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600年続く文化を未来に。
全46酒造所が一致団結し取り組んだ、泡盛の変革。

CLIENT:沖縄県酒造組合さま

  • コーポレートブランディング
  • カスタマーブランディング
  • 地方創生
  • 沖縄県

沖縄の島酒として親しまれている印象のある「泡盛」。しかし近年では、年を追うごとに売上が減少しており、その打開策に頭を悩ませていました。沖縄県の泡盛酒造所すべてが加入する沖縄県酒造組合は、600年以上続く泡盛の文化を絶やすことなく、未来につないでいくために、業界全体でのブランディングを決意。沖縄県内46酒造所の足並みを揃えるための業界の使命、そして泡盛という「酒類」自体のブランドアイデンティティ(ミッション・ビジョン・バリュー)策定と、対外的に発信していくためのロゴマーク・スローガン・ストーリー開発、マーケティング戦略、メディア向けのリリースイベントを実施しました。

1プロジェクト開始のきっかけ

1976年に設立され、沖縄県内にある46の酒造所すべてが加入している、沖縄県酒造組合。パラドックスは以前、泡盛を通じて那覇市の観光を盛り上げる「泡盛ツーリズム 那覇」のブランドアイデンティティの策定、スローガンとロゴ開発をお手伝いをさせていただいており、それ以来同志としての関係性を構築してきました。

 

▼「泡盛ツーリズム 那覇」のブランドアイデンティティの策定、スローガンとロゴ開発に関する詳細はこちらから。
https://prdx.co.jp/creative/product/product_a/product01/okinawakensyuzokumiai/

 

今回は、前回のプロジェクトにおける多角的なヒアリングを通じて本質を追求する姿勢、そしてプロジェクト自体の効果を評価していただき、泡盛全体でのブランディングを実施したいと再度声をかけていただいたことから、プロジェクトが開始しました。

2泡盛が抱える課題

沖縄のお酒と言えば泡盛。しかしその知名度とは裏腹に、県内における泡盛の売上は17年連続で下がり続けています。居酒屋で飲むことのできるお酒の種類が増えていることも一因ですが、最も大きな要因は、若年層に泡盛が正しく理解されていないこと。県内の若者が泡盛に抱くイメージは、「二日酔い」「アル中」「古臭い」「おいしくない」など、あまり良いものではありませんでした。

 

このままでは、いつか泡盛というお酒自体がなくなってしまうかもしれない。「起死回生しようと、これまで何社もの企業に依頼してみたものの、マーケティング調査を実施しただけで終わってしまい、効果的な施策が生まれたこともありませんでした。目先の流行だけを追った企画は実施してきましたが、どれも長続きはしませんでした。失敗が重なりにより、諦めのムードが広がり、次第に酒造所同士の連携もとれなくなっていました。」と酒造組合の専務は、抱えていた課題を話してくれました。

3ブランド開発においての前提

私たちがブランディングを始めるにあたり、まず行ったのは、46すべての酒造所の方の元に伺い、ヒアリングを行うこと。今回のプロジェクトは泡盛を扱う全ての酒造所が、ひとつのチームとして動いていく必要もありました。そのため、私たち自身のことも信頼していただくことがとても重要でした。人と人、その礼儀としてしっかりとご挨拶をさせていただきました。また、業界全体の課題もあれば、企業ごとに抱える課題もあるため、その両方の視点を持っておくこともとても大切でした。そのため、個別の企業の課題や強みもお伺いし、細かく理解を深めて行きました。このようなことを通じて、全ての酒造所の方に目先の施策ではなく、長期的に愛されるブランドになるための本質的なブランディングを行っていくことを納得していただいてからプロジェクトを開始しました。

 

その後、46の酒造所を本島は、北部・中部・北那覇・南部、離島は石垣・宮古島の6つのグループに分け、それぞれの地域ごとに、合計で24回のセッションを実施。泡盛の歴史や各々が持つ想いについて伺い、分析・企画・提案を持ち込みながら、酒造所のみなさんとディスカッションを繰り返して、練り上げていきました。

4戦略の方向性

今回のブランディングでは、泡盛らしさを大切にしながらも、これからさらに長く愛されていくための戦略を定めました。

 

① 全酒造所が「使える」ブランドコンセプトであること
今回は46社が一丸となって行うブランディングのため、全ての酒造所が参加できるものであり、使えるブランドコンセプトである必要がありました。そのためには、全酒造所が比較的参加しやすい、古酒だけでなく一般酒も飲んでもらうこと、そして、県外ももちろん重要ですが、まずは全酒造所ができる県内の需要を伸ばしていくことが重要でした。

 

② 20-30代の若者に選ばれるお酒になること
今後、泡盛が長く親しまれるお酒になっていくためには、20-30代の若者にいかに選ばれることができるか、というのもとても重要なポイント。「二日酔い」「アル中」「古臭い」「おいしくない」という既存のイメージを払拭し、「 おいしい飲み方」「本来の魅力」を伝えていくことで、「泡盛=おいしい」という感覚になってもらうことが必要でした。

 

③泡盛業界が一致団結すること
開発したブランドコンセプトを実現する。そのためのマーケティング施策を実施していくためには、業界が一致団結して実施していく必要がありました。そこで、「泡盛」ブランドだけでなく、業界としての使命を定め、向かう方向をひとつにすることを狙いました。

5ミッション・ビジョン・バリュー

セッションなどを踏まえて実際に開発したのは、泡盛自体のミッション・ビジョン・バリューと、泡盛業界の使命。さらに外向けに発信する際の合言葉となるスローガンと、ロゴマーク、ストーリー、マーケティング戦略です。

 

バリューでは、ひとそれぞれ好きに創造できるお酒であること、ひととひととをつなげてきたお酒であること。飲んだ人に対して、その価値を提供できることを表現。

ミッションでは、「常に人と人の間、地域の真ん中にあったこと」と、その「泡盛を通して和が広がり、明るい未来へとつながってきた」という、本来の泡盛らしさをもとに策定しました。

そしてビジョンでは、これからの未来に貢献することのできる「沖縄らしさ」も組み込みました。沖縄は、戦争に巻き込まれた土地だからこそ、平和への願いを強く持っています。一方で、多様な国籍の人が暮らす島でもあり、多様性を受け入れてくれる風土もある。そのような「沖縄らしさ」は、昨今の感染症やSDGsのように、世界全体が手を取り合ってひとつのことに取り組まなければならない現代において、貢献できることではないかと考えました。

泡盛のMVVを実現するために必要なのは、他ならぬ酒造組合や各酒造所の取り組み。その同じ目的に向かって、それぞれがそれぞれの立場でできることをやりながら、一致団結して盛り上げていくため、泡盛業界全体での使命も定めました。また、泡盛業界だけでなく、沖縄の皆さんの協力も必要でした。みんなで、この大切な文化を「沖縄の誇りにしていこう」そんな呼びかけの意味も込められています。この使命を共通の価値観として、今後はこのブランドを軸に、業界全体として一致団結しブランディングを進めていきます。

▲Value(泡盛が提供すべき価値)

▲Mission(泡盛の存在意義)

▲Vision(泡盛を通して実現したい未来)

▲泡盛業界の使命

6スローガン・ロゴマーク

対外的にブランディングを実施していくためには、イメージを変えながら、泡盛について伝える言葉が必要です。それが、スローガン。飲み方も楽しみ方も自由な泡盛の特徴を「あそび心」があると表現し、若いひとにも興味を持ってもらえるメッセージにしました。

ロゴマークは、泡盛の「泡」やひととひととの「和」を表現する円の形と、ひらがなの「あ」を組み合わせたもの。泡盛の「あ」、あそび心の「あ」、あははと笑う「あ」、発見の「あ!」であるとともに、海外進出も視野に入れ日本固有のひらがなを用いました。

▲ロゴマーク/スローガン

7「20-30代の若者に選ばれるお酒になる」ための実際の取り組みと今後の関わり

17年間連続で売上が減少する泡盛。イメージの悪い現状を変えていくには、時間をかけて一貫したブランディングを実施することが重要だと考えています。中でもターゲットである若者に飲んでもらうには、ただ広告を打つだけでは難しい。そこでまずは泡盛のおいしい飲み方を知ってもらうために、以下のような取り組みを行い地道に仲間を増やして行きました。

 

①個別に仲間となってくれるメディアやインフルエンサーを増やす活動
②その人たちを呼んで3/1にリリースイベント

 

2022年3月1日、今回作成したスローガンとロゴマークのお披露目も兼ねて、泡盛を知ってもらうイベントを開催。フルーツを漬け込んだサングリアや、泡盛で抽出したコーヒーなど、さまざまな飲み方で泡盛を提供しました。泡盛のブランドブックも作成し、来場者に配布。泡盛を体験した方からは「これまで泡盛に興味がなかったけど、自分でもサングリアをつくってみたいと思った」「おいしかった、泡盛のイメージが変わった」などの声がありました。

 

今後の取り組みとして、重要になるポイントが二つあります。

①これらからお酒を飲みはじめる「大学生」世代にアプローチ
②20-30代(社会人)へのアプローチ

 

①これらからお酒を飲みはじめる「大学生」世代にアプローチ
お酒を飲み始めるタイミングで、泡盛の魅力を知ってもらう。
それが、社会人になった後もずっと「選ばれるお酒」になる上で重要。

 

②20-30代(社会人)へのアプローチ
若者が集まる場所へ積極的に出向いていき、接点をつくり、 おいしい飲み方を伝え、マイナスイメージをプラスに変える。

今後は①の取り組みの先駆けとして、も月に1回程度のペースで、パラドックスが運営するコミュニティスペースでのイベント開催を予定しています。また、沖縄の玄関口である那覇空港、宮古空港、石垣空港での広告掲載も予定しており、県内外の多くの方にブランドの認知を広げて行きます。他にも、実際に気軽に「あそび心」を体験できるよう、コンビニとのコラボレーションや、オリジナルボトルの制作、また、②の代表的な取り組みとして県内のイベント等に泡盛キッチンカーの出店を実施予定です。きっかけづくりをすることからはじめて、着実な戦略で泡盛の魅力を広めていきます。

https://awamori-brand.jp/
▲ブランドページリンク

▲今回のブランドコンセプトの世界観を伝えるBOOKと、プロジェクトの背景や想いを伝えるBOOKの二冊を制作。仲間づくりのツールとして活用していきます。

▲イベントの様子(ムービー)

▲イベントの様子
リリースイベントでは、今回のブランドコンセプト「あそび心、盛りだくさん」を体感していただくために、サングリア・コーヒー割り・より美味しい水割り、の三種類の泡盛を楽しんでいただきました。

▲就活コミュニティスペース「トポセシア」を活用した大学生向けのイベントを毎月一度開催していきます。

▲20-30代の若者向けの施策として、沖縄県内の様々なイベントにキッチンカーで出店していきます。

▲より身近に泡盛を楽しんでいただくために、沖縄本島内のコンビニとのコラボも検討中です。

▲県内外の方が多く利用する沖縄の玄関口である、那覇空港・石垣空港・宮古空港での広告掲載も検討しています。

▲自分好みの泡盛にアレンジすることのできるボトルを配布していくことも検討中です。