「ブランドを立ち上げようとしているけれど、ブランドコンセプトってどうつくればいいのか?」「ブランドコンセプトってそもそもどんな役割があるの?」
この記事を訪れてくださった皆さんは、そんな疑問を抱えているのではないでしょうか?
多くのブランドが掲げている「ブランドコンセプト」。
聞き覚えはあるものの、いったいどんなものなのか、明確な答えが掴みづらい言葉ですよね。この記事を読んでいただくと、そのそもそもの意味や役割を掘り下げ、ブランドコンセプトの作り方まで把握できるようになります。
記事を書いている私自身、株式会社パラドックス・ディレクターとしてブランディングのお仕事に携わる中で、ジュエリーブランドやアパレルブランド、化粧品ブランドのお客様と対峙し、ブランドコンセプトをつくる機会にも携わってきました。そこで感じたのは、ブランドコンセプトの意味をしっかりと理解し、自分たちらしいコンセプトを掲げられると、世の中に「ブランド」として認知されやすく、価値観に共感してもらえるファンが増えていくということ。このあたりのメリットも記事内で詳しくお伝えさせていただきます。読み終えていただければ、世の中に共感を得るブランドコンセプトをつくるコツがつかめます。
それでは、「ブランドコンセプト」についての当記事。どうぞじっくりと読み進めてみてください!
1:ブランドコンセプトの理解を深める
さて、質問です。
「あなたの好きなブランドはなんですか?」
思い浮かべましたか?みなさんの心の中には、ファッションやジュエリーブランド、PCやスマートフォン、食品や家電と、いろいろなジャンルのものが思い浮かんでいることでしょう。では、その様々なものをブランドとして認識しているのはなぜなのでしょうか?
この章では、そもそもブランドとは?ブランドコンセプトとはなんなの?ということを紐解き、基本となる言葉の理解を深めるところから始めていきます!
1−1:ブランド=自分にしかできない役立ち方の約束
まず、「ブランド」の定義について、パラドックスでは、「自分にしかできない世の中への役立ち方の約束」と定義しています。
そもそも、「ブランド」という言葉の由来としてよく言われているのは、牛などの家畜の識別のために、焼印を押したことにあるという話です。(「焼印を押す」=「brand」)そこからビジネスの中で「ブランド」は、「自分たちとその他の商品やサービスを差別化・識別させるもの」として重要視されてきました。
その「ブランド」を先にお伝えしたように、パラドックスでは、「自分たちにしかできない世の中への役立ち方の約束」と定義しているのですが、私達は、人にも企業にも商品にも、その人やものにしかできない世の中への役立ち方があり、社会に溢れている課題を分担して解決していると考え、それを「志」と呼んでいます。
自分たちだけ唯一無二の「志」を世の中に約束することが、ブランドをブランドとしてスタートさせる大前提。そして、後述いたしますが、この大前提があった上で、その姿勢を続けていくことがブランドをブランド足らしめていくと考えています。
ディズニーリゾートも、世の中に様々な遊園地がある中で、「夢の国を提供する」という自分たちだけの世の中への役立ち方を提示・約束し、それをパークの作り方やキャストのキャラクター、アトラクションなどに統一した形で反映、そして、その姿勢を続けていることが、ディズニーリゾートを他にはないブランドにしている、ということになります。
1−2:ブランドコンセプト=ブランドミッション=日々果たしていく使命や目的を言語化したもの
そんなブランドの核になってくるのが「ブランドコンセプト」なのですが、「ブランドコンセプト」とは、そのブランドが日々果たしていく使命や目的を言語化したものです。
欧米型のブランディングの中でいうと、「ブランドプロポジション=ブランドのあるべき姿をステートメント化したもの」が近い言葉かと思うのですが、ブランドがなんのために存在しているのか、なにをだれに日々提供していくのかといった「志」を言葉にして伝えられるようにしたもののことを言います。「ブランドミッション」という言葉も同義と捉えていただけます。
世の中で支持されているブランドは、このブランドコンセプトを明確にもっていることが多く、先程のディズニーランドのように、この核を商品やサービスなどに生かしていくことで、長期的に愛され、ファンの多いブランドになっていきます。
ここで、スターバックスを例に取り上げてみましょう。
スターバックスは「サード・プレイス」というブランドコンセプトを打ち出しています。このコンセプトは、高度経済成長のころ、オフィスワーカーの男性陣が仕事ではハイプレッシャー・ハイスピードな環境で過ごし、家に帰っても夫や父としての役割があり自分の時間をとれない、という課題を抱えていたときに、職場でも家庭でもない第3の場所として、リラックスできるくつろぎの空間を提供できないか、という発想からきています。このコンセプトを根幹に、店舗づくりやスタッフの接客のルールを統一し、日々「サード・プレイス」としてブランドの目的を果たしています。
1−3:ブランディングでお客様の頭の中に信頼を積み上げていくことが重要!
ブランドを立ち上げようとしている方に特にお伝えしたいのですが、ブランドは立ち上げてすぐにブランドになれるわけではありません。ブランディングを通して、お客様の信頼を勝ち得ていくことの積み重ねがブランドをつくっていくのです。
これはどういうことなのでしょうか?ここでひとつ質問です。
あなたの好きなブランドはおそらく複数の商品やサービスをもっていると思うのですが、ではもしも、その競合ブランドが同じような商品を低価格で発売したときにあなたはどうしますか?
「自分の好きなこのブランドで買いたい。」
こう思ったなら、「そのブランドがブランドになっている」証拠。どういうことか?ブランドとは「自分たちにしかできない世の中への役立ち方の約束」、ブランドコンセプトとは、「そのブランドが日々果たしていく使命や目的を言語化したもの」というお話をしてきましたが、
ブランドは受け手であるお客様の頭の中にあるもの。
という大前提を無視することはできません。
立ち上げただけでブランドになれるかというと、そういうことではなく、ブランディングを通して、お客様の頭の中に自分のブランドへの信頼やイメージを構築していく必要があります。他のブランドとは異なる付加価値を積み上げていくこと。これは「差積化」と呼ばれますが、ブランド立ち上げ後も、商品、サービス、接客、店舗づくり、アフターサービスといった経営活動ひとつひとつの中での「らしさ」の積み重ねが、大大大重要なのです。
先程のディズニーランドでも、夢の国と言ったから夢の国になれるわけではなく、志を中心にした良い経営活動=ブランディングを通して、お客様に夢の国を届けていくことで、信頼を積み重ね、ブランドを確立していったわけです。ディズニーランドのキャストさんがパークの見えるところで休んでケータイをいじっていたら、「え!」ってなりますよね。お客様に届けるところを人・もの・サービスと徹底してブランドコンセプトに沿って続けてやることが、重要なのです。
1−4:「共感」を得ることが長く深く愛される秘訣
ブランドが長く深く愛される秘訣は、なにより「共感」を得ること。
ものが飽和している現代は、同じような商品でも様々なブランドがあり、商品の魅力だけではヒットが出なくなりました。たとえ安さや目新しいスペックでヒットを出したとしても、同じような商品をまねされたときに、お客様をとられてしまう、ということも往々にしてあります。
では何で選んでもらうのか。
それは、「共感できるか否か」ということです。
ブランドのコンセプトが、自分の考えや価値観、ポリシーと合致しているのか、自分の世界に置きたいものなのか、といった視点で購買の判断がされるように、消費者の目線も厳しく、より本質・本物志向になってきています。
古くから愛され残っているブランドも、見返してみると、スペック云々よりも、そのコンセプトが愛されていると感じることでしょう。
例えばあとに例にあげるシャネルも、時代はかわり様々なファッションが台頭してくる中、白黒のシンプルなファッションも動きやすい働く女性の服もたくさんありますが、ココ・シャネルやシャネルの考えから出来上がる服や香水への憧れは、女性の心を強く掴んでいます。
新しくブランドを立ち上げる際には、そのブランドが長く深く共感を得て愛されるように、ブランドコンセプトを明確にしておく必要があるのです。
1−5:ブランドコンセプトの理解が深まる4つの事例
ブランドコンセプトの理解を深めるために、4つの例を見てみましょう。
◯シャネル:「女による女のためのモード」
シャネルの創始者ココ・シャネルが生まれた19世紀後半。当時、女性はいまのように社会に出ることはなく、その服装は、男性の権威を見せつけるためのもの、華美な装飾で動きづらいものが中心でした。
その後、女性の社会進出が進む中で、シャネルはエレガンスと働くことを両立させた黒白を中心としたシックな世界観のファッションをつくり、自由を奪われた女性を男性社会から開放することとなりました。
そのブレないコンセプトは、今もファッションやアクセサリー、香水などを通して女性たちの心を掴み、憧れのブランドで有り続けています。
◯プランドゥーシー 6th by オリエンタルホテル:「東京の中心で、街と人とともに進化するレストラン さまざまな人が行き交う東京の中心地、有楽町。その一角に佇むのは、日本最古のホテルのエッセンスを受け継ぐ、異国情緒あふれるオールデイダイニング。」
日本及び世界の主要都市にてホテル・レストラン・バンケットを運営しているPlan・Do・Seeは、それぞれの施設にそれぞれコンセプトを設けて、店舗づくりからそこで提供するメニュー、接客にいたるまで、徹底した世界観をつくりつづけています。
例えば、東京・有楽町駅にほど近い「6th by オリエンタルホテル」は上記のコンセプトをもち、サラリーマンの行き交う街の中で、ゆったりとした時間の流れる広々とした店舗をもち、多国籍な料理を提供しています。
他の施設にも言えることですが、店舗の家具や接客一つとってもしっかりと統一された空間づくりが、ここでならあの雰囲気を味わえる、とファンづくりにつながっています。
◯Francfranc:「日常に驚きや感動を。Francfrancは、心地よい毎日を提案するインテリアショップです。デザインされた商品と自由なスタイリングで、多彩な空間づくりを叶えます。」
雑貨やインテリアの販売をしているFrancfranc。
1990年代。当時の日本の家具は木目やベージュ系・グレー系など彩度の低い色合いの家具が中心だった中、南仏の自然からインスピレーションを得た鮮やかな色を使用し、新しいライフスタイルを提案しました。
その後も、世の中のニーズに合わせながらも鮮やかな色合いの雑貨やインテリアで、彩りある生活を店舗・ネット販売を中心に提案し続け、ファンの心を掴んでいます。
◯大戸屋:「もうひとつの食卓 ひとりでも、誰かと一緒でも。若い人でも、お年寄りでも、お子さまでも。どんな人でも、まるで我が家のように寛げる場所。それが、大戸屋のめざす「もうひとつの食卓」です。」
1958年、東京タワーが完成したその年に、池袋駅前に大衆食堂を構えたことからスタートした大戸屋。
「かあさんの手作り料理をお値打ち価格でお客様に」を原点に、毎日食べても健康で安心なもうひとつの食卓でありたい、という想いで事業を続け、全国展開をしています。
想いは変わらずに、上記のようなコンセプトを改めて明確に打ち出したところですが、野菜を切るところからはじめて提供するスタイルやそのメニューひとつひとつに「もうひとつの食卓」が感じられ、外食企業が数多く台頭してくる中、安定してファンを獲得しています。
2:「共感を得るブランドコンセプト」と「共感を逃すブランドコンセプト」の違い
さて、ここまで「ブランド」「ブランドコンセプト」の意味、重要ポイントや例などをみてきましたが、実際に共感を得るブランドコンセプトはどんなものなのでしょうか?
また、反対に共感を逃してしまうブランドコンセプトの特徴についても知ることで、その要点を掴んでいきましょう。
2−1:共感を得るブランドコンセプトの3つの特徴
共感を得るブランドコンセプトの重要な特徴は、こちらの3つ!
①どうしてこのブランドが必要なのかが明確に語られている
②ターゲットのニーズと自分たちならではの役立ち方が接点をもっている
③本物であることやリアリティの伝わるストーリーがある
それぞれとっても大切なことです、ひとつひとつ解説していきましょう。
①どうしてこのブランドが必要なのかが明確に語られている
世の中の課題や要望に対し、なぜこのブランドが必要なのか。これはブランドを立ち上げる上で、自分たちに問うべき質問でも、語られるべきメッセージでもあります。
サイモン・シネック氏がTEDで語った考え方に、ゴールデンサークル理論というものがあり、人に何かしらの情報を伝え、行動を促したい時、「Why・How・What」という構成要素が存在し、「Why」から始めることの重要性を説いています。
ブランドコンセプトを考える際に提供する具体的な商品やサービスについて語りがちですが、それは「what」の部分。ではなく、そのブランドがどうして存在していて、どういう世界をお客様に見せるものなのか、先程お伝えした存在意義や目的、使命といったところを明確に「why」として示すことが重要です。
②ターゲットのニーズと自分たちならではの役立ち方が接点をもっている
ブランドを立ち上げる上で、ターゲットのペルソナとそのニーズについて、明確にしていくのですが、そのニーズに対して、①でお伝えした「why」が、自分勝手な独りよがりになっていては、ターゲットに響くはずがありません。
どんなひとに届けるものなのか、その人たちが求めているものなのかを、自分経ちの存在意義と照らし合わせて、接点をもっている状態が好ましいです。
③本物であることやリアリティの伝わるストーリーがある
ブランドが生まれるからには、そこにはストーリーがあるはずです。誰かをまねしたようなブランドではなく、ブランドを立ち上げた人の想いや歴史があって生まれたことを、ストーリーとして伝えられると、より説得力が増し、唯一無二のそのストーリーがブランドをより強固なものにしていきます。
ストーリーが、そのブランドが本物であることや、人の想いから始まっていることを証明してくれる、ということですね。
2−2:共感が逃げていくコンセプトの2つの特徴
反対に、はりきって「これだ!」と打ち出したコンセプトが、共感が逃げていく原因になることも。よくあるその特徴は、こちらの2つ!
①社会や顧客のニーズを捉えておらず、独りよがり
②他ブランドとの違いが不明確で差別化できていない
コンセプトもお客様とのコミュニケーション。つまり、「ひと対ひと」。下の例のような言い方をされても伝わらないというのは、あたりまえなことかもしれません。
①社会や顧客のニーズを捉えておらず、独りよがり
先程も触れましたが、そもそも社会から求められていないことであったり、お金儲けをしたいという独りよがりな目的発進であったり、ターゲットの設定が間違っており的外れなことを伝えていたり、、、。
社会やお客様のニーズとそぐわないことが共感を得るのはとても難しいことです。自分のやりたいことは、アートとして認識されることも可能性としてありますが、長く深く愛されるブランドになるためには、適切なターゲットに、そのニーズにあったコンセプトを提案する必要があります。
②他ブランドとの違いが不明確で差別化できていない
よくある言葉を使い、よくある言い回しで曖昧なことを言っている、、、そんなブランドは、すぐに真似できてしまうし、たとえ共感できたとしても、とても薄い共感になってしまいます。
自分たちのブランドがもっていて、他がもっていない強みや魅力をシャープに表現できるといいですね。
3:*実践編*共感を得るブランドコンセプトの作成方法
さて、ここからがいよいよ実践編です!
これまでブランドコンセプトの意味などを見てきましたが、自分が実際にブランドを立ち上げるとき、どのようにコンセプトをつくっていくのでしょうか?実際のフローにも触れながら見ていきましょう。
3−1:ブランドコンセプトを作成する前に知るべき3つの大前提
まず抑えておきたい大前提について。これからご自身のブランドのコンセプトをつくるにあたり、一度深呼吸をして下記の3つのことを意識してみます。行き詰まったときにもこの大前提に戻ってきてくださいね。
①新しいマーケットをつくるイメージを持ちましょう
②一つの視点に固執せず客観的な目を持ちましょう
③なによりワクワクすることが重要です
それぞれ、解説していきましょう。
①新しいマーケットをつくるイメージを持ちましょう
世の中には食べ物も物もサービスも溢れかえっているいま。ただ、社会課題や人の「これがあったらいいな」という欲求は、どんどん新しい側面が見えてきています。
あなたのブランドがこれからの世の中にどう影響を与えていくのか、どんなマーケットをつくって引っ張っていくのか、これまでの常識にとらわれず、新しいマーケットを生み出すイメージを持ちながら、攻めの姿勢で考えてみましょう。
先程言及したスターバックスがいい例ですね。それまでもあったカフェの1つではなく、「サード・プレイス」としてくつろぎの空間を提供するという新しいマーケットを創出しています。
②一つの視点に固執せず客観的な目を持ちましょう
この記事を読んでいる方の中には、直感型でアイデアがポンっと浮かんでくる人もいることでしょう。インスピレーションを大切にすることも重要ですが、そのアイデアを磨いていくためにも、そのアイデアを人に伝わる・共感してもらえる形にしていくためにも、一つの視点にとらわれないことが必要です。
客観的な視点からアイデアを別の切り口から見たり表現したりすることはできないか、別のアイデアはないか、を考えてみましょう。
③なによりワクワクすることが重要です
これからつくるのは、あなたのブランドです。このあとステップの中でも登場するようにもちろん社会課題や世の中の要望、流行や動きをきちんと知って理解することも大切ですが、そこに影響されすぎず、自分の情熱が湧き上がるようなワクワクポイントを大切にしてください。
そのワクワクが、コンセプトをつくりブランドを立ち上げたあともずっと、あなたの原動力になっていくことでしょう。
3−2:ブランドコンセプト作成の7つのステップ
いよいよ、ブランドコンセプトを作成する際のステップの紹介です。7つのステップがありますので、それぞれ見ていきましょう。
ブランドコンセプト作成の7つのステップ
ステップ1.市場&競合分析
ステップ2.ブランドパートナー像の考察
ステップ3.ブランドパートナーへの提供価値の考察
ステップ4.社会の要請の考察
ステップ5. ブランドストーリーの考察
ステップ6.ブランドコンセプトの言語化
ステップ7.言葉の調整と検証
以上が7つのステップです。こちらの7つのステップは、これまで数々の企業の理念構築やブランドのアイデンティティ開発を手掛けてきたパラドックスが、いろいろな事例をもとにまとめあげたステップになります。世の中から求められているNEEDSと、ブランドのらしさやDNAであるSEEDSをしっかりと紐解き、その重なりをいかにターゲットに共感してもらうのか、という多方向からブランドを見つけてコンセプトづくりをしていくステップです。
ここから詳細な説明に入りますが、ステップごとに「問い」を記載していますので、一連の流れを理解しつつ、順番に自分のブランドについて答えを考えてみましょう。
ステップ1.市場&競合分析
「あなたのブランドが提供する商品やサービスの市場の規模や動向を調べてみましょう。またその市場に求められている要請はなんでしょうか?」
「あなたのブランドが提供する商品やサービスの購買プロセスや頻度、決定者・利用者を調べてみましょう。」
「あなたのブランドが提供する商品やサービスの競合はどこですか?強みや弱み、ブランドコンセプトはなんですか?」
まずは、他を知る、ということで、市場や競合の情報を調べることから始まります。ただ、あくまで自分のブランドへの想いとこれからどうしていくかが重要ですので、他のブランドの動きは参考程度と考えておきましょう。
ステップ2.ブランドパートナー像の考察
「どこにいるどんな人にあなたの商品・サービスを届けたいですか?」
ブランドのファンの中でも、特にそのブランドを支持し、周囲にもおすすめしてくれるひとたちを、ブランドパートナーといいます。単なるターゲットではなく、一緒にブランドを育ててくれるパートナーは誰なのかを見極めてみましょう。
「みんなに愛されたい!」という想いがある方もいるかと思いますが、万人に愛されることを目指せば目指すほどコンセプトはぼやけていくもの。ターゲットをするどく定めて、その層に届けることを意識することで「らしさ」も強くなっていきますし、強く共感してくれるブランドパートナーをつくることが、無駄な労力を書けずにブランドを広めていくことにつながります。
そのパートナーが他にどんなブランドを愛しているのかやSNSの使用傾向、人付き合いの仕方など、たくさんイメージを膨らませられるとコミュニケーション戦略にもつながっていきます。
実際にまわりにいる見知ったひとを例に考えてみると、よりイメージしやすいのでおすすめです。
ステップ3.ブランドパートナーへの提供価値の考察
「あなたのブランドの商品やサービスが、ブランドパートナーにもたらすメリットはなんですか?」
ブランドパートナーが定まったら、次はその人にどんなメリットを提供できるのかを考えてみましょう。ここに自分たちにしかできない独自性を具体的に見つけることができると、ブランドコンセプトで言うべきことにぐっと近づいていきます。その独自性の根拠となる事実も差別化につながるところなので、紐解いてみましょう。
ステップ4.社会の要請の考察
「あなたのブランドは商品やサービスを通じて、どんな社会や生活を実現していきますか?」
あなたのブランドの存在は、人の暮らしになんらかの形で変化をもたらし、それは結果的に社会や生活に変化をもたらすことにつながります。どんな社会や生活をつくっていくだろうか。どんな社会をつくりたいだろうか。予想でも希望でも、未来のことをイメージしてみましょう。
ステップ5.ブランドストーリーの考察
「あなたのブランドは、どんな社会に対してどんな想いをもち、どんな人になにを通してどんなメリットを提供し、どんな未来をつくっていくのか。」
これまでの内容から、自分たちのブランドのストーリーを組み立てていきます。
過去・現在・未来という時間軸で、自分たちのブランドの物語をつくります。例えばこの過程を絵にしてみたり、より詳細にイメージできるようにしておくと、誰かと共有する際にもわかりやすくていいですね。
このストーリーが明確になることで、点から線になるように、方向性が見えてよりはっきりとしてくることでしょう。これはブランドコンセプトの裏打ち、根拠にも共感ポイントにもなります。
ステップ6.ブランドコンセプトの言語化
いよいよブランドコンセプトの言語化です。復習ですが、ブランドコンセプトはそのブランドが日々果たしていく使命や目的を言語化したもの。これまでの考察をもとに、端的な言葉で伝えるとしたら、どんな言葉がいいだろうと実際に言葉にしてみましょう。そのときに、それは自分たちらしい言葉遣いかな、ちゃんと伝わるだろうか、と考えながら、いろいろな言葉を書いたり消したりしてみてください。
例えばそのときに、前述のシャネルや大戸屋のコンセプト例のように、一言で表すこともあれば、短い言葉をキャッチコピーのようにおいてステートメントを置くことも考えられます。いずれにせよ、伝わることが大切です。
ステップ7.言葉の検証
「その言葉は、自分たちらしいですか?愛せるものですか?」
一度たたきができたら、あとは推敲!言葉というのは不思議なもので、語尾1つ、言葉のチョイスひとつで印象がだいぶ違ってしまいます。本当に自分たちのらしさが詰まった言葉なのか、この言葉をずっと愛せるだろうか、という視点で読んでみてください。
そもそもその言葉から、自分たちがなにをしていくのか浮かばないのは、機能していない言葉なので、そのときは具体的な行動や成果など、もう少し深くイメージを広げてみましょう。
人に見せてみて、その印象や感想を聴くことも再考のヒント!全然意味が伝わっていなかったり、持たれた印象が予想と違ったりしたら、どうすれば伝わるか推敲してまたぶつけてみましょう。
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以上、7つのステップ。7つとも紐付いているので、どこかでつまづいたら、戻ったり、全体を見返してみたり、ゆっくりじっくり考えてみてください。付箋に書き出して各要素や意見を見える化して並べたり、議事録にまとめておくと、スムーズだし、複数人で考える場合にも共通認識がもてていいですね。
4:正直、自分で作成するのは難しい!企業に依頼することがおすすめです
がんばったけれど、全然浮かばない!思考の整理ができない!いい言葉が出てこない!できたけどこれでいいのかなあ?わからない!!!
・・・そうですよね、筆者もこの記事を書きつつ、もちろんご自身で考えてまとめあげていくのが一番いいと思うのですが、自分のクライアント様たちのブランディングを思い浮かべたときに、これを自分たちでやるのは難しいだろうと思うのが正直なところです。
そんなときはブランディング企業に頼ってみてはいかがでしょうか?これまでの他社の実績や例、あらゆる知識を駆使しながら、あなたのブランドコンセプトを一緒につくりあげることができます。ビジネスの未来も見据えてのお話をしたり、ブランドのパートナーとしてずっとアドバイザーとしてお付き合いしていったりすることも考えられます。
限られた予算の中から苦渋の決断かもしれませんが、コンセプトはブランドの柱になる大切なところ。どうしても困った!というときは、ぜひ一度、相談だけでもしてみてはいかがでしょう?
5:まとめ
ここまで読んでいただいてありがとうございました!
ブランドコンセプトはそのブランドが日々果たしていく使命や目的を言語化したもの。しっかり理解した上で、ご自身のブランドつくりに活かしていただければと思います。ご相談・ご質問もいつでもお待ちしておりますのでぜひ!!
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