「ミッションステートメント(あるいはミッションストーリー)」とネットで調べてみると、さまざまな企業のミッションステートメントや、言葉について説明する記事が出てくることでしょう。
そこには企業理念全体をミッションステートメントとして掲げている企業もあれば、行動指針(私たちはこれをクレドと定めています)として掲げている企業もあります。
またミッションステートメントについて説明する記事にも、「ミッションステートメントは行動規範です」や「経営理念のことです」や「ミッションを具体的にしたものです」など。結局なんのことだか、いまいちわかりづらいですよね。
じゃあ一体なんなの?という話なのですが、実はミッションステートメントに厳密な定義はありません。
例えば、社会人向けにオンライン授業を配信する、株式会社Schooのミッションとミッションステートメントはこちら。
MISSION
世の中から卒業をなくす
人は学ぶことで生きる知恵を身につけ、技術を革新させ、進化してきました。
「学び」には終わりはなく、学び続けることで社会が抱えている課題の解決速度が圧倒的に加速します。
一方で、時間や場所、コスト、モチベーションなど、「学び」の障壁となるものは私たちの身の回りに溢れています。これらの障壁を取り除くことで、すべての人が学び続けられる世界、つまり、すべての人の卒業をなくすことがSchooの使命です。
このミッションに伴い、学校を表す英単語”SCHOOL”の「終わりの”L”をなくす」ことで、Schooという社名は生まれました。
こちらのミッションステートメントでは、なぜそのミッションを掲げているかを中心に、社名の意味までを説明していますね。このような企業もあります。
世の中での厳密な定義はないとお伝えをしましたが、この記事では、ブランディング企業である私たちパラドックスの考える、ミッションステートメントの定義やその価値、事例やつくりかたをご紹介します。
これから企業理念をつくろうとお考えの方や、ミッションの社内浸透に課題を感じている方、ミッションステートメントの必要性に疑問を持っている方は、ぜひ最後までご覧ください。
なお、本記事では、企業におけるミッションステートメントについてご説明しています。スティーブン・R・コヴィー博士が提案した「7つの習慣」におけるミッションステートメントは個人についてのお話ですので、それとは異なるものとご理解ください。
1:ミッションステートメントとは
そもそも「ステートメント」とは、直訳すると「宣言」という意味。私たち日本人から見ると、「ミッション」と言われても「ミッション宣言」と言われても、どちらも同じようなものだと理解できますよね。
企業がそれぞれミッションステートメントという言葉について独自の定義をして、それに見合った内容を掲げていることは、決して間違いではないのです。
その大前提を踏まえた上で、これまで数多くの企業理念策定を担ってきたブランディング企業である私たちパラドックスは、ミッションステートメントを“ミッションを補足するストーリー”と定義づけています。
ここで一度、企業理念の構成要素をチェックしてみましょう。
実はこの構成要素やそれぞれの役割も、企業によって多少異なっているのですが、私たちがおすすめするのは上記の通り。この構成で企業理念を策定することが、社内外へのブランディングに最も効果的だと考えています。
ミッションは図にある通り、“日々果たすべき使命”。その達成のためには、企業としてお客様に約束するバリューと、従業員の行動指針であるクレド(スピリット)を守り続けることが必要です。そうするとその先に、“実現したい未来”であるビジョンが待っています。
ただ通常、ミッションやビジョンは短文で表されることが多いですよね。言葉自体も少し抽象的で含みが多く、わかりにくいと思われてしまうことも少なくありません(覚えやすい短めの言葉にしていることも機能させるために必要な場合が多いので)。そうすると、ミッションを達成し続けた先に、なぜビジョンに辿り着けるのか、見ただけではいまいちピンとこないことになります。
一般的なミッションステートメントの使われ方は、この曖昧なミッションをわかりやすくするための文章であり、ミッションからビジョンへのつながりをわかりやすくするもの。
さらに私たちは、ミッションステートメントをもう少し具体的に定義づけています。
それが、“ミッションを補足するストーリー”というもの。抽象的でわかりにくいミッションについて、時間軸やプロセスを補足して説明し、物語にして伝わりやすくする役割です。
ミッションは、企業理念の中核を担う要素。それがバリュー 、クレドへと落とし込まれ、達成し続けた先にビジョンへとつながっていきます。ではそもそも、なぜそのミッションを掲げているのか。過去から現在にいたるまでの間に、その価値観がどのように築かれてきたのか。このプロセスや想いを説明するものが、ミッションステートメントです。
例えば産業廃棄物処理の企業の中でも、環境問題に特に積極的に取り組む企業として、多数のメディアに取り上げられている石坂産業株式会社。同社のミッションと、ミッションステートメントはこちら。
私たちの使命
自然と共生する、つぎの暮らしをつくる
産業廃棄物処理施設で行っている資源再生事業は、ゴミを出さず、資源を循環させる暮らしを、人や企業に広め、実現していく役割を担っています。 里山づくりや環境教育、多様な国・企業・人との共創による技術開発と研究、エコプロダクツやオーガニック商品、そして室礼による日々のおもてなしは、これからの地球に必要なライフスタイルをつくり、啓蒙していくことにつながっていく。 地球が枯渇するのではなく、地球が育まれる。豊かに暮らすことが、豊かな地球につながる。 私たちは、自然と共生する暮らしの素晴らしさを、一人ひとりに届け、世界中の文化として根づかせていくことを目指します。
ミッション(私たちの使命)だけでも伝えたいことはわかりますが、さらに説明がされていることで、石坂産業という企業のミッションが何を示しているのかがより具体的になっています。
またミッションステートメントを定めることで、ミッションの持つ意味やもとになる価値観について、社内でも説明がしやすくなります。
このようにミッションステートメントは、ミッションを補足するストーリーとして定めることで、よりその企業らしさや企業の存在意義を明文化できる要素となるのです。
▼企業理念のそれぞれの要素についてさらに詳しく知りたい方は、こちらの記事へどうぞ。
ミッションとは?会社のあるべき姿や使命を明確にするミッションの知識と作り方。
ビジョンとは?組織の進む道が定まる実践的なビジョンの知識と作り方。
バリューは顧客との約束。ミッション・ビジョンとの違いとは?
クレドとは?社員共通の価値観を示す、クレドのつくり方と浸透策
2:行動指針や評価項目の基準に!ミッションステートメントの必要性
ミッションを補足するストーリーが、ミッションステートメント。でもその必要性や役立て方について、説明されていることはほとんどありません。
実はミッションステートメントは、行動規範となるクレドや、部下を育てるためのマネジメントポリシー、評価項目をつくる際にも基準にできるものなのです。
たびたびお話ししているように、ミッションは“日々果たすべき使命”。企業全体としても、従業員一人ひとりも、ミッションを達成するような事業運営や個人の行動をする必要があります。
しかしミッションの言葉だけでは、それを個人の行動にどのように落とし込めば良いのかわかりにくい。そこで出番となるのが、ミッションステートメント。ミッションにいたるストーリーを表したミッションステートメントには、どのような想いや考え方を持って働くべきかのヒントが多く示されています。
ミッションとミッションステートメントを合わせて考えると、それが企業としての事業運営、および個人としての行動にどう表せば良いのかわかりやすくなる。こうしてつくられるのが、企業理念の要素のバリュー(約束する価値・強み)であり、クレド(大切にすべき精神・行動指針)なのです。
ミッションステートメントをもとにクレドができれば、次にそのクレドが、上司が部下を育てる際の指針となるマネジメントポリシー、さらに評価項目を作成する際の基準になります。
では企業理念をゼロから同じタイミングでつくりあげ、評価項目も設定してしまえば、ミッションステートメントをつくる必要はないのでは?と疑問が浮かんできます。
確かに企業理念を丸ごと策定する・リニューアルする際には、あらかじめミッションステートメントに示されるようなストーリーを踏まえた上で、全ての項目をつくりあげます。ミッションステートメントに表さなくても、そのタイミングならばクレドも評価項目もつくることができるでしょう。
しかし、評価項目はもちろんクレドやバリューも、一度決めたら二度と変えないものではありません。むしろ、時代の変化とともに変えていくべきもの。
その際、少し曖昧で抽象的なミッションの言葉だけを頼りに、クレドや評価項目をつくってしまったら。本来の意味とは違った方向に、ミッションが一人歩きしてしまう可能性があるのです。
ミッションステートメントは、企業理念が一度きりでなく、今後もずっと機能し続けるためにも必要な要素。企業理念をつくる・見直す際には、ぜひ取り入れてください。
3:ビジョンステートメントとの違いは“時間軸”
ミッションステートメントについて調べていると、おそらく「ビジョンステートメント」というワードも出てきたのではないでしょうか。
言葉だけ聞くとミッションステートメントと似ているし、そもそもミッションとビジョンって何が違うんだっけ……?と混乱してしまう気持ち、よくわかります。
違いを整理するためにいま一度、先ほどお見せした企業理念の構成要素を表す図を振り返りましょう。
ミッションは、“日々果たすべき使命”ですから、時間軸としては「現在」になります。一方でビジョンは、ミッションを達成し続けた先にある“実現したい未来”。時間軸は「未来」となります。
なぜそのミッションを掲げているのか、過去から現在にいたるまでの間に、その価値観がどのように築かれてきたのか。このプロセスや想いを説明するものが、ミッションステートメントだと説明しました。
一方でビジョンステートメントは、現在から未来にいたるまでにどのような道のりを歩むのか。現在のミッションに基づいて、どのようなステップでビジョンの実現までを進んでいくのか、を表すものになります。
ではミッションステートメントとビジョンステートメント、どちらもつくるべきなのでしょうか。結論から言うと私たちは、ミッションステートメントをつくった上で、もし必要であればビジョンステートメントも検討する、ということで良いと考えています。
その上で考えられるのは、以下の3つのパターン。
・ミッションステートメントのみをつくる
・ミッションステートメントとビジョンステートメントの両方をつくる
・両方を合わせてひとつのステートメントをつくる
例えば、日本光電工業株式会社が掲げるビジョンステートメントはこちら。
ビジョン・ステートメント
Illuminating Medicine for Humanity
グローバルな医療課題の解決で、人と医療のより良い未来を創造する
1.人に寄り添い、医療の未来をてらす。
臨床知識に裏づけされた課題解決力を活かし
世界の患者さんと医療従事者に深く寄り添いながら
患者アウトカムと医療経済性を追求するパートナーとして
より良い医療の未来をてらしていきます。
2.新たな価値を共創し、命をてらす。
人と機器をつなぐHMI技術を中核に
医療現場から得られるデータを活かし
患者さんに最適なケアサイクルを実現することで
一人ひとりの命をてらしていきます。
3.挑戦を楽しみ、人と組織の可能性をてらす。
社員一人ひとりが医療に貢献するやりがいと誇りを持ち
世界中の仲間たちと自由闊達で創造的なチームをつくりながら
グローバルな医療課題に挑み続けることで
人と組織の可能性をてらしていきます。
※引用元:https://www.nihonkohden.co.jp/information/beacon2030.html
「ビジョン・ステートメント」と示されてはいますが、これはビジョンステートメントとミッションステートメントが合わさっているパターン。日本光電では、2030年に向けてこのビジョンステートメントを掲げており、これまで得たものをどのように用いていき、どんな未来を目指しているかを明文化していますね。
ミッションは企業理念の他の要素のもとになるものですから、ミッションをよりわかりやすくするためにも、ミッションステートメントは重要です。ただビジョンステートメントや、ときにはバリューステートメントのようなものもありますが、それらについては企業によって必要だと考える場合に設定すると良いでしょう。
“◯◯ステートメントはどんなときにつくるべき?”
それぞれのステートメントは、必要な場合につくりましょうとお伝えしましたが、どういう場合に必要かを判断するのは難しいですよね。企業理念の各要素に付随するステートメントは、例えば以下のような課題や目的がある際に、明文化するかどうかを検討してみてください。
<ミッションステートメント>
まだ企業として重ねた歴史のない場合や、これまでを振り返って自分たちの存在意義を紐解く必要がある場合
<ビジョンステートメント>
これからの未来や目標を、従業員全員で目指していくための指針や方向性として共有したい場合
<バリューステートメント>
顧客やマーケットに、提供する商品やサービスの背景にある考え方を伝えたい場合
<クレド(スピリット)ステートメント>
行動指針の背景にある価値観を、従業員に向けて詳しく共有したい場合
4:ミッションステートメント4つの企業事例
では実際に、ミッションステートメントを掲げる企業の事例を見てみましょう。自社にマッチする点やマッチしない表現、わかりやすいポイントやわかりづらいポイントなどを、整理しながら参考にしてみてください。
4-1:タイガー魔法瓶
Mission 使命・存在意義
温もりあるアイデアで、食卓に新たな常識をつくり続ける
魔法瓶は、やがて贅沢品から日常品へと変わりました。
ほかほかのご飯を、いつでも食べることができるように。
できたての料理を、みんなが楽しく囲めるように。
時代の変化とともに
和達たちは、魔法瓶だけでなく、キッチンや食卓、アウトドアへと
少しずつ、その便利さや豊かさを広げてきました。
変わりゆくライフスタイルに寄り添い、温もりのあるアイデアで、
食卓に新しい「当たり前」をつくること。
それは、私たちの果たすべき使命に他なりません。
タイガー魔法瓶では、バリュー・ミッション・ビジョンの順で企業理念が展開されており、それぞれにストーリー(ステートメント)が付けられています。
さらにそれぞれのストーリーが過去・現在・未来の話でまとめられており、タイガー魔法瓶の企業理念のもととなる価値観がどこから来たのか、この先どのような未来を目指しているかがわかりやすく説明されています。
4-2:ChatWork
ミッション
働くをもっと楽しく、創造的に
2000年、インターネットの登場に感動し、いてもたってもいられず学生ながら起業。
インターネットはきっと、世界を大きく変えていく。そして、たくさんの幸せをつくりだしていくに違いないと思って、仲間とともにチャレンジをつづけてきました。
最初は手探りでしたが、「自分たちが働きたい会社をつくろう」という想いはやがて、働くということそのものを変えていきたいというミッションにつながっていくことになりました。
人生の大半を過ごす「働く」という時間を、もっと楽しく、創造的なものにしたい。そうすることで、人生を充実感のあるものにし、より社会を豊かにしていけると、私たちは信じています。
こちらはミッションを補足するストーリーとして、非常にわかりやすいミッションステートメント。
ChatWorkのサービス内容と照らし合わせても、矛盾がなく納得のいくストーリーなのではないでしょうか。
またChatWorkでは、ビジョンステートメントも掲げられています。こちらも企業の姿勢をわかりやすく示しているストーリーです。
ビジョン
すべての人に、一歩先の働き方を
ITに詳しい人もそうでない人も、業界業種、性別年齢も関係なく、世界中のあらゆる人に一歩先の働き方を届けたい。二歩先でも三歩先でもなく、誰もが安心して足を踏み出せる「一歩先」を常に提供するからこそ、世の中の働き方をアップデートし続けることができると考えています。
4-3:CRAZY
PURPOSE 存在目的
私たちは、人々が愛し合うための、機会と勇気を提供し、パートナーシップの分断を解消します。
CRAZYにおけるPURPOSEとは、私たちが何のために活動しているかという根源的な存在理由です。
私たちは、誰もが愛し愛される世界を想像しています。
その世界に少しでも近づくために、愛が深まるような機会を創造し、その価値が最大化する事を目指します。
私たちは、分断を論理的に説明し、解決をしていくような存在ではありません。
人と人との間に生まれる「わかりあえなさ」は、勇気を持って飛び越えた先に、解消しているものだと考えるからです。
別の言い方をすれば、感動が分断を溶かしていくのだと信じています。
私たちはビジネスを通してパートナーシップを研究し続け、その可能性を追求していきます。
独創的なオーダーメイドウエディングが話題となり、その後もウエディング業界に新しい価値を提供し続ける株式会社CRAZY。
CRAZYのミッション(パーパス)ステートメントは、過去にまつわる話がメインではなく、ミッションがどのような価値観に基づいているかを丁寧に説明しているもの。
2012年に創業した同社は2020年9月4日、創業理念の「style for Earth」はそのままに、これまでのビジョンの役目を終わらせ新たなパーパス(ミッション)を掲げました。それに付随する形で、ミッション(パーパス)ステートメントも新たに策定。時代の変化や企業として目指すべき方向の切り替えに合わせて、企業理念も見直しているのです。
4-4:一燈会
介護が必要な方にホスピタリティのある介護サービスを提供する、社会福祉法人 一燈会。同社はただミッションステートメントを言語化するだけでなく、ミッションムービーを作成。動画にすることでよりわかりやすく、多くのひとに伝わるミッションステートメントとなっています。ぜひ下記リンク先のミッションムービーを見てみてください。
MISSION わたしたちの使命
生きがいある人生に、挑む。
※引用元(ミッションムービーはこちらから→):https://www.ittokai.or.jp/about/
5:ミッションステートメントのつくり方
では、実際にミッションステートメントをつくる手順をご説明します。と言っても、ミッションステートメントは基本的に、企業理念を策定するのと同時につくっていくものです。
企業理念策定のプロセスでは、まずセッションやワークが行われます。そこで話し合われるのは、以下のような内容です。
・会社の創業ストーリー
・これまで歩んできた歴史の中にあるメモリアルな瞬間
・どんなときも大事にしてきた価値観
ここで出た内容をもとに、企業理念の言語化を進めていきます。その際の順序はこちら。
①ミッション
②バリュー
③ビジョン
④クレド(スピリット)
具体的な企業理念策定の手順や、セッションのやり方についてはこちらの記事を参考にしてみてください。
▼企業理念策定の全体の流れはこちらの記事からどうぞ。
企業の根幹を担うミッション ビジョン バリューの意味合いと作り方
この手順の中でミッションステートメントをつくるタイミングは、ミッションの言語化の際、あるいは企業理念全体の完成後、どちらでもやりやすいほうで構いません。
ミッションを言語化する際に補足として入れたい内容を同時に考えたければミッションと同時に。ビジョンなど他の要素も言語化してから、改めてミッションステートメントを考えたければ最後に。自社にマッチするやり方を選びましょう。
もし現在企業理念が既にある上で、新たにミッションステートメントを策定したい場合は、企業理念策定に携わった方々を再度召集して、改めてミッションに込めた意味と照らし合わせながら考えるのが良いでしょう。
企業理念策定時のメンバーが既にいない場合は、新たにプロジェクトメンバーを集めて、ミッションの正しい理解を共有しあった上で、セッションを通して作成していきましょう。
あるいはこれを機会にいま一度、ミッションを含む企業理念全体について見直してみるのも良いかもしれません。
6:まとめ
定義がはっきりとなく、理解が難しいミッションステートメント。今回は、ブランディング企業であるパラドックスが考える定義に基づいて、説明してきました。少し複雑だったので、簡単に振り返りましょう。
私たちが定義するミッションステートメントは、『“日々果たすべき使命”であるミッションを、補足するストーリー』というもの。なぜそのミッションを掲げているのか、過去から現在にいたるまでの間に、その価値観がどのように築かれてきたのか。抽象的でわかりにくいミッションについて、そこに至るプロセスや想いを、物語にして伝わりやすくする役割のものです。
ミッションを達成し続けることで、“実現したい未来”であるビジョンに辿りつけるのですが、その道のりは果てしなく、どの道をどんな風に通れば良いかわかりません。そのため日々どのようなスタンスで事業運営をすれば良いかをバリュー、日々どのような行動指針で動けば良いのかをクレド(スピリット)として、ミッションを企業軸・個人軸に落とし込む必要があります。
しかしミッションの言葉だけでは、それを企業のスタンスや個人の行動にどのように落とし込めば良いのかわかりにくい。そこで役立つのが、ミッションステートメントです。
さらにミッションステートメントをもとにクレドができれば、次にそのクレドが、上司が部下を育てる際の指針となるマネジメントポリシー、さらに評価項目を作成する際の基準に活用することができるのです。
またバリューやクレド、それに付随する評価項目などは、時代とともに変えていく必要があります。その際に曖昧なミッションの言葉だけではなく、より具体的なミッションステートメントがあることで、ミッションの本来の意味を間違えずに反映することができるのです。
改めてお伝えしますが、ミッションステートメントは、企業理念が一度きりでなく、今後もずっと機能し続けるためにも必要な要素です。企業理念をつくる際、これから見直す際には、ぜひ取り入れてみてください。
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