人事なら知っておきたい!同志を集める採用戦略の作り方

この「採用戦略」についての記事に辿り着いたということは、いままさに採用戦略について考えを巡らせており、その中で悩みがあったり困ったりしているのではないでしょうか。

採用戦略を策定するにあたり、まずは採用の目的をいま一度整理してみましょう。改めて、あなたの会社が採用活動をしているのはなぜでしょうか?

・人不足の解消
・優秀な人材の確保
・人員計画で与えられた目標人数を採用すること

もしも、最初に上記のような答えが頭に思い浮かんだ人は、改めて採用の目的を明確にすることが必要かもしれません。

一方で、今年は「体育会系の人を10人採用する!」、「〇〇大学の理系学生を3人採用する!」というような目標を掲げている人事の方もいるかと思いますが、その理由は何でしょうか?

もしも、その属性や数字に対する根拠がないのであれば、こちらも同様に採用の目的を改めて明確にすることをおすすめします。

この記事の制作者である私たちパラドックスは約20年に渡り、業界業種問わず様々な企業の採用をお手伝いさせていただきましたが、採用の目的自体はどの会社も同じだと思っています。

その目的とは、「会社が掲げるビジョン実現のために同志を集める」ということです。

「ビジョン実現」と聞いてピンとこなかった方は、自社の企業理念を思い出してみてください。そこには、きっと企業の存在意義や目指す未来が書いてあるはずです。そこに書いてある未来を実現するために仲間を集めることが本来の採用活動です。

たしかに、「人不足の解消」も「優秀な人材確保」も採用活動がもたらすメリットです。しかし、人を確保するだけでは、企業は進化しません。

そもそも「採用戦略」とは何でしょうか?

わかりやすくするために、図でみてみましょう。

採用は会社の経営に密接につながっています。まず会社が目指している「企業理念(ビジョン含む)」があり、次に部署ごとの戦略である「中長期経営戦略」が続きます。

各部署の戦略を誰が実行するのかにあたって、どんな人材がいつまでに必要で、どのように育成するかを担うのが「人材戦略」です。

その「人材戦略」は下記のふたつに分かれています。

・採用戦略:新しく人を採用する戦略。
・育成戦略:既存の社員を育成する戦略。

採用戦略を上記のように考えると、その会社に本当に合う人に入社してもらい、活躍してもらい、会社が進化して、ビジョンに一歩近づく。そこまでの道のりを描けているかが採用戦略には必要であり、ビジョンに近づく成果があってはじめて採用の成功と言えるでしょう。

この記事では、下記のようなことをお伝えしていければと思います。

・採用力と採用戦略の関係性
・採用戦略を立てる上で検討すべき点
・採用戦略を実現させる鍵
・コロナ禍における採用戦略のアップデート

記事の後半には、採用戦略をアップデートする上でのチェックリストも記載しています。あなたの会社の採用戦略および採用活動の成功に少しでもお役に立てますと嬉しいです。

1:採用力を向上させるには、採用戦略を強化するべき

採用シーンでよく聞く言葉に「採用力」という言葉あります。求職者が多く集まってくる会社は「採用力が高い」といった具合で使われますよね。

この「採用力」とは、一体なにで構成されているのでしょうか。

この採用力を「すぐに変化させられない要素」・「すぐに変化させられる要素」のふたつに分解して考えると、「なぜ、採用戦略に力を注ぐべきか」が見えてきます。

私たちが考える採用力は、大きく下記の要素で成り立っていると考えています。

<すぐに変化させられない要素>

従業員規模、売上高、社会からの認知度、事業の将来性、安定性、商品・サービスの独自性、組織風土・カルチャー。採用における条件や待遇になるところだと、給与、休日日数、勤務地、キャリアの自由度、昇進・評価の仕組み、福利厚生の充実、直近の離職率などがあります。こういった長年の時を経て企業に蓄積されたものは、一朝一夕で変化しないという特徴を持っています。

 

<すぐに変化させられる要素>

一方で、すぐに変化させられる採用力の要素としては、採用の大目的の設定、コンセプト、世界観の統一、ペルソナの設定、求心力のあるコンテンツ、チャネルの選択、社員の巻き込みといったものが当てはまります。

いかがでしょうか。

この上記であげた、ぐに変化させられる可能性があるものが採用戦略であり、経営陣や人事担当者のアイデアや工夫次第ですぐに変化を起こすことができるものなのです。

また、これはだいぶ後工程の話ですが、採用戦略は入念に検討した分だけは、内定出し後のグリップにも力を発揮します。というのも、採用戦略が細部までしっかり考えられていればいるほど、採用理由も明らかになるため、内定者に「なぜあなたに内定を出したのか」を根拠を持って語ることができるからなのです。

2:採用戦略において検討すべきポイント

理想的な採用戦略を立てるにあたって、下記のようにおさえるべきポイントがいくつかあります。

“採用戦略の検討ポイント”

①:採用目的の設定
②:人材要件/ペルソナの設計
③:採用コンセプトの策定
④:世界観作りやコンテンツ制作
⑤:チャネルの選択
⑥:評価基準の設定
⑦:内定グリップ施策の検討

基本的には、この順番通りに考えつつ、たまに行ったり来たりしながら思考を深めていくことがおすすめです。

①:採用目的の設定

もちろん、採用自体の大目的は、「会社が掲げるビジョン実現のために同志を集める」に変わりはありません。ここでは、もう一歩踏み込んで、今回の採用で会社のどの部分を特に進化させたいのかを考えてみましょう。

進化させたいポイントが複数ある場合は、その分だけ検討してみましょう。経営者はもちろん、各部門のリーダーとも話し合うことで、新たな発見もあると思います。

採用目的は、採用に関わるすべてのメンバーが等しく理解していることや、採用活躍中に常に念頭に置いておくことが大切です。

そのため、日頃のミーティングなどで、改めて採用の目的に立ち返る時間を作るように心がけましょう。

②:人材要件とペルソナの設計

採用の目的が明確になってきたら、求める人物像について考えていきます。具体的なやり方としては、下記の2つがあります。

Ⅰ:人材ポートフォリオで考える
Ⅱ:「スキル」「人間性」「MUST」「WANT」で考える

Ⅰ:人材ポートフォリオで考える

その会社が社員に求めている要素で4象限をつくり、
どういった人材を採用したいのかを検討します。

この時、各象限における人材を採用人数全体に対して、
現在何%採用しているのか。そして、これから何%にしていくのか。

その時の会社の状態を鑑みた上で、
ターゲットのボリューム層も設計することを意識してみるとより効果的です。

※上記の図の数値は例です。

Ⅱ:「スキル」「人間性」「MUST」「WANT」で考える

Ⅰの人材のポートフォリオは企業ごとに4象限をつくりますが、
Ⅱでは「スキル・能力」「人間性・志向性」「MUST」「WANT」で
固定された4象限で求める人材を検討していきます。

-スキル・能力:どういったことができるのか。
-人間性・志向性:どのような性格か。どのようなことを好むか。
-MUST:その企業がMUSTで大切にしていて、かつ採用ターゲットにも求めることは何か。
-WANT:その企業にとってMUSTの他にどんな要素を持っているか。

ⅠやⅡで求める人物像がある程度見えてきましたら、その人物をより理解するために、ペルソナを設計しましょう。

 

“ペルソナ設計”

-幼少期からこれまでどういった歴史を歩んできたのか。
-仕事に対して何を求めているのか。
-どういった価値判断で行動を決めているのか。
-どのようなスキルを持っているのか。

上記のように、とにかく詳しいペルソナをつくることで、ターゲットの理解を深めてみてください。

③:採用コンセプトの策定

採用する目的、採用したい人物像が明確になったら、採用コミュニケーションの軸となる「採用コンセプト」を策定していきます。

この採用コンセプトは、採用における具体的な施策を行う上で非常に重要になります。採用コンセプトを設定することで、自社の強みやらしさ、他社との差別化が言語化することが可能となります。

すると、採用活動における意思疎通のブレが減らせるため、学生・転職者はもちろん、社内や外部パートナーなどに、採用方針を正しく伝える大きな力となってくれるはずです。

 いい採用コンセプトの3か条は下記です。

1,企業理念と紐付いていること
2,大切にする価値観を伝えられている
3,ターゲットの共感を得るものになっていること

※採用コンセプトのメリットの詳細や具体的な作り方は下記の記事をご覧ください。
→「内定辞退やミスマッチを防ぐ!理念に基づいた採用コンセプトの作り方

:世界観作りやコンテンツ制作

採用コンセプトが出来上がると、採用コミュニケーション全体における世界観作りやツール、コンテンツ類の制作も可能となります。

昨今は「採用ブランディング」という言葉もよく聞くようになりましたが、採用コミュニケーションにおいて、③の採用コンセプトを軸に企業のメッセージやらしさ・世界観を統一して求職者に伝えることが、その企業の同志を集める上でとても効果的です。

いま採用ターゲットに伝えるべき情報は何なのか。ベストな伝え方は何なのか。じっくり検討してみましょう。

また、最近はSNSなどの発展により企業が360度、あらゆる角度から見られている時代となりました。

採用面だけの見られ方だけでなく、たとえば実店舗や広報サイド、社員の行動など、様々な面でその企業らしい世界観が作れているか確認しておくことも必要です。

:チャネルの選択

 採用コンテンツづくりと併せて検討したいのが、この「チャネルの選択」です。現在の採用市場には実に多様なチャネルが存在しています。

たとえば、こちらの図をご覧ください。

パッと見ただけでも多くの種類がありますよね。もちろん、すべてやらなければいけないということはありません。

 自社との相性、予算、マンパワーなどと相談しながら、最適な組み合わせを考えればいいのです。

 といっても、最適な組み合わせとはなんだろう・・・。と悩む方もいると思うので、採用チャネルを考える上で注目すべき8つの指標をお伝えします。

“チャネルで検討すべき8つのポイント”

1,そのチャネルで、何名を採用する見込みなのか?
2,その採用が見込める根拠は何か?
3,想定できるターゲット像
4,ターゲットにとってのベネフィットは何か?
5,運用期間はいつまでにするか?
6,そのチャネルから採用した場合にかかる採用単価は?
7,運用に際しての担当フォーメーション/役割分担
8,そのチャネルにおいて同様の規模や近い職種の採用成功事例はあるか?

⑥:評価基準の設定

チャネルを検討できたら、次は実際に選考を行う際に必要となる採用基準を改めて検討してみましょう。

せっかく採用コンセプト策定やそれによる世界観作りがうまく機能していても、この採用基準に自社らしさがなく、いまいちキレのない採用になってしまっているケースも少なくありません。

たとえば、なんだかんだで「スキル」「ポスト」「学歴」といった一般的な尺度のみが基準となってしまっている場合は、ここで改めて検討することをおすすめします。

もちろん、スキルやポストを鑑みることも必要ですが、採用基準で大切なのは「その企業の志やミッション・ビジョンといった要素が内包されたユニークな基準」を入れることです。

たとえば、トヨタには「チャレンジ」「チームワーク」「温厚」という3つの採用基準があると言われています。このうち、「温厚」はあまり他の会社では聞かないような基準ですよね。

これはトヨタが昔から「輪を乱すことをよしとせず、新しいものごとに仲間と共に挑戦することを是とする」文化があることから、採用基準にも温厚が入れられています。

また、こうしたユニークでオリジナルな採用基準を設けると、採用企画にもエッジが出てきます。その企業ならではの、説明会、ツール、面接。こうした点に悩んでいる方は、採用基準から考えてみるのもひとつの手です。

さらに、明確な採用基準は内定出し後のグリップにも力を発揮します。

⑦:内定グリップ施策の検討

最後は、内定を出してから入社までの内定グリップについてです。近頃は、内定を出すも承諾してもらえない、辞退されてしまった、というお悩みも多く寄せられています。

内定グリップのポイントは主に3つ。

Ⅰ:内定理由を明確に伝える
Ⅱ:入社してからをイメージしてもらう
Ⅲ:親御さんをフォローする

Ⅰ:内定理由を明確に伝える

ただ内定をもらうのと、理由付きで内定をもらうのには大きな差があります。たとえば、「好き」と言われるにしても、理由があるかないかで大きく印象は異なりますよね。

そこで、⑥の「採用基準」が重要になります。採用基準が明確でユニークであればあるほど、内定の理由も明確でユニークなものとなり、他社では言われないオリジナルな理由として相手に届きます。

「自分のこんな想いと会社のビジョンがマッチした」
「自分のこんならしさが活かせそうだ」

といったように、内定理由が明確だと、承諾の可能性も高まります。

Ⅱ:入社してからをイメージしてもらう

内定者が気になるのは、やはり入社してからの未来です。ここは、入社したらどのような日々がまっているのかという短期的視点と、ゆくゆくどんな人になっていくのだろうかという中長期的な未来を見せる工夫があると望ましいです。

また、それに併せてどのような社員がいるのかを届けることも、より会社を知る上では有効です。

たとえば、社内報を作っている会社であれば、それを内定者にも届けたり、中堅層あたりの社員と気軽な会話ができる場をオンラインで設けたりするなどがあります。

Ⅲ:親御さんをフォローする

もしかすると、業界によっては、親御さんの反対が原因で内定辞退が出てしまうというケースもあるかと思います。

そういった場合は、内定者の親御さんに送る専用のツールとして、

会社の想い/事業内容/社員のインタビュー記事/福利厚生に関する情報

など、上記のような内容を盛り込んだ冊子やお手紙を作ることも、内定グリップにおいては非常に大切です。採用サイトに、親御さん向けのコンテンツをつくるという例もあります。

3:採用戦略実現の鍵は「社内協力」と「工数予測」

もちろん採用戦略も立てただけでは意味がないので、ちゃんと実行していくことが必要です。ただ、この実行フェーズに課題を感じている方も、きっと多いはずです。

様々なお客様の採用をお手伝いさせていただく中で、採用戦略を実現していく上では、下記の3つの要素がポイントになっていると感じています。

ポイント①:経営陣、関係各所と採用戦略をすり合わせる
ポイント②:人事以外の社員にも「全員が人事」という想いを持ってもらう
ポイント③:リソースと工数をなるべく正確に把握しておく

ひとつずつ見ていきましょう。

ポイント①:経営陣、関係各所と採用戦略をすり合わせる

まずは、採用戦略がある程度できたタイミングで、経営陣や関係各所とのすり合わせの時間を設けてみてください。

戦略に基づいて動き始めてから、経営陣や関係各所との認識のズレがあったのでは、時間もコストも余計にかかりもったいないですからね。

「経営陣だからわかっているだろう。」「あの部署はこういう人がほしいだろう。」というように、自社のことなので、ついわかっているように感じてしまいがちなのですが、ここが盲点となるケースが採用ではとても多くみられます。

会社全体として、組織戦略や事業の進化の方向性をどのように捉えていて、人事はどのように機能していくのかを改めて確認しておきましょう。

経営陣、関係各所とは下記をすり合わせておくことをおすすめします。

「経営ビジョンを実現する事業計画達成に必要な人材とは?」

・会社全体でどのような組織を作るために、どのような人材を採用するのかという共通認識。
・予算、目標人数、時期など計画における数字に意味を設ける。(理由のない数字目標を設定しない)

ポイント②:人事以外の社員にも「全員が人事」という想いを持ってもらう

冒頭にもお話しましたが、採用の大目的は「会社が掲げるビジョン実現のために同志を集める」ということです。

こう考えると、採用というものは決して人事だけが行うものではなく、社員全員で取り組むべき仕事であるということが言えます。

もちろん、どの部署の人もそれぞれの仕事でお忙しいと思いますが、採用の意義深さを伝えることや役割担当を明確にすることなどで、人事とその他社員との強い協力体制をつくることが大切です。

実際に、人事以外の社員が説明会や面談、面接に登場する企業さんをいくつも見てきましたが、そういった会社さんは社員みんなが自社の理念や魅力、らしさを同じクオリティーでしっかり語ることができることが多いです。

つまり、これは社員一人ひとりが採用メディアとして、様々な場所で会社の採用広報を担ってくれている望ましい状況と言えるでしょう。

協力を依頼する社員とは下記のようなことをすり合わせおきましょう。

「事業づくり≒同志探しと捉えて、人事と社員の協力体制をつくる」

・各事業責任者、事業計画と採用計画の整合性の確認をする。
・採用コンセプトやペルソナの共有
・人事と社員の役割分担や方向性を明確にした上で、協力体制を構築する。
(採用基準/選考フローの意図/リファラル採用の進め方、など)

ポイント③:リソースと工数をなるべく正確に把握しておく

どんなに素晴らしい採用戦略を作ったとしても、それを実行する人や予算がなければ、机上の空論で終わってしまいます。

また、採用はフェーズによって必要な人やお金が大きく変動するという特徴も持っています。そのあたりも鑑みて、いま目の前にある戦略を遂行し切れるか、頭でシミュレーションしてみましょう。

採用チーム内などで、下記をすり合わせておくといいでしょう。

「最適な人的リソースの中で効率的な効果を出せるプランニングかどうか」

・最適なフォーメーションや人員を考える。
・採用における繁忙期や自社で人不足になりがちな時期を推測しておく。

4:Withコロナにおける採用戦略のアップデート

新型コロナウイルスの感染拡大に伴い、急激な変化を見せる採用市場。このような状況がいつまで続くのかという不安やどのような施策を打てば良いのかという悩みを抱えている人事の方も多いのではないでしょうか。

コロナ禍における採用活動のポイントは、「コミュニケーションの再設計」と「魅力づけの深化」だと言われています。

コミュニケーション再設計:
オンラインなのかオフラインなのか。世の中の状況とシーンを鑑みて、採用アプローチの最適化を行う。「web越しとリアル」それぞれの特性を把握し、気持ちを冷めさせない工夫も併せて必要になります。

 

魅力づけの深化:
たとえ画面越しであっても従来以上の熱量を伝える創意工夫を行う。「オンラインだから難しい・・・。」と諦めるのではなく、熱量を乗せたコンテンツやツールを開発できるか。

また、上記に併せて、パラドックスがおすすめするコロナ禍において採用戦略のアップデートを検討すべきチェックリストを5章に用意しましたので、ご覧ください。

5:採用戦略アップデートに向けたチェックリスト

①から⑥まで順番に考察していき、完了したら、四角にチェックをいれていきましょう。納得するまで、チームで考え続けることを大事にしてみてください。

①:自社ならではの魅力/独自性を定義する。

□自社ならではの魅力要素の言語化
   □強み・資産・環境(ハード面)の抽出/資産整理
   □志・価値観・姿勢(ソフト面)の抽出/資産整理

□自社ならではの独自性の考察
   □策定したMVと強み・資産・環境は、どう紐付くのか?の考察
   □策定したMVと紐付いた志・価値観・姿勢は、どう紐付くのか?の考察

②:採用すべきターゲットの分析/ペルソナの明確化

□ターゲット学生のスペック・能力の分析
   □どんな人生、どんな経験をしていると活躍に繋がりそうか。
   □就活時点では、どんな大学にいそうか?どんな強みを持っていそうか。

□ターゲット学生の考え方・価値観の分析
   □就活時点では、どんな社会貢献やキャリアを考えていそうか。
   □就活時点では、企業選びの軸/大切にしたい価値観は何を考えていそうか。

③:ターゲットに刺さる採用コンセプトの策定/採用戦略の最適化

□採用コンセプトの策定
   □抽出した自社の独自性に対して、ターゲット学生はどこに共感しそうか。
   □そのターゲット学生に対して、一番強く伝えるべき核(コア)はなにか。

□採用戦略/フローの最適化
   □採用コンセプトに紐付いた戦略施策や年間スケジュールはどうなるか。
   □ターゲット視点で考えると、どんな選考フローであれば共感しそうか。 

④:選考時の評価基準のすり合わせ/共通質問フォーマットの作成 

□採用活動における評価基準の言語化
   □入社前の学生時点で、どこまでの人間性を期待するのか人材要件の言語化
     (≒どの部分は入社後の育成機能で、伸ばしていけると考えるのか。)
   □採用評価基準に、組織のMVの世界観は連動しているか。 

□採用活動の協力者への採用コンセプトの啓蒙
   □説明会/面接/選考に関わる協力者に採用戦略/コンセプトは伝わっているか。
   □面接官に対しては、評価基準のすり合わせ及び共通質問を設定できているか。

 ⑤:採用コンセプトを踏まえた魅力づけコンテンツの企画/実施 

□MVや採用コンセプトを踏まえたコンテンツ企画/媒体ライティング
   □学生の就活時期によって、ニーズに合ったコンテンツを提供できているか。
   □MVや採用コンセプトは、イベント企画や媒体のメッセージに反映されているか。

□ ターゲット学生へのアプローチ施策の再設計
   □WEBコミュニケーションとリアルコミュニケーションを使い分けできているか。
   □認知→理解→共感→自分ごと化→協働のような段階別アプローチ施策があるか。

⑥:内定承諾の決め手づくり/内定承諾後~入社までのフォロー研修

□内定の出し方で差別化/内定承諾後のフォロー研修の仕組み化
   □内定を出された側の学生は、納得感や入社へのストーリーを感じているか。
   □内定承諾後に、受け皿となるフォロー施策はあるか。
   □入社時までに企業文化の理解や業務への理解は高まっているか。

いかがでしょうか。
検討する項目が多く、大変な印象があるかもしれません・・。しかし、コロナによる変化は事実として存在しますので、あくまでも自社らしさをベースに、採用戦略を見直してみてください。

※チェックリストは下記よりダウンロードいただけます。
checklist

6:まとめ

もう一度、重要なことを振り返りたいと思います。

まず、採用の目的は「会社が掲げるビジョン実現のために同志を集める」ことです。そのため、採用は会社経営と非常に密接に関わっていると言えます。これは、採用活動におけるどんな時も頭に置いておきましょう。

そして、企業がそれぞれ持っている採用力とは、企業の知名度や将来性、商品・サービスの独自性、組織風土、などあらゆる要素で構築されていますが、中でも比較的変化を起こしやすいのが、採用戦略になります。

採用戦略を細分化すると、「採用目的の設定」「人材要件/ペルソナの設計」「採用コンセプトの策定」「世界観作りやコンテンツ制作」「チャネルの選択」となります。それぞれ、検討をしていきましょう。

採用戦略を立てたら、それをいかに実現させるかです。描いた戦略の実現に向けて、工数予測、人事以外の社員の巻き込みなどを行っていきましょう。

最後にコロナ禍における採用戦略のアップデートです。現在、上手くいっているか否かに関わらず、5章のチェック表を見ながら、常にアップデートできるポイントを探ってみてください。

最後までお読みいただき、ありがとうございました。みなさんの会社の採用戦略がより自社らしさを体現するものとなり、同志とのより良い出会いを創出するものとなることを願っています。

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