「こういうのを待っていた!」本質的な会社案内の考え方と作り方。

「会社案内をリニューアルして欲しいと依頼されたのですが、これまで会社の制作物に関わった経験がない。そもそも全社的な視点から見た際に、自社のことを初めて出会うお客様にどのように伝えるべきか、考えたこともなかった。」

「作るからには、自社の魅力をお客様に伝えることで、いい関係性を築きたい。さらに、会社のみんなの役に立ち、喜ばれる会社案内を作りたい。いい会社案内を作るためには、何を考えて、どうやって作ればいいのだろう?」

会社案内冊子は、多くの企業が仕様しているツールですが、実際に制作される際には、上記の悩みが起きているケースが多々あります。

自分の手で見よう見まねで作ってみたり、外部制作会社にすべて任せてコストをかけて作ってみたものの、どうも上手くいかない。

例えば・・・

・会社案内が製品カタログと化し、ウェブ上とも同じ情報になってしまっている。

・デザインはされているが、自社らしさがない。社名を変えたらどこでも使えそう。

・社員がせっかくの会社案内を使わず、結局自前の資料だけでプレゼンをしている。

これらの原因は、目的を定めないまま、なんとなく会社案内を作り始めてしまうことにあります。当たり前ですが、解決すべき課題が曖昧なままでは、曖昧なものしか生まれません。

売上アップにつなげたいのか。採用シーンで学生から共感を得たいのか。はたまた、自社の長期的なブランド力の向上を目指すのか。まずは「なんのために会社案内を作るのか?」を明確にすることが大事です。

また、どのような目的や用途であるにせよ、自社の理念を起点にコミュニケーションをするということもポイントです。

理念から語られる会社案内は、あなたの会社のことを、世の中に伝えてくれる優秀な語り部となってくれます。その語り部は、他社にはない個性を持ち、信頼できる人格を兼ね揃えていなければいけません。大切なのは、“ツールを作る”のではなく、“企業の伝道師を作る”ということ。私たちは、会社案内はコストではなく、有能な伝道師を採用・育成する投資だと考えています。

1:いい会社案内にはストーリーがある

世の中にはたくさんの会社案内がありますが、記憶に残る会社案内もあれば、そうでないものもあります。では、一期一会のビジネスシーンで記憶に残る会社案内とはなんでしょうか?デザインが優れたもの?商品情報がわかりやすく載っているもの?

いいえ、それだけではありません。記憶に残る会社案内に共通するのは、企業がもつ独自の理念がストーリーとして発信されていることです。

理念ストーリーとは?

消費者の選択肢が増えるなか、多くの企業はマスマーケティングを通して答えを求めています。

その結果として、提供する製品やサービスがコモディティ化してしまい、差別化がより難しくなっています。その戦いのステージから抜け出すためには、企業独自のストーリーを起点に顧客への価値を提供し続けていく必要があります。

たとえば、Appleを例に見てみましょう。Appleが手がけるiPhoneは、スマホ市場で人気を誇るデバイスです。しかし、他のスマホと機能・デザイン・サービスを比べた時、iPhoneが選ばれている理由はどこにあるのでしょうか?

それは、Appleの歴史や創業者であるスティーブ・ジョブズの思想。これらは「その企業にしか語れないもの」であり、そこに惹かれている人が多いのではないでしょうか。つまり、「優れた経営者は、サービスや商品ではなく、思想を売っている」とも言えます。

また、Appleが多くのファンを獲得した理由として、「ゴールデンサークル理論」というものがあります。

ゴールデンサークルとは、世界の叡智を結集したプレゼンテーションでおなじみ、TEDなどでも紹介された、「物事の本質を説明する際に重要となるフレーム」のこと。WHYHOWWHAT3要素で円が構成されています。

WHYとは「なぜそうするのか」のこと。ここでは、「企業の理念や目的、つまりミッションやビジョン」だと考えてみてください。

HOWは「どうやるのか」。企業やブランドの世の中への露出の仕方や、事業・サービスとしてのコミュニケーションの仕方です。

最後にWHATとは「何をやるのか」。企業やブランドの商品・サービスそのものとしてとらえてください。

ここで重要なポイントは、人はWHYに心を動かされるということ。WHY→HOW→WHATの順番で伝えることで、強い共感を得ることができると言われています。

これは商品だけの情報の伝え方ではなく、企業を紹介する会社案内も同様です。もっと起点となるWHY(理念)から伝えていく、ということが重要なのです。

アップルの事例から「思想に紐づいたストーリー」というイメージがついたでしょうか?より明確にするため、いくつか実例を見てみましょう。

<事例1>:株式会社ウェルカム / 会社案内

食やデザインを軸に、感性を大切にした良質なライフスタイルを提案する株式会社ウェルカム。『DEAN & DELUCA』や『GEORGE’S』など多数のブランドを展開し、輸入食品や加工食品の販売、カフェの運営を行っている企業です。

「感性の共鳴」という独自性の高い理念をブックの前半に置くことで、想いに共感したパートナーや学生と心の底から握手ができるような設計になっています。後半には事業説明や店舗の紹介が記載されていますが、最初に理念を掲げているため、すべての事業や店舗が理念実現に向けた方法として展開されていることが感覚的に分かるようになっています。

さらに、1ページごとにシンプルに、スペースをたっぷり使うことで、良質なライフデザインにこだわる企業らしい「らしさのあるデザイン」で、ゆとりのある佇まいになっています。カタログのように一方的に、大量の情報を押し付けるのではなく、読み手との間を意識することで、心地いい情報量がやり取りできるようになっています。まさに、文字通り「感性の共鳴」を促すような余白のある世界観が作られています。

<事例2>:株式会社ティンパンアレイ / 会社案内

デザイナーズブランドのユーズドセレクトショップを運営する株式会社ティンパンアレイ。ハイクオリティかつリーズナブルなファッションを取り扱う『RAGTAG』や『rt』を運営している企業です。

「青山のとあるブランドショップでの光景が、すべてのはじまりでした。」という一文から始まり、セレクトショップが誕生した経緯と創業者の想いがストーリーとして語られていきます。自社の想いが込められた物語から始まるため、その先にある事業内容やこだわり、取り組みにも必然性と説得力が生まれています。

さらに入社案内では、単に事業内容を紹介するのではなく、古着のリユースというビジネスモデルによって、自社のビジネスだけでなく社会課題をも解決していこうとするビジョンまで描かれているため、同じ課題感を抱いている人々からの共感と応援を得ることもでき、ファン作りにも一役買っています。

紙 or web?

オンラインのコミュニケーションが主流となる現在。あえて“紙”で会社案内を作る意味とはなんでしょうか?

紙冊子はページ遷移が限定されるため、前後の流れが作りやすい。つまり伝え手が伝えたい「ストーリーを伝える」ということに適した媒体と言えます。

メッセージやストーリーの内容に合わせて、紙質や製本方法といった仕様を変えることで、貰い手が思わず手元に置いておきたくなるようなツールにまで昇華させることができるのが、紙媒体の強みと言えるでしょう。

近年の制作物の傾向を見ていますと、商品カタログ的な情報要素はウェブサイトに移管し、企業としてのメッセージや大事にしたい価値観を伝えるツールとして紙媒体を選ばれる方が多いように感じます。

紙、ウェブ、動画などの各ツールの役割分けを明確にし、目的に合わせた最適なコミュニケーションを設計することが大切です。

2:まずは理念から始めよう

いかがでしょうか?2つの事例を通じて、「独自の理念を起点に、ストーリーとして情報が発信されている」ということがイメージできたでしょうか。次は、もう少し詳しく見てみましょう。

2-1:理念から語る

会社案内の目的を限定しないと、載せるべき情報量が増えてしまい、ついつい情報の列記になりがちです。しかし、「2010年設立」「○○事業」「商品A、商品B」・・・というような単なるファクトの羅列では、更新性も含めてウェブサイトの方が適しています。

まずは、あなたが会社案内を使用するシーンを思い浮かべてみましょう。初対面の営業活動や採用面接など、相手の企業への理解度が浅い場合に使うことが多いのではないでしょうか。このように初対面に近い相手に、単なる自社情報を伝えただけでは、共感はなかなか得られません。

モノや情報があふれる現代では、商品の差別化が難しいと言われています。商品に込められた想いや背景にあるストーリーの独自性が他社との大きな違いとなっていきます。その違いが差別化ポイントとなり、結果的に独自のファンの獲得へとつながっていきます。

自分たちは、なぜこの商品を提供しているのか。そもそも、自分たちの企業のミッション、目的はなんなのか?情報列記カタログパンフレットにならないために、まずは会社の理念に立ち返って考えましょう。

⇨理念がない場合&理念についての詳細はこちら
企業の根幹を担うミッション ビジョン バリューの意味合いと作り方

また、「はやく商品を見せたいのに、最初から思想を長々と語っていたら、読んでくれないのでは?」と思う方もいらっしゃるかもしれません。

たしかに、無用に長く語る必要はありません。大事なのは相手目線に立ち、コンパクトに語ること。どうすれば、忙しい相手に、自分たちの価値観を伝え、共感が得られるか。という点を常に意識して制作していきましょう。

2-2:理念に沿った世界観で伝える

企業の思想や価値観を表した理念は、その企業らしさを表現する上でも大事な要素を担います。

企業らしい表現とは、デザインやコピーライティングによる言葉遣いなどといったビジュアルアイデンティティ(VI)として表されますが、明確な企業理念を持った企業ほど、他社とは差別化されたVIを持つことができます。逆にどこでも言えるような企業理念をもった企業のVIは、差別化が難しいと言えるかもしれません。

下記に理念とVIの関係性を図にしてみました。理念はMI(マインドアイデンティティ)と呼ばれ、理念を起点にしながら、世の中に企業のらしさを伝えていく視覚表現は、VI(ビジュアルアイデンティティ)と呼ばれています。

VI(ビジュアルアイデンティティ)とは?

言語化された理念やマインドアイデンティティを最適なデザインに落とし込み、webやパンフレットなどの各種広告物、空間やユニフォームなど、一貫した世界観でメッセージを伝え続けることです。

※BIはビヘイビアアイデンティティであり、社員の一貫された行動を示します。

    このMIBIVIの関係性を人間に例えるならば、MIは心であり、BIは行動や口調、VIは見た目、といったところでしょうか。

    ここで大事なことは、MIに沿ってVIが設定されていること。例えば、医者が白衣ではなく、スーツを着ていたら、きっと周りの人は医者だと思わないでしょう。見た目は全てではありませんが、人となりを伝える重要な要素であり、企業にとっても同じことが言えるでしょう。

    自社のらしさや世界観を伝える上で、どのような表現が適切なのかという順番で考えてみましょう。

    MIVIについての詳細はこちら
    会社のらしさを一発で伝えるコーポレートアイデンティティ(CI)の作り方)

    3:目的別・会社案内の効果をより高めるポイント

    理念から語るというのはどのような場合でも必ず抑えておきたいポイントですが、会社案内の目的や用途によって、ターゲットが変わるため、内容のチューニングは必要です。

    続いて実際の会社案内の事例を交えながら、目的別に注視したいポイントについてご紹介していきます。

    3-1:セールス向け(提供価値や商品を伝える)

    自社の商品を新旧の顧客に売り込んで、売り上げにつなげたい!という目的の、いわば営業ツールとしての会社案内。肝心のサービス内容や商品情報についつい注意が向きがちですが、大事になるのが理念ストーリーです。

    特に、新規顧客の獲得を目指す場合、企業理解が低いままでは商品の魅力も伝わらず、共感も生まれません。テレビCMや交通広告といった接触時間の短いメディアであれば、商品の優位性のみを訴えかけることしかできませんが、オフラインで直接的なコミュニケーションが取れる機会があれば、目の前で「ストーリーを共有する」という紙本来の特徴を活かした対面的なアプローチが可能です。

    <事例3>:株式会社アルベロプロ / 商品カタログ


    木質系内装材メーカーのアルベロプロ。「アルベロ」は木という意味であり、意匠性と技術力を兼ね備えた「プロ」である、という想いが社名に込められています。

    100Pを越え、全商品が掲載されている商品カタログですが、単なる商品紹介ではありません。自分たちが向き合ってきた木と、そこに込められた想いが全編を通じたストーリーとして語られています。商品一つひとつに対してこだわりを伝えながら、カタログとして欠かせないスペックも細かく掲載。商談の場や、多くのお客様に向けて活用されています。

    3-2:ブランディング向け(理念・価値観を伝える)

    新しいパートナーや株主、顧客など、志で共感できるさまざまな同志を増やしたい。自社の思想と価値観を伝え、社会での存在感を高めたいという、いわばブランディングの観点で会社案内づくりを目指す企業も多いと思います。

    こうした新しいファンの獲得を目的とした場合や、企業活動を幅広く支えるツールとして有効なのが「ブランドブック」です。

    ブランドブックとは、企業の理念や目指すべき姿、価値観を深く伝えるもの。つまり、これまでお話してきた「理念ストーリーで語る」ということにより重きを置いたブックです。

    <事例4>:湘南ベルマーレ / スピリットブック

    株式会社湘南ベルマーレに加え、特定非営利活動(NPO)法人湘南ベルマーレスポーツクラブという2つの組織で構成されている湘南ベルマーレ。サッカーだけに留まらないさまざまな活動を展開しています。

    このブランドブックのポイントは、自社のスタンスを一言で表現したスローガン「たのしめてるか。」を中心に据えたページ構成になっていること。同時に、ベルマーレが大切にしている価値観、これまでの歴史などをストーリーで語り尽くしています。

    スポンサーやサポーター、地域の人たちへ配布されたことで、スローガンである「たのしめてるか。」はたちまち普及。日本経済新聞・全国版のコラムでも、「サッカークラブが理念をつくった稀な例」として取り上げられました。

    3-3:採用向け(価値観や事業内容を伝える)

    近年では、多くの求職者が就職活動の際に「その企業の理念や価値観に共感できるか」という点を重視しているので、採用に比重をおいた会社案内を制作するケースも増えています。

    学生向けの場合は、学生に伝わりにくいような業界用語・ビジネス用語を避けるなど、ターゲットの理解度に合わせた表現になっているかどうかを注意しましょう。

    <事例5>:堂本食品株式会社 / 入社案内パンフレット

    堂本食品は大正3年に創業した広島の食品メーカーです。BtoBの業務用食品の製造を手がけているため、BtoCの食品メーカーに比べて認知度が低いうえに、業界や会社の考えが本当に学生に伝わっているのか手応えが感じられない、という課題がありました。

    100余年の歴史と成長を紐解くと、人間味のある経営思想や人、そして社風。企業として勝ちつづけるための普遍がありました。そこで「日本あたらし話」という採用コンセプトを設定。昔話のような物語で、自社の歴史や想いを伝える採用パンフレットを制作しました。

    学生が気軽に読め、さらに本当の魅力が伝わるストーリーに落とし込むことで、採用目標人数を大きく上回ることができています。

    4:いよいよ実践。会社案内の作り方

    さて、お待たせいたしました。それでは実際に会社案内のつくり方を見てみましょう。会社案内は、以下のような流れで制作していきます。

    <STEP0>:フォーメーションの決定

    <STEP1>:コンセプト設計

    STEP2>:構成・台割り作成

    STEP3>:コンテンツ企画

    STEP4>:取材・ライティング

    STEP5>:デザイン

    STEP6>:印刷

    STEP7>:展開・配布方法を考える

    状況によって、前後することや同時進行することはありますが、おおよそこの流れに沿って進みます。

    STEP0>:フォーメーションの決定

    まず考えておくことは、誰と作るか、ということ。もちろん、自分一人で作ることも不可能ではありませんが、制作には各フェーズで専門知識が必要になります。ここでは、制作の基本的なフォーメーションをご紹介します。

    パンフレット制作の一般的なフォーメーション

    ○依頼主:
    制作を依頼する人です。自身の作りたい内容やイメージ、要件をまとめておきます。また依頼すれば終わりではなく、状況に応じてチェックや指示も必須。依頼主の情熱次第で、アウトプットのクオリティも大きく変わることもあるため、完成まで伴走し続ける重要なポジションです。

    ○ディレクター(外部):
    全体の進行を管理する人です。コピーライターやデザイナーなど、さまざまな担当に対し指示を出し、スケジュールや制作状況をコントロールする、いわば監督のような存在です。場合によっては、コピーライターやデザイナーが兼任する場合もあります。

    ○コピーライター(外部):
    主に「取材・ライティング」フェーズを担当します。自身で取材・ライティングをおこなうことができるのであれば依頼せず、その分の費用を抑えることも可能です。ただし高度な文章構成力や表現スキルが必要なため、クオリティを考慮すると外部に依頼することが望ましいです。

    ○デザイナー(外部):
    主に「デザイン」フェーズを担当します。近年では、デザインテンプレートを使って制作することもできます。ただしコピーライター同様、高いクオリティやより長く使用することを考えると、こちらも外部デザイナーに依頼する方が良いです。

    ○印刷会社(外部):
    主に「印刷」フェーズを担当します。簡易的なものであれば、印刷会社に依頼せず、ネット印刷を使うことも可能です。ただし、印刷後に色味や質感が「イメージと違う」となる場合もあるので十分な注意が必要です。

    STEP1>:コンセプト設計

    まずはじめにコンセプトの設計からスタートします。コンセプトとは1冊の会社案内全体を貫くもの。「テーマ」と捉えていただくと分かりやすいかもしれません。

    コンセプトは、理念を起点に会社案内の目的やターゲットから紐解いていきます。つまり「だれに」「なにを」伝えるということ。例えば「まだ自社のことを知らない地方のお客様に、自社のものづくりへの想いを伝え、ファンを作る本」といった形です。

    また、コンセプトはこの後のすべて工程の軸となります。ライティングやデザインのフェーズでも「コンセプトに沿っているか」を基準に進んでいくため、冊子としての個性を立たせ、最終的に狙う効果を出すためにも、とても重要にステップになります。

    コンセプト設計にはスキルが必要なため、この段階から制作会社に依頼し、ディレクターやコピーライターと打ち合わせをして決めていきましょう。

    依頼主はコンセプトに対し、「ターゲットが合っているか」「用途・目的に沿っているか」「自社らしさがあるか」というこの3点を特に注意してプロジェクトを進めていきましょう。

    コンセプトの考え方

    コンセプト設計は、下記3つをポイントに考えていきます。

    ミッションとは、理念や使命のこと。自分たちの使命はなにか、なにをするための会社なのかを考えていきます。

    ターゲットとは、届けたい顧客のこと。誰に自社のことを伝えたいのか、その人はどんな課題を抱えていて、どんな心情なのか、といった部分まで紐解いていきます。

    バリューとは、提供価値のこと。自社の資産はなにか、事業や商品にはどんな強みがあるのかを、広く深く洗い出して考えていきます。

    そしてこの3つの重なりから、コンセプトを導き出していきます。

    STEP2>:構成・台割り作成

    コンセプトが決まったら、次に必要な要素や項目とその順番を決めていきます。ここでは多くの会社案内に記載されている項目例をご紹介します。

    ○理念、コーポレートアイデンティティ

    ・ミッション 企業の使命

    ・ビジョン目指す未来

    ・バリュー提供価値

    ・スピリット – 大切にしている精神

    ○創業の背景、歴史

    ○代表メッセージ

    ○会社概要

    ○CSR・企業活動情報

    ○事業内容

    ○商品情報

    ○社員情報(エピソード、仕事内容など) ※採用向け

    ○募集要項 ※採用向け

    制作会社に依頼した場合、冊子の構成要素はディレクターかコピーライター、もしくはデザイナーが担当します。発注者は、STEP1で決めたコンセプトや目的と照らし合わせ、必要な項目が満たされているかを確認しましょう。

    冊子構成(台割りづくり)においては、伝えたいストーリーに沿って、各コンテンツが配置されているかがポイントです。前述のとおり、最初から情報の羅列をしていては読み手の共感を得ることは難しく、WHYHOWWHATという流れは作れません。

    依頼主は、自分が初対面の人と話す際に、どのような自己紹介から話せば、最も信頼を勝ち得ることができ、より本質的な話ができるかをイメージしながら、冊子構成(台割り)を組み立てていきましょう。

    STEP3>:コンテンツ企画

    次に、STEP2で選んだ各要素をどのような形式や表現方法で記載させるかを企画します。

    例えば、代表メッセージひとつとっても、

    ・社長の写真とコメントで端的に記載するのか?インタビュー形式で物語のように語るのか?

    ・商品紹介では、商品の一覧を掲載し、幅広く商品を扱っていることを伝えるのか?それとも、ひとつの商品が生まれた背景や作り手の声をじっくり伝えるのか?

    と、伝えたい内容によって表現の仕方は全く違ってきます。コンテンツごとの最も適切な形式や表現方法をチームで考えていきましょう。

    STEP4>:取材・ライティング

    構成・企画が決まれば、次は文章の作成です。

    まずはSTEP2の構成要素を実際に記事にするには、どのようなプロセスが必要なのかを確認してみましょう。例えば社員紹介では、コピーライターが社員への取材を行った上でライティングするのか、または社員自身に書いてもらうのかでプロセスが異なります。

    依頼主は制作会社やコピーライターと打ち合わせをし、「取材有無の確認」「取材対象者の選定」「取材対象者のアサイン」を行いましょう。※フォトグラファーによる撮影方法についても、同じステップを踏みます。

    STEP5>:デザイン

    原稿が出来上がり、写真が揃えば、次はデザインです。内側の紙面デザインはもちろんのこと、装丁といった外側まで考える必要があります。

    依頼主は、デザイナーが制作したものに対し、定めたコンセプトや自社のイメージに沿ったデザインで表現されているかどうかをチェックしましょう。

    STEP6>:印刷

    最後は印刷ですが、このステップも専門性が求められる重要な工程です。どのような紙を使うのかで、色の表現や質感が異なり、印刷時に加工をするかしないかでも、最終的なブックの仕上がりが大きく変わってきます。

    また仕様によって、できる・できないという判断も必要なため、早い段階から印刷会社に相談をすることがポイントです。ほとんどの場合、制作会社が印刷会社をアサインします。

    また印刷には、色校正と本印刷があり。色校正は、いわばテスト印刷であり、仕上がり具合を確認し、問題がなければ本印刷へと移ります。依頼主は、色校正の段階で「色味がイメージ通りか」「文字に抜けや漏れがないか」を確認しましょう。

    本印刷が終われば、あとは配送〜納品となります。納品後も、きちんと印刷されているか、部数が足りているかなど、検品をしておくことも大切です。

    STEP7>:展開・配布方法を考える

    ここまでで制作は完了ですが、最後に展開や配布方法も考えておきましょう。

    せっかく作った会社案内を、有効活用したい。直接会うことができない遠くのお客様にも届けたい。そう考える方も少なくないと思います。

    近年では、紙の制作物とは別に、会社案内のPDFデータをダウンロードするための仕組みをweb上に用意しておくケースも多いです。コーポレートサイトにダウンロードページを用意するなどの方法も検討してみましょう。

    5:まとめ

    いかがでしたでしょうか?最後に重要なポイントをもう一度おさらいしておきましょう!

    記憶に残る会社案内は、目的が明確であり、独自の理念ストーリーが起点になっている。

    ストーリーで伝えていくことで、強い共感が生まれ、求めるお客様や人材と握手ができる。

    そのためには、下記のポイントを軸に、会社案内について考えてみてください。

    ○ 理念の確認

    自社の理念や使命をあらためて確認する。理念が明確でない場合は、あらためて策定も検討する。


    ○コンセプトの確認

    ターゲットに向けて、どのような価値を届けようとしているのか。ミッション×ターゲット×バリューからコンセプトを考える。


    ○ストーリーと表現の確認

    コンセプトに基づいて、どのようなストーリーやコンテンツを届ければいいのか。

    そのための最適な表現、世界観とは何か?

    最後までお読みいただき、ありがとうございました。

    ぜひこの記事を参考にしながら、本質的な会社案内に是非チャレンジをしてみてください。そして、そのツールによって、より多くのお客様や人材とつながれることを願っています。

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