という言葉自体への理解を復習させていただきます。ここで言葉の経緯や意味をしっかり捉えておきましょう。

1-1:「不易流行」は松尾芭蕉の言葉

「不易流行」という言葉・考え方は、江戸時代に活躍した俳人・松尾芭蕉(16441694)が提唱した俳諧の理念のひとつで、「奥の細道」の旅のあいだに行き着いた考えと言われています。芭蕉の俳諧論をまとめた去来抄のなかで、「不易流行」について下記のように書かれています。

「不易を知らざれば基立ちがたく、流行を知らざれば風新たならず」

 こちらは、

「不変の真理を知らなければ基礎が確立せず、変化を知らなければ新たな進展がない」

という意味です。
俳諧の理念なのでここでは、良い俳句をつくるために、変わらない俳句の基礎を学び、
時代の変化を捉えながら新しいことにも足を踏み出してみよう、といったところでしょうか。

1-2:「不易」は変わらないもの、「流行」は変わるもの

この考えは俳諧の世界だけではなく、他の学問や個人の成長、文化や街、ビジネスと、どんなことにもあてはまる考え方です。

「不易」:変わらないもの、変えないもの

「流行」:変わるもの、変えていかなければいけないもの

どんなに時代が変わっても変わらないもの、変えないものである「不易」の部分と、世の中の流れに合わせて変わるもの、変えていかなければいけないものである「流行」の部分、どちらも存在し、よりよい状態にもっていくために意識すべきことになります。

1-3:「不易」と「流行」は根本的にはひとつ

さて、「不易」と「流行」、このふたつは相反するもののようにも見えますが、芭蕉も「その本は一つなり」と語っているように、「両者の根本は一つ」なのです。

これはどういうことなのでしょう?
わかりやすくご説明するために日本文化のひとつ“漫画”で考えてみましょう。
漫画は辞書的な意味でいうと、

漫画とは
“こま割りのある絵を主体とし、せりふ・擬音語などを補助手段として、出来事や物語を娯楽的(時には風刺的)に表したもの。その絵。”

となります。
日本の漫画は古くは平安時代の絵巻物からはじまり、江戸時代の北斎漫画や現在のコミックスと、ずっと紙に描かれた・もしくは印刷されたものでした。

が、近年はスマートフォンでの情報収集がメインの世の中になり、印刷物も残りつつ、ネット掲載・SNS掲載の漫画も多く登場してきましたよね。

でも、これも「漫画」であることには変わりなく受け入れられています。
もちろん内容だってどんどん幅広くなっています。

以上より、漫画の「不易流行」をまとめると、

「不易」:「こま割りのある絵を主体とし、せりふ・擬音語などを補助手段として、出来事や物語を娯楽的(時には風刺的)に表したもの。その絵。」であること。

「流行」:読まれ方(絵巻物・本・コミックス・ネット掲載・SNS掲載)や内容など… 

変わらない漫画の本質と、変わっていく読まれ方や内容。どちらも漫画にあるもので、どちらかだけでは漫画という文化はなくなっていたかもしれません。

学問や個人の成長、文化や街、ビジネス、どんなものにもひとつの事象の中には、「不易」と「流行」、このふたつが共存しており、どちらか一方では破綻してしまいます。

「不易」だけでは世の中の価値観と合わず、廃れてしまいますし、
「流行」だけでは世の中に合わせすぎて早く忘れられてしまう。

「不易」があると確固たる地位を確立できますし、
「流行」があるといつの時代も世の中に受け入れてもらえます。

つまり、どちらも大切ということですね。

1-4:「不易流行」を木に例えると、「不易」は幹や根、「流行」は葉や花

「不易流行」をもっともっとわかりやすく理解するために、1本の木に例えてみましょう。

「不易」:幹や根

「流行」:葉や花、実

となります。
1本の木の幹や根はずっと変わらずどしんと構えており、季節の移ろいに合わせて葉や花、実は育ち、開き、枯れて、新しい季節へと新陳代謝していきます。

先程も触れたように、変わらないものと変わるもの、どちらも1本の木であることには変わりません。ここまで、ご理解いただけましたでしょうか?

2:「不易流行」をビジネスにあてはめて経営する大切さ

さて、いよいよビジネスのお話に入ります!先程もお伝えした通りパラドックスでは、

「不易」=変えてはならない企業の使命や価値

「流行」=変えていくべき日々の活動

このどちらも大切にする経営が長期的に成長するビジネスにつながっていくと考えています。この考えを詳しく紐解いていきましょう。

2-1:木が1000年以上生き続けるのは、ゆるぎない幹や根の存在があるから

先程「不易流行」のご説明に、木を例に出しましたが、天空に向かってそびえる大木、長いものは樹齢1000年をゆうに超えます。

暑さや寒さ、風雨や日照りにも負けることなく、なぜ、こんなに長い間生き続けられるのでしょうか?

一方で同じ植物でも、春に芽吹き、秋には枯れてしまう草花という儚い存在もあり、こんなに寿命に差がありますね。その違いは、ゆるぎない「幹」や「根」の存在。長く繁栄するためには、「根」や「幹」がしっかりしていることが不可欠ということになります。

2-2:「不易」は企業の変わらない使命や価値、「流行」は変えていく日々の活動

企業にとって、

「不易」=企業の変わらない使命や価値

「流行」=変えていく日々の活動

と捉えることができます。
少し補足説明をすると、幹や根となるのが
“企業の変わらない使命や価値=コーポレートアイデンティティ”
です。

コーポレートアイデンティティというのは「理念」という言葉でも表現できますが、その企業が日々果たしていく使命であるミッション、ミッションを続けた先に実現するビジョンを中心に、そのミッション・ビジョンを体現していく上での提供価値であるバリューや行動や考えの指針となるスピリット。こういったその企業の使命や価値が、企業にとっての幹や根なのです。パラドックスではこのコーポレートアイデンティティを企業の「志」とも呼んでいます。

そして葉や花、実は、例えば企業の使命や価値を伝えるためのCMやパンフレット、店舗デザインといったクリエイティブであったり、使命や価値を達成するための短期的な経営目標にそった経営活動であったり、同志を集める採用活動であったり、マネジメントであったりと、世の中の流れや企業のステージを加味しながら、変えていく日々の活動のこととなります。

2-3:「不易流行」の経営が、長期的利益につながる

変化の激しい現代社会で、どうしても企業の経営は、自分たちの企業がどう見えるかやどんな商品にしていくか、目先の葉や花から考えてしまいがちです。しかし、根、幹、そこから伸びる枝がしっかりとしていなければ、草花のようにすぐに枯れてしまいます。

つまり、「不易」を踏まえた「流行」。コーポレートアイデンティティを明確にし、基軸として持った上で、その使命や価値を発揮していくために、アウトプットの部分を考えていく。どちらかだけでなく、その両方を意識した経営が、長期的な利益に結びつくと、パラドックスは考えます。

2-4:「不易流行」は、マーケット・インよりもプロダクト・アウトに近い

マーケット・インとプロダクト・アウトというビジネス用語がありますが、不易流行のビジネスは、プロダクト・アウトの発想の仕方に近いです。

先程も少し触れましたが、現在はマーケット・インの発想で、世の中の動向やニーズからビジネスをしていることが多く見受けられます。短期的にヒットを生み出すこともありますが、流行は流行。根っこがなくては草花のように、すぐに散ってしまいます。また、ニーズからの商品・サービス開発は、他の誰かに真似されやすい、というのも事実としてあります。

プロダクト・アウトは、自分たちの企業の方針を起点に商品開発を行っていくこと。根や幹といった「不易」をしっかりと捉えた上での「流行」になります。もちろん世の中のニーズを知っておくのも必要なことですが、消費者に振り回されるのではなく、自分たちだからこそできることはなにかを常に頭に置いておき、使命や価値を発揮していくことが重要です。

2-5:「不易流行」の経営が、長期的なファンの獲得につながる

これから企業がより意識していくべきことは長期的なファンの獲得です。不易流行」を意識した経営は、企業の長期的なファンの獲得につながります。

ここでいうファンは、ひとつの商品の一時的なユーザーではなく、その企業ブランドを愛し、長く愛してくれる、ひいては周りの人たちにも進めてくれるようなファンのこと、そんなファン層を獲得していくことは、長期的にビジネスを続けていくためにどんな企業も考え直したいポイントです。

「不易流行」を意識していると、どんなアウトプットもまず自分たちのコーポレートアイデンティティから発進しているため、どんなものにも共通した「らしさ」が現れてきます。その「らしさ」を愛してもらえれば、商品やサービスなど、商品やサービスなど、“ここでしか買えない・出会えないものがある”と企業やブランドそのものを愛してもらえ、根っこの部分がゆらがなければ、ずっとファンでいてくれます。

ここで具体的な例をひとつご紹介します。

皆さんご存知のパタゴニアも「不易流行」の経営をしている企業のひとつ。
アウトドアスポーツのウェアを中心に製造販売を手掛けるメーカーですが、パタゴニアの存在意義として下記の言葉を掲げています。

「私たちは、故郷である地球を救うためにビジネスを営む。」

地球上のすべての生命が絶滅の危機に面している状況を認識し、アルピニズムを理念の中心に置きながら、この考えを製品づくりや、その他経営活動に活かしています。
この存在意義や製品開発の指針になっている、

  • シンプルさと実用性に徹したデザイン
  • 耐久性のあるリサイクル可能な最高の製品づくり
  • 環境に与える悪影響を最低限に抑えるビジネス
  • ビジネスを手段にした自然保護
  • 新しい方法の開拓

という考え方は、まさにパタゴニアの根っこや幹になっている「不易」の部分。
そして、「流行」の部分は、例えば、商品についてみると、軽くて持ち運びに便利な商品がいいというニーズを汲みながら、デザインを変えていったり、ビジネスの領域を食品まで広げたりと、日々変えていっています。

他にもアウトドアブランドはたくさんありますが、たとえ他ブランドが同じような商品を安く出したとしても、パタゴニアの根っこの考えに共感しているファンは、パタゴニアを愛用する。その考えに沿わない行動をしない限り、ずっと愛してくれるファンであり続けます。

パタゴニアは、「不易流行」を実践している企業だと言えるでしょう。

2-6:経営者も「流行」の一部

100年単位で考えると、経営者も「流行」の一部となります。 

長く続いていく企業になるためには、いずれやってくる事業継承をスムーズに行っていくことが重要です。経営者が優秀であればあるほど、周囲の人たちは経営者からの影響を多く受けますよね。カリスマ経営者の指導のもと、そのひとがいなくなったらどうしたらいいかわからなくなってしまうような集団になっているケースも多くあるのではないでしょうか?

しかし、経営者も「流行」の一部。経営者の一時的な考えや行動に従うのではなく、経営者の価値観を理解すること、そしてコーポレートアイデンティティ=「志」を共有し、皆が経営意識を持つこと。経営者を見るのではなく、「志」を全員が見すえた経営ができれば、時代の流れと共に経営者が変わったとしても、会社がぶれるリスクは軽減されます。

全員が「志」の実現に向かう経営はすなわち「不易流行」を意識した経営。これが2代目、3代目と代が変わっても続く、長期的な繁栄をもたらします。

3:「不易流行」に似ている考え方2つ

「不易流行」は、ビジネスの中で重要と言われている他の考え方とも共通点があります。例にあげた2つの考え方、どちらも世の中が大切だと気づき始めている考え方です。理解を深めるために見てみましょう。

3-1:似ている考え方①「being」と「doing

being doingと呼ばれる考え方があります。beingとは、企業やブランドのあり方であり、存在理由です。時代が変わっても、決して変わることのない使命や思想を表します。「不易」の部分ですね。

一方で、やり方であるdoingはマーケットに合わせ、日々とトライ&エラーを繰り返しながら、時代時代で最も相応しい方法を試していきます。「流行」の部分です。

マーケットの変化の激しい現在では、手法や方法であるdoingを追い求めすぎるとマーケットに振り回されてしまいます。

ブランド自体のbeingを明確にし、着実に付加価値と信頼を積み上げていくことが息の長いブランドを構築するためには大切で、doingに一喜一憂する必要はありません。「不易」を踏まえた「流行」であれば、大木が風にも倒れないように、長く繁栄は続くのです。

3-2:似ている考え方②「ゴールデン・サークル」

米国のコンサルタントであるサイモン・シネックはその著書「WHYから始めよ!」で、「不易流行」と同じ考え方を、ゴールデンサークルというフレームを用いて説明しています。

シネック氏によると、人は「なに」ではなく、「なぜ?」に動かされる生き物であり、それを知っている優れた組織は内側から外側に向けてメッセージを伝えていくと説明しています。

ゴールデンサークル理論の「Why」。つまり、なぜ生まれたブランドか、何のためにあるブランドかというブランド独自のストーリー(「不易」の部分)が、イノベーターやアーリーアダプターといった消費者の心を動かし、共感を呼びます。ブランドのWHY(存在意義)に共感することで、ひとつひとつの商品を越えて愛してくれるファンが形成される、という考えです。

4:自社の「不易流行」をとらえなおす

さて、ここまでで「不易流行」の理解は進みましたでしょうか?
ビジネスにおいて、

「不易」=企業の変わらない使命や価値

「流行」=変えていく日々の活動

どちらか一方だけではなく、“「不易」を踏まえた「流行」”を意識した経営が、長期的なファンの獲得ひいては長期的な利益の獲得につながってくるというお話をしてきました。

この章では、読者の皆様の企業にこの考えをあてはめてみながら、自社の「不易流行」を捉え直してみましょう。この章を経て、これからの経営に活かすイメージをより鮮明にもっていただければと思います。

4-1:自社の「不易」を改めて明確にする

まず初めに、「不易」を改めて明確にすることから始めましょう。
下記の3パターンに分けてお話させていただきます。

 

A:すでにコーポレートアイデンティティをもっており、世の中への使命や価値が明確になっており、機能している場合

B:すでにコーポレートアイデンティティをもってはいるが、世の中への使命や価値が明確になっていない、もしくは、機能していない場合

C:コーポレートアイデンティティをもっていない場合

自社について、あてはまるパターンをお読みいただければと思います。
(他のパターンも参考にしてみてくださいね。)

A:すでにコーポレートアイデンティティをもっており、世の中への使命や価値が明確になっており、機能している場合

すでに自分たちの使命や価値が明確になっている、という企業の皆さん、素晴らしいことですね。企業の根っこがちゃんとしているということです。

こちらのパターンの皆さんは、自社のコーポレートアイデンティティが「不易」の部分であると改めて認識し、根を深く、幹を太くしていく=全社での共通認識をさらに強固なものにしていきたいですね。そのために、自社のことを改めて客観視することができるサーベイをおすすめします。

もしも読者のあなたが経営者やマネージャー層の場合、コーポレートアイデンティティへの理解が深く、普段から意識しながら行動できていることが多いかと思います。

ただ、他の社員の皆さんはどうでしょう?企業には毎年入ってくる人たちもいて、経営とは少し離れたところでお仕事をする人たちもたくさんいます。その人たちにとっても、コーポレートアイデンティティが明確になっているか、理解できて実践につながっているのか、感覚ではなくリアルなデータとして目に見えるようにする。

そうすることで、足りていないものがわかり、全社での共通認識をさらに強固なものにしていくために、何をすべきかを事実ベースで考えることができます。パラドックスでもお客様には弊社オリジナルのサーベイ(「志サーベイ」)を経年でとっていくことをご提案しています。経年で結果をみることで、よりどんな施策に効果があるのかを見ることも可能です。

ネット上で簡単にアンケートフォームを作成することもできるので、社員の属性や理念の理解度合い、日々の業務への活かし度合いがわかるような答えやすい質問を作成し、全社に答えてもらいます。

この質問は自社でも考えることが可能かと思いますが、質問と回答のひも付きや、答えやすさ等、戦略をもって作成できるとより正確なサーベイになりますので、専門家と一緒につくっておくと安心ですね。

サーベイの結果次第では、コーポレートアイデンティティが実は機能していない!ということもありえます。その際は理念浸透研修で理念の理解を深めるような施策を打ったり、理念に沿った評価基準をつくって日々意識をしてもらったり、そもそもリブランディングに踏み込んだりと、必要なことがでてくる可能性もある、とお考えいただければと思います。

しっかりと事実を捉えた上で、自社の「不易」を強固なものにしていきましょう。

B:すでにコーポレートアイデンティティをもってはいるが、世の中への使命や価値が明確になっていない、もしくは、機能していない場合

弊社のお客様でもよく、理念のような言葉はあるけれど、実は経営目標のような企業の使命や価値とは言えないようなものだったり、言葉が古く理解が難しかったり、言葉が長く社員に覚えられていなかったり、…といったお話が見受けられます。

この場合の皆さんには、コーポレートアイデンティティを作り直す必要があります。この「作り直す」度合いは、現状の言葉の課題によって違いますが、そもそも自分たちの使命とは価値とはなんなのか、今一度問い直してみることで、「不易」を明確なものにしていきましょう。

その際、どんなことをポイントに考え直していけばよいか、どんな言葉にしていけばよいかについては、「ミッション・ビジョン・バリュー」の記事をお読みいただければと思います。

ぼやけていた「不易」を鮮明にすることで、より強い企業に成長していきましょう。

C:コーポレートアイデンティティをもっていない場合

コーポレートアイデンティティをお持ちでない企業の皆さんは、幹や根っこがなかったり、細くグラグラしている状態。いまは大丈夫でも、長くビジネスを続けるために、不易=コーポレートアイデンティティを構築することを強くおすすめします。

今まで意識したことがなかった方も、自社の使命や価値を言葉にして企業の柱としておくことで、自分たちだけの存在意義がわかり、ビジネスと繁栄するだけでなく、そこで働く意義ややりがいを見出すことにもつながります。

大切なことですし、パワーのかかることではありますが、ぜひ取り組んでみていただければと思います。こちらも具体的な進め方については、「ミッション・ビジョン・バリュー」の記事をお読みいただければと思います。

4-2:自社の「流行」は「不易」を踏まえているか

さて、前章で「不易」を捉え直したら、お次は「流行」について。

自社のアウトプット、下記のようなものたちは、自社の「不易」からそれたものではないか、つまり自社の使命や価値を発揮するためのものになっているかを、見直してみましょう。

  •  商品
  • サービス
  • 店舗づくり
  • 事業形態
  • マネジメント
  • 経営計画
  • 広告・広報やメディア

このようなひとつひとつが、「不易」を踏まえたときに、客観的にみてつながっているか否か、「不易」と「流行」に一貫性があるかは、ファンに愛してもらうための「らしさ」が作りきれているか、ということですので、一度見直し、もしもつながっていないということでしたら、改めて「不易」を踏まえたときにどうすべきかを考えてみましょう。

4-3:経営者が変わるタイミングは「不易流行」を見直す好タイミング!

読者の中には、経営者の代替わりを迎えた・迎える方もいることと思います。

経営者が変わるタイミングは、自社の「不易流行」を見直す好タイミングです。というのも、前述した通り、経営者も「流行」の一部にもかかわらず、経営者を中心にすえた企業体制になっていることもしばしば。2代目・3代目の方々は、どうしても先代にとらわれてしまい、がんじがらめになって挑戦ができず、経営に失敗してしまう事例も多々ありますね。

経営者が変わるタイミングで、先代の価値観のなかで、なにを引き続き企業のアイデンティティとしてもつべきなのか、なにを捨てるべきなのか、経営していく際の指針を明確にしておくことは、2代目、3代目と続いていく事業継承者にとって、挑戦すること・しないこともはっきりとさせて、迷う機会を減らすことにも繋がりますので、もしそのようなタイミングにある企業は、ぜひとも自社の「不易」と「流行」を見直していただければと思います。

5:まとめ

最後まで読んでいただきありがとうございました!「不易流行」のビジネスとの関係や大切さ、経営への活かし方等、少しでも皆様に伝わっていればと思います。

皆様のビジネスが、「不易流行」を意識した経営で、多くのファンに囲まれながら長く続くことを願っております!

 (おわり)

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