「ゴールデンサークル理論」をブランディングに活用するポイントや具体例を解説!

競争が激化するマーケットの中で、「いかに自社の商品やサービスのブランディングを進めるか」という課題を感じている人も多いのではないでしょうか?

ただ、商品やサービスの発信を続けるだけでは、ブランドのファンを増やすことはできません。

顧客に長く愛され続けるブランドを確立させるためには、企業の中核となるミッション・ビジョンをしっかり伝えることが大切です。

このミッションをより深く理解する際にも、また他者に伝えるためのコミュニケーションの順番としても有効な考え方に「ゴールデンサークル理論」というものがあります。

「ゴールデンサークル理論」とは、WHY→HOW→WHATの順で想いを伝えることで、共感を生むことができるというもの。

ブランディングやマーケティングにも活用できる考え方なので、知っておいて損はありません。

ここでは、約18年にわたり企業のブランディングに携わってきた私たちパラドックスの「ゴールデンサークル理論」についての考え方や、企業事例について詳しくご紹介します。

1:ゴールデンサークル理論とは

「ゴールデンサークル理論」という言葉を聞いたことがある方もいるかもしれません。

マーケティングコンサルタントであるサイモン・シネック(Simon Sinek)氏が、2009年に「TED Talks」でプレゼンした「優れたリーダーはどうやって行動を促すのか」の中で提唱した理論です。

まずは、ゴールデンサークル理論の概要や伝え方について、見ていきましょう。

ゴールデンサークル理論の概要

ゴールデンサークル理論は、次の3つの内容で構成された考え方です。

  • WHY:「なぜ」
  • HOW:「どうやって」
  • WHAT:「何を」

内側から外側に向かってWHY→HOW→WHATの順番で物事を説明する時の考え方。

数字や理論などの説明も大切ですが、人の心を動かすのは感情であり、直感です。

「WHY」の部分から話をすることで、直感的に共感を呼び起こし、その後の内容が好印象になります。

ゴールデンサークル理論の伝え方

「ゴールデンサークル理論」の概要が分かったところで、一般的な伝え方との比較を見ていきましょう。

一般的に多くのプレゼンテーションでは、「WHAT」→「HOW」→「WHY」の順番で説明をすることが多いでしょう。

  • WHAT:「何を」=私たちは素晴らしいスマホを作っています。
  • HOW:「どうやって」=美しいデザインで操作もシンプル
  • WHY:「なぜ」=?

しかし、多くのプレゼンや説明には、「WHY」の部分が抜けていることが多く、感情に訴える印象はありませんよね。

一般的に日本の企業は、自社商品の技術力や品質に自信があるため、ついつい商品自体の魅力を伝えることに夢中になってしまい、なぜその商品を作ろうと思ったかや、それによって世の中のどのような課題を解決したいと思っているかを語ることをほとんどありません。

一方で、Appleを見てみましょう。世界中に多くのファンを持つAppleの例を挙げながら「ゴールデンサークル理論」を活用した伝え方を見ていきましょう。

  • WHY:「なぜ」=現状に挑戦し、他者とは違う考え方をする。それが私たちの信条です。
  • HOW:「どうやって」=製品を美しくデザインし、操作方法をシンプルにし、取り扱いを簡単にすることで、私たちは現状に挑戦しています。その結果、すばらしいコンピュータが誕生しました。
  • WHAT:「何を」=一台、いかがですか?


WHYから説明を始めることで、直感的に訴え人々の共感を生み、熱狂的なファンの獲得につながっていることが分かります。

Appleの事例に関しては、この記事の後半でご紹介していますので、ぜひ参考にしてください。

また、コーポレートブランディングについて詳しく知りたい方は、こちらの記事もどうぞ。

ブランディングの本質とは?選ばれるブランドを構築するために知っておきたい基本

 

2:なぜゴールデンサークル理論で人は動くのか?

サイモン・シネック(Simon Sinek)氏は、「優れたリーダーはどうやって行動を促すのか」のプレゼンの中で、ゴールデンサークル理論と人間の脳の関係についても触れています。

まずは、人間の脳の基本的な構造と役割について見ていきましょう。

人間の脳には、感性や知性などの本能的な部分を司る「大脳辺縁系」と呼ばれる場所があります。
大脳辺縁系は、人間の脳の中で最初に育つ部分です。

続いて、大脳辺縁系の外側に知識や知性などを司る「大脳新皮質」と呼ばれる部分があります。
大脳新皮質は、大脳辺縁系の後に成長する部位であり、脳の中でも新しい場所。

ゴールデンサークル理論に当てはめて考えると、最初に「WHY」 から伝えることにより、大脳辺縁系が司る人間の感性や感情に訴えることができ、行動を促すことができるという仕組みです。

3:ゴールデンサークル理論をブランディング・マーケティングに活用する考え方

このゴールデンサークル理論を活用することで、「何を伝えるべきなのか」という本質を整理することにつながります。

ここでは、私たちパラドックスが実際に行っている「ゴールデンサークル理論」の考え方をブランディングやマーケティングに活用する方法について見ていきましょう。

3-1:「WHY」=ミッション・ビジョン(ブランディング)

ゴールデン理論の中心となる「WHY」の部分ですが、ここには企業の中核となるミッション・ビジョンを当てはめてみましょう。

ミッションとは、企業の存在意義や果たすべき使命のことであり、私たちパラドックスは「志」と呼んでいます。

ビジョンは、実現したい未来のことを指し、ミッションを積み重ねてたどり着けるもの。企業の中核となるミッション(志)である、「なぜやるのか」という使命や意義を考え続けることが「ブランディング」になります。

人はWHYで心を動かされるため、ブランドを伝えていくためには、企業のミッション・ビジョンを中心におく必要があるのです。

3-2:「HOW」=商品・サービスの伝え方(マーケティング)

商品やサービスの価値を顧客にどうやって伝えるのか、を考えるのが「HOW」の部分であり、マーケティングの考え方に該当します。

企業とブランドの世の中への露出の仕方や、事業・サービスとしてのコミュニケーションの方法として考えてください。

HOWを考えるときは、先程の企業のミッション・ビジョンのWHYの部分に基づき、それに紐づくHOWを伝えることが大切です。

3-3:「WHAT」=商品・サービス(商品開発・ものづくり)

最後の「WHAT」は、企業やブランドの商品・サービスそのものになります。

ゴールデンサークル理論の一番外側の部分であり、HOWと同様にWHYの実現に向けて紐づけて考えることが大切です。

ブランドを確立する中で、商品やサービスの伝え方である「HOW」と商品やサービスそのものである「WHAT」は、変化を伴う部分でもあります。

例えば、商品のリニューアルやロゴの新調など、リブランディングに合わせて、「HOW」と「WHAT」は柔軟に変化させていく必要があるのです。

ただし、企業のブランドの中心であるミッション・ビジョンの「WHY」の部分は変えず、ブレないようにすることが大切です。

3-4:唯一無二のブランドストーリーを作る

ここまで、ブランディングとマーケティングの視点からゴールデンサークル理論についてご説明しました。

特に、「WHY」の部分であるミッションの重要性についてお伝えしましたが、ミッションストーリーを策定することで、より機能的なものになります。

ミッションストーリーとは、その企業の唯一無二のブランドストーリーであり、日々の果たすべき使命(志)をより具体的に世界観と合わせてストーリーにしたもの。

ミッションは企業の存在意義の部分であり、その企業にしか提供できない価値が見える部分です。

ミッションストーリーをゴールデンサークル理論に沿って策定することで、コーポレートサイトや自社説明、採用ブランディングなどにも活用することができます。

4:ゴールデンサークル理論の事例と具体例

ゴールデンサークル理論のブランディングやマーケティングへの活用方法が理解できたところで、企業事例と具体例についてご紹介します。

本文中にも登場していますが、有名なAppleの事例を挙げてゴールデンサークル理論を見ていきましょう。

Appleの事例

熱狂的なファンが多いAppleですが、ゴールデンサークル理論を活用していることでも有名です。

Appleの伝え方は、商品の説明である「HOW」や「WHAT」よりも先に「WHY」を伝えているから、人の心を動かすと言われています。

実際にゴールデンサークル理論に当てはめて見ていきましょう。

【WHY】(なぜやるのか?)

我々のすることは全て世界を変えるという信念で行っています。違う考え方に価値があると信じています。

【HOW】(どうやるのか?)

美しくデザインされ、簡単に使えて親しみやすい製品です。

【WHAT】(何をやるのか?)

こうして素晴らしいコンピューターが出来上がりました。一つ欲しくなりませんか?

「WHY」の部分で、何を目的で伝えるのかを明確にしてから、「HOW」でどんなことを行うのか、「WHAT」で商品という流れになっていることが分かります。

Appleの事例ではゴールデンサークル理論の中心であるWHYの部分にHOWとWHATが紐づき、Appleの商品とミッションがリンクしているので、受け取る側もイメージがしやすいです。

5:まとめ

今回は、ゴールデンサークル理論について、私たちパラドックスの考え方を交えながらご紹介しました。

ブランディングの考え方としても活用できるゴールデンサークル理論ですが、大切なのは「WHY」の部分であり、WHY→HOW→WHATの順番で説明することです。

特に「WHY」は企業の中核となる部分であり、ミッションが明確になっていなければ、長く愛され続けるブランドには成長しません。

企業のブランディングを成功させるためには、ゴールデンサークル理論の考え方を活用しながら、唯一無二のブランドストーリーを発信することが大切です。

今回ご紹介したゴールデンサークル理論の内容が、コーポレートブランディングの強化を考えている経営者や担当者の方の理解につながると幸いです。

author avatar
PARADOX創研 メディア編集部
志を軸としたブランディングにまつわる知を研究、発信していきます。

ブランディングに関する
ご相談・ご依頼

PARADOX

「企業独自の価値=こころざし」を抽出し、
それをもとにコーポレート・採用・カスタマー・インナーといった
各種ブランディングを行っています。

最新情報・事例を受け取る

PARADOX創研The Branding Journal

ブランディングに関する最新情報や最新事例、
イベント情報などを定期的にお届けいたします。

メルマガ登録はこちら

タグ一覧から記事を探す

タグをすべて表示

ありたい姿を、
みんなが叶えられる社会へ。

この世に生を受けた、すべての人や組織には
その人、その組織にしか果たせない使命があると考えています。
私たちはそれを「志」と呼び、ブランディングという手段で
その実現に貢献してきました。このメディアでは、
(株)パラドックスが20年間にわたり培ってきたブランディングの知見を、
少しでもみなさまのお役に立てればと思い、発信しています。
ご感想やご質問などありましたら、お気軽にお問い合わせください。

author avatar
PARADOX創研 メディア編集部
志を軸としたブランディングにまつわる知を研究、発信していきます。

コメント

CAPTCHA