企業スローガンとは? 有名企業の30事例を企業理念から読み解きます。

最近では「いい理念とは」、「ミッション・ビジョン・バリュー(MVV)の役割」といったブランディングに関する記事をたくさん見るようになってきました。企業理念やMVVがどのようなものか、以前より理解しやすくなったように思います。

一方で、理念やMVVの周辺にある言葉で、じつはボンヤリとしかわかっていないんだよね……なんてことが起きてはいませんか。

今日とりあげたいのは、企業スローガンです。

本来スローガンは、ある団体・運動の主張を簡潔に表した標語を指した言葉。ブランディングの文脈だと、どのように使われるものなのか、丁寧に見ていきたいと思います。

「スローガンってキャッチコピーと何が違うの?」と思うあなたも、「どの会社もスローガンなんて似たようなものでしょ」と思っているあなたも。この記事を読んでいただければ、同じような領域の企業でも、伝えているメッセージに違いがあるなど、その微妙な差と面白さに気づいていただけるかもしれません。

今回は、前半ではスローガンの役割について解説し、後半は様々な企業のスローガンを解説しながらご紹介します。

それでは、楽しんでまいりましょう。

スローガンについてゼロから知りたい方は、1章から順に。
様々な企業のスローガンを見ながら理解したい方は、3章→2章→4章の順で読むのがおすすめ。
ある程度は知っていてさらに理解を深めようとしている方は、1章を飛ばして2章からスタートしてみてください。

1:7個のQ&Aで理解する、スローガンとは

まずはサクッと理解したい方に向け、スローガンについて、Q&A形式でお答えしていきます。

Q1:スローガンの定義は?

A1:理念を「合言葉」にしたものです。

スローガンとは、理念を「合言葉」にしたもの。企業の考えや在り方を、わかりやすく一言にしたものです。よく「MVVSS(ミッション・ビジョン・バリュー・スピリット・スローガン)」と言われるもののひとつ。コーポレートロゴとともに書いてあったり、CMの最後に流れたりします。

※参照:株式会社ミツカン ニュースリリース http://www.mizkan.co.jp/company/newsrelease/2004news/040204-01.html

↑この「やがて、いのちに変わるもの。」がスローガンです。

そもそもスローガンの起源は、スコットランド高地兵の唱える鬨(とき)の声から来ているようです。自分たちを鼓舞するために唱えるフレーズの意味があったんですね。

Q2:スローガンは企業スローガン以外にもあるの?

A2:合言葉としてはどこでも使います。

合言葉なので企業はもちろん、他の集団や組織も含め、多くの場面で使います。政治家が、選挙スローガンを掲げたり、学校で貼り出してある標語もある意味スローガンと言えるでしょう。

この記事では主に、企業スローガン・コーポレートスローガンについて扱っていきます。

Q3:企業理念の中でのポジションは?

A3:基本は、ミッション・ビジョン・バリューのいずれかをわかりやすくしたものが多い印象です。

スローガンは、MVVSSの中で「合言葉」の役割を担います。

企業の理念は説明的で少し長いと感じることはありませんか。その企業のことを知らない人にもわかるよう、一言で言いやすく&わかりやすく、そして社内外での認知が容易になるように表現したものがスローガンです。

Q4:○○スローガンってたくさんありますか?

A4:コーポレート、事業、ブランド、キャンペーン、などなど。

一言で企業のブランディングに関するスローガンといっても、種類は多様です。

企業全体の理念を伝えるのは、コーポレートスローガン。事業やブランドの考えや在り方を表現する、事業スローガン。期間限定で広告に使用されるキャンペーンスローガンもあります。採用活動においては、採用スローガンと呼ばれるものもありますね。

Q5:「あなたと、コンビに、ファミリーマート」はスローガンですか?

A5:スローガンといえるでしょう!

たしかに、ファミリーマートのコーポレートサイトを見ると、「あなたと、コンビに、ファミリーマート」は、「コーポレートメッセージ」とされていますね。じゃあスローガンではない!となってしまいそう。

※参照:ファミリーマート 基本理念 https://www.family.co.jp/company/familymart/idea.htm

しかしQ1で見たスローガンの定義に戻ってみましょう。スローガンは合言葉でした。「あなたと、コンビニ、ファミリーマート」はロゴとともに合言葉として認知されている言葉なので、実際はスローガンとしても使用されていますね。

こういった例は意外とたくさんあり、スローガンって結局何なの?という疑問を複雑にしているひとつの要因。ですが、「合言葉=スローガン」の定義と思っていただいても問題ないでしょう。

コーポレートメッセージの他にも、ブランドコンセプト、キャッチコピー、タグラインなどは、「≒スローガン」として機能していることがあります。

Q6:スローガンは社内でつくれるもの?

A6:社内から生まれた名スローガンもあります。

スローガンは、企業理念と乖離があってはいけません。あくまで、理念を表現する合言葉です。

……と考えると、全くの部外者がゼロからポンとつくるものではないでしょう。その企業(組織・事業)のことをよく知っている人が主体となってつくるのがベストです。

もちろん、表現の部分に関しては、プロの力を借りるのがベター。社内にコピーワークができる担当者がいればその方に。いない場合は社外のプロへお願いすることも検討してみてください。

Q7:スローガンをつくる意味はあるの?

A7:認知しやすい!口にしやすい!掲げやすい!

スローガンという短いフレーズにし、対外的に一番目につきやすい場所で用いることで、企業の特徴を、初見の人にわかりやすく・言いやすく・伝えやすくしてくれます。

たとえばこちら。とある企業の社是ですが、パッと見てどういうことだか理解できますか?

初めて見る人には少し難しく感じそうですよね。

では、こっちならどうでしょう。

じつは先程の社是は、ライオン株式会社の社是でした。社是の方は、一瞬ではどんな企業なのか掴みにくかったと思います。

しかし、このスローガンを、仮にもしライオンのことをまったく知らない人が見ても、「みんなの『今日』を大切にする企業なんだな」というのが、何となくわかる。これがスローガンの効果なんです。

※参照:ライオン株式会社 コーポレートメッセージ https://www.lion.co.jp/ja/company/statement.php

2:いいスローガンは「MVVを」「わかりやすく」

では次に、いいスローガンとは?どのようなものか。これを理解するために、知るべきことは、次のふたつです。

いいスローガンとは?

①MVVと密接に紐づく

②MVVのいずれか(ときに複数)をわかりやすく表現している

この視点を持っていれば、スローガンの面白さの半分以上を理解したといっても過言ではありません。……でも、それで終わってはもったいないので(笑)。もう少しだけ詳しく見ていきましょう。

2-1:いいスローガンは、企業理念と密接に紐づく

企業の根幹でもある企業理念を構成する要素の内の3つ、ミッション・ビジョン・バリュー(MVV)。まず、ここに目を向けましょう。

ミッション・ビジョン・バリューとは

・ミッション=企業が日々果たすべき使命

・ビジョン=企業が実現したい未来(30-100年後くらい)

・バリュー=企業が(社内/社外に)約束する価値・強み

スローガンがつくられるときには、この3つがベースとなります。企業理念の言語体系の中には、スピリットやクレドと呼ばれるものもあります。その要素はスローガン表現のベースとなるスタンスや口調、いわゆるトーン&マナーに反映させることが多いですね。

2-2:スローガンはMVVのいずれかをわかりやすく表現する

基本的には企業理念のMVV3つに紐づき、わかりやすい「合言葉」に変換したものがスローガンです。

ミッションを合言葉化する場合もあれば、ビジョンの場合もバリューの場合もあります。複数に関係することももちろんありますよ。

表現は、わかりやすく、言いやすく、伝わりやすく。社外向けなのか、社内向けなのか、を意識しながら。ここはコピーライティングの力も関わってきます。

スピリット(企業の精神やスタンス)も、表現するにあたり、トーン&マナーに盛り込めるとGOODですね。

***MVVSSについて詳しく知りたくなった方はこちらの記事もどうぞ!
企業の根幹を担うミッション ビジョン バリューの意味合いと作り方

3:30個の企業スローガン事例鑑賞会

さてさて、ここまで基本的なスローガンについて説明をさせていただきましたが、ここからは実際に世の中の事例を見ながら進めていきましょう!

企業の掲げていることなんて似たりよったり……と感じている人にこそ、ぜひ読んでいただきたい。比較することで、違いというのはより明確になるものです。

スローガン鑑賞を通じて、企業の思想を知る面白さ、そして、それをスローガンで表現することの奥深さをぜひぜひ感じていただけたらと思います。

ここではスローガンを、ミッション・ビジョン・バリューのどれに主に紐づいているかで分類をしてみました。企業理念として掲げられるようなものを、2章でもご紹介した下記の定義に基づいて分類を行っています。

ミッション・ビジョン・バリューとは

・ミッション=日々果たすべき使命

・ビジョン=実現したい未来(30-100年後くらい)

・バリュー=(社内/社外に)約束する価値・強み

それでは、ミッションに紐づくスローガンから。どうぞ!

3-1:ミッションに紐づくスローガン

ミッションに紐づくスローガンは、ミッション≒スローガンとしてそのまま掲げている企業も多いです。ミッションは日々果たすべき使命なので、私たちはこんなことをする企業ですよ、と社会へ向けたメッセージとして機能しやすいのかもしれませんね。

まだ、ここにない、出会い。 【リクルートホールディングス】

CMの最後に流れるのでおなじみ。リクルートホールディングスのスローガンです。リクルートはミッション≒スローガンとなっています。

※参照:リクルートホールディングス ミッション・ビジョン・バリューズ https://recruit-holdings.co.jp/who/management/

リクルートという企業は、常に事業の立ち上げを行っている事業創造企業に見えます。しかしリクルートのやっていることは、じつは一貫していて「選択肢」の提供なのです。

60年代、日本の学生が就職先を全然選べなかったことから事業がスタート。就職先を選べるように(より最適な選択肢があるように)する、というのが根っこにあります。それまでなかった選択肢(企業と個人の出会い)をつくるというので、一貫してやって来ている企業なのです。

何をやる企業なのか、かなり明確に打ち出されてるいいスローガンではないでしょうか(筆者もとても好きなスローガンのひとつです)。

NO MUSIC , NO LIFE . 【タワーレコード】

こちらも企業スローガンの中ではあまりにも有名。シンプルにカッコいいですね。「NO MUSIC , NO LIFE .」 タワーレコードです。ロックですねー。

※参照:タワーレコード 企業理念 https://tower.jp/company/philosophy

タワーレコードがミッションとして掲げているのは、「LIFE MUSIC COMPANY」。人生にまつわる、あらゆる音楽に携わることを表明しています。こういったジャンルの音楽、こんなときに聴く音楽、と定めてしまうのではなく、人生のあらゆるシチュエーションでの音楽が、タワーレコードにはある。私たちの「LIFE」そのものとともにあろうとしている企業なんですね。

うまいすしを、腹一杯。うまいすしで、心も一杯。 【スシロー】

回転寿司チェーン、スシローです。スローガンとミッションがイコールとなっています。

※参照:株式会社あきんどスシロー 企業理念 https://www.akindo-sushiro.co.jp/company/philosophy.html

スシローといえば、手頃な価格のおすし。だから「うまいすしを、腹一杯」食べられる。しかも安ければいいわけではなく、「心も一杯」にしてほしいから、ネタや調理、清掃、接客、すべてにこだわっている、と。

何をする企業なのかが明確で、ストレートに伝わってくるスローガン。スシローでした。

愛と自由とTENGA 【TENGA

TENGAです。アダルトグッズのTENGAirohaの販売のほか、性にまつわる情報発信や啓発もやっている会社ですね。ブランドムービーも、カッコいいですよ。

企業理念全体を表すスローガンでありますが、強いて言えばミッションと関係が深いと言えそうです。

※参照:TENGA 企業理念 https://tenga-group.com/company/mission.html

世の中でのアダルトグッズ(もっと言えば「性」)への見方は、まだまだポジティブではない。語られづらい、タブーな存在です。そのなかで、性をもっと豊かに、そこから幸せに、というメッセージを明確にしています。

もっと好きなものは好きで、愛しているものを愛している、といえる世の中に。それがTENGAの主張であることがわかります。

だからこそTENGAは、障害を持つ人の性だったりセクシャルマイノリティに関する活動だったりの発信もしています。商品だけでなく、様々な活動に貫かれているスローガンですね。

PRECIOUS COFFEE MOMENTS 【上島珈琲店】

全国100店舗以上を展開する上島珈琲。コーヒーを中心に輸入・加工・販売などを行うUCCホールディングスの傘下にあるコーヒーショップです。上島珈琲店のスローガンを理解するためには、UCCのスローガンを見てみる必要があります。

UCCのスローガンは「Good Coffee Smile」。企業のミッションにあたるメッセージがコーポレートメッセージ(&企業理念)として掲げられています。

※参照:UCCグループ Good Coffee Smile  https://www.ucc.co.jp/company/goodcoffeesmile/index.html

とてもシンプルでわかりやすいメッセージ。GoodCoffeeGoodSmileを生み出すことがUCCの使命だと示されています。

コーヒーそのものに関して考えているのがUCCだとすると、コーヒーショップでコーヒーを楽しむ特別な時間を提供するのが上島珈琲店。UCCの掲げるGoodCoffeeをもって、PreciousなMomentsを提供するのが、上島珈琲店というわけです。

食卓に、温もりの魔法を。 【タイガー魔法瓶】

企業理念の最上段に置かれているタイガー魔法瓶株式会社のスローガン、「食卓に、温もりの魔法を。」

これはタイガー魔法瓶のミッションである「温もりあるアイデアで、食卓に新たな常識をつくり続ける。」につながっています。

※参照:タイガー魔法瓶 企業理念 https://www.tiger.jp/corporate/policy.html

食事や飲みものを、時間が経っても、いつでも温かいまま楽しめる。これはタイガーの生み出した、まさに魔法でした。その技術を活かしながら、時代が変わっても新しい魔法を生み出し、食卓に当たり前を生み出すことを掲げているのがタイガーなのです。

タイガー魔法瓶のMVVに関しては、私たちパラドックスがお手伝いをさせていただいたものなので、詳しい事例紹介もあります。興味のある方は、こちらの事例ページもご参照ください。

***タイガー魔法瓶様事例 https://www.prdx.co.jp/branding/tigerbranding/

正直品質。 【ファンケル】

横書きの字面が美しいですね。正直品質。化粧品やサプリメントを販売するファンケルグループのスローガンです。

こちらは、あえて分類すればミッションに基づくスローガン。創業の理念に、この考えはよく表れています。

※参照:ファンケル ファンケルグループの理念 https://www.fancl.jp/about/fancl/index.html

正義感を持って 世の中の「不」を解消しよう。この意図するところは、ファンケルの創業した1980年頃の時代背景を考えるとよくわかります。

当時は、化粧品による肌トラブルが大きな社会問題となっていました。化粧品の過剰使用や、防腐剤などの添加物などにより、肌の悩みを抱える人が多かった時代です。

そこでファンケルが始めたのが、シンプルな処方で無添加の化粧品事業。当時業界内では風当たりが強いこともあったようですが、正義感を持って「正直」に肌トラブルという「不」に立ち向かったのがファンケルだったのです。

そんな想いから生まれている事業・商品だからこそ、ファンケルが掲げるのは「正直品質。」 創業時からずっと変わらず、ずっと唱えられ続けたであろうスローガンです。

お口の恋人 【ロッテ】

ガムやコアラのマーチ、トッポなど、ちょっとしたときに食べたくなるお菓子を製造・販売しているロッテ。「お口の恋人」は長年掲げられているスローガンです。

企業スローガンで「恋人」という単語はあまり見ないので、ドキッとする気もしますが、ミッションを見ると背景の考えがわかります。

※参照:株式会社ロッテ 企業理念 https://www.lotte.co.jp/corporate/about/philosophy/#group_mission

「愛される」が最初に来ています。これは他社のミッションと比較すると、かなり珍しいはず。

「信頼」でも、「よりよい」でも、「豊かな」でもなく、愛されることがもっとも優先なんです。だから「恋人」なんですね。

ちなみに、ロッテはゲーテの著書『若きウェルテルの悩み』に登場するヒロイン・シャルロッテの名前から。「永遠の恋人」として知られるシャルロッテのように、世界中から愛されるように、と。企業名まで、想いは貫かれています。

ぴったり技術で 明日をつくる 【ニチバン】

ニチバンって何の会社だっけ……?もし企業名だけ聞いてピンとこなくても、「ぴったり技術」と聞けばわかる方も多いかもしれません。セロテープや絆創膏などを製造する企業です。

しかし面白いのが、「セロテープで明日をつくる」とは言っていないこと。「ぴったり技術」と言い換えています。

これはもちろん、セロテープ以外の商品もあるからという理由も考えられますが、ニチバンが商品そのものよりも、技術の方にアイデンティティを置いているからと考えてみると面白くなります。

セロテープの会社です、ケアリーブの会社です、ホワイトテープの会社です、と見られたいわけではなく、「ぴったりとくっつける技術がすごい会社」と見られたいことの表れですね。

企業姿勢を見ると、それはより明確にわかります。

※参考 ニチバングループの理念 https://www.nichiban.co.jp/corp/company/idea/

どんな商品をつくるか、は書かれていません。彼ら彼女らのこだわりがあるのは、「粘着」の分野なのです。くっつける、という技術を起点に価値を創造する。だからこそ、「ぴったり技術で 明日をつくる」とされています。

余談ですが、「粘着技術で」ではなく「ぴったり技術で」となっていることにより、言いやすく親しみややすい印象になりますよね。ここが、スローガンを合言葉にするコピーライティングの力です。

よく生きる 【ベネッセ】

ベネッセも、スローガン≒ミッションの企業です。もっといえば、スローガン≒社名となっています。

参照:株式会社ベネッセホールディングス グループ企業理念・行動指針 https://www.benesse-hd.co.jp/ja/about/philosophy.html

Benesse とは、ラテン語のbene(良い、正しい)esse(生きる)からなる造語。夢や理想の実現に向かっていくプロセスそのものを楽しむ生き方を実践し、社会に貢献していくのが、ベネッセの姿勢なのです。

ベネッセといえば、進研ゼミやこどもチャレンジなど、教育事業が印象としては強いですが、ミッションを見ると、まったく事業を教育に限ってはいないことがわかります。

むしろ、よく生きるためのことなら、新たな事業としてやっていく意志がある。だから、直島のアートプロジェクトなんかも手掛けているのですね。

つけるが、価値。 【セメダイン】

こちらは、セメダインのスローガン。セメダインと聞けば誰しもが思うのは、接着剤のことでしょう。何かと何かをくっつけるもの。そこを表して、「つける」ことを自らの「価値」とおいているんですね。直球で、とてもわかりやすいメッセージだと思います。

参照:セメダイン マネジメントストラクチャー https://www.cemedine.co.jp/company/mission.html

セメダインのミッションは、上記のように、「つけることを通じて、新しい価値を生み出し、世の中の課題に答えを出す。」という内容。ミッションを短く表現したものがスローガンとして使われています。

ちなみにセメダインは、ビジョンを「モノとモノ、コトとコト、ヒトとヒトをくっつけて、テクノロジーの進歩や豊かな社会の実現につなげる」として掲げています。モノやコト、ヒトを「つける」ことで新たな価値を生み出す、という点では、ビジョンにも通じるスローガンといえるかもしれません。

ところで、「つけるが、価値。」はどこかで聞いたことがある気がしませんか? おそらくこれは、「負けるが、勝ち」ということわざに倣った言葉だと思います。誰もがよく知る言い回しをオマージュすることで、耳馴染みのいいフレーズとなる。「合言葉」をつくる際には覚えておきたいテクニックのひとつです。

今日を愛する。 【ライオン】

1章でも軽く触れました。ライオンです。

参照:ライオン トップメッセージ https://www.lion.co.jp/ja/company/message/

「今日を愛する。」スローガンだけ読むと抽象的に見えますが、メッセージを全文読むと、背景の意図がしっかり伝わってくる気がします。

ライオンが重視するのは、人間が生きる何十年の中で何を成し遂げるとか、社会全体がどうあるべきかとか、そういった大きすぎることではありません。誕生日やクリスマスのような、特別な日のことでもありません。

ライオンが重視するのは、何のイベントもない、本当になんでもない日。そのなんでもない日に、健康で清潔でいられることを、幸せであり、喜びなのだと、重視しているのです。それが、「今日を愛する。」ということなんですね。

これは、ライオンのミッション(存在意義)である「より良い習慣づくりで、人々の毎日に貢献する」に紐づいています。

世の中を突然ガラッと変えるような商品よりも、毎日をよりよくして、習慣をつくるような商品(一日をよくして、習慣をよくしていくことが、未来をよりよくしていくことにもつながる)。

そういう姿勢でつくられているのが、ライオンの洗剤だったり歯磨き粉だったり、ドラッグストアで買えるような薬だったり。デイリーのヘルスケア商品なんですね。

つくる、つながる、とどける。 【note

創業10年以内の比較的新しい企業からもご紹介を。誰でも手軽にテキストやイラストなど、創作物の発信ができるサービスnoteのスローガンです。

つくる、つながる、とどける。これは運営を行うnote株式会社のミッション「だれもが創作をはじめ、続けられるようにする。」に基づいています。

※参照:note株式会社 ミッション・ビジョン・バリュー https://note.jp/n/n2f53a4aaa07d

インターネットの誕生で誰でも創作ができるようになった一方、以前はつくって終わりになってしまうことが多かった。それを、続けられるように。クリエイター・メディア・ファンをつなげ、創作されたものを広くとどけていくことがnoteのなすべきことであると。

ミッションと直結し、かなりシンプルでわかりやすいスローガンとなっています。

ちょっとコラム:BtoB企業のスローガン

ミッションに紐づくスローガンを見てきて、気づかれた方もいるかもしれません。スローガンをつくっている企業は、圧倒的にBtoCの事業を行う企業が多いのです。

 

スローガンを合言葉として考えるならば、その理由は明確。企業の考えを広く認知してもらったり、わかりやすく企業と商品を結びつけて覚えてもらうことを考えれば、スローガンが必要なのはBtoC企業だからです。店頭で、もしくはCMで、「あぁ、あの会社ね」と認知してもらうのに有効だと言えます。

 

対して、BtoBは生活者に広く認知してもらう必要はあまりないので、スローガンをつくっている企業は少なめです。

 

もちろんまったくないわけではなく、たとえば……

 

・清水建設:子どもたちに誇れる仕事を。

・竹中工務店:想いをかたちに 未来へつなぐ

・三井不動産:都市に豊かさと潤いを

・住友化学:豊かな明日を支える創造的ハイブリッド・ケミストリー

・川崎重工業:powering your potential

 

BtoB企業がどんな目的で合言葉をつくるかといえば、インナーブランディング向けor採用向けの場合が多いですね。社内で「自分たちはこういう姿勢で働いていこう」とする合言葉だったり、これから一緒に働く人へ向けたメッセージだったりするのです。

3-2:ビジョンに紐づくスローガン

続いては、ビジョンに紐づくスローガンを見ていきます。ビジョンは、企業が中長期的に実現したい未来のことでした。その未来へ向けて、どうあるべきか、何をするのかを表明している企業たちが登場します。

価値を見極め、価格を極める。 【コメ兵】

一読すると、お?何だろう?と思わせてくれるもの。リユースを中心とした小売を行うコメ兵のスローガンだと聞くと、納得感の得られるスローガンです。

コメ兵のビジョンは、「リレーユースを『思想』から『文化』にする。」たんに何度も使う「リユース」ではないところがポイントです。つくる人から使う人、また次の使う人へ、想いまで伝承されていくという考えを込めて、「リレーユース」という独自のフレーズを使用しています。

そして、そのリレーユースと呼んでいる新たな思想が、思想で終わらずに長く文化として世の中に定着していくように、というのがコメ兵の目指す未来なのです。

だからこそ、伝承されていくべきモノの価値をしっかりと見極める立場であるべきだし、人の手に渡っていくには価格をおろそかにしてはいけないと。コメ兵のリユースに対する姿勢がとてもよく表れているスローガンではないでしょうか。

コメ兵のMVVは、企業らしさがとてもよくわかるので、ぜひ読んでほしいところ。ただただ「リユース大事!SDGs!」と語る表面的な思想ではないことがよくわかります。

※参照:コメ兵 大切にする3つの要素 https://komehyohds.com/mission_vision_value/

未来のキップを、すべてのひとに。 【JR東日本】

これは「未来の」という言葉が入っていることからもわかるように、ビジョンと関係のあるスローガンです。

※参照:JR東日本グループビジョン 変革2027  https://www.jreast.co.jp/investor/moveup/pdf/all.pdf

ビジョンで描かれていること一つひとつがすべて盛り込まれているわけではありませんが、注目したいのは「すべてのひとに」の部分です。

一般的には、企業にはロイヤルカスタマー(ブランドパートナー)と呼ばれる、理想の顧客の存在があります。個々の商品開発やキャンペーンに際してもターゲットを定めたりしますよね。

JR東日本は、そのように自分たちの顧客がどのような人であるかと、敢えて定義を行いません。考えているのは、「すべてのひと」のこと。ビジョンの中でも目指されているのは「すべてのひとの心豊かな生活」です。

ここにはもちろん、鉄道が公共性の高い事業であることも背景にあるでしょう。誰しもが必要とする社会インフラだからこそ、すべてのひとと一緒に未来へ向かうことを重要視しているのではないでしょうか。

いつか、あたりまえになることを。 【NTTドコモ】

NTTドコモは2015年まで「手のひらに明日をのせて」というスローガンを掲げていました。こちらの方が馴染み深い方もいらっしゃるかもしれません。旧スローガンでは、ドコモが携帯電話の会社だったことがうかがえます。手のひらにのるもの=携帯電話で、未来をつくっていくことがわかるものでした。

新スローガンを見ると、現在のドコモは変化している。携帯電話の企業だというニュアンスがなくなっていることがわかります。

※参照:NTTドコモ ドコモのブランドビジョン https://www.nttdocomo.co.jp/corporate/about/philosophy_vision/brand/index.html

ブランドビジョン全文を読むと、よくわかります。ドコモが考えているのは、「スマートイノベーション」。携帯電話に限らない、新しいことです。でもその新しいことは、いずれみんながふつうに使いこなすようになっていくもののことでもあります。

たとえばスマートフォンもそうですよね。登場した頃は、見たこともないような革新的なツールでしたが、いまや誰しもがあたりまえに持っている存在になりました。

ドコモがつくっていくのは、まさしくスマートフォンのようなもの。スマートイノベーションだけれども、未来のいつの日にか、あたりまえになっていくことをつくっていくという、これからに向けたビジョンの表明がこのスローガンには込められているのだと思います。

未来のあたりまえをつくる。 【大日本印刷】

DNPの名前で呼ばれることも多い、大日本印刷株式会社です。DNPのスローガンは、ビジョンに紐づいたものになります。

※参照:DNP グループビジョン/行動規範 https://www.dnp.co.jp/corporate/philosophy/index.html

DNPといえば、真っ先に私たちの頭に浮かぶのは印刷業。しかし、事業ビジョンにおいては、印刷業だけでないことが明確に示されています。

DNPが強みとするのは、「P&I(Printing & Information)」。印刷技術だけでなく、他のものとの掛け合わせによって、イノベーションを起こし価値を生み出していこうとしています。未来の新しい価値をつくる、ということで、それを「未来のあたりまえ」としているんですね。

さて、ちょっとここで、脱線タイムです。

ドコモのスローガンとDNPのスローガンには、ある共通の単語が用いられていました。「あたりまえ」という単語です。

スローガンとして掲げる企業は意外と多い気がしています。試しにちょっと検索してみてください。「あたりまえ」は、企業スローガン、ブランドスローガン、採用スローガンによく使われている単語です。

次のあたりまえ、新しいあたりまえ、未来のあたりまえ、あたりまえをつくる、あたりまえを生み出す……。

もちろん各企業は、「あたりまえ」が自らの姿勢や事業を表していると考えて、この言葉を選んでいるのですが、同じ単語を使っているライバルが多いことにはデメリットもありそう(「あたりまえ」以外にも人気の被りがちな表現はきっとたくさんあるはず)。

独自な言葉として覚えてもらえるスローガンにするためにも、このあたりのことは、スローガンをつくる際にちょっと思い出してみてほしいところです。

驚安の殿堂 【ドン・キホーテ】

「激安」を上回る安さ、「驚安」。ドン・キホーテです。

このスローガンは、ドン・キホーテを運営するPPIHグループの店舗ビジョンに基づいています。

※参照:PPIH ドン・キホーテー株式会社企業原理 https://ppih.co.jp/corp/group/donki/philosophy.html

「この商品が、こんなに低価格!」と驚いていただけることを重視するから、「驚安」という言葉が使われていることが読み取れます。

加えて、ただ安さを追求するだけでなく、ショッピング空間に楽しさ・エンターテイメント性を創造しようとしている。それが、「殿堂」という言葉に表れているのかもしれません。

たしかにドン・キホーテは、行くだけでもちょっとワクワクする場所です。「圧縮陳列」と呼ばれる天井までものがギュウギュウに置かれている陳列方法なども、店内をキョロキョロして楽しめるようになされているドン・キホーテ独自の手法。

驚くほど安く、しかしそこに楽しさも忘れない。ドン・キホーテのつくっていきたいお店がよく表現されているスローガンです。

やがて、いのちに変わるもの。 【ミツカン】

やがて、いのちに変わるもの。CMなどでも謳われているこのスローガンは、ミツカンの未来ビジョン宣言の中で語られているものです。

※参照:ミツカン 未来ビジョン宣言 https://www.mizkanholdings.com/ja/vision.html

「やがて、いのちに変わるもの。」に続く言葉は、「ミツカンはおいしさと健康の一致をめざします」。ただおいしい、ただ便利、な調味料ではなく、健康も(人の健康も地球の健康も)考えられたものが、ミツカンの商品。それを「いのちに変わる」として意識しているわけです。

おいしいだけで終わらないし、健康だからとおいしさを犠牲にしない。それが、ミツカンの姿勢なのです。

ところで、愛知県にあるミツカンミュージアムは、個人的行ってよかった企業博物館としてかなり満足度が高いのでオススメです。オリジナルの味ポンがつくれます。あと、見学後ものすごくお寿司が食べたい気持ちになりますよ。

3-3:バリューに紐づくスローガン

最後は、バリューに紐づくスローガンです。バリューは、社内/社外へ約束する価値や強みのこと。私たちはこんなことを得意とします。こんなことを約束できます。そんな宣言が、スローガンと関係しているものをご紹介します。

おいしさ、そして、いのちへ。 【味の素グループ】

ミツカンと味の素、すごく似てない?と思った方、いらっしゃいますよね。「やがて、いのちに変わるもの」(ミツカン)と「おいしさ、そして、いのちへ」(味の素)。たしかに似ているように思えます。「いのち」も共通単語です。

これは、味の素の英訳スローガンを見ると、違いがわかってきます。

英訳スローガンは「Eat Well , Live Well .」よく食べることはよく生きることだとするのが味の素です。

「やがて、いのちに変わるもの」(ミツカン)が、いのちになるものをつくっていくというミツカンの未来へ向けたスタンスを表しているのと比較してみると、「Eat Well , Live Well .」は食べること・食べ物そのものに対する味の素の価値観がダイレクトに示されていると言えるでしょう。おいしさが、いのちになるのだと。

もう少し掘り下げましょう。さらにお客様への約束を読むと、他社との違いはより明確です。

※参照:味の素株式会社 「アミノサイエンス」で、世界中の人々のウエルネスを実現すること。 https://www.ajinomoto.co.jp/company/jp/aboutus/message/

味の素の思想はあくまで、「サイエンス」です。科学的アプローチに基づいて、おいしさや健康を考えているんですね。

おいしい記憶をつくりたい。 【キッコーマン】

しょうゆを始めとする調味料や豆乳などでご存知、キッコーマン。「おいしい記憶をつくりたい。」が、コーポレートスローガンとして掲げられています。こちらは、「キッコーマンの約束」=約束する価値・強みであるバリューが凝縮されているもの。

※参照:キッコーマン コーポレートブランド https://www.kikkoman.com/jp/corporate/brand/brand.html

キッコーマンといえば、まず思い浮かぶのはしょうゆ。日本人が小さい頃から食卓に親しんできて、懐かしくなる味ですよね。日常生活で積み重なってきたこれこそが「おいしい記憶」。

英語のスローガンは「seasoning your life」とおいていますが、こちらには「あなたの人生を味わい深くゆたかにする」という想いが込められており、「おいしい記憶」が積み重なっていく様子と合致する表現ですね。

さて、思い出してみてください。ミツカンは「(未来の)いのち」でした。味の素は、「サイエンス」。キッコーマンはおいしい「記憶」。並べてみると、違いがわかり面白くなってきます。全部調味料系の会社ね、とひとくくりにしてしまうのはもったいありません。

企業のMVVSSは読み込むほどに面白くて価値があるということが、近い業界の企業を比較するととても実感できますよ。

くらしと、ともに。 【ちふれ】

世の中にスローガンは溢れかえっていて、どれも似たようなものに見える気がすることもあると思います。あるいは、誰だって言えるのでは?と思うような、サラッと抽象的なことを言っていそうなもの。

しかし、ですね。丁寧に読むとただ抽象的なだけではなく、その企業にしか言えないことを言っているものが、じつは多いのです。ふんわりコピーに見えて、差別化をしっかりできているもの。

そういった、じつはいいよね!と思えるスローガンの中でご紹介したのが、ちふれの「くらしと、ともに。」です。

まずちふれというブランドについて(よくご存知の方も多くいらっしゃると思います)。

ちふれは誕生から50年、長年に渡り愛されてきた化粧品のブランドです。スキンケアからメイクアップまで、多岐にわたる商品ラインナップがある。使っている人も様々で、昔からずっと使っているという年配の方もいれば、「プチプラコスメ」「バズりコスメ」として若年層にも人気があります。

そんなふうに、いろんな人が、毎日、使うものとして、一人ひとりに寄り添いながら豊かな生活を提供しようとする意志をちふれグループは掲げています(「基本理念」とされていますが、比較的バリュー寄りの理念であるため、今回はバリューに紐づくスローガンとして分類しました)。

※参考 ちふれホールディングス株式会社 基本理念 https://www.chifuregrp.co.jp/company/philosophy.html

さて、この理念を読んだあとに、「くらしと、ともに。」を解釈してみるとどうでしょうか。

化粧品は、毎日使うもの。いろんな人が使うし、もしかしたら何十年も同じものを買い続ける人もいるかもしれない。だから安全・安心の品質じゃなければならないし、何より手に入りやすい価格でそれを提供する必要がある(超高級品だったら、買い続けられません)。普段使いだからこその、距離感と素朴さ。その決意が、「くらしと、ともに。」には込められていることが読み取れます。社名もふくめ、全てがひらがなになっているのも、“ふだん”の演出なのかもしれません。

特別な日のためのメイクアップや革新的な商品を出すわけじゃない。超高級処方で気分を上げてくれるようなものでもない。でも、毎日に寄り添ってくれるようなものが、ちふれというわけなのです。

水と生きる 【サントリー】

では、ちふれの応用編でこちらも。「水と生きる」。一見、ふんわり抽象的なスローガンですが、ゆっくり解釈してみましょう。

まず、なぜ「水」なんだろうと考えると、飲料メーカーだからだということは難しくないですね。飲み物をつくる会社だから、きれいな水を大切にしなければならない。そういった水のために美しい自然環境を意識しながら、地球の一員としてここで生きるんだな、と。

ここまで考えて、サントリーのバリューである「約束」を見ていきます。

※参照:サントリー サントリーグループの理念体系 https://www.suntory.co.jp/company/philosophy/

自然の恵みである水への意識に加えて、自分たちの存在を水に例えていることも読み取れそうです。水のように人々の生活を豊かにする存在となること。そして、水のように柔軟に力強く価値を創造していくこと。

水を大切に想う一方で、水としてのあり方も意識しているからこそ、サントリーは「水と生きる」を掲げていると。考え方は、ロゴマーク等にも共通。コーポレートカラーは、「ウォーターブルー」です。

あなたと、コンビに、ファミリーマート 【ファミリーマート】

余談ですが、ファミマに入ったときに流れるあの音楽は、『大盛況』っていうタイトルだそうです。知ってました?

企業スローガンを挙げろと言われれば、必ず最初の方に出てくるであろうファミリーマート。サウンドロゴ的にも機能していて秀逸です。

これは「私たちが大切にする3つのこと」(バリュー)に基づいています。

※参照:ファミリーマート 基本理念  https://www.family.co.jp/company/familymart/idea.html

ファミリーマートの考えるコンビニの在り方というのが、上記。ただの便利なお店としてだけでなく、その地域で愛され、そして一人ひとりへ、家族のような豊かさを提供する場所としてコンビニを考えている。全方位に向けた画一的なコンビニではなく、「あなた」に向けた豊かさだということがよくわかります。

だから、あなたとコンビに。コンビニと、コンビとなる、がかかってる、面白いワードチョイスです。

空気をかえよう。 【エステー】

エステーです。シンプルで覚えやすくていいですよね。

※参照:エステー エステーについて  https://www.st-c.co.jp/who/

エステーといえば、消臭力、シャルダン、脱臭炭。消臭剤など、まさに「空気ビジネス」の企業です。

他方「空気が悪い」「空気を読む」「空気感」といった言葉からもわかるように、「空気」には、場だったり雰囲気を指す意味もあります。つまり「空気を変える」は、その場を一新するといったニュアンスも含むのです。

商品を変える、広告方法を変える、環境への取り組みを変える。そして、社会も変える。「変える」をキーワードに、多くのことをやってくれそうな期待が持てるようなスローガンではないでしょうか。

あったらいいな をカタチにする 【小林製薬】

CMでは、「あっ 小林製薬」で馴染み深いですね。サウンドロゴではスローガンがさらに縮めて使用されています。誰しも聞いたことのあるフレーズ。小林製薬です。

難しくなく、ひねったことも言っておらず。しかし、とてもいいスローガンです。

※参照:小林製薬 経営理念 https://www.kobayashi.co.jp/corporate/philosophy/

「あったらいいな をカタチにする」。これはどういうことなのかというと、お客様も気づいていないニーズを発見し、「こんなものがあったらいいな」をカタチにして届ける、ということ。お客様も気づいていないものをつくる、が小林製薬の価値なのです。

また、「コーポレートブランド憲章」を見てみると、「一刻も早く送り届けます」「お客様の期待を裏切らない品質」といったことも言及された文章になっていますね。バリューが散りばめられた理念のようです。

おいしい、の、その先へ。【日清食品】

カップヌードルやチキンラーメンをはじめ、ラ王やどん兵衛など。誰もがよく知っている商品の企業、日清食品です。

まずはスローガンだけ読んでわかることから考えてみましょう。日清食品の姿勢は、世の中へ食品を提供する企業でありつつ、「おいしい」の追求だけでは終わらない企業だということがわかります。「最上のおいしさ」だったり「誰にとってもおいしい」とは、言いません。おいしい+αを大切にしていることがよくわかります。

見ていきたいのが、この理念。

※参照:日清食品 企業理念 https://www.nissin.com/jp/about/nissinfoods/philosophy/

こちらからもわかるように、日清にとってやはり食はあくまで手段。その先にある、世の中の平和や健康な身体、といったものを提供したいと考えていることが、見えてきますね。

味ひとすじ 【永谷園】

「おいしい、の、その先へ。」(日清)を見たあとに、ぜひ比較しながら味わってほしいのが、永谷園のスローガン。

「味ひとすじ」。切れ味がよくてとてもいいスローガンですよね。これは、永谷園ホールディングスのバリュー(扱いは企業理念)と関わりの深いスローガンになります。

※参照:永谷園ホールディングス 企業理念 https://www.nagatanien.co.jp/company/philosophy.html

日清と比べると非常に特徴的。「おいしさ」「味」へこだわっていることがわかります。永谷園が「おいしさ」に対して想うのは、健康でも賢い食生活でもなく、第一義に味なんですね。

ココロも満タンに 【コスモ石油】

こちらもCMなどで耳に馴染んでいるでしょう。コスモ石油です。

コスモ石油が事業そのものだけでなく、ステークホルダーへの関わりや貢献をとても重視していることがわかるスローガンではないでしょうか。

コスモ石油のスローガンは、バリューに紐づく(「経営理念」とされていますが、価値観を示すものなので、バリューとして扱います)スローガンです。

※参照:コスモエネルギーホールディングス コスモエネルギーグループ理念 https://ceh.cosmo-oil.co.jp/company/vision.html

ただただ事業を発展させ利益を出すのではなく、地球環境を考え、社会貢献を意識し、消費者やユーザーの満足度を高めることを重視する。エネルギーという、社会を表す根幹に携わっていることの矜持も見られるようなスローガンだと思います。

掘り出そう、自然の力。 【カルビー】

カルビーはコーポレートサイトのOur valueページに、コーポレートメッセージとしてこのスローガンが掲載されているため、スローガン≒バリューです。

企業理念を読むことでもう少しだけ掘り下げてみましょう。秀逸なスローガンです。

※参照:カルビー Our Value https://www.calbee.co.jp/corporate/value/

おいしさ、健やか、くらしに貢献。このあたりは他の食品メーカーでもありそうな言葉選びかもしれません。一方で特徴的なのは、「自然の恵み」や「楽しさ」といった単語ではないでしょうか。「楽しさ」はお菓子メーカーならではかもしれません。

カルビー最大の特徴が、スローガンにも掲げられているように、自然の力、自然の恵み、を大切にしていることだといえます。

カルビーの商品は、どれも素材の力を上手に生かした商品たちばかりです。

それまでは主にでんぷんとして利用されるだけだったじゃがいもを、丸ごと使用してスナックにしたサッポロポテトやポテトチップス。ポテトチップスの規格に合わないサイズや形のじゃがいもを活用するために生まれた、じゃがりこ。などなど。

創業のきっかけとなったかっぱえびせんは、戦後すぐの時代、アメリカから安く大量に輸入されながら米と比べて人気のなかった小麦粉を活用するために製造した、あられのお菓子が原型なのだとか。

こんなお菓子をつくろう、ではなく、この素材をどう活かすか、の視点に重きがあることがわかりますよね。

ところで、上記に挙げたカルビーの商品といえば、やはりじゃがいも。じゃがいもを連想させるように、「掘り出そう」とスローガンで謳われているのは、カッコいいコピーワークです。

4:スローガンをつくりたいと思ったら……

たくさんの企業のスローガンを見てきましたね。お疲れさまでした!

4章ではまとめを兼ねて、これからスローガンをつくりたいと考える人に向けたちょっとしたポイントを記しておきたいと思います。

ポイントは明確。こちらです。

スローガンをつくるときのポイント

・企業理念のMVVを意識しよう

・まずは社内で考えてみよう(コピーライティングはプロへ)

・わかりやすく、言いやすく、伝わりやすく

・個性や味付けは、スピリットを意識して、表現を工夫しよう

どれも1章、2章でお伝えしたことのおさらいです。

スローガンは、あくまで理念を表す合言葉。理念から大きく外れては意味がないものでした。逆に言えば、理念がきちんとないところへスローガンをつくるのは、まったく意味がありません(これ大事!)。

理念や企業の事業内容を反映している必要があります。だから、一度は社内で考えてみましょう。その後で、表現に際してはプロの力を借りるのが、オススメです。

そして、簡潔に初見の人にも伝わる表現を追求すること。これは、3章の様々な企業の秀逸なスローガンたちを参考にしてみるのもいいと思います。

さあ、ここまで読めばスローガンについて理解は深まっているはず。自分たちの企業がどんなスローガンを掲げているのか、いまいちど見返してみてくださいね!

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