「ブランド構築って、何から始めればいいの?」
「ブランド構築には何が必要なの?」
「ブランド構築といっても色々あって、どれが正解かわからない。 」
これまでに多くの企業様のコーポレートブランディングを手がけてきたパラドックスですが、
実際に問い合わせをくださるお客様とお話しをする中で、このようなご質問をよくお聞きします。
日本ではブランド構築を考える際に、多くのケースでロゴやブランドカラーなど、
表面的なデザインのみを制作することをブランド構築と捉えるケースが多くあります。
しかし、ロゴやコーポレートカラー、スローガン変えるだけでは、
ブランド構築をしたとは言えません。
ロゴやスローガンなどの制作は、ブランドの外見を整えるパートであり、
ブランド構築全体のほんの一部分に過ぎないのです。
当然のことながら、外見を変えるだけで、
売上や働く社員のモチベーションが上がれば苦労しません。
本当に大切なのは、ブランドとしてのあり方から、見つめ直すことで、
名実伴ったブランドにしていくこと。
本物のブランドとは、時をこえ、場所をこえても、多くの人たちから必要とされる存在。
ここでは、真に社会から愛されるブランド構築をするために、必要な要素と考え方、
そして構築の仕方までをご紹介します。
1:企業にとって、なぜブランド構築は必要なのでしょうか。
テクノロジーの進化に伴い、情報が溢れる世の中になりました。
人々の嗜好も多様化し、マーケットの変化もこれまで以上に激しくなっています。
競争が激化するマーケットにおいて、
多くの企業が自社の製品やサービスをより多くの消費者に効率的に届けるためには、
商品やサービス、そして企業自体の価値の差別化をはからなければいけません。
多くの競争相手の中から選んでもらうために、
「○○といえば、このブランド」というようなイメージを抱いてもらい、
他のブランドとの違いや優れた点を認識してもらう必要があるのです。
1-1:ブランドは、人間より長生きする。
ブランドは人間がつくるものですが、上手く育てば人間よりもはるかに長く生きることができます。
当たり前のことですが、人間は100年、200年と永遠に生きることはできませんが、
時代を超え、世代を超え愛されるブランドは世界中に存在します。
一人のカリスマによって作られたブランドは、時代の寵児にはなりますが、
そのカリスマがいなくなると同時に急に色あせてしまうことも多いのが現実です。
しかし、ブランドとしてのあり方やビジョンが明確になっていれば、
様々な人の手によって、そのブランドは存続し、成長し続けることができるのです。
1-2:ブランドは、時代に応じた柔軟性をもたらす。
企業であれば、企業のミッションやビジョンといった企業理念が明確になっているほど、
長く続くブランドになるケースが多いです。
例えばですが、突然経営者が変わっても、企業理念がしっかりとしていれば、
後を継いだメンバーによって、その企業は経済活動を進めることができ、
さらには時代に合わせて変化をさせていくことができます。
限りある命を持ったカリスマ経営者といった一人を中心にブランドをつくっていくのではなく、
ブランドの思想やあり方を中心に、経営者、社員、
そしてユーザーが対等な位置に立てる関係性を築くことで、
時代や外的環境の変化に対応できる柔軟性を持っていきます。
強い思想と柔軟性を併せ持ったブランドこそ、
中長期的にも安定している本当に強いブランドということがいえるでしょう。
世界的に見ても日本に長寿企業が多く、ブランド力のある企業が多い理由の一つにも、
企業理念を掲げることで、経営者が変わっても、世代をこえて新しいリーダーが生まれ、
組織として存続し続けられる仕組みができているからなのです。
1-3:ブランドに必要なのは、差別化と差積化。
ブランド構築で欠かすことができないのが、ブランドの差別化と差積化です。
ブランドの差別化とは、他ブランドとの違いや有利なポイントをつくり、際立たせていくことです。
ブランドの立ち上げ期には重要ですが、人々に認知され、真似をされることで、
徐々に一般化していく傾向になります。
そこで長く、多くの人たちから長く愛されるブランドになるためには、
差別化に加え、差積化と言われる継続的に他のブランドとは異なる付加価値を
提供し続ける活動が必要になってきます。
差積化を通じて、常にブランド価値を向上させるため、
ターゲットに対する体験やコミュニケーションなどの継続的なブランディング活動を通じて、
中長期的に付加価値を積み上げていきます。
出典元:ブランディングの基本 安原智樹氏 日本実業出版
1-4:やり方ではなく、あり方をぶらさない。
ブランドの差別化と差積化の進めるうえで大切な考え方に、
Beingと Doingと呼ばれるものがあります。
Beingとは、ブランドのあり方であり、存在理由です。
時代が変わっても、決して変わることのない使命や思想を表します。
一方で、やり方であるDoingはマーケットに合わせ、日々とトライ&エラーを繰り返しながら、
時代時代で最も相応しい方法を試していきます。
マーケットの変化の激しい現在では、
手法や方法であるDoingを追い求めすぎるとマーケットに振り回されてしまいます。
ブランド自体のBeingを明確にし、
着実に付加価値と信頼を積み上げていくことが息の長いブランドを構築するためには大切で、
Doingに一喜一憂する必要はありません。
1-4-1:松尾芭蕉の不易流行
俳人である松尾芭蕉も同じような考え方を「不易流行」という言葉で表現しています。
「不易」・・・時代の新古を超越して不変なるもの、木に例えれば幹や根
「流行」・・・そのときどきに応じて変化してゆくもの、つまり葉や花
変化の激しい現代社会で、企業経営は目先の葉や花から考えてしまいがちです。
しかし、根、幹、そこから伸びる枝がしっかりとしていなければ、
草花のようにすぐに枯れてしまう。
「不易」を踏まえた「流行」。
その両方を意識した経営が、長期的な利益に結びつくと考えます。
不易流行についての詳細は、下記の記事も併せてご覧ください!
「長く続く経営をするために知っておきたい、「不易流行」の考え方やその大切さ。」
1-4-2:サイモン・シネックのゴールデンサークル
米国のコンサルタントであるサイモン・シネックはその著書「WHYから始めよ!」で、
前述の松尾芭蕉と同じ考え方を、ゴールデンサークルというフレームを用いて説明しています。
シネック氏によると、人は「なに」ではなく、「なぜ?」に動かされる生き物であり、
それを知っている優れた組織は内側から外側に向けてメッセージを伝えていくと説明しています。
>中心:WHYなぜそれをやっているのか?(企業の目的・使命)
>内円:HOWそれをどうやってやるのか?(目的を実現する手段・やり方)
>外円:WHAT なにを提供しているのか?(商品・サービス)
WHY=不易、WHAT=流行という捉え方をすれば、両者とも同じことを説明しています。
東洋、西洋問わず、時代も問わずブランド構築に必要な考え方が見えてきます。
2:ブランドの構築に必要な要素とは?
では実際にブランドを構築する上では、どのような要素が必要になってくるのでしょうか。
ブランドを構成する基本的な要素をご紹介していきます。
2-1:ブランド構築における4つの要素。
ブランド構築に必要なのは、以下の4つの要素です。
マインドアイデンティティ(MI)企業の思想・理念・志などの考え方・あり方特徴
ビヘイビアアイデンティティ(BI)関わる人々の行動特徴
ビジュアルアイデンティティ(VI)ロゴやブランドカラーなどの表現的な特徴
コーポレートアイデンティティ(CI)上記3つを合わせたブランドとしての人格
日本では、多くのケースで企業ロゴやスローガンを制作することを
ブランド構築と捉える傾向がありますが、それは外見を整えるブランド構築の一部に過ぎず、
中身の伴った真の価値があるブランド構築とは異なるものです。
企業も法人と言われるように人格があります。
考えていることと、実際の言動が一致しない人が信用されないように、
企業も思想と言動が一致しない場合は、世の中から信頼を得ることができません。
マインドアイデンティティ(MI)
ビヘイビアアイデンティティ(BI)
ビジュアルアイデンティティ(VI)
コーポレートアイデンティティ(CI)
2-1-1:マインドアイデンティティ(MI)とは?
マインドアイデンティティ(以下MI)とは、企業の思想・理念・志といった、
企業の根本になる考え方・あり方の特徴を表すものです。
全ての企業活動の意思決定の軸となり、判断基準となります。
例えば、企業が新しいビジネスを始める際にも、
そのビジネスで利益が出るか、出ないかだけではなく、なぜそのビジネスを始めるのか、
自社が取り組む必然性があるか、自社らしさがあるか、などの判断基準になります。
例えば、スターバックスは、設立当初シアトルで単なるおしゃれなカフェではなく、
忙しいビジネスパーソンのために、オフィスでも、家庭でもなく、
リラックスできる第3の場所づくり“サードプレイス”というキーワードを掲げていました。
現在でも、その思想は、店舗、サービスなどいたるところに見ることができます。
この基準が明確でないために、企業ブランドと事業ブランドのギャップが大きく、
対外的に見た際にブランドとしての統一感がないように見えてしまう企業は多いです。
2-1-2:ビヘイビアアイデンティティ(BI)とは?
企業理念のようなMIが、社員やスタッフが実際の行動に紐づくことで、
その企業独自のビヘイビアアイデンティティ(以下BI)が生まれます。
例えば、店舗を持っているBtoC企業の場合であれば、店舗スタッフの挨拶や話し方など接客、
人事で言えば学生や転職者の方とのコミュニケーションなどが、
しっかりと企業理念に沿っているかなどが、企業のBIを形作っていきます。
後述する理念ワードの中で特にBIを表すものが、企業のミッション・ビジョンを実現するうえで、
メンバーが日々大事にすべき心がけや精神をスピリット(行動指針クレド)と呼びます。
スターバックスの音の出ない紙コップや柔らかいソファー、
決して急がず、急かすことのないスタッフの接客などは、
全て第3の場所“サードプレイス”を演出するための、ビヘイビアです。
2-1-3:ビジュアルアイデンティティ(VI)とは?
ロゴやブランドカラーなどの視覚的、表現的に企業の特徴を表すものが
ビジュアルアイデンティティ(以下VI)です。
ブランドマスコットなども、この一つと言えるでしょう。
かつて日本ではVIブームと呼ばれるものがあり、企業がこぞってロゴやコーポレートカラー、
店舗の従業員のユニフォームなどを変えた時代がありましたが、
多くの場合対外的なイメージの改善といったマーケティング要素が強いものでした。
企業独自のMI、BIを合わせた特徴を視覚的に表現することで、
コミュニケーションのスピードと届く範囲を広げていくことがVIの役割です。
スターバックスでは、緑のロゴカラーのもと、
航海を通じて世界に広がったコーヒーの由来と人々を魅了するセイレーンを用い、
ロゴマークがプリントされたテイクアウト用の紙コップと紙袋、
クラフト感のある内装で店舗を統一させることで、
どこから見ても一目でスターバックスと認識できるVIの構築に成功しています。
現在では、スターバックスという社名を外してさえも、
スターバックスと認識されるようにまでなっています。
2-1-4:コーポレートアイデンティティ(CI)とは?
上記のMI、BI、VIの3つを合わせたブランドとしてのアイデンティティを表したものが、
コーポレートアイデンティティ(以下CI)です。
企業理念、社員の行動、そして対外的な視覚的な見え方、この全てに統一感があり、
一つの軸があることで、はじめて企業としての信頼感につながっていきます。
近年SNSにより、従業員やアルバイトスタッフの不適切行動が
世の中に出ることが多くなりましたが、
その多くが企業理念や企業らしさの不理解や企業で
働くことへの誇りや自覚の欠如といえます。
実際にパラドックスにもそういった悩みを抱える
企業様からお問い合わせをいただくこともあり、
理念策定および浸透などを通して改善のお手伝いさせていただいております。
逆に、派手さはないですが、しっかりとした理念があり、
そこで働く人たちも誇りをもっている中身の伴った企業であれば、
着実に世の中から信頼を得ることができるともいえます。
3:コーポレートアイデンティティは、ミッションを起点に構築していきます。
コーポレートアイデンティティの中心にくる企業としてのミッションは、
ブランドらしさや価値観を紐解いたSEEDSと、
社会・時代の課題や要請であるNEEDSとの接点から生まれます。
ブランド構築では、そのミッションを起点にブランドらしさを言語化していきます。
3-1:SEEDSとNEEDSの重なる場所に、ミッションは存在します。
>SEEDS :ブランドらしさ・価値観を紐解く。
例えば、企業も「法人」というように、「人格」があるように、
ブランドにはキャラクターがあります。
まずは、そのブランドがどんなキャラクターなのかをつかむことからはじめます。
そのためには、創業者やブランドの歴史をしっかりとひもとくことが大切です。
多くの企業には、創業から数々のドラマを経て「今」があります。
どんな思いでここまでビジネスをやってきたのか、また大きな岐路に立たされたとき、
どんな価値観で、どんな意志決定をしてきたのか等。
いわゆる「意志決定の基準」を明確にしていく作業を通して、
そのブランド「らしさ」や「強み」を浮き彫りにし、独自のストーリーづくりの土台とします。
>NEEDS:社会・時代の課題・要請と紐づける。
どんなに世の中が進歩しても、常にたくさんの課題が存在します。
また、テクノロジーの進化によって、課題が解決されたとしても、それは次の課題を生み出します。
社会が進化し続ける限り、課題は生まれ続けます。
その課題解決をしていくのが、商品やサービス、企業の使命です。
それぞれが保有するブランドの「らしさ」や「強み」をひもといていくなかで、
世の中のどんな課題を解決しているのか、解決しうるのかを探りその接点を見つけていきます。
4:具体的なブランド構築のステップ。
次に、実際にブランド構築を行うためのミッションワードの言語化、
そして、そのブランドとして大切にすべきブランドパートナー(以下BP)の設定を行い、
その後、そのミッションワードとBPをつなぐブランドストーリーのつくり方を紹介していきます。
4-1:ブランドらしさを言語化する理念ワードづくり。
企業理念ワードは基本的に、以下の5つの要素からできています。
・ミッション
・ビジョン
・バリュー
・スピリット
・スローガン
>ミッション
まず、企業理念の中心に位置付けられるものがミッションです。
ミッションとは、企業が存在している意味、企業が果たすべき使命のことを表し、
進化することはありますが、時代や外的環境の影響を受けてすぐに変化をするものではありません。
>ビジョン
次に、ミッションを日々繰り返すことで企業として目指すべき未来。
自分たちが実現させたい未来の姿がビジョンです。
自社だけの未来ではなく、自らのビジネスを通じてどのような社会を実現させたいかという
社会的意義や価値貢献までを内包するものです。
>バリュー
ミッションに基づき、世の中に対するブランドの約束。
ブランドが、マーケットやお客様に提供していく
そのブランドにしか生み出せない価値がバリューです。
>スピリット(クレド)
ミッション・ビジョン・バリューを実現するため、
組織に屬する一人ひとりが日々どう考え、どう行動すべきか、
という心がけや行動指針を表したものがスピリットです。
スピリットは、企業によってはクレドと言い換えられる場合もあります。
>スローガン(タグライン)
最後に、ブランドが目指すビジョンをマーケットやお客様に向けて、
そのブランドらしさをふまえながら、分かりやすく伝えるための合い言葉がスローガンです。
▲タイガー魔法瓶様事例
4-2:ブランドにとっての真の顧客(ブランドパートナー)を定める。
不特定多数のマスターゲットへの訴求を目指すブランドでない限り、
ブランドにとって本当に大事にすべき真の顧客=ブランドパートナーを
明確にすることが大切です。
現在のように情報とモノに溢れる社会では、
マスコミュニケーションがターゲットに届きにくい状態になっています。
ブランドにとって、味方になってくれそうな顧客、ブランドの価値を共に創り、
一緒に育てていけるようなBPをどれだけ増やせるか、
そしてそのブランドパートナーの周りにいる人々にブランド訴求をできるかを考える必要があります。
ブランドパートナーの定義は、長くブランドを使用してくれるかを表す
顧客生涯価値(Life Time Value)(以下LTV)とインフルエンサーになって、
周囲にいる人たちにブランドを紹介してくれたり進めたりしてくれるか、
つまり新規の顧客獲得コスト(Cost Per Acquisition)(以下CPA)を
下げてくれるかにとって分類されます。
出典元:ブランディングの基本 安原智樹氏 日本実業出版
▶ブランド・パートナー
ブランド価値を設計するときに基準となる人々。
▶ブランド・キャスター
CPA低下に貢献することが期待される顧客。情報発信が期待できる人々。
品質に関心の重心があるため、ブランドのコンテンツ提供価値への反響が期待できる。
▶ブランド・サポーター
LTVの平均を上げてくれることが期待される顧客。ビジネス貢献度が高い人々。
生活での情報受発信は相対的に弱く、ブランドから離れていかないようにする工夫が必要。
▶一般顧客
消費量は期待できるものの、品質より価格コンシャス度が相対的に高めな人々。
顧客生涯価値(LTV) をあげるブランドターゲットか。
新規顧客獲得コスト(CPA)を下げるブランドターゲットか。
それぞれへの貢献度が高いターゲットが、「ブランドパートナー」となっていきます。
ブランド価値を高めていく上で、理想の顧客像を中心に考え、
顧客満足が高まる活動をしていきます。
同時に他のカテゴリーの顧客もよりブランドパートナーへと近づける努力をします。
4-3:ブランドとブランドパートナーをつなげるストーリーをつくる。
そのブランドらしい必然性のあるストーリーを構築するために、
ブランドらしさ起点の発信で、唯一無二のブランドストーリーをつくる必要があります。
ブランドをストーリーとして言語化することで、ブランド価値をBPに向けて、
断続的な点で伝えるのではなく、継続的な線で伝えていくことで、
ブランドとしての伝えたい情報に優先順位をつけたり、
統一した世界観の演出がコントロールがしやすくなるという利点があります。
まずはブランドのらしさやDNAからストーリーを発想し、それを軸に商品やサービス一つ一つが、
ブランドパートナーが抱える課題や期待にどのように応えていくかを考えていきます。
4-4-1:ブランドストーリーの8つの方向性。
出典元:ブランディングの基本 安原智樹氏 日本実業出版
上記のように、ブランドストーリーで取り上げる価値には一般的に8つの方向性があります。
それぞれリレーション提供とコンテンツ提供という軸と、
感性的アプローチと理性的アプローチという軸で4象限に分類され、各象限に2つづつ、
計8つの価値創造の方向性があります。
コンテンツ提供価値グループ(逸話、情景、提案、証明)の領域の方が、
リレーション提供価値グループ(応接、仲間、共創、社会)より実務のハードルが低いため、
取りかかりやすい傾向があります。
コンテンツ提供価値グループ
- 逸話
- 情景
- 提案
- 証明
リレーション提供価値グループ
- 応接
- 仲間
- 共創
- 社会
ただし、実際はブランドとブランドパートナーの関係づくりを踏まえて、
最適な価値提供とは何かを優先順位につけながら、
ブランドストーリーをつくっていく必要があります。
感性側の領域は長期的な貢献度が高く、理性側の方が短期的という傾向があるので、
ブランド構築を急ぐ場合には、理性側を集中的に考えていくことが効果的です。
消耗消費財はマーケティングでもコミュニケーション費用が多いので、
新規顧客獲得コストの低下が収益貢献につながりやすいとされています。
一方で耐久消費財のようなCRMへの費用が比較的多いカテゴリーでは、
顧客生涯価値の重視でリレーション提供価値に先行して取り組む方が
効果が見えやすいかもしれません。
価値創造の8方向
カテゴリー①
感性的アプローチ × コンテンツ提供価値
商品・サービスを通じて感情に触れる価値グループです。
商品・サービス自体を通じて、顧客の持つ感覚や情緒に触れていくことを
目指すアプローチ方法です。
・逸話
人に語りたくなるエピソードで価値を創る。
・情景
「らしさ」を具体化して価値を創る。
カテゴリー②
感性的アプローチ × リレーション提供価値
人を通じて、感情に触れる価値グループです。
関係する人々を通じて顧客の持つ感覚や情緖に触れていくことを目指すアプローチ方法です。
・応接
もてなしを具体化して価値を創る。
・仲間
気心の知れた場づくりで価値を創る。
カテゴリー③
理性的アプローチ × コンテンツ提供価値
商品・サービスを通じて思考に入っていく価値グループです。
商品自体を通じて顧客の持つ論理や思考に入っていくことを目指すアプローチです。
・提案
知って得する知恵で価値を創る。
・証明
客観的な事実で価値を創る。
カテゴリー④
理性的アプローチ × リレーション提供価値
人を通じて、思考に入っていく価値グループです。
関係する人々を通じて、顧客の持つ倫理や思考に入っていくことを目指すアプローチ方法です。
・共創
お互いのリクエストに応えて価値を創る。
・社会
世間に関わり合うことで価値を創る。
4-4-2:ブランド価値は、企業とブランドパートナーのエネルギーで増殖する。
ブランド価値には企業側とブランドパートナー側からの2つの動きが含まれています。
価値創造は、基本的に提供側である企業側が主体となる活動ですが、
ブランドパートナー側からのポジティブな反応を伴うことで、
ブランディング活動が永続的で、価値増殖できる仕組みを持つことができます。
ブランドに向かう双方の関心やエネルギーが一体となる程、
効率が良い(コストがかからず、ベネフィットを生み出す)状態を実現させることができます。
従来のブランディングは企業側からの一方的なものでしたが、
現在ではネット社会の進化により、企業側とブランドパートナー側が相互に関わり合いを持ち、
ブランドを育てることで絶えず鮮度の高いブランドの提供価値を
生み出し続けることができるようになりました。
5:まとめ
外的要因やマーケットに左右されない、
真のブランド構築を目指しましょう。
ブランド構築の全概要いかがでしたでしょうか。
本来のブランド構築とは、ブランドそのものが持つらしさやあり方をしっかりと定めた上で、
その価値を正しい顧客に届けることで、初めてその形を成していきます。
ついつい最初に目が行きがちなマーケットや流行などの外的要因への対応だけでなく、
そもそものブランドの価値とは何か?どのような考え方やらしさを大事にしていくべきなのか?
というあり方を中心に据えたブランドとしての幹を定めることが先決です。
そして、一緒にブランドを育ててくれるブランドパートナーを見つけ、
双方向的に付加価値を積み重ねていく。
すると、そのブランドパートナーの周りに、次のBP候補が集まりだし、
徐々にブランドが社会に浸透していくという流れが生まれてくるのです。
ブランドも人間と同じように、何を考え、どのように振る舞い、どのような表現をするか。
そして誰と付き合うかが大事になってきます。ブランド構築は1日にしてならず。
BeingやDoing そして差別化と差積化を意識しながら、本質的なブランド構築を目指してください。
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