本業を“ズラし”て、人生を豊かに。「なぜ」から始める副業論。

副業OK、あるいは副業推進の企業が増えるに伴い、副業を始める人も徐々に増えてきました。検索窓に「副業」と入れれば、様々な選択肢があり、何をしようかと迷っている方もいるかもしれません。

何をしようかな……と考えることは楽しく、もちろん重要なこと。しかし本記事ではもう一歩踏み出して、考えてみたいと思うことがあります。

それは「何を」ではなく、「なぜ」という問い。なぜ、何のために副業をするのか。いまいちど意識して考えてみたいと思うのです。

もしこれを読むあなたが、仕事を通じ自己実現や成長を望むあなたならば。自らに「なぜ」を問いながら副業を考えることはきっと有益な時間となるでしょう。

本記事では、自分の人生を少し豊かにするための副業を考えてみたいと思います。

1:「なぜ」副業するのか。ちょっと考えてみませんか。

副業なのに、わざわざ「なぜ」を問うのが重要な理由。これはカンタンで、副業で「何を」するかからスタートすると、結局手段ありきの働き方になってしまうからです。

自分がやりたいこと、得意なこと、やるべきこと。ベースにすべき考え方をすべてすっ飛ばしていきなり手段を選ぶことを、私たちはオススメしません。

とはいえ、副業に高尚な目的意識を持てという話ではありません(仕事内容に高尚なものとそうでないものがあるという話ではそもそもありません)。

重要なのは、「なぜ」を意識してほしいというその一点です。

趣味の延長で。本業の気分転換がてら副業をしたいから。本業にも役立ちそうなスキルが身につきそうだと期待できるから。短期的にお金が必要になって、今だけは何でもいいから頑張る必要があるから。自らの原動力に自覚的であることで、副業は時間と労働力の切り売りとならずに、少し豊かなものとして取り組むことができるのではないでしょうか。

「今の仕事が向いているとは到底思えない!」といったネガティブな理由からでも、もちろんいいと思います。副業として他の世界に触れることで、自分の進むべき道が見えてくることもきっとあるはずです。

理想の人生が描けている人にとっては、そこへ向けて糧になる副業が見つかるかもしれないし、まだ理想の人生がわからない人にとっては、副業がやりたいことを見つけるきっかけとなってくれるかもしれません。

2:「なぜ」は価値観×強み×ニーズを起点に考える。

……と考えると、鋭い方はもうおわかりですね。

副業を考えるにも、本業(そもそも「仕事」というもの)を考えるときと同じような考え方が必要なのです。

ということで、何のために仕事をするのか考えるためにつかえるフレーム「価値観・強み・ニーズ」のモデルを使いながら、ここからは考えてみましょう。

価値観=物事の判断基準。大切にしたい考え方、譲れない信念。
強み =資質(行動特性・思考特性)・能力(スキル・知識)
ニーズ=他者から期待されていること。所属組織や社会から求められること。

この3つの要素の重なるところにあるのが、自分の原動力になります。要は、ここが「なぜ」の種です。

本業においては(仕事で自己実現したいならば)、この3つが重なるところにあるものを見つけるのが基本的にはよしとされています。

では、副業はどうでしょう。オススメは、このフレームを「少しズラしてみる」という考え方です。

たとえば、本業でど真ん中に取り組めているのであれば、副業はもっと自由さを求めて「価値観」×「強み」に寄ったところを追求してみようと決めてみるのもいいかもしれません。単純にお金を稼ごうと決めて「強み」一択に一時的に振ってしまうのもありだし、普段の仕事とは異なる使命感を持って「価値観」×「ニーズ」に取り組むという人もいるかもしれませんね。

あるいは、交点をずらす考え方とは別に、副業によりそれぞれの円を広げるという考え方もあります。副業によって新たなスキルが身につけば「強み」の円が大きくなるし、趣味で収入を得られるようになると「価値観」の円も「強み」の円も同時に広がるかもしれません。

そんなふうに、いま目の前の仕事とは、ちょっとだけずらすことを考えてみる。そこに、副業の「なぜ」があり、その「なぜ」を追求することでより自分が求めていた副業に出会うこともできるようになるはずです。

3:ズラすことで、副業は本業にいい影響を与える。

前章では、副業に寄って交点をズラすこととともに、それぞれの円を変えることもできるというお話をしました。

そこで、3章はちょっと発展編。ズラすことによって、結局本業へもいい影響が得られる可能性について考えてみます。わかりやすく、ふたつの可能性が考えられるでしょう。

ひとつは、ど真ん中+ズラした交点同士でいい影響を生み出すことです。副業で得たスキルや人間関係が本業に役立つなど、いい循環を生んでくれる可能性があります。

もうひとつは、円の形や大きさが変わることで、価値観×強み×ニーズの交点の場所が変わってくる可能性です。

3つのうちのどれかの円ひとつでも、大きさや形が変われば、3つが重なりあう場所が変わる可能性は大いにあります。たとえば、副業で趣味を突き詰めた結果、そこに本当にやるべきことを見つけるかもしれません。

そうやって、副業をきっかけに自分のフレームを再構築することができる(価値観×強み×ニーズは、本来定期的に見直すことが大事なものです)。副業といえど、それは、自分の仕事そのものについて、あらためて考えるきっかけとなってくれる可能性も持っています。意識的に副業に取り組むことは、自分の人生を考えるために有効な手段だと言えそうです。

4:本業と副業のバランスは変わっていい。

3章では、副業が本業に影響することについて見てきました。最後にちょっとだけ覚えておいてほしいのが、影響し合うだけでなく、このバランスは変わってもいいということです。

本業と副業の力の入れ具合が変わって副業が本業になることがあってもいいですし、そもそもふたつだけでなくもっとたくさんのものに力を分散させてバランスをとる働き方ももちろんあるはずです。

価値観×強み×ニーズに基づいて考えた結果取り組むことであれば、どれも自分が取り組むべきこと。どれが正しいかということはなく、そのときどきバランスを変えてみてもいいのかもしれません。

そうすることで、自身の仕事のあり方(世間ではこれをキャリアと呼んだりしますが)も少しずつ明確になり、積み上がっていくものではないでしょうか。

最後に、価値観×強み×ニーズのワークシートが下記からダウンロードできます。早速やってみたいと感じた方、ぜひやってみてくださいね。

価値観×強み×ニーズワークシートをダウンロード

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