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「介護の仕事」の啓蒙へ。
リーディングカンパニーが未来へ挑む、
採用ブランディング。

CLIENT:株式会社ニチイ学館さま

  • 採用ブランディング
  • 東京都(全国)

介護・医療・保育・教育など、人のライフステージに寄り添った、さまざまな事業を展開するニチイ学館。中でも介護領域では、全国1800箇所に拠点を持つ業界最大手企業です。少子高齢化が加速する中で、年々需要が高まる介護領域。一方でこれからを担う若手の採用増加を課題として抱え、スタッフ不足・高齢化が深刻化しています。介護のイメージを、業界最大手であるニチイ学館から変えていきたい。“介護の意義”と“ニチイらしさ”を掛け合わせ、業界の未来を拓く採用ブランディングを実施しました。

#1. ご依頼のきっかけと課題

需要が高まる一方、担い手不足が深刻化している介護業界。業界全体へのネガティブイメージが強く、新卒採用においては、年々、同業他社との獲得競争も激化していく課題を抱えていました。

 

そんな中、これまで中途人材をメインとしていた採用活動から、新卒採用にも力を入れていきたい。しかしノウハウがなく、何から始めれば良いのかがわからない。そうパラドックスへご相談いただいたのが、プロジェクト開始のきっかけでした。

#2. 課題解決に向けた方向性

初めにご依頼いただいたのは、採用サイトやパンフレットの制作でした。ただ、長い目で見たときに、ツールの作成だけでは、介護業界の人材不足は変えられない。業界のリーディングカンパニーであるニチイ学館様が採用に本格的に取り組む意義を感じ、採用ブランディングの全体設計をご提案させていただきました。
ご提案した採用ブランディングの流れには、大きく3つのフェーズがあります。

 

①採用コンセプト(採用ステートメント)設計
明確な仕事の意義を、コンセプトとストーリーとして言語化する。
②採用ツール制作
各地域・各フローで的確にコミュニケーションできるツール設計を行うこと。
③全国に採用ストーリーを届ける伝道師育成
採用コンセプトとストーリーにより、全国の採用メッセージング力のスタンダードを高める。

 

まずは採用活動全てのベースとなるコンセプトを確立し、そのコンセプトを広めるために、必要なツールを揃えていく方針で進めていきました。

#2-1. 採用コンセプト設計

コンセプト設計においてはまず、各地域の採用担当の方々へアンケートを実施。現状直面している課題を吸い上げました。さらに、現場で働く社員の方々に集まってもらい、セッションを実施。介護の仕事の意義と魅力を、ニチイらしい言葉とするために、各メンバーの仕事における「メモリアルワーク」を共有。エピソードに感じた「ニチイらしさ」を、付箋に書き出していただきました。

 

皆様の仕事の真髄を考え、感じたことは「もし世の中に『やさしさの専門家』という職業があるなら、介護に携わるみなさんのことなのかもしれない」ということ。セッションを通じて出てきたエピソードや皆さんの想いをまとめ「やさしさを、生きる力に。」という採用コンセプトを提案しました。また「介護の仕事の醍醐味」「社会的意義」「ニチイならではの成長」「人材に求める資質」の要素を盛り込み、採用コンセプトとともに使用するステートメントとして仕上げました。

▲出来上がった採用コンセプトとステートメント(画像は、採用サイト内での使用例)

#2-2. 各種採用ツール制作

採用活動の根幹となるコンセプトを決め、次はコンセプトを軸としたツール展開へと進みました。1年目に制作したのは、基本となる採用Webサイト・ブランドムービー(2種類)・採用パンフレットです。

#① 採用Webサイト

採用活動において、学生の認知・興味・検討・応募段階の全てに関わるWebサイト。「やさしさを、生きる力に。」のコンセプトに基づき、オープニングでは、実際のご利用者様と職員の方々の日常を撮影し、ステートメントを印象的に語る仕様としました。コンテンツでは、介護の仕事の意義を伝えることはもちろん、ターゲットが高校生であるため、就職にまつわる不安点や疑問点に応える丁寧なサイトづくりにこだわりました。

 

また、介護業界にはキャリアステップのイメージが乏しいという大きな課題がありました。介護業界で安心してはたらいてもらうため、給与や資格などの情報をあえてオープンに公開し、キャリアの推移を具体的に訴求することにも取り組んでいます。

▲全国各地ではたらけるというニチイならではの強みを訴求するページ。

▲実際のキャリアをベースに、年数や給与・資格を明らかにしたキャリアステップを掲示。

▲資格教育に強いニチイだからこそ、研修制度や資格のページも詳細に設けています。

#② ブランドムービー(2種類)

介護の仕事について広く知っていただくため、ターゲットが触れやすい媒体であるムービーを2つ制作いたしました。
1つ目は「やさしさも、自分らしさ。」篇として、介護業界を就職先のひとつとして意識してもらうための、啓蒙の目的で制作。職業選択の際に想起されることが決して多くはない介護という職種を、まずは選択肢に入れていただけるよう、自分を重ねやすいドラマ仕立てにしました。職業選択の際に誰もが悩む、「自分の強みってなんだろう?」という疑問に対し「やさしさが強みのあなたは、それを活かして働く選択肢もある」と思ってもらえる内容に仕立てました。

 

2つ目は「やさしさを、生きる力に。」篇として、介護という職業を意識し始めた方へ、より具体的な職業理解や共感が進むことを目的としました。介護の日常に存在する人と人のつながり、そこに生まれる温かな空気を、まっすぐに表現しています。

 

2つのムービーでは有名曲である「線路はつづくよ、どこまでも」をキーソングとし、鍵盤弾き語りシンガーソングライターのヒグチアイさんにもオリジナルの歌詞制作・歌唱をお願いさせていただきました。各種SNSで広告としても出稿、再生回数は合わせて50万回以上を記録し、Webサイトへの流入にもつながりました。
また、採用面での効果はもちろんのこと、ニチイで働く皆様からも「改めて、自分の仕事の意義を感じることができた」など、社内での誇りの醸成にもつながりました。
※くわしい内容は、こちら(別途クリエイティブ記事)も併せてご覧くださいませ。

▲1つ目「やさしさも、自分らしさ。」篇。

▲2つ目「やさしさを、生きる力に。」篇。

#③ 採用パンフレット

高校生の新卒採用においては、採用担当が各学校を訪問し、職業課の方々に話を聞いていただく経路が一般的となります。生徒だけでなく教員の皆様やご家族のご理解が必要なため、採用パンフレットには、非常に大きな役割がありました。

 

キャッチーにわかりやすく情報を伝えることで、業界の「本当の姿」を知ってもらうパンフレットを制作。資格の取り方、キャリア形成、休みについてなど、世の中の介護におけるネガティブイメージ一つひとつについて、何がそう思われているのか、実態はどうなのかを丁寧に解説し、理解しながら不安を払拭できるよう工夫いたしました。デメリットに感じられそうなことも、あえて誠実に、正直に開示することで業界のイメージ改革にも取り組みました。
※くわしい内容は、こちら(別途クリエイティブ記事)も併せてご覧くださいませ。

▲高校生も手に取りやすいクリエイティブを意識。

#2-3. 全国に採用ストーリーを届ける伝道師育成

伝道師とは、採用ストーリーを自らの口で語れる人材のこと。全国94支店拠点から採用担当者に集まっていただき「やさしさを、生きる力に。」のコンセプトを軸に、一貫した採用活動を行えるよう、6支社ごとに集まっていただき、2日間のワークショップを行いました。(コロナの影響もあり、ワークショップは主にオンラインで実施いたしました。)

 

まだ新卒採用に慣れていない担当者様もいらっしゃるため、採用をする目的や採用担当者の役割からご説明。その上で、介護の意義やニチイの魅力を自分の言葉で共有していただくことで「やさしさを、生きる力にする仕事」とはどのようなものか、考えていただきました。
意義や魅力を再認識した後は、制作したツールの活用方法も実践的にお伝えし、各拠点で自律して採用活動が行える基盤づくりを行いました。

 

また、本プロジェクトに伴い、ニチイ様側でTeamsを活用した「つながろう介護『伝道師』プロジェクト」を発足。孤立しがちな採用担当者同士がつながり合い、成功事例をナレッジとして共有し合える場をつくり、継続した活動を行なっております。

#4. 今後の展望について

約2年間、伝えるべきこと・伝えるツール・伝えられる人材を整え、採用の土台づくりをいたしました。次に目指すのは、チャネル(流入経路)の拡充です。全国の高校とより多く接点を持ったり、ハローワークと連携を強めたり。社外からニチイを、そして介護を応援してくださる仲間をつくること。介護のネガティブイメージにとらわれず、意義を理解して求職者にすすめてくださる人を増やすことです。目標成果までの道のりは長いですが、今後も介護の未来へ貢献できるよう、ニチイ様の誠実な採用活動を仲間としてサポートしつづけてまいります。

#5.お客様からの声

現場で働く社員とのセッションを通じ、介護という仕事に対して常日頃から当たり前に捉えていた「想い」や「行動理念」を言語化していただいたことで、採用に関わるスタッフ自身が介護の仕事や自社の価値を再認識することができ、自分事化しやすくなり、高い水準でプロジェクトをスタートできたと感じています。
各種ツール等は揃いましたが、まだまだスタート地点に立ったところです。パラドックスさまのお力添えをいただきながら、ひとりでも多くの学生に同じ志を抱いてもらえるよう様々な活動に挑戦していきたいと思います。