100年企業に学ぶ!長寿を支える7つの特徴

コロナの一件もしかり、世の中の変化も早く、予期せぬ出来事も多いこの頃。企業が存続の危機に瀕する可能性もそこら中に潜んでいます。

そんなときになんとか変化についていこう、適応しようと前向きに努力をすると、一時的に安心できる。しかし、長期的に考えると今後自分たちのビジネスがどうなってしまうのか、どうしていこうか、というお悩みや不安を抱えた企業(特に経営者の方々)も多いはず・・・。

この記事では、そんな不安を解消すべく、世界恐慌やリーマンショック、流行病といった経済・社会への大きな打撃を乗り越え、創業100年を超えて今なお活躍し続けているような長く続く企業のあり方や考え方の特徴を探っていきます。

 企業の平均寿命は一般的に30年と言われている中で、創業から100年以上も続けるのは簡単なことではありません。しかし、日本は長寿企業大国と言われているほど、創業100年超えの企業が世界に比べて圧倒的に多い国。日経BPコンサルティング・周年事業ラボの調査(20203月発表)によると、世界の創業100年以上の企業が総計866社の中、日本の企業は41.3%の33076社と世界で最も多い結果に。さらに創業200年以上の企業では、65%を占めてダントツの1位になります。普段から私たちが目にしている企業から学ぶべき点が近くにたくさんある、ということでもありますね。
(参考:https://consult.nikkeibp.co.jp/shunenjigyo-labo/survey_data/I1-03/

そして、筆者である私たち株式会社パラドックスは、様々な業界の志や想いあふれる企業様のブランディングに携わっています。そこでも大切にしているのは、クライアント様が長く続き、広く愛される企業やブランドになること。

流行にのるだけではなく、企業としての軸をしっかりと持ち発展していくよう、理念づくりやその浸透活動、世の中へのメッセージの発信などのお手伝いをしています。

私たちがお仕事を通して感じていることや、クライアント様に実際にお伝えしていること、そして国内外の事例も交えながら、今だからこそ頭に入れておきたいポイントを記載できればと思っております。

この記事が、前向きに踏ん張る企業の皆様の、なにかひとつでもお力になれれば、と願います。それでは、まいりましょう!

1:長く続いている企業に共通する特徴

早速ではありますが、この章では、創業から100年を超えて活躍している企業に共通しているあり方や考え方の特徴を、それぞれ事例も交えながら考察していきます。

【特徴一覧】

・不易と流行を合わせ持っている

・独自の使命が明確に言語化されている

・業界の常識にとらわれない発想を持つ

・社員を大切にしている

・世の中・地域への貢献を実践している

・リスクに備えている

・成長意欲が高く、学び続けている

1-1:不易と流行を合わせ持っている

「不易流行」という言葉をご存知でしょうか?江戸時代の俳人・松尾芭蕉の提唱した俳諧の理念のひとつですが、経営に関してもよく用いられる言葉。この考えを意図してか意図せずか、長く続いている企業は大切にしていることが見受けられます。

どんなに時代が変わっても変わらないもの、変えないものである「不易」と、世の中の流れに合わせて変わるもの、変えていかなければいけないものである「流行」。木に例えると「不易」は幹や根、「流行」は葉や花、実の部分と捉えられます。

長く生き続ける木は、毎年新しい葉っぱや花を育て、季節がすぎれば落としながら、ゆるぎない根や幹がしっかりと支えていますよね。しっかりと支える不易がなければ倒れてしまうし、葉っぱや花がいいタイミングで落ちなければ、重みで枝が折れてしまうかもしれない。この「不易流行」、どちらか一方ではなく、どちらもバランスよく意識していくことが重要です。

これを企業に当てはめると、こんな感じ。

「不易」=変わらない使命や価値、志、コーポレートアイデンティティ

「流行」=変えていく日々の活動

事例と合わせて、見ていきましょう。例えば皆さんご存知、和菓子の虎屋さんは、1500年頃の創業、500年以上続いている超老舗企業。この虎屋さん、創業以来ずっと、

「おいしい和菓子を喜んで召し上がって頂く」

という使命を掲げています。そして、原材料の吟味や作り手の技術、お菓子の見た目や店頭での接客など、一つひとつこの使命を実践するためにこだわりながら和菓子を提供されています。不易流行の「不易」の部分で、これが室町時代から変わらず大切にしている企業としての幹ですね。

ただ、この使命のもと、なにも変えずにやっているかというとそうではなく、価値観や味覚といった時代の変化に合わせて商品や業態を変化させています。「トラヤカフェ」もそのひとつ。

トラヤカフェは、あんをもっと手軽に、日常の一部として味わってほしい、という発想から誕生しました。あんを使ったオリジナルのスイーツやパン・お食事を、いわゆる和菓子屋さんのような歴史・重厚感とは反対にスタイリッシュで明るい店舗・パッケージで提供しています。若者の和菓子離れ・あんこ離れといった時代の傾向に合わせて、新しく生み出された「流行」の一例ですね。

「不易」は守りつつ、「流行」も取り入れながら、バランスよく商売をしていく。この“バランスよく”が、なかなか実践できている企業は少ないのではないでしょうか?一瞬一瞬、何を残し、何を取り入れるかを誠実に判断することが、バランスの良さにつながっていくのでは、と思っています。

***「不易流行」について詳しく知りたい方はこちらの記事

(参考:虎屋HP https://www.toraya-group.co.jp

1-2:独自の使命が明確に言語化されている

長く続いている企業は、その企業ならではの使命が理念という言葉になって明確に示されているのも大切な特徴のひとつのようです。

先程の「不易」が、共通認識として目に見えるかたちになっているということですね。企業が長く続いていくということは、もちろんどこかで経営者が変わるタイミングも出てきます。社員の皆さんも新陳代謝していきます。

その企業が果たすべき使命が言語化されていると、働く人が変わっても変わらない、その企業の指針・軸となります。これがあると、社員の皆さんも同じ方を向いて仕事ができ、その仕事の一つひとつは、ブランドとしての信頼感につながっていきます。

また、それぞれの企業は立ち上げの想いも違えば、歩む道も違う。パラドックスでは、人それぞれにそれぞれの使命があるように、企業にもその企業独自の使命があると考えています。各々の独自性も明文化され、商品や取り組みにも一貫してそれが現れていると、競合が出てきたときにも差別化しやすくなります。

先程の虎屋さんも理念を明確に持ち、社内のコミュニケーションや商品・サービスにしっかり浸透をしながら経営をされていますね。海外でいうと、そのホスピタリティで度々書籍やメディアで取り上げられている一流ホテル、ザ・リッツ・カールトンさんもそのひとつ。

創業から100年以上を越えて、世界に愛されるホテルブランドのザ・リッツ・カールトンさん。下記に記載する理念や有名なクレドを社員一人ひとりがひたすら追求し、ホスピタリティ業界の「ゴールドスタンダード」を守り続けています。

私たちのビジョン

ザ・リッツ・カールトンは、人生で最も有意義な旅をインスピレーションに満ちたものにします

 

私たちの使命

真の気遣いや素晴らしい製品、サービスをお届けすることで、確固たる利益に貢献します

 

出典:ザ・リッツ・カールトン ホテルHP https://www.ritzcarlton.com/jp

理念を大事にしているからこそ、社員も同じ方を向いて行動ができ、お客様への絶大なる信頼にもつながっています。

ちなみに、「理念なら、うちにもありますよ!」という企業の皆様。それは、企業理念と経営理念どちらでしょうか?

企業理念:企業のあり方や、存在している理由・目的を示したもの

経営理念:事業・顧客・利益を拡大し続けるための目標や方針

このふたつは混同されがちなのですが、ここでは企業理念のことを言っています。「うちのは経営理念だな」「そもそも理念がない!」「企業理念が割と曖昧でどこでも言えるやつだ・・・」という皆様は、企業理念を策定されることを強くおすすめいたします。

***企業理念と経営理念の違いについてもっと知りたい方はこちら

***コーポレートアイデンティティについてもっと知りたい方はこちら

(参考:ザ・リッツカールトン ホテルHP https://www.ritzcarlton.com/jp

1-3:業界の常識にとらわれない発想を持つ

老舗のやっていることの中には、いまの常識になっているけれど、スタート当時は業界の常識に反してかなり革新的なものも多くあります。ときには叩かれたり批判を浴びたり、ということも少なくないようです。

1673年創業の酒造メーカー、月桂冠さんも常識にとらわれずに新しい発想を実現してきた企業のひとつ。

例えば、明治時代のこと。その頃、主流だったのは樽詰めの日本酒ですが、洗浄しにくく、酒を腐らせる菌を充分に殺菌できないというのが難点。また酒の腐造を防ぐために、防腐剤が使われており、人体への影響が懸念されていました。そんな中で、月桂冠さんは、酒造りに積極的に科学技術を導入し、研究の積み重ねの結果、当時では考えられなかった、防腐剤なし×ビン詰めの日本酒を開発。発売後は、サラリーマンを中心に好評を博したとのことでした。

また、こちらは昭和時代の出来事。日本で初めて年間を通じた酒造りを行なう四季醸造システムを、業界に先んじて取り入れたのもこの月桂冠さん。この頃、幕府が酒の生産量を規制していた江戸時代から、「寒造り」と呼ばれる冬だけに酒がつくられる文化が続いていました。そして、杜氏と呼ばれる酒造りのマイスターのみが酒造に携われる、という文化も同じく継続しており、酒屋の主人は売るだけの人になっていました。当時の月桂冠さんは、これでは日本酒の技術に関する将来の発展が見込めないのではと、常識を疑いました。研究を重ねて、年間通して酒が造れる四季醸造システムを開発。杜氏が感覚を頼りにやってきた酒造りをシステム化することに、厳しい批判を受けたこともあったようですが、杜氏の協力も仰ぎながら誠実に研究を進めていったことで、業界・世間にも認められる結果になりました。

この事例でポイントとして見ておきたいのは、2つ。お客様が本当に求めているものはなにか、どんなものやサービスがあったら嬉しいか、といった本質的な視点をもつこと。そして、「普通はこうだから」と業界の常識にとらわれずに実行している、という点です。

新しいアイデアを出そう!といっても、ついつい常識の枠の中で考えてしまいがち。その枠を取っ払って、発想すること。そして、一見突飛に見えるアイデアも、業界の常識から離れてもう一度考え直してみること。そんなことが大切なのではないでしょうか?

(参考:月桂冠HP https://www.gekkeikan.co.jp

1-4:社員を大切にしている

企業は社員の集合体、という当たり前なことを忘れずに、社員一人ひとりを大切にする、というのも多くの長寿企業が持っている姿勢のよう。

 企業という受け皿の中に人が集まってくる、社員は企業に従う、といったように、企業も求職者も捉えてしまいがちかもしれません。ですが、本来、企業と社員一人ひとりはフラットな関係性であるべきもの。

1-2では、明確な使命が大事、といったお話もしましたが、理念に向かって軍隊のように、あるいはロボットのように社員の方々に同じ方向をみろ、というのは、無理がありますね。

社員の皆さんが日々、自分の仕事や会社に愛着をもちながら仕事ができているか。企業が社員一人ひとりの“働きやすさ”と“働きがい”をいかに大切にできているかによる部分が大きいものです。

そして、お客様や世の中のステークホルダーはそれを見抜きます。例えば店員さんが企業に大切にされ、仕事に愛着をもっていたら、きっと素敵な笑顔で、商品の魅力を語ってくれて、気持ちよくお買い物ができます。逆に店員さんが会社も好きじゃないし、仕事もやらされ感でやっていたら、テキトーに接客されて“嫌な感じ”で、良いなと思っていた商品もここでは買いたくないな、と思ってしまうかもしれません。

また「三方良し」という考え方についても後述しますが、例えば、「お客様のため」だけを追求し、社員が無理な残業をしてからだを壊してしまう。会社の理念を理解しろ、といいながら、社員一人ひとりのやりたいことをないがしろにしてしまっている。これでは、バランスが悪く、どこかでガタがきてしまいます。

「働きやすさ」でいうと、例えばオフィス環境や妥当な給与、残業管理といった基礎的な部分が整っているのは大前提!加えて、ライフスタイルの変化に合わせた働き方の多様性を尊重したり、サポート体制に力を入れていたりと、安心できる環境がある状態。

「働きがい」でいうと、会社の考え・理念をしっかりと伝えつつ、個人の考え・アイデアを尊重する、といった両方向のコミュニケーションや、成長意欲を活かす支援制度・評価制度が整っている状態。

社員一人ひとりを仲間・家族として捉え、その幸せを想う姿勢が老舗の風土や制度には昔から根付いているようです。

ここで、老舗企業ならでは(?)の事例をご紹介します。1669年創業・名古屋に本拠地を構える岡谷鋼機さん。働いている間のみならず、定年後もOBOGが集う会を毎年開催し、長寿表彰を行ったりと交流を続けていくことを大切にしています。また、OBOGで亡くなられた方々や会社にご縁のあった方を弔う「物故者法要」を50回忌まで行っているとのこと。その際には、遺族の方も招待しており、法要後には感謝の手紙が届くこともあるそう。社員を心から大切に想っていなければ、できないことではないでしょうか?社員としても、会社への信頼や愛着が育っていきますよね。

読者の方々には、岡谷鋼機さんの事例は少し遠く感じることもあるかと思いますが、社員を大切にする、という視点で企業としてできることは色々とありそうです。インナーブランディングや従業員満足度の記事がヒントになるかもしれません。現状に不安のある方は、ぜひ一読していただければと思います。

***インナーブランディングについてもっと知りたい方はこちら

***従業員満足度についてもっと知りたい方はこちら

(参考:岡谷鋼機HP https://www.okaya.co.jp

1-5:世の中・地域への貢献を実践している

「三方良し」という言葉。上にもちらりと出しましたが、皆さんお聞きになっている、または意識されている方も多いと思います。

これは、江戸時代から明治にかけて日本各地で活躍していた近江商人が大事にしていた考え方で、信用を得ていくためには“買い手良し・売り手良し・世間良し”と、買い手であるお客様や売り手の自分たちはもちろん、世の中にとっても良いものでなくては、というもの。

日本らしいビジネスにはいまも根付き、長く続いている会社の多くが大前提として大切にしている考え方です。その証拠に長く続いている企業は、世の中や地域に愛されている存在であることが多いようです。

お酢や味ぽんなどが有名なミツカンさんも1804年創業の老舗企業。江戸時代に愛知県・半田市で発祥し、いまもそこに本社を構えています。Missionに「買う身になって まごころこめて よい品を」という言葉をもち、相手の身になって考えることを大切にしているミツカンさんですが、商品だけではなく、取り組みにもその姿勢が現れています。

半田市や愛知県との連携を大切にしており、半田山車祭りへの協力や観光のPRキャンペーンにも参画。小学校に出前授業を行い、食文化やものづくりの楽しさを伝える試みにも力を入れています。最近では「MIM」というミツカングループの歴史に触れることのできるミュージアム施設を設立。ミツカンさん・自治体・NPO・市民が一体となり、古くから地域に愛されている運河沿いの黒壁の景観を継承・発展させて生み出しました。2017年に都市景観大賞「都市空間部門」で大賞(国土交通大臣賞)を受賞。社会見学で子どもたちを招いたり、イベント時には無料開放したり、地域に人を呼ぶことにも貢献し、地域に愛されている企業のひとつです。

地域への貢献以外にも、良質なお酢をつくるために欠かせない「水」を大切にしているミツカンさん。水や自然に感謝する姿勢は、「節水・浄水活動」「水の文化センターの設立」「山林の育成」「ビオトーブの開設」などの取り組みにも現れ、社会や地球の健康まで考えていることがわかります。

他にも老舗企業は世の中や地域への感謝、さらに自然や地球への感謝が取り組みに現れているところが多く見られます。長く愛される秘訣のひとつですね。

***東京以外の地域で活躍する企業についてもっと知りたい方はこちら

(参考:ミツカンHP http://www.mizkan.co.jp

1-6:リスクに備えている

100年という時間の中には、世相の変化や自然災害・戦争など、企業が直面する危機があります。その危機を乗り越え、企業を長く続けていくためには、財政面での管理も大事になってきますね。「身の丈経営」「堅実経営」という言葉もご存知の方もいらっしゃるかと思います。長く続いている企業は、有事のときがあることも加味して、いつもリスクに備えているのです。

世相の変化の中では、飛びつきたくなるような“うまい話”もでてくるかもしれません。そのときも目先の利益に飛びつくのではなく、あくまで自分たちの軸はなんなのかを忘れずに、自分たちがすべきビジネスに向き合っていくことを大切にしています。

ただ、「身の丈経営」「堅実経営」というと、厳しく質素倹約、というイメージもあるかもしれませんが、新しいことにチャレンジしないわけではありません。ただ、このチャレンジも本業から大きく外れたことをいきなり大きくスタートさせるものではなく、自分たちの理念や軸から離れることはなく、強みを活かしながらスモールスタートでの挑戦です。たとえ失敗をしたとしても、有事がやってきても、カバーできる範囲で。大きな木も長い年月をかけて大きくなるように、徐々に徐々に、ビジネスを成長させていくのです。

とある鋳物づくりの老舗企業も「身の丈」を大切にしています。仕事を請け負う際には、自分たちのもつ工場設備の能力も加味し、自分たちが自信をもって製造できるものしか受注しない。大きく儲かりそうな商談でも、納得するものがつくれない、と判断する場合は断る。といった精神で、自分たちができることに集中し、高い品質と信頼を守り続けているのです。

1-7:成長意欲が高く、学び続けている

老舗の企業に共通している性格に、“しなやかさ”があります。それは1−3のような常識にとらわれない発想もそうですが、素直に学び続けて、いいと思ったものを取り入れていく姿勢もそう。

様々な業界のトップを招いて全社が聴けるような講演会を開いたり、社員に海外視察の機会を与えたり。いまの自分たちをずっと維持していく、守っていく、だけではなく、謙虚に外からどんどん学び続けていこう、という姿勢があるからこそ、どんなに時代が流れてもおいてきぼりにならないのだと思います。

いまある商品・サービスも常に改善できるところを探しているというのもこの姿勢の現れです。

1736年創業、長野に本社をかまえる七味屋・八幡屋礒五郎さんもその姿勢をずっと続けています。唐辛子が描いてある、赤くて小さなブリキ缶はおなじみのパッケージ。このパッケージ、これまで細かく何度も絵柄が変わってきているのですが、それ以上に、七味の味自体も何度も変えられてきているのだそう。

それも時代が変われば、生活者の味覚が変わっていくのは当然のこと、いつの時代も変化を感じ取ることを忘れない。そして、それぞれのお客様に七味の美味しさを感じてもらえるように、という思いで、謙虚に味の改良を続けているのです。

また、社員の研修・学びの機会をとても大事にしていることも見受けられます。先程挙げた虎屋さんでも、社内の研修だけではなく、外部からの講師を招いて新しい学びを取り入れる機会を頻繁につくり、技術やマインドを育て続ける取り組みがされています。また、社員それぞれの自己啓発も応援しており、約100講座が用意された通信教育の提供や、資格取得のための講座・カルチャースクール通学などへの費用援助の制度も充実していらっしゃいます。

「ここまで続いてきたんだから、このままやってりゃいいんだよ」と現状にあぐらをかかず、「まだまだ学ぶことがある」と謙虚さをもって学び続ける。企業に限らず、人としても、大切にしたいところです。

(参考:八幡屋礒五郎HP https://www.yawataya.co.jp
(参考:虎屋HP https://www.toraya-group.co.jp

2:理念に立ち返り一丸となることが、長く続く企業につながる

ここまで記載してきた長く続いている企業の特徴。なかなかすべてのことが実践できているかというと、難しいところなのではないかと思います。

では不安な状況の続く中、いま、企業がすべきことはなにか。

私たちパラドックスは、一番必要なのは、ブレずに理念に立ち返ることだと考えます。そして、その理念の実現に向けてなにをすべきかを、経営者も社員もともに考え一丸となること。それが、危機を乗り越え、企業が長く続いていく秘訣なのではないでしょうか。

特に1112で触れてきたことですが、長く続く企業は、自分たちの使命を理念という形で明確にもち、社内にも浸透させています。その理念が指針となっていると、社員一人ひとりが、たとえ迷うことがあっても、社長の発言を待つのではなく、なにをすればいいか、どう動けばいいかを考えることができます。

「不易」と「流行」のバランスも大事ですが、やっぱり幹に「不易」がどしんと構えているからこそ、「流行」に合わせた挑戦もできる。理念に立ち戻らずに、目の前のことばかりに終始してしまっては、例えば一時的に局面を乗り越えられたとしても、どちらを向いているのかわからなくなり、迷子になってしまうでしょう。

現在お持ちの理念があまり自分たちの指針として機能していない、もしくは理念自体が明確にない、という方もいらっしゃるかもしれません。こういうときだからこそ、理念策定に目線を向けてみてほしいと思います。

明確な理念があっても、社員に浸透していない。という方は、社員の皆さんが同じ理念に向かって、いきいきと働けるよう、インナーブランディングに力を注いでください。

前述しましたが、それぞれの企業には、独自の使命があり、独自の世の中への貢献の仕方があります。「私たちはなにを使命にしているんだっけ?」と今一度、見つめ直してみませんか?そして、一丸となり、長く続いて世の中から愛される企業を目指して一歩一歩進んで行きましょう。

***企業理念についてもっと知りたい方はこちら

3:最後に

ここまでお読みいただきありがとうございます!!

この記事を読みに来てくださっている方はきっと、不安な状況の中でも、前を向いてなにかできないか、とお考えの方々。その前向きな想いを持ち続け、いますべきことを試行錯誤しながら行動に移していく。そんなことが大切なのでは、と思います。

お手本にすべき人や企業はたくさんあり、学びながら新しいアイデアを生み出すこともできます。未来の長寿・老舗企業になることを目指して、苦しい時期も乗り越えていきたいですね。

この記事が少しでも読者の皆様のお力になれていたら、と思います。

 

—参考文献—
『創業300年の長寿企業はなぜ栄え続けるのか』グロービス経営大学院 田久保善彦/東洋経済新報社
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PARADOX創研 メディア編集部
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