ネイティブスピーカーが解説!海外で通用する英語スローガンとは?

普段から経営者の方や経営企画・ブランド戦略部の方と理念策定のお仕事をする中で、終盤になると必ず上がってくる問題があります。それは、「日本語でいうべき事は見えてきた。でも、英語版はどうしよう?」というテーマです。

企業理念の策定・浸透に関わる筆者ですが、人生の12をアメリカで過ごしてきたという異色の経歴があるため、自社で手掛ける企業理念の英語化には、コピーライター、もしくはネイティブチェックという役割で必ず関わっています。

最近では、日本ベースの企業でも、グローバル展開しており、海外顧客や外国人従業員といったステークホルダーがいる場合には、彼らにも伝わるように日本語の理念に加えて、英語版をつくることが増えています。

実際に理念を英訳する際には、専門家は入れずに日本在住の外国人の方に翻訳だけ頼んだり、海外拠点のスタッフに頼む場合がよくあるらしいですが、なかなか上手くいかないケースも多いそうです。(気づいていないケースも・・・)

その理由は、英語のフレーズとして正しいかどうか、意味が通じるかどうか、ということが優先されてしまい、それまで積み重ねてきた議論や言葉の背景がすべて削ぎ落とされてしまうからです。

 

これは実際にあった話なのですが、顧客に対して、

 

「(私たちと)一緒に夢を実現させましょう!」

Let’s make your dreams come true.

 

と言いたかったはずなのに、

 

「(自分で)夢を実現しろ!」

Make your dream come true.

 

と、一方的な命令形になってしまったケースもあります。

これは、日本語特有の主語の曖昧さが招いた悲劇です。冗談のように聞こえますが、誰が、誰に向けていっているのか、明確にしない日本語を、プロセスや背景を全く知らない人が訳すと、こういうことが起こってします。

 国内マーケットの縮小に伴う海外への再進出や、労働力不足を補うための海外人材の採用など。大企業だけでなく中小企業やスタートアップなども、これまで以上にグローバル市場を意識したコミュニケーションが必要になってきています。

その中で、自社の強みや価値観を海外のステークホルダーにわかりやすく伝える方法として、「英語の企業スローガン」が作られることが多くなっているのを感じます。

しかし、これが意外と一筋縄でいかず、私自身も最初は正直かなり苦労しました。

簡単に英語スローガンと言っても、もちろん日本語のスローガンを直訳すればいいわけではありません。特に日本語で作ったスローガンには、行間や含み、比喩といった言葉の裏側にある背景や文脈までを読む必要があり、英語に直訳すると、抽象的すぎて意味が正しく伝わらなかったりすることがほとんどです。

他言語では表現しづらい日本独特の価値観を活かしたまま、心から満足できるアウトプットを生み出すべく、いつも格闘しています。

今回は、英語のネイティブスピーカーである筆者が日本企業の英語スローガンづくりに携わる中で、英語スローガンを作る上で大切にするべきこと。どのような表現であれば、自社の強みを正確に、かつ効果的に伝えることができるかを、世界のスローガン事例を交えながらご紹介していきます。

1:英語スローガンをつくる理由

まずはスローガンを英語でつくる目的から、考えてみましょう。なぜあなたの会社は、日本語スローガンだけでなく、英語スローガンをつくるのでしょうか。 

「英語の方が、何となくかっこいいし、様になる。」もちろん、それも一つの理由かもしれません。(意外と主な理由なのかもしれません。)ただ、機能する英語のスローガンを作るためにも、何を誰に伝えるために、英語スローガンを作るのかという原点を考えることが当たり前のことなのですが、大事になってきます。

1-1:メッセージを届けられるターゲットが広がる

国内のマーケットや労働力、資本家を対象にするのであれば、日本語のスローガンのみで問題ありませんが、少しでも海外の方々と接点のある企業であれば、英語でもメッセージを発信する必要はあります。

単純に英語スローガンを掲げただけで、英語圏の方はもちろん、基本的な英語を理解できる世界中の人々にも、一気にリーチが広がっていきます。

日本語が読めない人々にとって、意味不明な記号だった日本語から、理解できる意味が生まれる。世界中で約15億人が英語を理解するというデータもありますので、それだけでも英語スローガンをつくる価値はあるかもしれませんね。

単純にコミュニケーションができるマーケットの増加に加え、英語スローガンをつくることで得られる効果には、以下のようなものが挙げられます。

●新しい顧客に自社の強みや価値観を伝えられる

商品・サービスをインバウンド客や海外のお客様に展開する際にスローガンがあると、自社の独自性や価値観を簡潔に、わかりやすく伝えることができます。また、競合他社の商品・サービス・価値観と差別化を図ることができます。

 

国境を超えたパートナーシップの強い基盤となる

海外企業とパートナーシップを組む際に、自社が大切にしている価値観や仕事の進め方を、すぐには理解してもらえない場合があります。そこで、わかりやすい英語スローガンがあると、最初から自社の価値観を前面に出して会話することができ、企業文化が合う・合わないといった経営判断を早くすることができます。

 

自社の価値観にフィットした人材を採用できる

海外拠点はもちろん、国内拠点でもグローバル人材を採用する機会が増えてきている企業にとっては、スローガンが会社の価値観を端的に言い表しているものであれば、求める人材が競合他社ではなく、自社を選ぶ理由の一つにもなり得ます。

 

社員の誇りを醸成し、長く働きたいと思ってもらう

日本には終身雇用という考え方がありますが、海外ではキャリアを通して何度も転職を繰り返す働き手がほとんどです。優秀なグローバル人材が自社で長く、意欲的に働き続けてもらうためにも、自社の仕事に対するやりがいや、誇りを持てるようなスローガンを掲げることは大切です。

またコミュニケーションターゲットを広げるからこそ、同時によく考えなければいけないことも出てきます。

英語スローガンをつくるということは、自分たちとは異なる文化背景や経験を持つ人たちに向けてコミュニケーションすることにもなります。そのため、可能な限りグローバルな視点を意識し、自社の価値観を表現しながらも、様々な文化背景を持つ人々を尊重し、傷つけないメッセージを考える必要があります。

これは、一朝一夕でできることではありませんが、企業として世界基準のビジネスを目指していく上でも、大事なファーストステップとも言えるかもしれません。英語スローガンづくりをきっかけに、会社の視座を世界基準に上げていくというのは、実は有効な意識改革施策なのかもしれません。

1-2:英語表現の方が、ふさわしい場合もある

皆様も感じられたことがあるかもしれませんが、場合によっては、英語のスローガンのほうがキャッチーであったり、分かりやすかったり、伝えたい意味を言い当てていたりするケースもあります。 

例えば、以下のような場合には、よく英語スローガンが用いられます。

分かりやすい、覚えやすいスローガンを作りたい

英語スローガンは英語圏の方々に伝わるだけでなく、日本人にとっても分かりやすい場合があります。それは他民族間での意思疎通を大事にする英語の特性上、言葉をなるべくシンプルにしたり、主語と述語を明確にするため、「本当に伝えたいことは何か」という根本にある考え方に立ち戻り、誰にでも分かりやすい表現に落とし込んでいくからです。

 

本当に伝えたいことを、英単語が言い当てている

日本語と英語は根本的にボキャブラリーが異なるため、自社が伝えたいことを、英語のほうが言い当てている場合もあります。例えば日本語で「緑」は単に色ですが、”green”という英単語は、森林の青々しさをイメージさせるほか、”green company”など形容詞として使用することで「環境問題に興味関心がある」ということを感じてもらうこともできるのです。このように、意味は日本語に存在するが、簡潔に言えない、正しい言葉が見つからない際に、逆に英語が正しく言い当ててくれることもあります。

 

日本語より英語の方が、企業のキャラクターにフィットする

最後は感覚的になってしまいますが、「私たちらしい」と感じるスローガンが、日本語ではなく英語の場合もあるのではと感じます。あくまでも例ですが、行間を読ませる日本語よりは、シンプルに真っ直ぐ物事を考えたり伝えたりする企業だから、英語のほうが自社の風土にマッチする、など英語の特性やあり方とすり合わせて決定することもあり得るのではと思います。

2:英語スローガンをつくるときに気をつけること

企業理念などを日本語でつくる際にも用いられる考え方ですが、英語スローガンをつくる際に、どのような考え方を大切にするべきかを解説していきます。

2-1:WHYHOWWHATで国境を超える

国内市場はもちろんのこと、特に文化背景や価値観の違う海外のオーディエンスとコミュニケーションするときは、WHYを起点にメッセージを伝えることが欠かせません。

イギリスの組織コンサルタントであり作家のサイモン・シネック氏がTEDで語ったゴールデンサークル理論によると、人に何かしらの情報を伝え、行動を促したい時に、「WHY・HOW・WHAT」という構成要素が存在し、「WHY」から伝え始めることの重要性を説いています。

人は「何をしているか」ではなく、「なぜ、それをしているか」に心を動かされるという理論です。

企業にゴールデンサークルを当てはめて考えてみましょう。

自社のことを誰かに話すとき、提供している具体的な商品やサービスから語りがちですが、それは「WHAT」の部分から語っているということになります。特に日本企業は、高度成長期に革新的な「WHAT」(技術、製品など)を生み出し成功してきたため、現在でも自分たちの経験上の強みである「WHAT」から語ってしまう傾向が強いと感じます。 

しかし、数多くの製品やサービスであふれる今の時代に、求められているのは製品やサービスに機能ではなく、製品やサービスが生み出す意味です。その製品やサービス、ブランドは何を解決するために、存在しているのか。すなわち、WHYなのです。

企業でいえば、なぜその企業が存在していて、どういう価値を世の中に提供し、どのような未来をつくり出したいのか?そんな企業のWHYを、スローガンを通してコミュニケーションしてくことが大切です。

2-2:英語は直訳せず、理念・WHYに立ち返って言語化する

英語のスローガンをつくる際には、すでにある日本語のスローガンをベースに組み立てていくケースがよくあります。

しかし、英語と日本語は根本的に異なる言語で、日本語から英語、英語から日本語に直訳できない言葉や表現が数多く存在し、抜け落ちるニュアンスがあることが懸念されます。

そのため、英語スローガンをつくる際にお勧めするのは、企業理念に立ち返り、ゼロベースで考えることです。

自社が常に大切にしてきた価値観を振り返り、込めたい意味を抽出し、その想いを世界のターゲットに向けて、英語でなるべくわかりやすく、インパクトのある表現で伝えることが、海外でも通用するスローガンの成功の秘訣だと考えます。

新スローガンをつくることとあまり労力は変わらないかもしれません。しかしこのような過程を経ることで、顧客、パートナー、社員に本当に伝わるスローガンを作ることができると考えます。

3:Appleの“WHY”から生まれた“Think Different”

先ほどの通り、効果的なスローガンは、理念を基盤に英語で伝わるようにつくられたものです。

その成功例として、Appleを取り上げてみましょう。

3-1:“Think Different”に込められた想い

“Think Different”とは1997年から使われたAppleのスローガンで、コマーシャルなど大々的な広告キャンペーンでも利用されたことで有名です。Appleは企業理念を明確な言葉として掲げていませんが、スティーブ・ジョブズ氏が発した言葉から、Appleの事業や製品に込められている思想を感じ取ることができます。

ジョブズ氏は1994年のPBSのドキュメンタリー番組『One More Thing』のインタビューで、このように述べました。

たったひとつ、単純な事実に気づけば、人生は可能性がずっと開けたものとなる。それは、自分を取り囲んでいるすべてのもの、人生と呼んでいるものが、自分より賢いわけではない人々が作り出しているということだ。周りの状況は自分で変えられるし、自分が周りに影響を与えることもできるし、自分のものを自分で作ることも、他の人々にもそれを使ってもらうこともできるのだ。

人生だと思っていたことも、突いてみることができ、自分が何かを押し込むことで、反対側で何かが突き出たりするのだと悟り、人生は変えることができると理解すれば、自分で人生を造形していくことができる。それこそが、おそらく何よりも大切なことなのだ。それこそが、人生はそこにあり、自分はその中で生きるしかないという誤った考えを揺さぶって振り払い、人生を抱きしめ、変化させ、改善し、自分自身の痕跡を刻み込むということなのだ。

出展:1994年のPBSのドキュメンタリー番組『One More Thing

以上のジョブズ氏の発言に、「コンピューター」や「携帯」という言葉は一切ありません。それはなぜかというと、アウトプットの形に強いこだわりを持っていなかったからです。

「何を作るか」ではなく「なぜビジネスをするか」、すなわち「自分で人生を造形していく人たちを増やす」ことが、ジョブズ氏にとって最も大切なことでした。「コンピューター」や「携帯」とは、あくまでも描きたい未来を実現していくために、人々に与えていく武器なのです。 

実はこのスローガン、当時は最大の競合だったIBM社が使用していた“Think IBM”という表現に意図的に似せながらも、意味ではその逆を伝えようとしたものだとも言われています。

3-2:“Think Different”が生み出した効果

このスローガンの影響は、様々な場面でみられます。

例えば、Appleの全製品に“Think Different”の思想が体現されており、洗練された商品デザインや誰にとっても使いやすいことが特徴となっているため、独自の発想をもとに創造力を働かせるクリエイターやイノベーターにApple製品が支持され続けているのだと考えます。

またAppleの働き手も、単にIT知識を持つエンジニアではなく、自分たちの手で世の中を変えていきたい、テクノロジーの可能性を一般消費者にも届けたい、という考え方を持つ人たちが集まってくるようになったのです。さらにForbesによると、このコマーシャルのリリースから1年以内に、アップルの株価は3倍に跳ね上がったそうです。 

Appleは、このようにスローガンを通して、自社が切り拓きたい人間のポテンシャルを、そのためには、人と違う考え方をしてみること。その必要性を、国境を超えて、マーケット、働き手、社会に効果的に伝えることに成功したのです。

4:共感を呼ぶ海外企業スローガン事例

これまで、スローガンに理念やWHYを込める大切さを解説してきました。

自社ならではの想いを込めた上で、表現も磨かれていないと、ステークホルダーに印象付けることができません。“Think Different”も、読み手にApple独自の思想を伝えている上、素晴らしいコピーライティングが施されているため、長い年月を超えてインパクトを残せているのではと思います。

 ここでは、世界の企業のスローガンを紹介しながら、その意味や意図を探っていきます。

4-1:わかりやすく、覚えやすい

意味が数秒で伝わるスローガンほど、国境を超えて様々なオーディエンスにまっすぐ伝わりやすく、コマーシャルからロゴのタグラインまで、あらゆる場面で活躍します。

●SUBWAY:eat fresh.

※出典:http://logomarkmania.seesaa.net/article/200634992.html

ファストフードチェーンで価格が手頃でありながら、サンドウィッチにふんだんな野菜を使っているサブウェイ。

他のファストフードやサンドウィッチ屋には言えない、サブウェイならではの独自の強みであるサラダのような野菜の新鮮さを簡潔に表現しているこのスローガンは、世界中で流されているコマーシャルをはじめ、店舗看板やサンドウィッチを包む紙・ビニール袋等にも使われていました(現在は新しいVIに変更しています)。

表現の短さから手頃に食べられることを連想できるうえ、野菜のみずみずしさをも思い出させるため、私たちの食欲をそそることにも成功していたのではと思います。

methodthere’s good inside

※出典:https://methodhome.com/mymethod/

地球に優しいハンドソープや洗剤を製造している、アメリカのエコブランドmethod

「there’s good inside」はブランドキャンペーンで使われたスローガンですが、methodは全製品を特徴的なボトルで販売しているため、「inside=何の中か?」と言うとボトルで、「人や地球にとって良い成分しか入っていない」ということを表現しています。

またmethodのこだわりは製品に留まらず、製造プロセスを通して人や環境への優しさを徹底しているため、「ビジネスのあらゆるプロセスでも、良い方法しか選ばない」ということも主張してそうです。例えば廃棄物やエネルギー消費の削減、従業員への公正賃金の支払いなど、methodの価値観を表しているという読み方もできます。

methodのこのスローガンも、社名と同じように、大文字は使わず小文字のみで表現していることにもこだわりを感じます。消費者の日常に寄り添う製品なので、親近感や馴染みやすさを意識して、あえて小文字にしたのでしょう。

4-2:ブランドが届けたい世界観を物語る

ブランドを体験することで「どのような価値を得られるか」「どのような感情が湧き上がってくるか」など、お客様に届けたい世界観を表現したスローガンをご紹介します。

●Disneyland:The Happiest Place on Earth

※出典:https://www.disney.co.jp/park.html

「地球で最も幸せな場所」というスローガンは、ディズニーの提供価値であり、ディズニーワールドなど、全テーマパークを通して届けたい世界観を表現しています。

子どもや若者はワクワクする未来を連想し、大人は子ども心を思い出すなど、世代を超えて多くの人の心に触れ、一人ひとりに夢や喜びを届けることを意味しているように思います。

またスタッフの方々にも「自分たちがお客様に提供すべき価値は何か?」ということを明示しているため、非常に有効な行動指針にもなっているのではと感じます。

TOWER RECORDSNO MUSIC, NO LIFE.

※出典:https://tower.jp/company

音楽があることで気持ちや生活が豊かになるという価値観を表し、1996年からタワーレコードのポスターのキャッチコピーとして起用されてきました。

タワーレコードの店舗に一歩踏み入れると、世界中の様々なアーティストが手がけたCDやレコードで溢れており、タワーレコードがお客様に届けたい世界観が一瞬にして伝わりますね。

またタワーレコードは、単にそのメッセージを伝えるだけではなく、アーティスト同士のコラボレーションを企画し、そのアーティストにとっての「音楽」と「人生」の接点を話していただく企画なども実施することで、「一人ひとりの音楽のある生活」を物語ってきました。業績不調によりタワーレコードは日本以外の国でほとんどの店舗を閉めてしまいましたが、音楽好きな人たちの心には、ずっと残っていく言葉だと思います。

4-3:ダブルミーニングがある

ダブルミーニングのあるスローガンは、表現の通り、複数の意味を同時に読み取れるため、読み手がその時に感じ取りたい意味を見出すことができ、何度も読み返したくなります。

●adidas:IMPOSSIBLE IS NOTHING.

※出典:https://www.adidas-group.com/en/media/news-archive/press-releases/2004/impossible-nothing-adidas-launches-new-global-brand-advertising-/

有名なスポーツブランドのスローガンの中でも、一際目立つのが”IMPOSSIBLE IS NOTHING”。プロボクサーのモハメド・アリ氏が残した名言で、その言葉に感銘を受けたアディダスがスローガンとして起用しました。

英語文法的にいうと”Nothing is impossible”のほうが正しいのですが、あえて言葉の順序を変え、絶妙な違和感を生み出しています。

そのまま読むと、「不可能なことなんてない」という意味を読み取れますが、「世の中が不可能といえど、自分は果敢に立ち向かう」という読み方もでき、非常に勇気をもらえる言葉です。

スポーツだけではなく、人生の真ん中におきたい言葉ですね。

●General Electric:imagination at work

※出典:https://bobsrayofsunshine.wordpress.com/2016/04/22/imagination-at-work-a-slogan-that-should-electrify-and-inspire-us-all/

Jeff Immelt氏が2001年にGECEOに就任した際に、「イノベーションこそすべてというGEのルーツに立ち返る」とアナウンスしました。新しく策定したテーマから「imagination at work」というスローガンを作成し、企業文化を生まれ変わらせたとのことです。

この表現から、二つの意味を読み取れます。「私たちは創造力を生かしている」と、GEの創造力を物語っているようにも聞こえますが、「職場での創造力」、つまりGEの顧客となる人々の創造力に貢献している、という意味も同時に読み取れます。

4-4:時代の流れに寄り添っている

自社の強みや価値観を表現しながらも、その時代を生きる人々の真のニーズや精神に寄り添っているから刺さるスローガンもあります。

●mastercard:There are somethings money can’t buy. For everything else, there’s MasterCard.

※出典:https://fitsmallbusiness.com/best-business-slogans-and-taglines/

「お金で買えない価値がある、買えるものはマスターカードで」という誰もが知るこのスローガンは、“Priceless”という広告キャンペーンで使われてきたものです。

このスローガンが生まれた1990年代、富裕層からイメージする「富」から多くの人々の興味は離れていたため、コマーシャルの中では「富に溢れた生活」ではなく、「本当の意味で豊かな生活」が表現されたとのことです。

モノ消費から、コト消費という世の中の変化を読みながらも、その変化をまたぐような価値提供をしている自分たちのサービスの価値を上手く表現しています。多くの人々の共感を呼んだこのスローガンは、今や46言語に翻訳され、98か国で使用されています。

●L’OrealBecause you’re worth it

※出典:https://www.lorealparisjapan.jp

1970年代、若い女性コピーライター・Ilon Specht氏によって書かれたこのスローガン。当時、街では女性によるフェミニスト運動が勃発していたのですが、一方でSpecht氏が働いていた広告などビジネス界は、男性社会。

そんな環境の中でSpecht氏はロレアルと「あなたには価値があるから」というスローガンを生み出し、女性が自分を美しく見せるのは、男性のためにではなく自分のためだ、という強いメッセージを主張しました。

ロレアルは単に製品を販売しているのではなく、化粧の力で人々をエンパワーメントしている企業だというメッセージを発信することに成功しました。

4-5:気づきを得られる

発見や気づきの力は大きく、そのエネルギーによって、相手の行動を促すことができます。特に以下2社のように社会意識が高い団体や企業には、非常に効果的な表現です。

●Red Cross(赤十字):The greatest tragedy is Indifference.

※出典:https://www.tripwiremagazine.com/50-examples-of-catchy-and-creative-slogans/

意訳すると「最大の悲劇は無関心」という意味ですが、世界中で数多くの悲劇が起こっている中でも、興味を持たない人たちがいることが最も悲劇的だ、というメッセージを発信しています。

このスローガンに説得力があるのは、話者が人の命に関わる赤十字社だからですね。自分たちの目で戦争や自然災害の実態を見てきた団体だからこそ言える、相手をどきっとさせるスローガンだと思います。

社会への強い問いが込められた表現だからこそ、このスローガンを読んだ人たちは「自分には何ができるのだろうか?」と考えさせているのではないでしょうか。

●patagoniaBusiness Unusual

※出典:https://www.patagonia.com/business-unusual/

アウトドア業界のパイオニア企業で、環境問題に果敢に立ち向かうパタゴニア。このスローガンは、”Business as usual(業務平常通り)という慣用句を逆手に取り、「変わった事業」という意味へと変換しています。

言葉の通り、パタゴニアは1990年代という業界では早い段階からバリューチェーンで環境汚染を軽減したり、製造者に公正賃金を支払えるように努力したり、売上の一部を環境保護団体に寄付したりしていたほか、社員が暮らしと仕事を両立できるように全力支援するなど、他企業から見るとまさに「変わった事業」をしてきました。

”Business Unusual”という表現を選んだことに、「実は私たちがやっていることが、実は環境にとって当たり前であるべきなのでは?」というパタゴニアの真の主張も見えてきます。

5:グローバルに活躍する日本企業のスローガン事例

最後に、効果的なスローガンを発信している日本企業の例も見ていきましょう。これらは長年使われていて、日本社会にも広く通用している例ですが、これからは大手以外の企業からも素晴らしい英語スローガンが生まれていくことを期待したいですね。

●トヨタ:DRIVE Your DREAMS.

※出典:https://medium.com/@Hiro.Satoh/意味-の補足-ba7c2fc1483a

2000年あたりに生まれた、トヨタのスローガン。トヨタ車はそれまで主に機能的価値を打ち出してきたのですが、このスローガンの発表によって、車を超えた情緒的な価値が添えられました。

直訳すると「あなたの夢を運転しよう」ということを意味するですが、人生のハンドルを握っているのはあなた自身だ、自分が望む方向に進んでいこう、という読み手に勇気と希望を与えるメッセージだと思います。

●NikonAt the heart of the image

※出典:http://www.nikon.co.th/resources/en_Asia/ourbrand/brand.htm

「映像(画像)の中心にニコンがある」ということを意味するスローガン。一眼レフカメラなどプロ仕様なカメラに加え、医療用光学機器など、専門性の高い商品を扱っているメーカーであるため、「映し出す」というテーマを中心に置いたのだと思います。

また “heart”という言葉もインパクトがあり、一般的な消費者の心を映し出しているだけではなく、心を添えて、命を扱う医療機器も支えているという意味が読み取れます。

●日立:Inspire the Next

※出典:http://www.hitachi.com/corporate/index.html

100年以上の歴史を持つ老舗企業、日立。“社会が直面する課題にイノベーションで応える”という未来に向けたビジョンをつくり、その象徴として “Inspire the Next”というスローガンを作成したようです。

翻訳しますと、「次なる時代に息吹を与える」ということを意味しますが、 “Next”という言葉にはイノベーションへの強い決意が込められていることを感じます。また、“Nextの連鎖が生まれていく”ことも想像できますね。

6:まとめ

ここまでお読み頂いた皆様ありがとうございます。 

今回は、英語のネイティブスピーカーである筆者の経験や感覚を踏まえて、英語スローガンをつくるために大切にすべきこと、また世界で有名な成功例を取り上げてきました。これらの内容が皆様にとって参考になり、「英語スローガンと共に、ビジネスでも世界に挑戦してみたい!」と思っていただけましたら嬉しいです。 

多くの日本企業は、それぞれが特別な想いを持って商品やサービスを提供していると思います。しかし、海外の企業に比べて、日本企業は謙虚でPR下手な一面があります。

高らかに言わないことの美徳もあると思いますが、もし、世界でその企業の商品やサービスを待ち望んでいる人たちがいると考えたら。あなたの企業の力で、その人たちが抱える悩みや苦しみを取り除けるとしたらどうでしょう?

 優れた商品やサービスを持っている日本企業だからこそ、しっかりと自分たちの世の中への価値提供をメッセージにし、世界に伝えていく責任があるとも言えます。そう考えると、自社のらしさや強みを簡潔に打ち出す英語のスローガンの価値は創造以上に大きいのかもしれません。

自社の想いを正しく伝えるために、まずは理念や根底にある価値観に立ち返る。その中から、最もステークホルダーに伝えるべきことを考える。それを英語でわかりやすく、インパクトのある表現へと落とし込んでいく。

そうすることで、企業の個性が輝き、自分たちの価値観にフィットしたステークホルダーにコミュニケーションを図ることができます。

もちろん自社の魅力を客観的に見て、しかも多言語で表現するのはなかなか難しいことです。一度自社で考えてみて、第三者視点を取り入れてみたい。ネイティブのコピーライターの力を借りたいと思いましたら、遠慮なくご相談いただけますと幸いです(笑)。

最後は、少し宣伝っぽくなってしまいましたが、皆さんのスローガンづくりやビジネスを通じた世界への挑戦を応援しております!

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