【インナーブランディングによる企業文化醸成】リモートワークでも社員の意志統一を

「在宅ワークにより社員の意思統一ができていないことに気づいた」

「リモートワーク自体はいいが、どこか性悪説の目で社員を見てしまう」

「そもそも社員それぞれの視座や高さや見ている方向がバラバラだ」

「企業理念に紐づく組織文化や評価制度などの仕組みができていない」

「離職率が下がらない」

リモートワークや在宅勤務が推奨される中で、経営者やリーダークラスの方であれば、一度はこのような悩みを感じたことがあるのではないでしょうか?

理念構築および浸透を通じて企業文化をつくっている私たちパラドックスにも、実際に上記のような悩みをお持ちのお問い合わせを数多くいただきます。

そんな課題を、本質的に改善させる方法が「インナーブランディング(理念浸透)」です。

インナーブランディングは、抗生物質で病原菌を撃退する西洋医学のように早く劇的に作用するのではなく、体質の根本から変化を起こす東洋医学に似た効き方をするのが特徴です。

ですので、一朝一夕で効果があるわけではございませんが、インナーブランディングをしっかりと実践していけば、その企業で働くことを誇りに思う社員が増え、企業のビジョン実現へ向けて着実に加速し始めます。

パラドックスがお手伝いさせていただいた内海産業株式会社という企業様も、数年前は離職率が下がらず悩まれておりました。しかし、インナーブランディングの施策を根気強く実践した結果、一時は10%以上あった離職率も4%台まで減少。Great Place To Workの記事にまで取り上げられるようになりました。

この度は、最初に挙げたような課題をお持ちの企業様の一助になれればと思い、この記事を執筆させていただきました。そもそもインナーブランディングや理念浸透とはどのようなものなのか、そして、どのように実践していけば良いのかを余すことなくお伝えしていきます。

どうぞ、最後までお付き合いいただけますと幸いです。

1:インナーブランディングを行う意義は、ビジョン実現へ向かう状態をつくること

そもそもインナーブランディングを行う本質、それは「ビジョン(その企業が目指す未来)の実現へ向かう状態を社内につくること」にあります。

企業にはその企業独自の志、つまり企業理念およびビジョンが存在します。ただ、企業も人の集まりですので、誰か一人の力では企業のビジョンを達成することはできません。そこで働くすべての人がその企業のビジョンに共感し、そのビジョンに個人としての自己実現も重ね合わせる状況をつくることが大切になります。

会社がこのような状態になると、ビジョン実現に近づくだけでなく、本記事の冒頭で挙げた「社員それぞれの視座や高さや見ている方向が違う」「企業理念に紐づく組織文化や評価制度などの仕組みができていない」「会社に愛を感じている社員が少ない」「離職率が下がらない」「チームにまとまりがない」・・・といった課題も結果的に次々と解決していくのです。

たとえば、その会社のビジョン実現に向けて日々精進することは、個人の自己実現にも近づいていきますので、社員それぞれの視座は一定に高まりますし、離職率も低下するという流れです。

また、企業のビジョンに共感している社員が増えるということは、その企業で働くことを誇りに思う社員が増えるということです。すると、その企業の求職者から見ても、社員一人ひとりがとてもイキイキと働いている印象を受け、採用活動にも大きな影響を与えるのです。

2:本質的なインナーブランディングとは、企業と個人の志の重なりを増やすこと

 インナーブランディングおよび理念浸透を実施するにあたって、企業が社員に対してトップダウン的に理念の浸透活動を行うことは、よくありません。

子どものときに、親から「勉強しなさい!」と言われても気乗りしなかったのと一緒で、企業からの一方的な浸透活動では、会社から言われたから一応やるという「共感なき実践」を生んでしまいます。

大切なのは、そこに共感があるかどうかです。

「あの大学に行って、将来こんな仕事がしたい!」というように『なぜ、勉強するのか』が腹落ちすると勉強を頑張るのと一緒です。

企業が目指している志とそこで働く一人ひとりの志が重なると、そこに「企業理念への共感による実践」が生まれ、相互の自己実現に向けて大きな推進力が起こります。

このように、企業と個人の志が重なり合い、ともに高め合い、相互の自己実現へ動き出す状態になってはじめて、理念は完全に浸透していくのです。そのために大切なのは、企業から一方的に何か施策を行うのではなく、企業と社員の志の接点を見つけ出し、WIN-WINの関係をつくることなのです。

3:インナーブランディングのプロセス

企業と個人の自己実現の重なりを増やすことが重要だとお伝えしてきましたが、まず前提としておさえておくべきことは、インナーブランディングおよび理念浸透のプロセス。具体的には、下記の図のようになっています。

最初にあるのは、理念策定です。これがないと、そもそも浸透させていく企業の志が不明確ということになります。もし、まだ明確な企業理念が定まっていない、もしくは企業理念を見直したいという場合は、下記の企業理念の記事を併せてご確認いただけますと幸いです。
→「企業理念とは?100年続く企業になるために必要な企業理念を徹底解説。

企業理念策定の次に行うべきことが、風土づくりになります。せっかく策定した企業理念も、社内にそれを受け入れる風土が整っていなければ、うまく浸透していきません。風土づくりとは、理念浸透を行う上でとても重要な下準備になります。

風土が整うと、いよいよ理念浸透である相互認知・相互共感・相互貢献フェーズに入っていきます。ここが企業と個人の自己実現フェーズであり、両者の自己実現が進んだ先にビジョンの実現が待っているのです。

上記のプロセスはオンラインでも実施可能です!

通常であれば、オフラインで各フェーズの施策を行うことが望ましいですが、たとえば現在のコロナウィルスによる在宅ワーク推奨の状況下であれば、オンラインで各施策を実施することも可能です。

パラドックスでは、web会議システムの「zoom」やホワイトボード・付箋サービスの「miro」を使用して、在宅ワーク中でもコミュニケーションを取り合い、理念浸透施策を普段と変わらず行っています。

4:風土づくりフェーズ(愛情・承認欲求を満たし、自己実現の土壌をつくる)

企業理念および会社の志を社員一人ひとりが理解し、個人の自己実現と重ねていくためには、まず企業と個人お互いが言いたいことを言えたり、聞いたりできる風土が整っていることが非常に重要になってきます。

それはつまり、「心のコップがちゃんと上を向いている状況をつくる」ということです。

下を向いたコップに水が入らないとの一緒で、社員の心が開いていないのに企業理念だ!自己実現だ!と言っても、何も入っていかないのです。その企業の社員同志の間に確かな信頼や承認文化があってはじめて、心のコップは上向きになります。

風土づくりにあたって確かに褒めることは大切ですが、むやみやたらに褒めるのではなく、会社が進もうとしている方向のベクトルと、個人のがんばりのベクトルが揃ったことを承認・評価していくことがポイントです。会社のベクトルに向いた個人のベクトルの総和が、企業の進化スピードということになり、ベクトルが揃えば揃うほど、双方の成長は加速していくのです。

風土づくりの具体的な手法には、下記のようなものがあります。

風土づくりの具体的な手法

①毎日の「気づき」の共有と承認

同じ職場のメンバー全員で、日々のちょっとした気づきや学び、仕事のトピックスを共有することで、相互理解が深まります。具体的な方法としては、社内SNSなどを使い、日報および週報をみんなが出す習慣をつけることがおすすめです。

お互いの日報を読む中で、その企業の理念に沿った形で「あいづち」や「コメント」を送り承認することで、信頼関係のベースを構築していくことが可能です。

パラドックスでは、社内クローズド環境で日報を投稿し合い、その企業独自のあいづち(いいね!のようなもの)を押し合える社内SNSVisions」を開発いたしました。もし、ご興味のある方がいらっしゃいましたら、お気軽にご連絡いただけますと幸いです。

②ほめ活・ほめ会の運用

同じ職場のメンバー同士で、日々のちょっとした感謝の気持ちをメッセージとして送りあうものです。Giveの精神を習慣づけると共に、承認する文化を醸成することができます。

また、リーダー・マネージャークラスの方には、「ほめ達」検定の挑戦もおすすめです。こちらは、一般社団法人 日本ほめる達人協会が実施している“ほめる力を学びながら受ける検定試験”。マネージャー陣が「ほめ」の達人になることで、メンバーたちの新たな強みや魅力を見つけるきっかけになります。

③社内木鶏会&美点凝視

こちらの社内木鶏会は初めて聞く方もいると思いますが、私たちパラドックスも毎月実践しているおすすめの風土づくりになりますので、ご紹介させていただきます。

稲盛和夫氏をはじめ各界のリーダーが推薦する、人間力・仕事力が高まる記事が掲載されている月刊誌「致知」。この「致知」を月に一度、社員みんなで読み、そこからの気づきや日々の仕事での学びを共有するのが木鶏会です。

この木鶏会で最もポイントになるのが「美点凝視」。これは、各人の発表を周囲のメンバーが聞き、発表者のいいところやその人の価値観の承認を本人に伝えるというものです。「美点凝視」をすることで、承認文化がどんどん育まれ、相互理解や信頼関係が深まります。

パラドックスでは月一度の「木鶏会&美点凝視」をはじめて2年以上になりますが、毎回メンバーに対する発見があったり、日々の仕事を承認してもらえたり、全社員が顔を合わせて話をする貴重な場になっています。

いかがでしょうか。
風土づくりは理念浸透における重要な下準備だと捉え、まずは自社のメンバーの心のコップがちゃんと上を向いているのかを確かめ、それをより確実なものにしていきましょう。

※組織・風土づくりにつきましては、下記の記事にも詳細をまとめておりますので、併せてご覧ください!
→「リモートでも真価を発揮する!自立・自走型の組織風土を作る方法。

5:相互認知フェーズ(アタマだけでなく、ココロにも訴えることが大切)

風土づくりができてきたら、いよいよ理念浸透を行っていきましょう。

相互認知フェーズでは、まず企業理念ワードをポジティブに捉えてもらうことがとても大切であり、そのためには企業理念のリリースが肝心です。

ものごとを理解するためには、「納得感」がとても大切ですが、そのためには、アタマだけで理解してもらうのではなく、ココロにどう響くかが重要になります。

単に正論を並べたり、上からの押し付けになってしまったりはよくありません。フラットな目線で、五感に訴える工夫をすることによって、より効果的に理解および共感を促進することが可能になります。

相互認知フェーズの具体的な手法

①企業理念リリーススライド

決まった企業理念の言葉だけを伝えるのではなく、創業のストーリーや理念に込めた想いといった裏側にあるものを伝えることで、理解を超えた共感を生み出します。実際に発表する人も、経営者一人が行うより、企業理念策定に関わったプロジェクトチーム全員で行う方がおすすめです。

また、リリースするタイミングもとても重要です。ベストなタイミングとしては、新しい期の初日や設立記念日、大きな社内イベントがある日といった、その会社にとって特別な日を選ぶとよいでしょう。社員のみなさんが新しいことを聞く姿勢が整っていますし、比較的多くの社員に直接伝えることが可能になります。

②理解促進のツールづくり

企業理念は無形物なもので、意識していないと形骸化してしまう恐れがあります。そこで、日々の仕事やマネージメントなど、迷った時に、いつも理念に立ち戻り、価値観を再確認できるように決まった言葉を形にすることが非常に有効です。

例として、パラドックスでは携帯カード・社内掲示ポスター・ブランドブックといったツールをクライアント様に制作させていただくケースが多くございます。

③理念浸透キャラバン

部署や拠点、店舗などが全国にあるといった場合などにおすすめなのが、こちらの理念浸透キャラバン。具体的には、経営者が中心となって、企業理念の意義や背景、言葉の細かい意味などを改めて部署や拠点単位ごとに共有していくというものです。

企業理念を直接共有できるだけでなく、普段は聞くことのできないメンバーたちの話をキャッチすることで、相互理解を深めることも可能です。

6:相互共感フェーズ(企業理念を自分ごと化していく)

企業理念も言葉である以上、人によって解釈が異なってしまうという場合もあります。たとえば、同じ言葉であってもベテランと若手とでは捉え方に違いが生まれてしまいます。

だからこそ、目線を合わせることが重要であり、そのために必要になってくるのがストーリーやエピソードです。

自分の仕事の中で体験した具体的でリアリティあふれるストーリーやエピソードを企業理念に紐づけていくことで理念を自分ごと化していくことができるのです。

相互共感フェーズの具体的な手法

①表彰制度・エピソードのアーカイブ・社内報を通じての共有

月に一度、理念を体現した仕事をノミネートし、中でも最も優れた仕事をMVPのような形で表彰します。こうすることで、承認文化が育まれるだけでなく、その企業「らしい仕事」が社内で具体化されていきます。

理念を体現した「その企業らしさあふれる仕事」を定期的に収集し、社内報のような形でリリースすることも、特に拠点が複数ある企業にとても有効です。

②お客様からのサンクスムービー

複数の案件のクライアント様にインタビューを行い、実際のお客様からの感謝の声を集めて1つの映像にまとめます。お客様の声を通じて、自分たちが日々、実践していることの意義を改めて理解し、お客様から承認していただくことで、実感と共感を生み出します。

③理念ブックをつかった理念共有会の実施

月に1度、同じレベルの職級の社員で集まって行うのが理念共有会です。ここでは、相互認知フェーズで制作した浸透ツールなどを用いながら、理念を体現した最近の仕事を共有し合い、どういった仕事が理念に合っているのか目線合わせを行います。パラドックスでは、理念に沿ったスタンスや実際の仕事エピソードがまとまった本があり、そこに毎年、新たなエピソードを付け加え後世に残すような会を実施しています。

また、理念共有会では普段は離れているオフィスや店舗のメンバー同士でコミュニケーションが取れることも意義のひとつです。パラドックスでは、web会議システムの「zoom」やホワイトボード・付箋サービスの「miro」を使用して、エリアの異なるメンバーともコミュニケーションを図っています。 

7:相互貢献フェーズ(企業と個人、双方のビジョン実現へ)

理念浸透の最終フェーズである相互貢献フェーズは、これまで行ってきた「風土づくり」、「相互認知フェーズ」・「相互共感フェーズ」の地道な取り組みによって生まれてきます。

企業と個人の志が重なる部分での各人の目標設定。理念を踏まえた成果の承認および評価。その積み重ねが企業理念に基づいた行動の実践を促し、個人の成長スピードを加速させ、同じく会社の成長スピードもアップ。最終的には、会社と個人、双方のビジョン実現へと動き出していきます。

相互貢献フェーズの具体的な手法

①一人ひとりの志を育むMUST-WANT-CAN研修

会社の志と個人の志の重なりを感じることが、相互貢献にはとても有効です。そのために、社員一人ひとりのビジョンを定期的に共有・承認しあう場を設けることがとても大切です。

具体的におすすめなのが、MUST-WANT-CAN研修。

MUST(会社や社会の期待)・WANT(自身のやりたいこと)そしてCAN(自身ができること)の重なりから生まれるWILL(ある人がその会社で成し遂げたいこと/個人のミッション、ビジョン)」。

このWILLを社員同士で継続的に共有・承認しあい、会社はそのWILLの遂行、実現をサポートすることで、会社と個人がお互いの志を叶え合う基盤がつくられていきます。

②MUST-WANT-CAN研修の内容をマネジメントに組み込む

何かを実践するにあたって、到達点となる目標を設定することはとても重要です。そこで、半年先、一年先程度を目安に企業理念に沿った目標を設定することが有効になります。

具体的には、ひとりよがりにならないように、当人とそのマネージャーのミーティングなどの場を設けて、一人ひとりの自己実現を通じ、企業の自己実現も実現していくような目標を設定。その実現に向けたマイルストーンも設置していきましょう。

私たちパラドックスでは、この目標設定をするときに、有言実行シートというものを独自で作成し使用しています。

このシートには、自分の職域および職級や先ほどご説明したMUST-WANT-CANのワークから導き出したWILLを踏まえた上で、半年先の大目標を設定。その後、大目標を実現していくために、社外観点・社内観点・育成観点、といったように各仕事の中で何をしていくのかという目標およびマイルストーンを設定していきます。

また、3ヶ月ごとにメンバーとマネージャーとの振り返りミーティングを行い、進捗の確認や相談、目標の見直しなどを行うことで、日々その目標を意識して仕事に取り組めるようにしています。

③叶え合いミーティング

会社にいるメンバーにはどんな強みや想いがあるのか。その強みを伸ばし、想いを実現するために、ともに働く仲間としてできることはなにか。腹を割って自己開示する場を設け、相互に「叶え合い」を行える関係性を醸成する。これが叶え合いミーティングです。

詳細の流れは下記になります!

“叶え合いミーティングの流れ”

1:いつも一緒に仕事をするメンバー数名でグループをつくります。ひとグループ5名くらいが適当です。

 

2:モチベーショングラフやMUST-WANT-CANフレームなどを使いながら、自分がどのような自己実現を成し遂げたいのかを確認します。

 

MUST-WANT-CANフレームとは:
先ほど①にも出てきたフレームワーク。今の自分の意思や能力、特性などをMust, Want,Canの3つのフレームに分類して出し、その3つの重なりあう部分からその人だけのWill 、言いかえれば「自己実現や生きる意味(=使命)」を導きだすことができる方法です。

モチベーショングラフとは:
人生における転機を振り返り、その時にどのような判断・行動をしたかや、どんな時にプラスに気持ちが動いたかを改めて整理していくことで、Wantがどのような時に生まれ、人生の時々でどのようなCanを発揮し、Mustにどのように応えてきたのかが、見えやすくなります。

 

3:ひとり20分程度の時間で、自ら成し遂げたい自己実現やその理由、現在の仕事とどのように織り交ぜていくか、といったことを話します。発表を聞くメンバーは、自分がその人の自己実現のために何ができるかを考えます。

 

4:発表を聞いた全メンバーからその人の自己実現のためにできることを極力具体的に提示します。

 

5:ミーティング後も、4で掲げたコミットメントの進捗を定期的に確認しましょう。

 

※チームメンバーを変えながら、全社員が集まるイベント時のひとつのコンテンツとして取り入れることがおすすめです。

最近、パラドックスでも、この叶え合いミーティングを頻繁に行っているのですが、普段の仕事ではあまり関わりのない社員同士で協力し合えることが見つかったり、社内の課題を解決する新しい取り組みが生まれたりという効果が出てきています。

④理念に沿った人事・評価制度を整備する

社員が企業理念を継続的に実践していくには、その実践がしっかりと評価されている状況をつくることが大切です。

そのためには、理念に沿った人事・評価制度が必要不可欠になります。具体的なやり方としては、職級に応じて、ブランドワード(その企業ならではの大切にしている言葉)ごとに要件項目を詳細に設定していきます。

たとえば、パラドックスの場合、評価基準のひとつとして「本質的発想」というものがあります。この本質的発想を中堅社員程度の職級で要件を設定するのであれば、下記のような項目にすることができます。

・「課題に対して本質的な解決方法を提案することができる」

・「今ある仕組みを疑い、進化させることができる」

・「ミッション遂行にあたっての問題点や課題点を自分の職級以上の人に進言できる」

etc

中には、定性的な項目もあるとは思いますが、極力フェアに評価ができるようにしてみましょう。

8:インナーブランディングは効果測定と改善の繰り返しがポイント

ここまでインナーブランディングについて、風土づくりから相互認知・相互共感・相互貢献フェーズおよび具体的な施策についてお話をしてきましたが、もちろん一発ですべてうまくいく!ということは残念ながらそうありません。

ただ、何がしかの施策を継続的に行うことで必ず効果はでてきます。それをもっと確かなものにするために必要なのが、定期的な効果測定と改善です。

たとえば、パラドックスでは、企業と社員の志の重なりである「同志度」を測定するサーベイを独自で作成し、全社員に回答してもらうという方法を取っています。

このサーベイは全60問からできており、「風土にまつわる設問」、「相互認知・相互共感・相互貢献フェーズにまつわる設問」に分かれています。

そして、こちらのサーベイでは、主に下記の3つポイントをあぶり出すことができるようにしています。

Point1:風土における問題の所在を把握

マズローの欲求ピラミッドにまつわる質問などをいれることで、風土を構成しているもののうちどこに問題があるかが明確になります。

 

Point2:同志度の把握

相互認知・相互共感・相互貢献の各フェーズにおいて、どの程度マッチングしているのかが明確になります。

 

Point3:エンゲージメントと相関項目の把握

仕事への誇り、会社への誇り、ENPS)に関する質問を通じて、エンゲージメントを把握し、また相関のある項目も把握することで、効果的な打ち手の実施を可能になります。

9:インナーブランディングで企業のビジョン実現へ

「企業理念はつくってからが始まり」

パラドックスでもお客様の企業理念を策定させていただく際に、いつもこのようにお話させていただいております。

企業には実現したい未来もある一方で、社内には様々な課題を抱えているものです。そんな状況で大きな価値を発揮するがインナーブランディング。

インナーブランディングおよび理念浸透を、順を追って根気強く行うことによって、会社も個人もビジョン実現に向けて動き出しますし、それに伴い社内の課題も解決に向かっていくのです。

ここに書かせていただいたことが、貴社のビジョン実現に少しでもお役に立てますと幸いです。最後までお読みいただき、ありがとうございました。

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PARADOX創研 メディア編集部
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