コーポレートサイトの本当の役割と入れるべき10の要素。

「コーポレートサイトをつくりたい」

「コーポレートサイトをリニューアルしたい」

でも、どこから始めればいいのか。
どんなことを知っておけばいいのか。
そもそも、サイトで何を語ればいいのか。

この記事に辿り着いたということは、上記のような悩みをお持ちなのではないでしょうか。

インターネットやスマートフォンが普及し、多くの会社がコーポレートサイトを持っているのが当たり前となったいま、私たち株式会社パラドックスにも、上記のようなお問い合わせを数多くいただきます。

ただ、持っているのが当たり前だからという理由だけで、コーポレートサイトをつくったり、リニューアルを実施したりしても、それは全く意味がありません。

コーポレートサイトづくりにおいて最も重要な点は、今風のデザインでも流行を追ったUIでもなく、「コーポレートサイトをつくる目的」と「企業のらしさ」がしっかりとサイトに内包されている、ということです。

たとえば、この二つのトップページをご覧ください。

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実はこの二つのトップページは、同じ会社のリニューアル前後のものです。同じ企業でも、表現次第で企業のメッセージや世界観の伝わり方が変わることがお分かりいただけるのではないでしょうか。

筆者である私もパラドックスのディレクターとして、企業様のブランディングに携わらせていただく中のアウトプットのひとつとしてコーポレートサイトを制作する機会が多くありました。

その経験を踏まえてみても、コーポレートサイトの目的を改めて考え、その企業らしい内容およびデザインを考えることが、お客様・求職者・投資家・自社の社員といったあらゆるステークホルダーに信頼してもらう上で非常に大切だということを実感しています。

今回の記事では、

・コーポレートサイトを持つ目的

・得られる効果

・サイトに入れるべき要素

・制作時に大切にすべきポイント

について書かせていただきます。

自社でサイトをつくる場合でも、制作会社さんに外注する場合でも、必ず知っておいてほしい点だけを凝縮しておりますので、ぜひ最後までお読みいただき、あなたの企業にとっての最高のコーポレートサイトづくりにお役立ていただけますと嬉しいです。

CONTENTS

1:コーポレートサイトの目的は、「企業の存在意義を語り、信頼とファンを増やすこと」。

コーポレートサイトをつくる上で、まず知っておいていただきたいのは、サイトの目的です。

サイト制作となると、すぐに制作を始めたくなると思いますが、しっかりとした目的を置かずに作り始めてしまうと、然るべき人にその企業のことが伝わりきらないフワッとしたサイトになってしまうので、ここは必ず読んでいただきたい重要なポイントです。

私たちパラドックスでは、コーポレートサイトの目的を「企業の存在意義を語り、信頼とファンを増やすこと」としています。

web上における企業の顔でもあるコーポレートサイトには、初めましての人、お客様、求職者、投資家など、日々様々な方が訪れます。

どの方も、最終的なニーズはそれぞれです。ただ、その企業の商品を買うにしろ、その企業で働くにしろ、その企業に投資するにせよ、まずはその企業が「信頼できる」ということがベースにあります。

この記事をお読みのみなさんも、最初から信頼できていない企業で働こうとは思わないはずです。

あらゆるニーズを持った人たちが集まってくるからこそ、とにかく信頼してもらい、ファンになってもらう。これがコーポレートサイトの一番の役割になるのです。

企業にはコーポレートサイトの他にも「採用サイト」や「商品・サービスサイト」などが存在すると思います。

採用サイトの目的は「企業のビジョンを実現するための同志集め」。商品・サービスサイトの目的は「商品やサービスをその企業ならではのストーリーと一緒に届けることでファンになってもらう」、となります。

これら3つのサイトはそれぞれ目的が違うので、1つのサイトにまとめず、目的に応じて独立させてつくることがおすすめです。

では早速、コーポレートサイトの目的でもある、企業の存在意義とは何か。また、信頼とファンを増やす意義を説明していきます。

1-1:企業の存在意義とは。

企業の存在意義とは、その企業の軸となる思想や使命、志といった根本になる考え方。つまり、企業理念や社是などがそれにあたり、

  • その企業が何のために存在しているのか
  • どこに向かって企業活動をしているのか
  • その企業の強みは何なのか
  • 日々どういったことを心がけているのか

上記のような、その企業のあり方がまとまっていることがベストです。

コーポレートサイトでは、たとえば「企業理念」「ミッション・ビジョン」「私たちについて」「About us」という名称で1ページを設け、企業の存在意義をしっかり語っていくことが非常に大切です。

また、トップページでは、ただなんとなくのかっこいいキャッチコピーを置くのではなく、理念を起点に考えたその企業の中枢を捉えたメッセージを据えることが望ましいです。

では、なぜコーポレートサイトで企業の存在意義を語ることが、そんなに重要なのでしょうか。

※企業理念について、より詳しく知りたい方はこちらの記事も併せてお読みください!
→「企業理念とは?100年続く企業になるために必要な企業理念を徹底解説。

1-2:企業の存在意義は、信頼とファンを増やす。

テクノロジーが進化した現代社会においては、ありとあらゆる企業、商品、サービスが世の中に溢れています。ぱっと見あらゆるものがコモディティ化してみえるその中で、果たして人々は何を基準に買う物、働く場所、投資先などを選んでいるのでしょうか。

「何を買うか」ではなく「何を信頼するか」。
と言われるように、人々は企業、商品、サービスの表面的な部分だけではなく、様々な情報を取得しながら、それらのストーリーや信頼性、知人の声などを考慮にいれて日々の選択を行っています。

たとえば、この記事をお読みいただいているPCやスマートフォンも、目についたものをとりあえず買ったという人はおそらく少なく、それなりに調べたり、親しい人に意見を聞いたりしたのではないでしょうか。中には、Appleファンのように企業のストーリーやスタンスが好きでApple製品を購入されたという方もいるかもしれません。

話はコーポレートサイトに戻りますが、信頼されるか否かが非常に重要になっているいまこの瞬間も、サイトには日々たくさんの人たちが訪れています。

  • その企業のことをよく知っているお客様
  • 商品やサービスでその企業のことをはじめて知り、さらに詳しく知ろうとしている人
  • 採用試験を受けようと思ってきた人
  • 投資先を探している人

こういったあらゆる人たちから信頼してもらうためには、ちゃんとデザインされたコーポレートサイトが存在するということももちろん大切なのですが、それ以上の信頼を得るためには企業の存在意義を語るということが非常に有効なのです。

イギリスの組織コンサルタントであり作家のサイモン・シネック氏がTEDで語ったゴールデンサークルという理論では、人に何かしらの情報を伝え、行動を促したい時に、「Why・How・What」という構成要素が存在し、「Why」から伝え始めることの重要性を説いています。つまり、人は「何をしているか(=What)」ではなく、「なぜ、それをしているか(=Why)」に心を動かされるということです。

このゴールデンサークルをコーポレートサイトに当てはめて考えると、提供している具体的な商品やサービス(=What)の情報も必要ですが、それ以上に「なぜ、その企業はその商品およびサービスを展開しているのか」というWhyがあることがとても重要になります。

先ほどのAppleの例でいうと、「私たちは素晴らしいコンピューターを作っています」というWhatよりも、「私たちは“Think different”という常識とは異なる考え方をする集団で、テクノロジーを介して何百万人もの人の生活を変えるということを使命としています」というWhyの方が心を動かされますし、企業や製品・サービスに対する信頼度や好感度もアップすると思います。

このWhyこそが企業の存在意義であり、それを語る絶好の場がコーポレートサイトということです。

 

また、あらゆる物事が多様化したことで、マスコミュニケーションでは意図している相手に届きにくくなっている今の状態において大切なのは、その企業にとって本当に大事にすべきかつ好かれたい真の顧客(=ブランドパートナー)を明確にして、いかにファンを増やしていくかということです。

“ブランドパートナーとは”

企業の周りにいる顧客は、長くブランドを使用してくれるかを表す顧客生涯価値(Life Time Value、以下LTV)と、周囲にいる人たちにブランドを紹介してくれたり進めたりしてくれるかを表す(Cost Per Acquisition、以下CPA)によって下記のように分類することができます。

 

 

▶︎ブランドパートナー:

ブランド価値を設計するときに基準となる人々。

 

▶︎ブランドキャスター:

CPA(新規顧客獲得コスト)の低下に貢献することが期待される顧客。情報発信が期待できる人々。品質に関心の重心があるため、ブランドのコンテンツ提供価値への反響が期待できる。

 

▶︎ブランドサポーター:

LTV(顧客生涯価値)の平均を上げてくれることが期待される顧客。ビジネス貢献度が高い人々。生活での情報受発信は相対的に弱く、ブランドから離れていかないように工夫が必要。

 

▶︎一般顧客:

消費量は期待できるものの、品質より価格コンシャス度が相対的に高めな人々。

 

コーポレートサイトにて、企業の存在意義から具体的な商品・サービスを語るというコミュニケーションを展開することができれば、その企業のWhyや思想に共感してくれた真の顧客であり将来のブランドパートナーが集まってきてくれるようになります。

また、一般顧客・ブランドキャスター・ブランドサポーターをブランドパートナーに近づけていくために、各カテゴリーのお客様と密なコミュニケーションを取り続けることにもコーポレートサイトは寄与してくれます。

この記事をお読みのみなさまも、きっとどこかの企業のファンであり、ブランドパートナーであるはずです。たとえば、ディズニーリゾートのファンである方は、アトラクションやショーといった(=What)だけが好きというわけではなく、「夢の国を提供する」というWhyや思想・姿勢ありきでファンになっているのではないでしょうか。

ファンであれば、新製品や新サービスがリリースされると、いち早く試そうとしますでしょうし、それに対する良し悪しの感想も素直に企業に伝えるでしょう。また中には、その企業で働きたいと思う人や投資したいと思う人も出てきます。

こういったブランドパートナーである人たち(=ファン)は、その企業がビジョン実現に向けて日々経営を行なっていく上でのかけがえのない仲間なのです。

1-3:コーポレートサイトにおける2種類の設計方法。

コーポレートサイトの大目的は、「企業の存在意義を語り、信頼とファンを増やすこと」に変わりはないのですが、その上でそれぞれの企業が抱えている課題解決を狙ったサイト設計を行うことが大切です。

主な設計パターンは「商品・サービスの課題解決型」と「採用の課題解決型」で2つあり、どちらのパターンにするかで、存在意義の打ち出し方が変わってきます。
※商品サービスサイト/採用サイトは別にあった上で

ちなみに、企業の存在意義(=企業理念)は細分化すると、下記の5つの要素からできているのですが、

・ミッション:日々果たすべき使命

・ビジョン:実現したい未来

・バリュー:約束する価値・強み

・スピリット:大切にすべき精神

・スローガン:ブランドの合言葉

「商品・サービスの課題解決型」はバリューを重視したサイト作り。「採用の課題解決型」はスピリットを重視したサイト作りとなります。どちらの型にせよ、ミッション・ビジョンに重きを置くことに変わりはありません。

【商品・サービスの課題解決型】

こちらのパターンでは、自社の商品やサービスを通じて問題解決の方法を検索するターゲットに向けた情報がとても重要になります。その企業の存在意義を体現した商品・サービスが、どのような価値を提供するのか、という情報を掲載しましょう。

先ほどの図で言うと、企業理念の軸になっているミッション・ビジョンはもちろん、顧客に約束する価値・強みであるバリューを押し出していくことを意識してみてください。

【採用の課題解決型】

こちらのパターンでは、採用候補者・応募者に向けて、その企業が仕事を通じて世の中に提供している価値や、そこに込めた人の想いを届けていくことが大切です。

「自分が働いている会社に対する信頼度」をまとめた調査によると、日本は過半数以上の人が自分の働いている会社を信頼しておらず、諸外国と比べても低い水準となっています。

(出展:2016 エデルマン・トラストバロメーター

この調査を鑑みても、採用のタイミングからその企業の仕事の意義や価値、そこで働く人の想いを届けていくことが重要だと言えます。

先ほどの図で言うと、こちらもミッション・ビジョンはありきで、その企業で働く上で大切にすべき精神であるスピリットを打ち出していくことを意識してみましょう。

精神なことゆえ、そのまま伝えるとやや抽象的になってしまいますので、スピリットが体現されている事例やエピソードを通じて伝えていくことがおすすめです。

1-4:企業の存在意義を語り、信頼とファンを増やしているサイト例。

実際に企業の存在意義をしっかりとコーポレートサイトに打ち出している例として、株式会社ウェルカムと石坂産業株式会社の例をご紹介いたします。

【株式会社ウェルカムの例】

株式会社ウェルカムは「感性の共鳴~美しい考えは人を美しくする~」というミッション、「世界に誇る、新しい日本のくらしをつくる。」というビジョンを掲げ、DEAN&DELUCATODAY’S SPECIALなど、ライフスタイル事業を多数展開しています。

ウェルカムのコーポレートサイトを見てみると、まずトップページですぐに美しく丁寧なくらしを想起させる写真が目に飛び込んできます。

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ウェルカムが体現している世界観を存分に体感できると同時に、手がけているブランドや商品・お店なども一目で把握できるようになっています。ただ、ヘッダーのメニューに注目してみると、「ブランドについて」や「事業について」の前に、「ウェルカムについて」とあります。

 

 

「ウェルカムについて」を見てみると、コンセプトムービーから始まり、ウェルカムの存在意義でもあるミッション・ビジョンがしっかりと書いてあります。

 

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また、「ブランドについて」のページでも、各ブランドからのメッセージが記載されています。

いかがでしょうか。

ウェルカムという会社のミッション・ビジョンがしっかり書いてあることで、それを知った生活者は各ブランドが売っているモノを超えて、ウェルカムの考え方や価値観に共鳴し、ファンになっていくのではないでしょうか。

また、サイト全体を通して、デザインや写真といった細部にもウェルカムの「らしさ・世界観」が落とし込まれているのもいいですね。

こちらのサイトでは、商品・サービスの課題解決も期待できそうです。

株式会社ウェルカムのコーポレートサイトはこちらから!

【石坂産業株式会社の例(採用の課題解決型寄り)】

石坂産業株式会社は、「自然と共生する、つぎの暮らしをつくる」という使命を掲げ、産業廃棄物の98%を資源に変えるだけでなく、里山づくりや環境教育、多様な国・企業・人との共創による技術開発と研究、エコプロダクツやオーガニック商品も開発している企業です。

石坂産業のコーポレートサイト見てみると、トップページには「まだ大丈夫。いつまで人は、そう思うのだろう。」という、現在の環境破壊に警鐘を鳴らすコピーからはじまります。

さらにコピーは続きます。

「いま、必要なのは、逆転の発想。マイナスをプラスにするイノベーションです。ゴミは、捨てれば終わり。けれど使えば、資源になる。私たちは産業処理物のあり方を変え、この業界のイメージを変え、廃棄物という言葉そのものをなくしていきたい。子どもたちや、その子どもたち、そのまた子どもたちの時代へ、ずっとずっと、美しい地球と、大切な心を引き継いでいきたい。」

そして、トップページの最後に「自然と美しく生きる/Be Green」という石坂産業のスローガンで締めくくられています。

トップページを読んだだけでも、どういった想いで、どういった世界を目指しているのかという企業の存在意義や(=Why)やスケールの大きさが、とても伝わるのではないでしょうか。

また、この後、会社の詳細を語っていくときも、先に企業のWhyが伝わっているので、それぞれの事業や取り組みが点で伝わることなく、ひとつのストーリーとして届けることが可能になります。

実際に、石坂産業には志を同じくしたサステナブルな企業や外国からの訪問者が毎年多く集まってきています。

また、サイト内には「会社の歴史」や「これから歩んでいきたい未来」についても語られており、求職者から見ると、石坂産業で働くことをかなりイメージしやすくなっています。

こちらのサイトは採用の課題解決も期待できそうです。

石坂産業株式会社のコーポレートサイトはこちらから!

2:コーポレートサイトから得られる効果。

企業の存在意義がしっかりと語れているコーポレートサイトであれば、サイトを訪れるあらゆるステークホルダーから信頼を得ることができます。さらに、信頼が積み重なっていくことで、その企業のファンにもなってくれます。

すると、コーポレートサイトから得られる効果は、企業の情報発信や新規のビジネス顧客を得るだけにとどまらず、採用や社員にも広がっていきます。

2-1:<①広告的効果>企業の信頼拡大に寄与する。

インターネットやスマートフォンの登場により、広告は従来のマスメディアだけではなくなりました。そして、あらゆるものが広告になり得る時代においては、企業が持つコーポレートサイトも広告として機能します。

実際に、Nielsen Global Online Consumer Surveyによる「世界で最も信頼されている宣伝媒体」という調査でも、企業(サービス)webサイトはかなり上位に位置していることが分かります。

(出典:Nielsen Global Online Consumer Survey

また、コーポレートサイトは初めましての人たちから信頼を得ることもできますが、それだけではありません。会社での新しい動きや取り組み、新商品・サービスの情報、採用状況といったリアルタイムな情報をサイトに掲載することで、すでにその企業のことを知ってくれている人たちやお客様にもっとファンになってもらうということにも力を発揮します。

投資という側面でも、2019年2月にアメリカの運用大手ブラックロックが投資先に株主として、「自社の存在意義を理解したうえで、行動することが長期的な収益力の向上につながる」「企業理念を遂行し、株主、従業員、地域社会など全ての利害関係者への債務を全うする企業でなければ立ちゆかなくなる」という内容の書簡を送っています。

この方針を見ても、企業の存在意義を明確に打ち出す重要であり、それがステークホルダーへの信頼獲得・ファン化に繋がることがわかります。

また、ファンを増やすためには、相互コミュニケーションが欠かせません。コーポレートサイトは、一度つくったらそれっきりにせず、新しいニュースやリリースがあったら都度更新をしていきましょう。

常に何か動いているサイトには人が多く集まり、場合によってはブランドパートナーから感想や意見をいただけることもあります。

2-2:<②採用的効果>求職者の入社の基準に企業理念が大きく影響する。

採用において活躍するツールは、なにも採用サイトや採用パンフレットだけではありません。コーポレートサイトも採用シーンで非常に大きな影響力を持ちますし、実際に採用における課題感からコーポレートサイトをリニューアルしたいというお問い合わせも多くいただきます。

いまこの記事をお読みになっている皆様も、これから自分が働く企業を探すとなったら、採用サイトやパンフレットはもちろんのこと、その企業のコーポレートサイトやSNS、最近のニュース、そこで働いている人の話なども要チェックするのではないでしょうか。

そもそも採用活動とは、「企業のビジョンを実現するための同志集め」。単に優秀な人材を集めるのではなく、企業が解決したい社会課題、実現したい未来に向かって一緒に歩んでもらう人材を集めるのが、採用活動の一番の目的であるはずです。

そこで、同志を集めるために重要になるのが、ターゲット(求職者)に「企業の存在意義やビジョン(=Why)に共感してもらう」ということ。

実際にリクルートの意識調査を見ても、いまの学生の就職先を確定する際の決め手の6位は「会社・団体の理念やビジョンが共感できる」となっています。

たしかに、事業内容や福利厚生だけでは同業他社の同じ見た目になってしまいがちかもしれませんが、歴史やミッション・ビジョンはその企業にしか語れないオリジナルなストーリーです。

web上においての企業の顔であるコーポレートサイトにしっかりとそれら存在意義が明記されていることは、求職者から信頼を得る上で非常に重要なことだと言えるのです。

※採用でお困りでしたら、採用ブランディングの記事も合わせてご覧ください。
→「企業の成長に必要不可欠な同志が集まる採用ブランディングを徹底解説

2-3:<③社内的効果>社員が見ている方向性が統一できる。

もちろんコーポレートサイトは社外の様々な人たちの目に頻繁に触れますが、一方で社内の人も見るサイトでもあるので、インナーへの効果も期待することができます。

営業時、採用の説明会、友人に自分が働いているところを話すなど、社員が自社のコーポレートサイトを見る機会は意外とあるものですよね。

企業の存在意義が企業理念のような形でしっかり会社にあったとしても、社員一人ひとりに浸透しているか否かでは、会社の成長に大きな違いが出てきます。

たとえば、「甲子園で優勝しよう!」と掲げていない野球チームが実際に甲子園で優勝することが有りえないのと一緒です。目標をチーム全体で共有し、部室に「甲子園優勝!」といった紙を貼ると、甲子園での優勝が部員みんなの共通の行き先になってきます。

コーポレートサイトもこれに似たところがあり、サイトに自社の存在意義が書いてあり、社員が自然な形でそれを何度もみることによって、社員それぞれの仕事に対する意義や見ている方向性を統一することにとても力を発揮します。

3:コーポレートサイトに入れるべき要素。

ここまでお話してきたコーポレートサイトの目的を達成するためには、コーポレートサイトに入れるコンテンツがとても重要になります。ここでは、コーポレートサイトを作るなら、必ず検討すべき10の要素についてお話していきます。

“10の要素”

  • <要素①>企業理念・ミッション/ビジョン/バリュー
  • <要素②>会社の歴史/未来への歩み
  • <要素③>代表や社員からのメッセージ
  • <要素④>ニュース/トピックス
  • <要素⑤>商品/サービス/事業の紹介
  • <要素⑥>サービスやプロジェクトの事例/実績
  • <要素⑦>会社概要
  • <要素⑧>採用情報
  • <要素⑨>よくある質問
  • <要素⑩>お問い合わせ

ステークホルダーの信頼を獲得し、ファンになってもらうために、企業の存在意義と併せてどのような要素がコーポレーサイトには必要なのか、それぞれ見ていきましょう。

3-1:<要素①(存在意義を語る)>企業理念・ミッション/ビジョン/バリュー

まずは企業理念またはミッション(日々果たすべき使命)/ビジョン(実現したい未来)/バリュー(約束する価値・強み)です。これは、いままでお話してきた企業の存在意義という一番重要なポイントになります。

コーポレートサイトでは、企業理念を記載する1ページを必ず設けることがおすすめです。ページの名称は「企業理念」「ミッション/ビジョン/バリュー」「私たちについて」「About us」などが、多く見られます。

また、トップページでは、ただなんとなくのかっこいいキャッチコピーを置くのではなく、理念を起点に考えたその企業の中枢を捉えたメッセージを据えることが望ましいです。

<パラドックスのコーポレートサイト例>

パラドックスのサイトでは、「こころざし」というページにミッション/ビジョン/バリューおよび私たちが目指している社会について記載しています。

パラドックスのコーポレートサイトはこちらから!

※企業理念について、より詳しく知りたい方はこちらの記事も併せてお読みください!
→「企業理念とは?100年続く企業になるために必要な企業理念を徹底解説。

※ミッション/ビジョン/バリューについて、より詳しく知りたい方はこちらの記事を併せてお読みください!
→「企業の根幹を担うミッション ビジョン バリューの意味合いと作り方

3-2:<要素②(存在意義を語る)>会社の歴史・未来への歩み

企業の存在意義を語る上で、企業理念やミッション/ビジョン/バリュー以外にも効果的なものがあります。それが、「会社の歴史」や「未来への歩み」です。

会社の歴史では、なぜこの会社および事業を立ち上げたのかという創業時のストーリーを通して、企業のWhy=存在意義)やミッション(=日々果たすべき使命)を語ることができます。

また、未来への歩みでは、これからどのような社会を目指して何を取り組んでいくのかという、企業のビジョン(=実現したい未来)を語ることができます。

要素①の「企業理念ページ」の中に記載したり、新たにもう1ページ設けたりすることがおすすめです。

<石坂産業株式会社のコーポレートサイト例>

石坂産業株式会社のコーポレートサイトには、「Story」というページがあります。ページ内には、「創業者の想い」「挑戦の道のり」「私たちが目指す姿」という3つのコンテンツがあり、会社の創業期の想いから、苦難や挑戦の時代、そして現在や目指す未来が一本のストーリーとして描かれています。

石坂産業株式会社のコーポレートサイトはこちらから!

3-3:<要素③(存在意義を語る)>代表や社員からのメッセージ

企業の存在意義を語るコンテンツとして、「企業理念」や「歴史・未来への歩み」をお伝えしてきましたが、もう一つ「代表や社員からのメッセージ」も非常に有効です。

法人からのメッセージよりも、代表といった特定の個人がサイトに出てきてメッセージを発することによって、読み手は一層親近感や信頼を感じることができます。また、メッセージだけでなく顔写真などが出てくることもこのページでは大切になります。

要素②でご紹介した会社の歴史やこれからの未来についてを、このページで代表が語るという手法にしても良いです。

<株式会社プログリットのコーポレートサイト例>

英語コーチングサービスを行っている株式会社プログリットのコーポレートサイトには「創業者メッセージ」というページがあり、代表取締役社長と共同創業者副社長の2人が登場しています。どのような想いや使命感を持って会社を立ち上げたのか、どのような未来を目指して企業活動を行っているのかが非常によくわかります。

株式会社プログリットのコーポレートサイトはこちらから!

3-4:<要素④(リアルタイムな情報発信)>ニュース/トピックス

コーポレートサイトには、初めましての方も訪れますが、すでにその企業のことを知っている方やファンの方も来てくださります。そのため、その企業でいま現在起きている最新のニュースやトピックスをリアルタイムで発信していくことが非常に大切です。

「〇〇アワードを受賞しました。」「新商品〇〇をリリースしました。」「社員の〇〇がメディアに取り上げられました。」など、会社の価値を高めるニュースをどんどんコーポレートサイトでもリリースしていきましょう。

文章や写真のスタイルといった情報の出し方に特徴を出すことによって、その企業らしさを発信することもここでできることの一つです。

また、こういったコンテンツを更新できる場所を持っておくことは、休業のお知らせや非常時の情報発信時にも非常に役立ちます。

その他にも、SEO的な観点でも更新頻度の高いサイトはgoogleから良い評価を得られるようにもなっています。

<株式会社ウェルカムのコーポレートサイト例>

ウェルカムのコーポレートサイトでは、「NEWS」という場所を設けて、情報発信を行っています。「NEWS」の中では、「INFO」「EVENTS」「PRESS RELEASE」「RECRUIT」「OTHERS」と5つのカテゴリーに分かれており、新商品情報やイベント告知など、それぞれに適する情報が日々発信されています。

▲ニュース一覧ページ    ▼ニュース詳細ページ

株式会社ウェルカムのコーポレートサイトはこちらから!

3-5:<要素⑤(事業紹介)>商品/サービス/事業の紹介

その企業における事業紹介の要素になります。その企業の事業形態によって、「商品」「サービス」「ビジネス」など適するページ名をつけ、自社のサービスにどのようなこだわりや強みがあるのかを語っていきましょう。

こちらは、先ほどのゴールデンサークルでいうところのWhatの部分になりますが、要素①〜要素③にて企業のWhyをしっかり語っているので、事業内容だけが点で伝わらず、企業が目指す未来への一本のストーリーの中で事業を紹介することができます。

<株式会社ユーグレナのコーポレートサイト例>

ミドリムシを使った研究開発、食品・化粧品の製造、バイオ燃料技術開発などを行っている株式会社ユーグレナ。こちらのコーポレートサイトでは、ミドリムシから派生するたくさんの事業や商品を「事業・研究」ページと「商品・サービス」ページに分けて、詳しく記載されています。

各ページ内では、ユーグレナの事業や商品の特徴やどういった悩みを解決してくれるのかが、綺麗な写真とともにまとめられています。

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株式会社ユーグレナのコーポレートサイトはこちらから!

3-6:<要素⑥(事例紹介)>サービスやプロジェクトの事例/実績

コーポレートサイトに訪れる方の信頼を獲得していくためには、要素⑤の商品やサービスの紹介に加えて、その商品やサービスを実際に使ってくださっているお客様の事例や実績を掲載していくことが大切です。

実際の事例を詳しく掲載していくことで、商品・サービスの具体的な使用シーンや効果がイメージすることができます。

<サイボウズ株式会社のコーポレートサイト例>

グループウェアの開発、販売、運用。チームワーク強化メソッドの開発、販売、提供を行っているサイボウズ株式会社。こちらのコーポレートサイトでは、サイボウズのプロダクトを導入した企業の例が「導入事例」ページにたくさん載っています。

事例ページの中では、どういった課題をどのように解決していったかということが詳細に書いてあり、サイボウズの商品を導入した時の変化が非常にイメージしやすいものとなっていました。

サイボウズ株式会社のコーポレートサイトはこちらから!

3-7:<要素⑦>会社概要

どのコーポレートサイトにも必ずと言っていいほどあるのが、この会社情報です。企業の信用問題に関わるページなので、下記の項目をしっかり入れつつ、丁寧につくっていきましょう。

会社概要にいれる項目例

  • 会社名
  • 代表者名
  • 資本金
  • 所在地
  • 電話番号
  • 設立年月日
  • 事業概要
  • 主要取引先

その他にも、受賞歴やアクセスマップ、組織図、支店情報など、その企業に合わせて必要かつ重要な情報を追加していきましょう。

<パラドックスのコーポレートサイト例>

パラドックスの会社概要ページでは、基本的な企業情報の他に受賞歴やエリアオフィス情報およびオフィスの写真などを掲載しています。

株式会社パラドックスのコーポレートサイトはこちらから!

3-8:<要素⑧>採用情報

採用といえば、もちろん採用サイトを用意している企業もあると思いますが、求職者が見ているものは採用サイトだけではありません。

コーポレートサイトにも、お客様や投資家だけでなく、その企業で働きたいと思っている求職者の方が訪れています。そのため、新卒・中途における採用情報も掲載しておくことが非常に大切です。

<株式会社FABRIC TOKYOのコーポレートサイト例>

Fit Your Life」をコンセプトにしたオーダービジネスウェアを通して、ライフスタイルを提供している株式会社FABRIC TOKYO。こちらのコーポレートサイトでは、ヘッダーのメニューに「RECRUIT」とあります。

RECRUIT」ページ内には、採用に関するメッセージや社員インタビュー、会社の文化、福利厚生などが、わかりやすくまとめられています。

たとえば、FABRIC TOKYOのユーザーだった人が、コーポレートサイトに訪れて、ここで働くことを少しでも意識した瞬間にすぐに採用のことを確認できるようになっていると言えます。

株式会社FABRIC TOKYOのコーポレートサイトはこちらから!

3-9:<要素⑨>よくある質問

コーポレートサイトを見に来てくれた方が感じた疑問点を解消するのが、この「よくある質問」や「FAQ」ページになります。

見に来た方がせっかく商品を購入したり、サービスについて相談したいと思っても、いくつか疑問点があるために、そのアクションを先延ばしにしてしまったら、とてももったいないですよね。

ですので、よくある質問ページは、その企業のことを全く知らない人の気持ちになって、どういったところに疑問を感じそうかを考え、丁寧にクエスチョンとアンサーをつくっていきましょう。

<パラドックスのコーポレートサイト例>

パラドックスのメインサービスはブランディングのため、馴染みがない方も多くいらっしゃいます。そのため、スケジュールや予算感、効果やサポート面などをお問い合わせページに記載することで、ご相談前の疑問点を解消できるように心がけています。

株式会社パラドックスのコーポレートサイトはこちらから!

3-10:<要素⑩>お問い合わせ

最後の要素はお問い合わせです。ここは「ご相談」でもいいかもしれませんし、「お見積もり依頼」などでもいいかもしれません。その企業によって理想的な出口をここに設定しましょう。

お問い合わせページまでたどり着いた方は、その企業のお客様になってくれたり、投資をしてくれたり、採用を受けてくれる可能性がとても高い人たちです。最後まで、丁寧なコミュニケーションを心がけましょう。

お問い合わせページでは、お問い合わせにおける注意事項や必要な顧客情報、折り返しの連絡がいつになるかを明記しておきましょう。

必要な顧客情報の例

  • お名前
  • ふりがな
  • 役職
  • 会社名
  • webサイト
  • メールアドレス
  • 電話番号
  • お問い合わせ内容

<パラドックスのコーポレートサイト例>

パラドックスのお問い合わせページでは、上記の必要な情報にプラスして、ご依頼内容をラジオボタンで選択していただくようにもしています。

また、企業によっては、対象者に合わせてお問い合わせフォームを複数用意することで、管理サイドの混乱を軽減できます。パラドックスでは、お客様用お問い合わせフォームとパートナー様用お問い合わせフォームを分けています。

株式会社パラドックスのコーポレートサイトはこちらから!

4:サイト制作において気にすべきポイント。

せっかくサイトに入れ込む要素がしっかり決まったとしても、サイト制作に失敗してしまうと、意図していたことが伝わらなかったり、制作スケジュールが押してしまい、発信のタイミングを逃してしまったりすることがあります。

これでは、非常にもったいないので、制作時点でこれだけは必ず知っておくといいポイントを、4つご紹介いたします。

制作に失敗しないために、ぜひ、ご一読ください!

4-1:<ポイント①>ビジュアルアイデンティティについて。

コーポレートサイトをつくる際、やはり見た目の部分もこだわりたくなりますよね。ただ、ひとつ頭に置いておいてほしいのが、ただなんとなくかっこいいからという理由でデザインを決めたり、ただやみくもに流行している色遣いをしたりするのは、企業のブランディングを考える上で、あまりよろしくないということです。

コーポレートサイトに載っている内容にその企業らしさや存在意義が書いてあることが大切なのと同じように、デザイン面にもその企業らしさがあるかが、その企業の信頼を積み重ねる上で重要です。

では、その企業らしいデザインとは、なんなのか。どこから生まれるものなのか。ここで必要になるのが、ビジュアルアイデンティティ(VI)です。

ビジュアルアイデンティティ(VI)とは、言語化されたマインドアイデンティティ(理念)を視覚的に可視化したものになります。VIというと、ロゴをイメージする方も多いかもしれませんが、実際はロゴだけでなく、カラーやタイポグラフィー、線のスタイル、図形のシェイプといったデザインのエレメントもVIに含まれます。

そして、このVIwebやパンフレットなどの各種広報物、空間やユニフォームなど、企業活動におけるあらゆるシーンで使用し、一貫した世界観を作り上げることが大切です。

様々な色があふれた街中ですぐにスターバックスのロゴを見つけることができるのは、ロゴはもちろんのこと、カラーやフォント、グッズ、店内の色遣い、といった世界観がどこでもいつでも統一できているからです。

ビジュアルアイデンティティを策定する上でポイントになることは、センスや感性に捉われないことです。ビジュアルアイデンティティは、デザイン的な要素もあるので、どうしてもセンスや感性を重視してしまいがちですが、実はとてもシステマチックなものなのです。

なぜなら、企業にはそれぞれマインドアイデンティティで規定したような「らしさ(パーソナリティ)」がありますし、そもそも人々には色や形から抱くイメージにも共通した感覚があるからです。

たとえば、みなさんは「情熱的」という言葉から何色を想像しますか?おそらく、「赤」や「オレンジ」といった暖色系のカラーではないでしょうか。

他にも、「冷たい」という言葉からは「青」といった寒色系のカラーを、また、「茶」「黒」といったカラーからは、「大人っぽさ」「高級感」などを連想できるのではないでしょうか。

このように、多くの人々にメッセージを伝えるシーンでは、その企業の「らしさ(先進的・ユニーク・信頼感があるなど)」に則ったビジュアルアイデンティティが必要になるのです。

コーポレートサイトづくりにおいても、もちろん流行を意識することは大切ですが、それ以上に自社のマインドアイデンティティが内包されているカラーやタイポグラフィー、その他デザインのエレメントを織り交ぜて、サイトのデザイン面からもその企業のらしさが溢れ出るように意識しましょう。

そうすることで、内容・見た目共に、唯一無二のその企業らしいコーポレートサイト がつくられていきます。

<石坂産業株式会社のコーポレートサイト例>

先ほどの同じく石坂産業株式会社のコーポレートサイトにて、ビジュアルアイデンティティがどのようにサイトに落とし込まれているか見てみましょう。

石坂産業には下記のロゴおよびVIがあります。

こちらは、【I】(ISHIZAKAや私たち一人ひとり)から、【I】(私たち一人ひとり)へ。石坂産業の活動が、世界中の一人ひとりへの行動へと波紋のように広がり、Greenな世界につながっていくという願いが込められています。

また、理念に共感していただける世界中の皆さまと一緒になって、人と自然と技術の共生を実現していきたいという想いから、あらゆる国、あらゆる企業、あらゆる人と共生できるように、下記のような展開例を設け、相手に合わせて変化するロゴになっています。

シンボルとして決まった形を持ち、他社と差別化することがロゴの常識だとするならば、決まった形を持たず、関わるみんなと仲間になれるロゴにしようという石坂産業らしさがここには詰まっており、それがコーポレートサイトのあらゆる場所にも登場しています。

石坂産業株式会社のコーポレートサイトはこちらから!

4-2 :<ポイント②>企業の存在意義を目立たせる。

よく街中で見かける広告やポスターを見ると、「発売日」「値段」「新商品であること」といったように、ある情報が必ず目立つようなデザインになっていると思います。

こういった仕掛けがないと、見る人はどこを重点的に注目すればいいのかがわからず、結果、印象に残らないものになってしまうのです。

コーポレートサイトもこれと同様に、伝えたい情報がちゃんと目立つように工夫をすることが大切です。

目立たせたい情報は、企業によっていくつかあると思います。たとえば、「理念」「商品・サービスの革新性」「お問い合わせ」「採用情報」などが考えられるのではないでしょうか。

その企業にとって目立たせる情報であれば、積極的に打ち出していくことがおすすめですが、企業のWhy(=存在意義や理念)は強く目立たせることをおすすめします。

理由は1章にある通りなのですが、コーポレートサイトを開いた際に、どういったメッセージが最初に飛び込んでくるかで企業の印象は大きく変わってきます。

たとえば、英語教育の株式会社プログリットのコーポレートサイトは、トップページにMISSIONが大きく出てきます。

もし、ここに「私たちは英語力を伸ばします」程度のメッセージしかなく、すぐに英語教育プログラムの話が始まったとしたら、ただの英語塾という印象で終わってしまうと思います。

ただ、「世界で自由に活躍できる人を増やす」と言われると、英語を習得した後の未来まで想像することができ、ただの英語塾を超えた信頼が生まれてくるのです。

その企業が提供している本質的な価値はなにか。どういう世界を目指して日々企業活動を行っているのか。こういった点をコーポレートサイトの中で目立たせることがポイントです。

4-3:<ポイント③>サイトの構造はシンプルにする。

webサイトはトップページを第一階層として、クリック/タップして進むページを第二階層、そこからさらにクリック/タップして進むページを第三階層となる構造になっています。

サイトを訪れる人の情報の取得しやすさを考えると、すべてのサイトにおいて、この構造をシンプルにつくることが大切になります。

シンプルな構造とは、第三階層を超えて、第四、第五、と深い階層に潜らずに、なるべく浅い階層でページを留めることによって、どのページにもアクセスしやすい構造になります。

特に掲載する情報が多くなるコーポレートサイトでは、よりこのシンプルな構造を意識するようにしましょう。

※サイトツリーの見本フォーマットは下記よりダウンロードいただけます。
sitetree_format

4-4:<ポイント④>様々なデバイスでの見え方にも気を配る。

わざわざここに書かなくてもご承知だとは思いますが、いまwebサイトを見る代表的なデバイスはPC、スマートフォン、タブレットの主に3つがあります。いまこの記事をスマホでご覧になっている方もいるのではないでしょうか。

ただ、一口にPC、スマートフォン、タブレットといっても、画面のサイズはその人々のデバイスによってまちまちなものです。

そこで、現在webサイトを制作するときは、レスポンシブwebデザインという作り方をすることが多くあります。このレスポンシブwebデザインとは、各閲覧者が使用しているデバイスの画面サイズやブラウザに応じて、見やすく最適な表示にすることです。

<PCでの見え方>

<スマートフォンでの見え方>

Webサイトがスマホやタブレットでも見られるとわかっていながらも、サイト制作をしていると、作業や確認をPCで行うがゆえに、ついついスマホ視点を忘れがちになることもあります。

PCでは美しく、わかりやすく表示されているページでも、レスポンシブでスマホになった時に、同じく見やすいか。制作の過程で確認しながら、進めていきましょう。

また、基本的には、toBwebサイトはPCで見られることが多く、toCwebサイトはスマートフォンで多く見られる傾向にあります。たとえば、いまから作るサイトがスマホで多く見られそうであれば、スマホでの見え方を一番に考えて制作を行う、という方法もあります。

4-5:<ポイント⑤>サイト作りの工程とスケジュールについて。

これから初めてサイト制作を行うまたは外注する方は、サイト作りにおける一連の流れを頭に入れておくことをおすすめします。制作工程の中での現在地やその時々のやるべきことがわかるので、非常に便利です。

サイト制作の基本的な流れは下記の9Stepになります。

“サイト制作の9Step”

1:目的の整理

コーポレートサイト自体の大目的は、「企業の存在意義を語り、信頼とファンを増やすこと」に変わりはありませんが、その企業ならではの目的もあると思います。たとえば、1-3章でご説明したように、どちらかというと顧客に見てほしい、社員に見てほしい、など。コーポレートサイトで何を狙っていきたいかを、改めて明確にしましょう。

 

2:コンセプト設計

目的の整理ができたら、サイトのコンセプトを考えましょう。「コンセプト=トップページのキャッチコピー」ではありません。コンセプトはもっとサイトを俯瞰して捉えて、「こういうサイトにしよう」という大枠を決めましょう。

 

3:サイトツリー作成(サイト全体の構造図)

次はいよいよサイトの構造作りです。4-3章でもお話した通り、シンプルでわかりやすく。閲覧者がほしい情報にすぐアクセスできることを考えて、サイトツリー(構造図)をつくりましょう。

3章にあるコーポレートサイトに入れるべき要素を盛り込んだシンプルなサイトツリーがこちらになります。ダウンロードの上、ご活用ください。

※サイトツリーの見本フォーマットは下記よりダウンロードいただけます。
sitetree_format

 

4:ワイヤーフレーム作成(ページの設計図)

サイトツリーがサイト全体の構造図であったのに対して、各ページの設計図となるのがワイヤーフレームです。ここでひとつ注意していただいたいのは、ワイヤーフレームはデザインではないということです。あくまでも、そのページに掲載する要素を整理するものですので、ワイヤーフレーム上でデザインの詳細を決めないようにしましょう。

 

5:コンテンツづくり・素材集め

ワイヤーフレームにて、各ページに載せる要素が整ったので、コンテンツの用意及び素材集めをしていきましょう。主に、文章・写真・イラスト・図といったものがこれにあたります。

 

6:デザイン

素材が集まったらデザインへと進んでいきます。4-1章にもある通り、自社らしいデザインとは何かということを意識しながら、唯一無二のデザインへと仕上げていきましょう。

デザインのフェーズでは、もちろんデザインの修正や文章や写真の差し替えを行うことができます。しかし、次のコーディングフェーズに進行してしまうと、デザイン面の修正はできなくなりますので、デザイン確定をする際はこちらの点も留意しておきましょう。

 

7:コーディング

完成したデザインをweb上に機能させるためにコーディングを行っていきます。デザインだけの時には確認できなかった、サイトの実際の動きやクリックした際のページ遷移に問題がないかを確認しましょう。

コーディングフェーズでは、デザイン面の大きな修正はすることができませんが、ちょっとした文字修正や写真の差し替え程度は変更することが可能です。

 

8:テストアップ

誰もが閲覧することができる実際のweb上に公開される一歩手前の最終確認フェーズです。文章に誤字脱字がないか、リンク先は間違っていないか、など不備がないように徹底的に確認を行いましょう。

 

9:公開

無事に公開されたらホッと一安心したいところですが、まずは正常に公開されているか確認を行いましょう。このときに、スマートフォン、タブレット、ブラウザなど、あらゆる環境で正しく公開作業がなされているか今一度確認をしてみてください。もしも不備が見つかってしまったら、慌てずになるべく早く修正を行いましょう。

    また、コーポレートサイト制作にかかる期間は、ページの分量やデザインによって一概に言うことはできませんが、3ヶ月〜半年を平均的なスケジュールとなっています。公開したいタイミングがある場合は、そこから逆算し計画的に制作をスタートするようにしましょう。

    5:まとめ。

    いかがでしたでしょうか。

    コーポレートサイトは、まさにweb上における企業の顔といっても過言ではありません。コーポレートサイトのあり方ひとつで、その企業の印象も大きく変わるものです。

    ですので、その企業がやっていることはもちろん、存在意義や志も自分たちらしいデザインのサイトに載せて発信していきましょう。

    サイトを訪れる人の中からは、その企業を信頼してくれる方やファンになってくれる方が出てくるはずです。そして、その方たちは、きっとこれからの企業活動に大きな力をくれると思います。

    ここまでお付き合いいただき、ありがとうございます。みなさまのコーポレートサイト作りが、より良いものになることを願っています。

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