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清酒発祥の地、奈良。
風土豊かな「手つかずの日本」の魅力を、
インバウンド市場に伝える。

CLIENT:奈良県 観光局さま

  • 地方創生
  • 奈良県

1ブランディングの背景と課題

世界遺産の数は全国最多であり、国宝の数も全国第3位。奈良県には日本の歴史的産物が多数残されています。しかし一方で、インバウンド観光客が奈良駅周辺に集中してしまい、それ以外の地域の観光客数が限定的であるという課題を抱えていました。また、訪れても宿泊せずに帰ってしまう方も多く、観光消費額も伸び悩んでいました。

 

そこで奈良県が注目したのが、日本酒です。実は、奈良県は清酒発祥の地。その特徴を活かし、日本酒を通じて奈良県が持つ歴史や文化について伝えていくことで、奈良県がインバウンド市場から旅行先・宿泊先として選ばれる場所になること、それに伴い県内の観光消費額を増やすことを目的として、ブランディングのご依頼をいただきました。

 

ーーーーーーーーーーー尚、本事業はマーケティングやイベントの企画運営などを強みとする阪急阪神マーケティングソリューションズ株式会社とブランディング・クリエイティブを強みとするパラドックスの協働で手掛けました。ーーーーーーーーーーー

230蔵以上へのヒアリングを通じた紐解きと市場ニーズのリサーチ

奈良県というブランドの軸となるコンセプトを策定するにあたり、ヒアリングやリサーチ、ワークショップを通じて「奈良にしか言えない、奈良らしさとは何か」を考えていきました。

まずは、奈良県酒造組合の方々を中心に、30以上の酒蔵や、飲食・宿泊施設などへのヒアリングを実施。

ヒアリングを通じて、

・日本酒のバリエーションが多く、酒造りの技術が高い

・日本の「創生風景」がいまだに残っている

・相撲、芸能、日本最古の道など、奈良は「発祥」のオンパレードである

など、奈良県の魅力・強みが見えてきました。

 

また、客観性のあるプランニングを行うため、阪急阪神マーケティングソリューションズさまと協業し、インバウンド市場の現状や日本酒の地域ブランディングについてのリサーチを行いました。そこから分かったのは、

 

・奈良を訪れた外国人の約6割が奈良の酒造りを知らず、喫食経験も約2割にとどまっている。しかし、情報に触れると約7割が奈良酒を「魅力的」と感じており、認知拡大による伸びしろが非常に大きい

・単に飲むだけでなく、「奈良酒の飲み比べ」や「寺社巡り」「酒蔵見学・造り体験」といった体験型コンテンツが強く求められている

 

ということ。現状の認知度は高くはないものの、「日本の清酒発祥の地である」「長い歴史や神話とのつながりがある」といった独自のストーリーを知ることで、訪日外国人の関心が大きく高まることがリサーチによって確認されました。

3限られた回数のワークショップ設計の工夫

今回、酒造や飲食店、宿泊施設など複数の関係者が参加するプロジェクトのため、2回という限られた回数でコンセプトをつくる必要がありました。そのため、コンパクトでも深められるような問いの設計を意識してワークショップを実施しました。

 

中でも印象的な答えが多かったのは、2つ目の「まだあまり知られていないかもしれないけれど、自分たちが本当に誇りに思っていることは?」という問い。「空が広い」「近所のお祭りが好き」「時間の流れがゆっくり」「大きく変化しないところ」など、地元民だからこそ感じられる、情緒的な奈良の魅力が数多く浮かび上がってきました。

 

これは裏を返せば、奈良県には、世界的に注⽬される遺産・資産が、ありのままの姿で至るところに残されているということ。つまり、1300年前と同じ空や景色を、手つかずの日本を味わうことができる。

 

また、インバウンド市場が何を求めているか、観光地での街頭インタビュー等も交えながら考察を進めました。すると、京都や大阪といった有名観光地は、外国人観光客で溢れており、日本文化を体験したいと思って来たのにがっかりするような体験が増えているという実態が明らかになってきました。

 

奈良らしさとインバウンド市場のニーズ。この二つの重なる領域から、コンセプトを考えていきました。

4コンセプトの策定

策定したコンセプトは、

 

Immerse in Japan

〜息を呑む、日本へ〜

 

東京や京都など、日本の主要都市の観光地化・オーバーツーリズムが進む中、奈良にはゆったりとした空気や、世界的な遺産が数多く残されている。

 

そんな場所だからこそ、まるで1300年前のまま残されたような、手つかずの日本に没入(=Immerse)し、つい息を呑んでしまう。

 

他の地域では絶対に言うことができない、奈良でしか味わえないブランド体験をコンセプトに込めました。

5コンセプトを軸に、掛け算をつくるブランディング

ブランディング戦略を立てる上で大切にしたのは、「掛け算をつくる」ということ。

奈良には歴史的な遺産・資産が多数あるからこそ、特定のコンテンツだけを訴求するのではなく、それらの素材を掛け合わせ、「手つかずの日本」を複合的に体験したくなるよう設計しました。「歴史」「酒」「宿泊」「自然」「食」「芸術」という6つの切り口から、奈良でできる没入体験を描き、奈良の魅力を複合的に伝えています。

また、阪急交通社さまと連携して行った日本酒体験ツアーの企画においても、「清酒発祥の寺院で住職から歴史について教わった後、伝統的な日本酒を呑む」というように、歴史と日本酒を合わせて体験できる設計に。結果、ツアーにおいて用意していた約30名の枠が即完売するなど、「手つかずの日本を堪能できる」奈良の魅力を感じていただいています。

 

本プロジェクトはまだ始まったばかりです。今後は、策定したコンセプトを軸にしながら、海外プロモーションの展開や、さらなる旅行商品の拡大が想定されています。「本物の日本に没入するなら、奈良」という新たなブランドイメージの構築を目指して、今後も様々な施策を重ねていければと思います。

 

【特設サイトはこちら】

https://yamatoji.nara-kankou.or.jp/immerse-in-japan/