自分たちのブランドを好きでいてくれるお客様のこと。普段はなんとお呼びしているでしょうか。「上顧客様」とか、「ロイヤルメンバー様」なんて呼び方をすることもありますし、「コアファン」と書かれている本も見かけます。
なかでもマーケティング用語としてよく目にするのが、「ロイヤルカスタマー」。よく耳にする単語ではありますが、自分自身の言葉で説明しようとすると、定義がぼんやりしがちなもののひとつです。
そんなこれまで曖昧になっていた「ロイヤルカスタマー」について、その定義を明確にしていこう!というのが今回の記事です。
ロイヤルカスタマーについて理解できたならば、さらに+α。必ず合わせて検討したいもののひとつに、パラドックスがブランド価値設計における基準としてオススメしている「ブランドパートナー」という概念があります。たんに現在のブランドのためだけではなく、未来のブランドをつくっていくためには必要となってくる考え方。ブランドとお客様(顧客)との関係を問い直してみるのに役立てることができるはずです。
未来のためにロイヤルカスタマーからブランドパートナーへ、もう一歩踏み込んで考えてみるのは、とても大事。ブランドを本当に届けるべき人が改めて見えてきたり、あるいはそれを考える過程でブランドや組織自体が成長していける効果も得られるからです。私たちパラドックスも、お客様である企業と一緒にブランドパートナーについて考える中で、ブランドそのものについても深く考えられる経験をしてきました。
それでは、参りますよ!曖昧だったロイヤルカスタマーについて定義し直し、さらにブランドを成長させてくれるブランドパートナーを描くところまで、一緒にやっていきましょう!
1:未来のブランドをつくるのは、ロイヤルカスタマーだけでいいの?
それでは早速。ロイヤルカスタマーの定義から始めていきます!
1-1:ロイヤルカスタマーは、たくさん買って、離れない
「ロイヤルカスタマー」をネットで検索なんかしてみると、記事によって微妙に定義が異なるものがたくさん見つかるかもしれません。どれが正しいのか迷ってしまいそうですが、重要なのは以下ふたつのポイントです。
・購入量(購入額)がたくさんあって
・いまのブランドが好きで離れないお客様のこと
もしかしたら、いままで漠然とイメージにあったのは、「ロイヤルカスタマー=購買量(購買額)の多いお客様」といったことではないでしょうか。上記2点の通り、前者だけ。もちろんそれも、大正解。ロイヤルカスタマーとは、そのブランドを好きで、たくさん買ってくれる人のことです。
でもそれが、そのままイコールかというと、そうじゃないですよね。
なぜならこの定義でいけば、たまたまセール中だったり値下げしているのを見かけて、爆買いした人も、ロイヤルカスタマーということになるから。正しいロイヤルカスタマーの定義を考えるなら、こういった一時的に購入をしてくれた人はロイヤルカスタマーとは呼びません。
だっていちどだけ大量に商品を購入してそれっきりの人と、都度の購入額は少なくても頻繁&長期的に商品を購入してくれる人は、明確に違いますよね。
なので、いちどきりではなくある程度の期間ブランドを愛し続けていて、かつ購入量(額)の多い人がロイヤルカスタマーということになります。
1-2:ブランドの未来をともにつくる「ブランドパートナー」という考え方
1−1までで、ロイヤルカスタマーとはどのような存在なのかは掴めたでしょうか。「ただたくさん買う人とは限らない」という点がポイントでした。
ここからはもう少し発展させて、お客様から長く愛され共感されるブランドになっていくために必要な「ブランドパートナー」という概念について見ていきましょう。パラドックスでは基本的に、より高いブランド価値を生み出すため、そして未来のブランドの価値を高めていくために、ブランドパートナーという考え方を採用しています。
あくまで、ロイヤルカスタマーとブランドパートナーはまったく異なるものではなく、少し発展させたもの、という前提で考えてみてください。
ブランドパートナーとは、そのブランドにとっての理想のお客様。ただたくさん買ってくれるだけではなく、ブランドの価値をよく理解し、その価値についてまわりの人に広めてくれる人。そして、ブランドのいまを愛しているだけではなく、これからの未来を一緒につくっていってくれる存在ともいえます。
ブランドを広めてくれるといっても、ブランドの価値を理解してもらった上で、ということは留意したい点。あの商品安くなってるよ!とか、こういうところでスペックの高い商品だよ!と、たんに価格やUSPではなく、ブランドの大切にしていることや価値を置いていることを理解した上でそれを広めてもらうことが重要です。
定義をまとめるとこんな感じですね。
・購入量(購入額)がたくさんあって
・いまのブランドが好きで離れず
・ブランドの価値を理解し広めてくれる
・ブランドと一緒に未来まで歩んでくれる
・ブランドを共創するお客様
いますでにロイヤルカスタマーとなってくれている人に合わせたビジネスを、行うのではなく、理想のお客様と、自分たちの描いている未来の価値の接点を探していくことが、ブランドパートナーを基に考えるブランディングだと考えてみてください。
ザックリつかめましたか? ザックリで大丈夫です。次の章でもう少し、詳しく一緒に考えていきましょう。
2:ブランドはブランドパートナーとともに成長する
2章では、ブランドパートナーについて詳しく見ていきます。ブランドはブランドパートナーと一緒に成長するものだと理解できたら、この章のゴールです。
ブランドパートナーが誰であるかを考えてみる。そうすると、自分たちのブランドがどんな人に支えられている・支えられるべきか知ることができます。それから、自分たちのブランドパートナーがわかれば、彼らの意見を聞きながら改めてブランドの立ち位置を問い直すことにもつながるかもしれません。
2-1:ブランドパートナー=ブランドの未来を一緒に描いてくれるお客様
最初はちょっと、1章の復習から。ブランドパートナーとは、そのブランドにとっての理想のお客様であり、ブランドの価値に共感し、未来を一緒に描いてくれるお客様のことでした。
「理想的」という言い方だと、少し抽象的に感じられるかもしれませんね。もう少し明確に定義づけるならば、ブランドパートナーとは、大きくは2点でブランドへのいい影響を与えてくれるお客様と定義することもできます。
ひとつはLTV(顧客生涯価値)平均の向上に寄与してくれること。LTVとはLife Time Valueの略で、ひとつのブランドや商品にもたらした利益の総額をいいます。中長期的な目線で見たとき、ブランドにより多い額の収益をもたらしてくれる、ということですね。
もうひとつはCPA(新規顧客獲得コスト)の低下に寄与してくれます。CPAはCost per Action。ブランドを発信し新規顧客を連れてきてくれる人が多いほど、CPAは下がりますね。
そして、これらが未来へと続いていく、これからもブランドと一緒に歩いていってくれる、ということも重要です。
・LTV(顧客生涯価値)平均の向上に寄与
・CPA(新規顧客獲得コスト)の低下に寄与
・過去から未来まで一緒にブランドをつくってくれる理想の顧客
逆に言えば、いくら大量に商品を購入していただいても、1回限りのお付き合いだったお客様はブランドパートナーとは呼べません。あるいは、長い間ブランドを愛し商品を愛用していたとしても、他の人に広めず「自分だけの楽しみ!」と思っているお客様もブランドパートナーとは呼べない。いまだけふたつを満たしていても、違うんですね。
ブランドパートナーを大切にしなければいけないのはわかった。でも、いちどとはいえ大量購入する人も、自分だけの楽しみと思っている人も、みんな大事にしなきゃいけないよね?
…と問われるのならば、もちろんそのとおり。上記で例に上げた人が大切でないということではないのです。
ブランドパートナーはあくまで、ブランドの価値を設計する際、基準になる・中心とする層です。必要なのは、1度きりのお客様や自分だけで楽しむお客様を否定するのではなく、彼ら彼女らにもブランドパートナーになってもらうためにどうするか、という視点。この考え方をスタートとすることで、いい施策も生まれてくるはずです。
この話は第3章で、触れていきますね。
2-2:なぜブランドパートナーが重要なの?
ブランド価値を考えるにあたり、ブランドパートナーを基準とした方がいい理由は、大きく3つあると言えます。逆に言えば、この3つを満たすお客様はブランドパートナーであるとも言えます。
ひとつめは、ブランドの売上は一部のお客様に支えられている事実があるから。これは2−1で見たことの裏返し。ブランドパートナーは、簡単にブランドから離れることはなく、長期に渡ってブランドに利益をもたらしてくれます。
よく聞かれる話かもしれませんが、ひとつの商品に関して、売上の上位20%の層が、全売上の80%を支えている、なんて話があります。つまり、そのブランドにとって多くの収益をもたらしてくれる上位20%を大切にしなければ彼ら彼女らによって売上の大半が左右されてしまう。これはパレートの法則、もしくはニハチの法則などと呼ばれるものです。
ふたつめは、新しいファンを連れてきてくれる存在であるから。先に上げた、CPAの低下の定義とつながります。ブランドをよく知って愛してくれる人が、代わりにブランドを語ってくれる存在になる。莫大な広告費をかけて無数の新規の人へ呼びかけるのとは真逆で、よりよくブランドのことを知ってもらい、新規開拓につなげることができますね。
最後に、変化を楽しんでくれるお客様を獲得する必要があるからです。ブランドは、いちど確固たるものをつくって終わりではありませんよね。その時代・社会に合わせて、少しずつ変化をしていきます。その変化の過程においても、ブランドが変わっていくことや成長していくことを見守ってくれる存在が大切になるのです。ブランドは、ブランドパートナーとともに成長します。
・ブランドの売上のほとんどは売上上位層に支えられているから
・ブランドパートナーは新しいお客様を連れてきてくれるから
・ブランドの変化についてきてくれるお客様が必要だから
2-3:ブランドパートナーは、たんに数を増やせばいいわけではない
注意したいのが、ここまで読んで「じゃあブランドパートナーをガンガン増やしていこう!」と数の発想になってしまうのはNG。ただ人数を増やそうとすると、それは単純に新規開拓のために一時的なキャンペーンをするのと、きっと似たような施策になってしまいます。
数を増やすのではなく、誰がブランドにとって重要な層なのか見極め、その層に合った施策を考えること。ブランドの価値を感じてもらい、それを積み重ねていってもらうにはどうすればいいだろうか、という視点で行動を起こす必要があります。
3章、4章では、アプローチするべき層や、施策の考え方に関して、解説していきます。
3:顧客4分類で、施策のヒントが見えてくる
ブランドパートナーは増やしていきたい。ただし、だれかれ構わず「うちのブランドパートナーに!」というのはNG。ちょっとややこしさを感じ始めた方もいるかもしれません。
その思考を整理していくために考えたいのが、具体的にブランドパートナーとは誰か?を設定していくことです。
そのためには、そもそも、「顧客」について理解&整理していく必要があります。
ひとくちに顧客と言っても、じつは区分がいくつかあります。どんな顧客がいて、それぞれにどんな特徴があるのか。ブランドにとっての顧客を4分類するフレームを用いながら、理解していきましょう。
ちなみにここでいう「顧客」とは、そのブランド・商品とある程度接点があり購入もしてくれているお客様のことを、この記事では呼んでいきます。まったくブランドを知らない人に新規でアプローチしていくことは含みません。
最初に、視覚的に見てみましょう。大きくは、この4つに分類することができます。
安原智樹(2014)『ブランディングの基本』日本実業出版社. P59
3-1:ブランドパートナー
ここは、2章でご紹介したのでおさらい程度。箇条書きで簡単にいきますね。
・LTV(顧客生涯価値)平均の向上に寄与
・CPA(新規顧客獲得コスト)の低下に寄与
・過去から未来まで一緒にブランドをつくってくれる理想の顧客
でしたね。図でいうと、ここにあたります。
3-2:ブランドキャスター
ブランドキャスターとは、CPAの低下に貢献してくれることが期待される顧客のこと。LTVの向上にはあまり関与しません。簡単にいうと、ものすごくたくさん買ってくれるわけではないものの、そのブランドのことは好きで周りにオススメしてくれるような人ですね。
あるいは、あるカテゴリを牽引する人のことも指します。業界内大手の企業や、カテゴリのインフルエンサーといったイメージですね。
ライフスタイルやライフステージが変わることで、ブランドパートナーへと変化していくこともあると言われています。たとえば、「このブランド好きだけど、いまの自分にはちょっと高くてたくさんは買えないなぁ」と思っていた人が、収入が安定したのちに、同じブランドでたくさん商品を買うようになることは想像に難くない話です。
・LTV向上にはあまり関係ない
・CPA低下には寄与
・ライフステージやライフスタイルに変化があればブランドパートナーへ
3-3:ブランドサポーター
ブランドキャスターとは対称的に、LTVの平均を上げてくれることが期待できる顧客です。情報発信には積極的ではありません。
ただ、そのブランドの価値(価格の安さだけにとどまらない)は感じていて、何度も購入をしてくれているような顧客です。よりブランドへの愛着を高める施策が必要だと言われています。
・LTV平均の向上には寄与
・CPA低下には貢献しない
・ブランドへの愛着を高める施策が必要
3-4:一般顧客
ある程度そのブランドの商品を購入してはいるものの、特別愛着があるわけでもなく、ブランドへの関与度は低い層です。LTVの向上、CPAの低下、ともに寄与しません(あくまで他の層と相対的に。全然買ってくれない・関心がない層ではない)。
特別な思い入れはないけどよくそのブランドの商品は買っていて、しかし他に新商品や価格の安い商品があれば、他に変えてもいいかなと考えているような層とイメージしてみてください。
・LTV平均向上にそれほど寄与しない
・CPA低下にそれほど寄与しない
・ブランドの商品を購入するものの、価格などに左右されやすい
4つの違いはなんとなくつかめたでしょうか。なんとなくで、大丈夫。次の章では、4つの分類基準をご紹介するので、ブランドパートナー像をより明確にしていきましょう。
4:ブランドパートナーを設定し、ペルソナを描いてみよう
ここからは、実践編。
概念として理解してきたブランドパートナーについて、「うちのブランドなら、どんな人なんだろう?」と細かく考えてみましょう。最終的には、たったひとりの「ペルソナ」を想定するところまで、やっていきます。
ブランドパートナーの設定は、以下のような手順で進めていきます。
4−1 基準をもとに顧客を4分類してみよう
4−2 ブランドパートナーのペルソナを描こう
4−3 この人が喜んでくれるのはどんな施策?
4-1:基準をもとに顧客を4分類してみよう
まずは3章で見た顧客の4分類について考えてみましょう。この分類を行う際の基準には、大きく次の3点を参考にすることができます。
① ブランドの利用金額
② 価格以外でのブランドへの志向
③ 口コミの情報発信度合い
①ブランドの利用金額
ブランドの利用金額は、その名の通り、そのブランドにどれくらいお金をかけてくれているかです。ブランドへの消費金額(たとえば、1年など期間を設けて金額を算出)を大・中・小の3段階で分けたときに、中以上か、中に満たない層なのかがひとつの分かれ目です。
②価格以外でのブランドへの志向
価格以外でのブランドへの志向。これは、ブランドを選ぶ際に「価格or品質」の判断基準において、価格を理由に購入する度合いが低い方(品質やブランドへの共感が購入の動機にある)が、よりブランドにとって理想的な顧客になりうるということです。
たんに「たくさん買ってくれる顧客」ではなく、安くなっていたからたくさん買った人とブランドへの信頼や愛着から買った人が分かれてきます。これは人に広める際に、どんなポイントで広めてくれるかという視点にもつながりますね。
③口コミの情報発信度合い
口コミでの情報発信度合いでは、ブランドについてどれくらいの情報発信をしてくれるかで顧客がわかれます。オフラインでの直接的な口コミの他、ブログやSNSを通じての発信があり、友人関係の広さやSNSのフォロワー数などが発信度合いに影響することになります。
4-2:ブランドパートナーのペルソナを描こう
4−1で見た3点を基準に4分類をすると、「自分たちにとってのブランドパートナー」ってこんな感じかな?という像がぼんやり見えてきたかと思います。
次に行いたいのは、そのぼんやりした像を、もっとハッキリと個人の顔が見えるようにしていくこと。いわゆる「ペルソナ」を設定することです。
イチ個人になるレベルまでやらなきゃいけないの?あんまり狭めすぎると偏った施策につながるのでは?と思いがちですが、ペルソナを設定することはとても重要となります。なぜなら、人間は、ハッキリと想像できないものは受け入れがたいし、ハッキリと想像できていないものに対しては判断がブレるから。
なんとなく金額や発信度でカテゴライズされた誰かではなく、志向や行動が明確な「この人に向けた施策をつくろう!」と考えられる個人を設定した方が、後々、ブランドの立ち位置を見直すときも、個々の施策を立案するときも、筋の通った考え方ができるようになるのです。
ペルソナ設定は、こんな手順でやっていきます。
①社内チームをつくろう
②ペルソナをテキストベースで描いてみよう
③社内プレゼン&議論しよう
④ペルソナをビジュアルで描いてみよう
⑤ペルソナを共有しよう
①社内チームをつくろう
社内のチームは、できるだけブランドパートナーに近いと思われるメンバー数人で構成するといいでしょう。理由は簡単で、具体的な個人を描くためには、その像とかけ離れた人が担当するとあまり現実的でない想像に行き着いてしまう懸念があるからです。それまでのマーケティングデータから年齢や性別など、だいたいのアタリをつけ、近い人たちを中心に、少数精鋭のチームをつくります。
②ペルソナをテキストベースで描いてみよう
チームが集まったら、「私たちのブランドパートナーってどんな人だろう?」とテキストベースで挙げていきます。特別凝った表現を使う必要はなく、箇条書きでOK。外の意見に左右されすぎない程度にですが、チーム外の人にヒアリングをしてみるのもいいと思います。
属性だけでなく、どんな音楽を聴くんだろうとか、どんな雑誌を読むだろうとか、想像してみるのもいいですね。できるだけその人の生活がイメージできるようにします。
ブランド・商品を知ったきっかけや、どんなときに商品を購入するか、どういった点が気に入っているかなども考えたいところ。人とブランドの関係性がつかめるようにすることが大事です。その人に名前をつけて呼んでみるのもいいかもしれません。
ポイントは、都合のいい顧客をつくろうとするのではなく、ともに歩んでいきたい顧客という意識を持って考えてみることです。あくまで理想でOKです。
ただし、その理想は現実にある要素、というのは意識してください。たとえば、理想の顧客といっても、「10代で年収が3000万円で…」みたいな描き方では、現実にある要素かどうかアヤシイですよね(10代で年収3000万円の人が全くいないわけではないけれど……)。そういう意味で、都合がいいだけではNGなのが、ちょっと難しいかもしれません。
③社内でプレゼン&議論しよう
テキストベースで人物像が描けたら、社内のチーム外(経営層など)にプレゼンテーションをして、議論。さらにイメージを深めていきましょう。
④ペルソナをビジュアルで描いてみよう
コンセンサスが取れたら、そのペルソナをビジュアル化し、さらにイメージを先鋭化していきます。イラストや雑誌の切り抜き、写真などを用いながら、イメージボードを作成します。大きめに、A2以上くらいのものをつくれるといいですね。ライフシーン別に分け、ポスターのように複数枚つくってみるのもいいかもしれません。
⑤ペルソナを共有しよう
テキスト、ビジュアルともにできあがったら、社内の必要なメンバーに共有しましょう。メンバー同士で、「この人が喜んでくれるように」と意識をひとつにすることが大切です。
4-3:この人が喜んでくれるのはどんな施策?
ここまでできたら、ブランドパートナーを描く作業は、いったん完了!おつかれさまでした。
ブランドパートナー向けの施策を行うときには、今回設定したペルソナへ向けて「この人は何を喜んでくれるだろう?」と狙い撃ちしてみること。ペルソナが喜んでくれることが、ブランドパートナーにとっていいことであり、ひいてはブランド全体の成長を底上げしてくれることです。
同じ手順で、ブランドパートナー以外のブランドキャスターやブランドサポーターにペルソナを設定してみることももちろん可能です。顧客像をハッキリさせて、「じゃあこの人はどうしたらブランドパートナーになってくれるかな?」と考えることが、また新たな施策に繋がります。
具体施策に関しては、商材やどのようなブランドパートナーかによってかなり異なりますが、以下のようなことを意識するとよいと言われています。
ブランドキャスターからブランドパートナーへ移行してもらうには、LTVを高めて行くため、長く使ってもらうための取り組みが必要です。たとえばすぐできることならば、彼ら彼女らにヒアリングをし、ブランドをよりよくするのに参加してもらうこと。ブランドキャスターに対し、この層がどんなことを望んでいるか、情報を取りに行ってPDCAを回す必要があります。この層へのヒアリングを行って、新商品を開発するなども一例です。
ブランドサポーターからブランドパートナーへは、この層の人たちに発信力を高めてもらうのが有効です。たとえばオウンドメディアを立ち上げて、ブランドサポーターのセンスを刺激するような取り組みを行っているブランドもあります。
5:まとめ
さてここまで。ロイヤルカスタマーの定義から出発して、ブランドパートナーという考え方を理解し、そこへ向けて施策をつくるための顧客理解を見てきました。自分たちが一緒に未来をつくっていくべき理想の顧客とはどんな人か、イメージをつくっていっていただければと思います。ポイントは、大事な顧客と大事でない顧客を分けようとするのではなく、分類の中ごとの適切な施策が必要だということ。ブランドパートナーとともにあり、成長し続けるブランドを、目指していきましょうね!
6:この記事で出てくる知っておきたい用語まとめ
- LTV
Life Time Value。顧客生涯価値。顧客と商品・ブランドの最初の接点から、関係が続く限りの期間において、得られる収益の総額のこと。要するに、初めて商品を買ったときからブランドを完全に離れてしまうときまでにどれくらい買ってくれたか、の総額。
- CPA
Cost per Action。顧客獲得単価。新規顧客を獲得1人あたりにいくらかかったかを示すものです。
- ペルソナ
顧客の中での重要な人物の像。年代や性別などのざっくりしたターゲット像ではなく、ライフスタイルや行動など細かに設定します。
- パレートの法則(ニハチの法則)
2割の要素が、全体の8割を左右するという法則。理論だった考えがあるというよりは、経験則に近いものです。
7:この記事で参考にした書籍まとめ
村尾隆介・森川綵 (2011)『「変える」は会社の毎日のお仕事』朝日新聞出版.
安原智樹(2014)『ブランディングの基本』日本実業出版社.
佐藤尚之(2018)『ファンベースー支持され、愛され、長く売れ続けるために』精興社.
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