未来の仲間とは、最初から理念で握手をしたい【株式会社ランクアップ人事インタビュー後編】

社員が効率的に働く会社として、さまざまなメディアに取り上げられている株式会社ランクアップ。「たった一人の悩みを解決する」ことを理念とし、「MANARA(マナラ)」のブランド名で展開する「ホットクレンジングゲルマッサージプラス」をはじめ、さまざまな化粧品の開発および販売を手がけています。

そんな同社の中でいま注目を集めているのは、フレッシュ人事こと森田健一さん。現在社会人2年目です。創業以来初めて新卒1年目から人事部に配属となり、YouTubeを活用するなど一味ちがった採用活動を展開。内定承諾率100%というその手腕は、業界内でも学生の間でも話題となっています。

前編の記事では、理念採用の重要性や人事の姿勢について話していただきました。今回の記事では、これまで採用活動を行って来て感じた課題や、今後実現したい採用文化などについて伺います。

プロフィール

森田健一
1997年大阪生まれ大阪育ち。大学時代に学部代表留学でベトナムのホーチミン経済大学院へ派遣。その後TOEIC990点を取得し、国際寮の副寮長に任命される。株式会社ランクアップにて長期インターンを経験後、創業以来初めてとなる、新卒での人事部配属。年間700名以上の学生と会い、大学やセミナーでの講演を依頼される人気新卒人事。内定者育成や組織開発のプロジェクトメンバーの傍ら、フレッシュ人事チャンネルという就活Youtuberとして企画・運営・登壇。その活躍ぶりからNewsPicksにも取材をされる、異例の新卒2年目人事ルーキー。

 

 日常業務も判断軸も理念に通じている

ーー採用活動の中で、人事以外の社員と学生が話す場面もあると思います。その際御社は、どの社員の方も理念に沿った話ができるものなのでしょうか。

どの社員と会って下さっても大丈夫な自信があります。もちろん学生さんに合わせて、この社員にお話ししていただくのが良いのではないか?と相談することはありますが、学生さんに「この人と話してみたい」と言われて、断るような事はありません。

ーー学生が話してみて、「この人は理念に全然共感してない」と思うような方はいないと。

はい。理念を強く打ち出して、色々な組織施策を行ったり、普段から意識して業務に取り組む当社において、そもそも理念に共感していない状態で働くのは、ちょっとしんどいと思うんですよね。

業務の中で普通に「もっとたった一人の悩みを大事にしよう」とか、理念がベースの話になることも多いので。そこに納得できないと、話にならない。もし理念に共感できない方がいても、すぐに辞めてしまうのではないかと思います。

だからどの社員を学生さんに会わせても、一人ひとりの学生さんに合わせた課題解決を意識する、理念を体現した姿勢を見せてくれると自信を持って言えます。

ーー一貫した姿勢というと、最近では、社員のマネジメントガイドラインを作成したそうですね。

※ランクアップのマネジメントガイドラインとは
これから企業が大きくなるにあたり様々な人が様々な場面で自己判断を要する。そういった時でも、経営者と同じ思考で同じ判断行動がとれるようになるためのガイドラインの事。

極論を言えば、万が一、社長がいなくなっても大丈夫なようにですね(笑)。

この会社は現社長の岩崎が一代で築き上げた会社です。いまがワンマンというわけではないですが、例えば急病で社長がいなくなったときに「これは社長に聞かないとわからない」でストップすることがあると会社は立ち行かない。

そういうとき、ガイドラインに沿って「これはこう判断します」と誰もが決められたほうが早いですよね。

ーーそのガイドラインはもちろん、理念に沿って?

もちろん理念がベースになっています。ガイドラインがそもそも、私たちの会社がどういうものを大切にしているかに基づいて作成されていれば、判断を間違うことがないですから。

社長が言ったことが全部正しい。分からないことがあれば社長に聞けばいい。なんて判断基準では、企業としての成長がないですよね。社長ありきではなく、企業理念ありきで判断するのは、非常に正当性があると思います。

むしろ社長だって、ガイドラインがあったほうが助かるんじゃないでしょうか。「今日の気分的にこう言っちゃったけど、ちょっと間違っていたかも……」なんてことがあるかもしれませんから(笑)。

 

「決められない学生」にも一人ひとり向き合う

ーー学生から人事になっての2年間。総括して何か感じることはありましたか

自分で考えて決めることのできない学生が多いように感じます。

自分の人生なのに、最終的に責任を取るのは自分なのに、親や親戚や友達からの見られ方をすごく意識してしまっている。という自分も、理念に共感できない大手企業にいこうとしていた訳で、その気持ちはわかります。

もちろん、大手企業で成し遂げたいことがある人は大手にいけば良い。この会社に行って自分は幸せになってやる!という確信がある人もそれで良いと思います。ただそれを決めるにも、まずは自分を知る必要があります。自己分析ですね。ここをしっかりとできていない学生は非常に多いです。

ーーなぜ自分で考えて決められない学生が多いのだと思いますか。

元を辿れば教育でしょうか。自分で自信を持って、選択する経験が圧倒的に少ない。親の影響も大きいかもしれません。良かれと思ってでしょうが、子どもの人生を親がコントロールしてきたという方も少なくない。自分で考えて挑戦し、成功したり失敗したり、多様な価値観に触れてきた経験がない学生が多いのだと思います。

ですから、私がインターンなどを企画する際は、まず自分を知ってもらえるようなプログラムを組んでいます。自分のライフラインチャートや振り返りシート、ライフヒストリーワークというものをやって、「自分がどういう環境で育ったのか」から紐解いていく。一企業のインターンではありますが、むしろ第三者だからこそ、学生も言いやすいところがあるんですよね。

そうやってしっかり自己分析をして、自分に合う会社をちゃんと見つけてほしい。本当はどの会社の人事も学生と向き合って、その人に最も良い選択肢を選ぶ機会を提供すると良いと思います。

ーー企業をアピールする人事ではなく、学生と向き合って導いてあげるのが人事の役割だと。

僕はそう思っていますし、学生と向き合っていれば結局、企業の良さをアピールすることにつながるのだと思います。というか、学生にとって何が大事かを考えてあげた結果、自分たちのところに来てくれればそれでも良いし、もし来てくれなくても、ひとりの学生を幸せにできたらそれで良いじゃないですか。

人事全員が採用人数だけに追われず、学生と向き合って一人ひとりを導くようなきっかけを創れたら、絶対良い世の中になりますよね。人事って良い影響も悪い影響も与えてしまう仕事なので、正しい未来をつくることを意識できれば、社会的意義の深い役割だなと思います。

 

 “楽しく働く”大人を増やしたい

ーー学生が自己分析をしっかりやって、理念に共感した企業を受けたとしても、理念と実態が伴わない企業もあります。学生は騙されないという話もありましたが、一定数のミスマッチは起きてしまいますよね。

難しいですが、それは企業の責任もあると思っています。

ただ企業によっては、いまは理念の実行ができていないけれど、実現を目指して頑張っている状態はあると思います。その場合はやはり、正直に伝えることが大切なのではないかと思うんです。いまこの目標に向かって走っているので、一緒について来てくれるひとを求めている、と。

たぶん入社してから嫌なこととか面倒なこととかもあるけど、全部この目標の実現のためにやっている。それでも理念に共感してくれるなら来てほしい、と嘘をつかずに言えればミスマッチは防げると思います。

ーー学生に理想ではなく現実を見せて、未来に共感してくれる仲間を集めるということですね。

その状況を楽しんでくれるひとも必ずいるはずですから。全ての企業がそうやって誠実に採用活動をして、学生はきちんと自己分析をして、強みを活かせる企業に行ければ全員が幸せに働けますよね。

ちょっと飛躍してしまいますが、自分に子どもができたとして、幸せそうに働く姿を見せていれば教育にもなると思います。今って働くことに不安を持つ学生も多いですが、それはもしかすると働く親世代が、少し負の部分を見せてしまっているのかも。

僕個人で言えば、働く父の背中を見てかっこいいなと思っていました。父も仕事が好き。だから社会人になるときも不安はなくて、どちらかというと社会に価値を提供したいなという気持ちが強かったんです。

やっぱり楽しく働く大人が増えないと、子どもだって働きたいと思えないですよね。いま人事として学生と企業のミスマッチを減らすことで、そのひとひとりだけではなく将来の子どもまで幸せにできる。そう思うと責任重大です。そんなやりがいを持って、私は人事の仕事を楽しんでいるんです。

 

人事も学生も本気と本音で

ーー社会的意義を意識して人事の役割を全うする森田さん。今後、どのような採用のあたりまえをつくっていきたいと考えていますか。

学生にとってはいろいろと不安なことも多いと思いますが、まずは就職活動の紆余曲折を楽しんでもらいたいですね。楽しめるような就活を、僕たち人事もつくっていきたい。つらいだけの期間を過ごすのではなくて、良い経験ができたと思える何かを得てほしいと思います。

同時に伝えていきたいのは、大事なことからは逃げてはいけないってこと。自分の人生から、そして自分で決めることからは、絶対に逃げちゃダメです。

自分で考えて、自分の責任で判断する。みんなからは「何でそんな会社に入ったの?」って思われるようなところに就職しても、自分が幸せならそれで良いじゃないですか。その覚悟を持ってほしいと、学生には伝えています。

もし考えて考えて「絶対にここが良い!」と思う会社ができて、でもそこに入れなかったとしても、その会社に入るためにした努力は経験になります。それを活かして、次に進めば良い。結局自分で考えて決めて行動しないと、成功も失敗も糧にすることはできませんから。

そして何より、人事がもっと学生に向き合う社会になってほしい。一人ひとりの学生に向き合って、そのひとのためになるきっかけを創れたら素晴らしいと思います。人事も学生も、そうやって本気と本音で取り組む就職活動が常識になってほしいです。

株式会社ランクアップ
2005年創業。現社長・岩崎裕美子氏の肌悩みから生まれた「ホットクレンジングゲル(https://manara.jp/)」を始め、合成香料や鉱物油不使用など、無添加にこだわった製品を多数開発。近年は男性向け化粧品ブランド「アールオム(https://r-homme.jp/ )」「アクナル(https://acnal.jp/ )」も立ち上げ、肌悩みを抱える多くの男女から支持を得ている。一方で、子育てとキャリアップを両立させた働き方も話題になり、各種メディアからの取材依頼や数々の賞も受賞。「子育て支援」「ワークライフバランス」「健康支援」「成長支援」など、働きやすい会社づくりへ積極的に取り組んでいる。
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