「周年記念」施策の考え方とアイデアをご紹介!

「そういえば、もうすぐ会社の周年がやってくるけど何も考えていない。」
「周年記念の企画を社内で依頼されたが、何やればいいのか分からない。」
「前の周年はノベルティが配られたけど、効果があったのかは不明。」

 この記事にたどり着いた方の中は、このような周年記念に関して、そもそも「周年記念は必要なの?」という疑問をお持ちの方もいらっしゃるのではないでしょうか?

30年、50年、100年、…。企業が長く続いていると、周年記念のタイミングがやってきますが、そこまで気にせず、スルーしている企業や、なにかしたとしても、なんとなくお祝いをして、社長メッセージを配信しノベルティを配って終わってしまっている企業も多いはず。 

それではもったいない!もちろん「なにもしない」という選択肢もあるかもしれませんが、実はこの周年記念。施策の幅広さを知った上で、きちんと考えて企画をすれば、企業にとってより大きな価値を生むものにできるのです。 

年始や年度始まりで「よし!」と気合を入れ直すように、「節目」というのは、よりよい方向へ向かう大チャンス。

周年というさらに特別なタイミングに、せっかくパワーをかけるなら、みんなが「やってよかった!」と思えるような周年記念を目指しませんか?

今回は、いくつかのクライアントさまのブランディングに携わり、その中で周年記念の施策についてお手伝いさせていただいた経験を踏まえて、周年記念をより意味あるものにするための考え方や、様々な施策について、事例を交えながらお伝えしていければと思います。

少しでもご参考になれば嬉しいです。それでは、参りましょう!

1:周年記念を、未来をつくるための振り返りと捉える

周年記念というと、どうしても、頭が「過去=これまでの歴史」にいってしまいがちなのではないでしょうか?その考え方をちょっと変えて、周年記念を、

「“未来をつくるための”振り返り」

 と捉えてみたら。その意味・意義が、大きく広がるのではないでしょうか?

この章では、まず周年記念ってどういうタイミングでやるものなの?という基本的なことも整理しながら、上記について、ご説明をさせていただきます。

1-1:企業やブランドの創業・設立からまる◯年経ったことを記念すること=周年記念

周年記念の辞書的な意味合いとしては、「企業やブランドの創業・設立からまる◯年経ったことを記念すること」 

「まる◯年」というのが気になりますが、誕生日のように毎年お祝いするものではなく、還暦や銀婚式が近いところ。

一般的には、5年、10年単位で周年記念を行うところが多く、例えば50周年や100周年など、さらに大きな節目には、盛大に周年記念を行う、というパターンがあります。他にもゾロ目の年や会社に馴染みのある数の年にする、ということもあるようです。

この基本的な意味合いでいくと、「お祝いごと」「過去をなつかしむこと」という、“これまでのこと”に目線がいっていることが、感じられますよね。

1-2:過去の振り返りは、未来とセットで活きてくる

しかし!周年記念が来たからといって、企業はそこで終わるわけではありません。

企業を木に例えるならば、年数が増えていくのは、それだけ年輪が厚くなっていくということ。年輪がここまでいったら成長も止まる、ということはありませんよね。周年記念のあとも成長は続いていく。だからこそ、その節目を、過去を振り返ってお祝いをするだけにしてしまうのはもったいない!

個人でみても、年末に「こんなことがあったなあ」とその一年を振り返ったあとは、来年はどうしたいな、と未来のことを考える方が多いのではないでしょうか?

未来のことがあるから、振り返りが活きてくる、とも言えます。周年記念も、過去を振り返るだけでなく、未来とセットで考えてみてほしいと思います。

ここで事例をひとつ。

2020年に100周年を迎えた自動車メーカーのマツダは、100周年特別記念車を発売。 

マツダの転換点をつくった60年前のモデルをオマージュしたデザインに、創業の頃のコーポレートマークと現在のブランドシンボルマークを重ね合わせた特別なロゴを施すなど、これまでの歴史を振り返りながら、その志をこれからも受け継いで挑戦していこう、という想いを込めた試みでした。 

同時に、マツダの「過去・現在・未来」を体感できるショールームやオリジナルグッズなども展開し、マツダのファンをさらにファンにしながら、新たなファン層にも関心をもってもらえるきっかけになっていたようです。まさに過去の振り返りから、未来につながる事例になっています。

※参照:https://www2.mazda.com/ja/100th/ 

これまで、個人で業務を振り返ることはあっても、企業全体で過去を振り返るタイミングなんてなかった、という方もいるかと思います。こういった振り返りは、これから自分たちはどこに向かっていくのか、何を大切にすべきなのかを考え直す、大切なきっかけになります。が、どうしても日々の仕事に追われて、後回しにしがち。意識していないと取り掛かることができないですよね。

それを、周年記念をきっかけに、手をつけてほしいのです。なぜって? 

節目というのは良い口実になるからです!(どん!)

千載一遇の、企業にとって重い腰をあげられるタイミング。利用しない手はありません!このきっかけを使って、過去を振り返り、未来を見据えることで、企業全体の視点を高くして、未来に向かっていきましょう。

…とはいえ、「では、なにから始めればいいの?」となりますよね。

2章〜4章では、具体的な施策をざっくりブランディングの領域と絡めながら、下記のように分けて、お伝えしていこうと思います。

2章:社内のメンバーと想いを共有する施策

社内のメンバーたちと想いや志を共有し、「これから」をより鮮明に描いていく施策(インナーブランディング的効果を狙った施策)

3章:顧客との関係性をより強固にする施策

既存顧客・新規顧客ともにより強固な関係性を築き、もっとファンになってもらうための施策(カスタマーブランディング的効果を狙った施策)

4章:企業の軸を明確にする施策

会社の想いや志を言葉や見た目に落とし込み、目に見えるかたちにする施策(コーポレートブランディング的効果を狙った施策)

まずはどんなことができるのか、様々な施策を見ながら、視点を広げてみましょう!事例も参考にしてみくださいね!

2:社内のメンバーと想いを共有する施策

ここでは、社内のメンバーと想いを共有し未来を共に描く、インナーブランディング寄りの施策についてお伝えします。

※インナーブランディングについて詳しく知りたい方はこちらの記事へ!

企業の未来をつくっていくのは、働いてくれている社内のメンバーたちです。経営陣だけが「こうしたい!」と語っていてもしょうがない。想いや志を改めて共有し、結束力を高めていきましょう。会社のことをもっと好きになってもらいましょう。そして、未来をつくる仲間として、「これから」を一緒に描いてみましょう。

社内に向けて、なにかをするときのポイントをまとめておくと、

・まず、社員が楽しめるか、嬉しいか、気づきがあるかを考える。

・押し付けにならないように、自主性に任せる部分や選択できる部分を設ける。

・話し合う機会(特に普段交流がないメンバーとの関わり)をつくれるようにする。

といったところ!社内に向けての施策の例として、下記についてご紹介をしていきます。

・ワークショップの開催

 —理念浸透ワークショップ

 —はたこと(仕事エピソードの共有)ワークショップ

 —未来作文ワークショップ

・社内イベントの開催

・ツール制作

 —社員向け記念グッズ

 —周年誌

 —社内報

 —周年記念ムービー

・VIの刷新(オフィス・制服の刷新も)

2-1:ワークショップの開催

普段はしてこなかったようなワークショップの開催で、社員の皆様に、会社のことを考える場の参加・体験をしていただく機会をつくってみるのはどうでしょう?

様々な内容が考えられますが、ここでは私たちがインナーブランディングの際に実際に実施している3つのワークショップについて、ご紹介をいたします!

そのワークショップも、その過程や結果をまとめて、アウトプットするのもオススメです!

●理念浸透ワークショップ

突然ですが、あなたの企業は、理念をお持ちでしょうか?

ミッション・ビジョン・企業理念・パーパス、・・・ 

呼び方は違っても、会社がどういうことを目指しているのか、なにを志にしている会社なのかが言語化されたものを、お持ちの企業が大半かと思います。(ここでいう理念は、「健康第一」のような、一般的に大事にしたいことは除外しています!)

※理念をお持ちでない/ぼんやりした理念しかないという皆様は、4章へどうぞ!
※企業理念について詳しく知りたい方はこちらの記事へ

ですが!しっかりした理念があっても、それがメンバーに伝わってなければ意味がありません。理念は使われてこそ意味がある。みんな理念を覚えていて暗唱できますよ、といっても、本当に機能しているかというと怪しいもの…。とはいえ、理念を告知して、あとは自分でその意味を理解して!と言われて簡単に理解・実践できるものでもないですよね。

理念が絵に描いた餅になっていてはもったいない!私たちも理念を策定したあとで、必ず社内に浸透をさせていく過程を設けるようにしていますし、言葉を掲げることよりも、その過程のほうが大事だと思っています。 

というわけで周年を機に、一大プロジェクトとして、理念を社内に浸透させるようなワークショップを開いてはどうでしょう?

例えば、数人から数十人単位ごとに、オンラインでもオフラインでも集まれる場を設け、まずは運営メンバー・経営ボードから、理念についての解釈を伝えてみる。その上で感想や質問を受けてメンバーとの対話をし、相互の理解を深めつつ、実際に日々の仕事で理念に近いと感じたエピソードの共有をしていきます。 

メンバー一人ひとりが自分の実体験と紐付けながら理念と対峙することで、理念との距離がぐっと近づいていきます。

 ●はたことワークショップ

「はたこと」?いきなり知らない言葉を使ってしまいすみません、、、! 

こちらは「はたらく言葉たち」の略で、弊社が刊行している書籍になります。(手前味噌ですみません!)内容は、弊社のメンバーが、日々の仕事の中で、出会った、日々仕事に誇りをもって向き合う人々のリアルな言葉集。

ここでお伝えしたいワークショップは、皆様の会社バージョンで、この「はたらく言葉たち」をつくるために、言葉を集めていくワークショップです。

といっても、いきなり言葉を集めるのではなく、社員の皆様の価値観・職業観を紐解くフェーズも設けつつ、印象に残っている仕事、普段接しているお客様や先輩後輩のお顔など、これまでの自社を取り巻く様々なシーンを思い出して、自社らしい「はたらく言葉たち」を抽出していきます。 

まさに先に伝えた、過去の出来事を振り返りながら、未来に大切にしたいことを再確認できるような時間になります。弊社では毎年刊行しているのですが、周年ごとにやる、というのも良いと思いますよ!

※はたことワークショップについて知りたい方はこちら!

●未来作文ワークショップ

「未来作文」?また理解できるような、できないような単語ですよね。あ、でもこちらは言葉そのままの内容で、未来についての作文です。 

こちらは、弊社ではよく理念の中でも、ビジョンを考えていくフェーズで実施しているワークショップです。

ワークショップに参加されるメンバーの皆様には、作文の宿題を出しておきます。

お題は、「●年後の企業(ブランド)、そして、あなたの姿」。(●年後は、5年や10年など、次の周年のタイミングで設定してみてください。)

そのとき、企業やブランドは、どうなっていますか?どんな仕事をしているか、や、世の中から見た立ち位置。お客様からの声。はたまた、社内でどんな会話がされているか。制度や風土がどうなっているか、等々…。

それぞれが思い描く未来を自由に文章にしてみてもらいます。小説風でも箇条書きでも、書きやすい形式で。できる・できないは置いておいて、理想のかたちをできるかぎり具体的に想像してみる。というのが宿題です!

ワークショップの当日には、その宿題を各自発表をしていき、発表ごとに隣の人がその発表のいいと思ったところを伝えるようにしましょう。想像以上に、ワクワクするような未来の風景を共有することができます。 

全員の発表のあとは、今後実現していきたい・大切にしたいと思ったポイントを付箋に書き出し、そのポイントも共有をします。

このワークショップを通して、未来へのワクワク感と、そのために今は足りていないけれど、すべきことが見えてきますよ。

2-2:社内イベントの開催

周年のイベントのほとんどが、打ち上げ花火のような、瞬間的なお祝いごとで終わってしまいがちなところですよね。イベントをするとしたら、過去への感謝や誇りの確認とともに、未来につながる要素も入れましょう。

例えば、これまでに言及してきたワークショップの内容の共有とともに、どういう会社にしていこう、という想いを共有する場にしたり、お客様も巻き込んで一緒に未来を描くようなコンテンツを設けたり、これからを明るく前向きに捉えられる場にしたいですね。

会社の風土文化によっては、社員の家族の皆さんを巻き込むことも仕事への誇りにつながります。 

社員の皆様に参加してもらえるような会場やコンテンツや若手主導のコンテンツがあると、より自分ごとに感じてくれるようになります。ちょっとイメージがつきづらいかもしれませんね。弊社の15周年のときの事例をご紹介いたします。

この時も、過去を振り返る年ではなく、未来を創造する周年と定義し、顧客の皆様にインタビューを実施。それぞれの考える「100年後の未来」をお聞きしました。

周年イベント当日には、そのインタビュー記事を一冊の本にして、お招きしたお客様、そして、社員全員にノベルティとして配布。さらに、集めた未来の姿をアーティストによる即興ライブイベントで一枚の大きな絵にしました。

インタビューの過程やイベント、アウトプットすべてが、社員にとってのインナーブランディングになっており、自分たちが貢献すべきお客様がどのような人たちなのか、どんな未来を一緒に描いていくのかを、まさに体感できる機会になっていました。

(このときの絵は、ウェブ上にもアップされておりますので、ぜひご覧ください。)

2-3:ツール制作

周年でなにかやるぞというときに、最初に頭に浮かぶところかもしれません。周年を記念したツールを制作するのももちろん有効です。

ただ、かっこいい・かわいいものを配って終わりではなく、目的をしっかりと設定しましょう。目的によっては、制作する過程にメンバーを巻き込んだり、もしくはツールをもとに、意見交換や話し合う場を設けられるような設計をしてから制作に取り掛かる必要が出てくるかもしれません。 

立派なものができても、どれだけいいことを言っていても、メンバーが受け取って意味のあると感じるものにしなければ、無駄になってしまいます。

●社員向け記念グッズ

ペンやマグカップ、ピンバッジにトートバッグ…。色々な種類のものが浮かんできて盛り上がっちゃいますが、まず質問させてください。 

「それ、本当に要りますか?」

 小さなグッズにせよ、予算を使うことになりますので、よく考えてみてください。もちろん、「社員の一体感を高めるために」「手元に残るものが欲しくて」というのを理由に、オリジナルグッズをつくることも悪いことではありません。企業の風土文化がありますので、グッズがものすごく効果を発揮してくれることだってあります。

ただ、反対に一部が盛り上がってつくったはいいものの、使われない、要らないと言われるなど、悲しい結果になることも…。 

グッズをつくるときには、周年に限らずですが、

・つくった理由や必然性があり、意味が込められている

・それがあることでなんらかの変化を起こせるか

などをポイントにしてほしいと思います。 

例えば、オリジナルのレターセットを作るにしても、社内でお互いに感謝をさらに伝え合うために使って欲しいとか、お客様に感謝を伝えるために使って欲しいとか、いつも支えてくれる家族に感謝を伝えて欲しいなど。 

そのグッズの作成の背景や意図まで伝えられると、グッズをつくったことへの納得感もありますね。

●周年誌

周年誌というと、歴史をとことん紐解いた分厚いブックが頭に思い浮かびますが、社員にとっては、あまり興味のない可能性も大いにあります。受け取ったまま、一度も開かずに・・・というケースも多いかもしれません。 

歴史を紐解くとしても、年表や写真、事実だけをならべるのではなく、例えば想いを受け取ってもらうために、創業者や歴代のメンバーの声を拾い上げ、物語調な作り方にして、そもそも読み物として楽しめるようにしたり。 

これまでに記載したワークショップの過程・結果などを取り入れて、自分たちもその中の登場人物なんだと思いながら読んでもらえるような工夫もいいかもしれません。 

●社内報

社内報を定期的に配布や配信をしており、社員の皆さんにそのコンテンツを比較的よく見てもらっている、という場合は、その土台を利用して、社内報の中で、特別コンテンツを設けてもいいかもしれません。

社内メンバーがお互いに知り合える機会が少ないな、という方は、これを機に、社内報をスタートしてみるのもおすすめです。

※社内報について詳しく知りたい方はこちらの記事へ!

●周年記念ムービー

ムービーは、特にストーリーをもって、情報をエモーショナルに伝えられる手段のひとつ。先に記した社内イベントなどで流すことで、社員の皆様にさらに強くメッセージを受け取ってもらうことができるかもしれません。

創業からの流れをアニメーションなど受け入れやすい表現も用いながら、振り返るような場面を設けてもいいですし、改めて理念をしっかり伝えるようなムービーにしてもいいかもしれません。

社員の皆様に登場いただいたり、お客様からの声を集めてムービーにしていく、というのも、自分たちの仕事への誇りを感じることにつながります。

2-4:VIの刷新(オフィスや制服の刷新も)

意外と多いのが、最近、理念は刷新したけれど、ロゴやコーポレートカラーなどの見た目の部分、VI(=ビジュアル・アイデンティティ)は創業の頃から変わってないのよね、という企業。 

特に商品などにもロゴが入っていると、変更しづらい、という理由もあったりするのですが、理念が見た目から伝わっておらず、古さだけが目立ってしまう、という事態を引き起こしていることも多々あります…。本来は見た目からもその企業の考え方が伝わってくるのがベストなのですが、、、。

これこそパワーのいることですが、覚えていますでしょうか?

“節目というのは、良い口実” !

周年イヤーを機に新しいVIを決めて、展開していくことは、と個人的には絶好のタイミングなのではと考えています。

見た目に紐づくところでは、他にもオフィスのデザインや制服のデザインも一新できると、社員の皆様の気分もUPするかもしれません。

VIについて詳しく知りたい方はこちらの記事へ
※ロゴについて詳しく知りたい方はこちらの記事へ
※オフィスデザインについて詳しく知りたい方はこちらの記事へ

3:顧客との関係性をより強固にする施策

この章では、世の中向けの発信で、周年をきっかけに新たな顧客の創造やファンの深化につながる、カスタマーブランディング寄りの施策をご紹介します!

周年の施策で、これまでのお客様に改めて「この企業・ブランド好きだなあ」と思ってもらえたり、まだ関わりのなかったお客様に「ここ、なんだかいいなあ」と思ってもらえたら、嬉しいですよね!

そんな素敵な結果を残せる施策にするためのヒントとしては、

・内輪感が出すぎないように気をつける。

・クリエイティブとしてのクオリティを高める。

・広く知ってもらうため導線づくりをしておく。

色々と出来ることはありますが、ここでは例として下記の施策についてお話していきますね!

・周年ロゴ・スローガン展開

・イベント・式典の開催

・記念品・記念商品の展開

・周年記念CM・ムービーのリリース

・SNSキャンペーン

・特設サイト制作

・新聞広告

3-1:周年ロゴ・スローガン展開

普段から企業・ブランドが使っているロゴやスローガンは、お客様の生活に馴染んでしまっているかもしれませんが、世の中に対して、周年の特別なロゴやスローガンを展開することで、お客様に「おやっ!」と注目をしてもらう、ということも有効です。 

何周年かを迎えられた、という事実は、それだけ歴史があり、安心感の持てる企業・ブランドなんだな、と感じる一要素にもなります。 

企業・ブランドからお客様へのメッセージとして、想いを込めて作りましょう。日頃の感謝、というのはもちろん、これから自分たちはどういう想いでやっていくのか、どういうものをお客様に提供していきたいかという宣言かもしれません。 こういう世界を一緒に目指しませんか?と、お客様と肩を組むようなメッセージかもしれません。世相も意識しつつ、自分たちがいま何を言えると、お客様に、世の中にプラスの影響を与えられるか、その上で何を言いたいかを考えてみてください。

そして、まずは注目をしてもらい、その考えをわかりやすく理解してもらうために、ロゴやスローガンに落とし込んで展開をします。

たとえばレストランだったらメニュー表にその記載をしてみたり、アパレルだったらショップバックをそのロゴとスローガンを使ってつくってみたり。店舗のない企業でも例えば受付にその表示をしておいたり、と目に入る仕掛けづくりをお忘れなく。 

皆さんご存知、スターバックスも2021年に日本への上陸25周年を迎え、アニバーサリープロモーションを展開中。テーマに「The Power of Coffee. The Power of Connection.」と、記念のロゴマークを掲げています。

フェーズに分けていくつかのプロモーション企画をしているところですが、このメッセージングを軸に展開されており、想いが伝わりやすいものになっています。

※参照:https://www.starbucks.co.jp/anniversary_25_summer/?nid=tbn_03_pc
    https://www.starbucks.co.jp/press_release/pr2021-3955.php

3-2:イベント・式典の開催

お客様を巻き込んだ素敵なイベントや式典の開催が可能であれば、お客様の記憶にも残りますし、そのお客様から「こないだこの企業・ブランドの周年イベントに行ったんだけどね」と周りの人に語ってもらえる可能性も大きいです。

イベントへの参加を機に、新しいファンが獲得できる可能性もあります。

お客様に喜んでもらえることは前提に、周年の特別さを増すために、ここでも「過去」と「未来」を意識してみましょう。

いままでしてきたことの振り返りと、これから取り組んでいく新しい未来の両方をコンテンツに取り入れると、既存のお客様が、自分がそのブランドを愛してきた記憶を蘇らすこともできますし、その上でこれからに期待感を寄せることにもつながります。

例えば、過去のコンテンツでは、これまでの伝説的な仕事をしてきたOBOGを招いて当時のあれこれを話すような機会を設けたり、会社やブランドのターニングポイントを写真やイメージと一緒に振り返ったり。 

未来のコンテンツでは、これから挑もうとしている分野を先取りして、イベント用になにかをつくってみたり、未来にしたいことを参加者全員から集めて一枚の絵にしたり寄せ書きにしたり・・・。

組み合わせて考えてみましょうね!

3-3:記念品・記念商品の展開

「このタイミングでしか手に入らない」って言われるとなんだかワクワクしますよね。来てくれた方・ご購入された方にプレゼントできるような記念品や、その周年に特別につくられた商品の販売もファンにとったら嬉しいもの。3-1のロゴやスローガンを活かしてもいいですね。

普段扱っているものとは違うものにトライしてみてもいいかもしれません。が、そのときには、こんなことを感じてほしい、こんなことを知ってほしい、という”想いありき”で考えましょう。もちろん、お客様がもらって嬉しい、が大前提です。

イギリスのファッションブランドPaul Smithは、2020年に設立50周年を記念し、それまでのデザインを再解釈して反映させたカプセルコレクションを発売。設立当初のロゴを施したネームを取り付けるなど、ファンにとって特別で嬉しい記念商品になっていました。

合わせて、周年記念のBOOKを出版。デザイナーであるポール・スミス氏がインスピレーションを受けてきた50のモノが印象的なビジュアルとともに紹介され、彼やブランドに息づく精神が凝縮されたような一冊。

こちらも、洋服そのものだけでなく、彼の世界観を愛するファンたちが思わず「ほしい!」と思ってしまうようなスペシャル感満載なものですね。

※参照:https://www.paulsmith.co.jp/stories/aw20/50th-anniversary-capsule-collection

3-4:周年記念CM・ムービー

社内向けの施策でも、ムービーを出しましたが、こちらは社外に向けてのもの。CMの枠をお持ちの方は、そちらで周年イヤー用のCMを放映してもいいですし、店舗で流したり、ウェブサイトに掲載するなど、見せる場所に合わせて内容を考えましょう。 

新規のお客様にも注目してもらえるように、ひとつのムービーとしてクオリティが高く、面白いと思ってもらえるものにできると最高ですね! 

日本競馬協会JRAの「JRAアニバーサリー」の事例をご紹介。創立記念日である916日をファンへ感謝の気持ちを伝え、JRA創立からの歴史を振り返る日として定めたもの。このアニバーサリー用に、スペシャルムービーが制作され、キャンペーンサイト内や競馬場のスクリーンで掲載されています。お客様への感謝を伝えると共に、関係する人たちの姿にフォーカスし、競馬の魅力を再認識できるような内容になっていますので、ご参考に見てみてください!

※ムービーはこちらより!

3-5:SNSキャンペーン

SNSは企業・ブランドの頼れる味方!コーポレートサイトやブランドサイトは見ないけれど、SNSでフォローをして、新作などをチェックしている、というお客様も多いのではないでしょうか?

SNSは自分たちからの発信に「いいね」をしてもらうことだけではなく、お客様からも発信をしていただけることが大きな魅力。ハッシュタグをつけて投稿をいただくハッシュタグキャンペーンやその企業・ブランドとのエピソードを語っていただくなど、様々な試みができます。

これを機に、ご要望を吸い上げるなんてことも。盛り上がっていくと、これまでお客様ではなかった人にも情報が届き、新規顧客にもつながっていきます。

ただし、お客様からの発信のあとは、なにかリターンを用意しておきましょうね!抽選で●名の方にプレゼント!なのか、イベントや式典へのご招待、お客様エピソードを小説にしてお渡し!などなど、お客様が嬉しいことはなにかを考えてみましょう。

まだSNSをやったことがない!という企業・ブランドの方も、いきなり大きな動きが期待できるわけではありませんが、SNSにトライしてみては?運営にパワーはかかりますが、お客様との交流ができたり、反応が見れる、というのは、大きいと思いますよ。

3-6:特設サイトの制作

各種施策のハブとして、また気軽に誰でも訪れることができる情報の場として、周年記念の特設サイトを制作してもいいですね。最初のほうに事例として挙げたマツダさんも、特設サイトをしっかりつくって、キャンペーンとの連携もしていますね。(https://www2.mazda.com/ja/100th/

3-1の周年のロゴやスローガンをお披露目しつつメッセージを発信したり、3-2で記載したイベント・式典への参加応募ができる仕組みだったり。3-3の記念品・記念商品の告知・販売や、3-4のムービーの配信も。3-5のSNSキャンペーンの告知や結果報告なんかもできちゃいますね。

3-5の報告以外にも、お客様の声が見られると、「愛されている企業・ブランドなのだな」とはたから見ていても伝わりますし、副次的には、社員の皆様も同様の気づきが得られます。

また様々な施策をひとつの企画として、一気に見せることができますので、その分、「お、この企業・ブランドが楽しそうなことをしているぞ」とお客様をワクワクさせるようなページにしていきましょう!

同時に新規のお客様がおいてけぼりにならないように、どういうブランドなのか、歴史やベーシックな知識も置いておけるといいかもしれません。

何度も同じことを言っていますが、コーポレートサイト・ブランドサイトのわかりやすいところにリンクを設けるなど、お客様が気づける導線づくりをしてくださいね!

3-7:新聞広告

電車のつり革広告や駅ナカ広告、ウェブ広告など、広告と言われるものはたくさんありますが、お客様の層によっては、新聞広告、という手も使ってみてはどうでしょう?

毎年、元旦の新聞広告に力を入れ、強いメッセージングをし、SNSで話題になるなんてこともありますね。周年イヤーの元旦なのか、その年の創立記念日などにババンっと新聞広告を打ち出すことで、お客様に周年記念を迎えることを伝えていく。 

「周年なんです!」といっても「ああ、そうですか」となってしまうかもしれませんが、新聞の中でも目を引くようなビジュアルと、心を打つメッセージでお客様に気づきを与えるような新聞広告にできれば、新聞というメディアの性質とも相まって、信頼度がぐんっと上がるのではないでしょうか?

2018年に100周年を迎えたパナソニックは、全国60の新聞に、47都道府県別の新聞広告を展開しました。創業者である松下幸之助氏と全国47都道府県とのつながりを示す、エピソードをもとに制作されたもので、100周年を迎えられたことに対して、全国のお客さま一人ひとりに感謝の気持ちを伝える内容になっていました。

大きな企業だからこそ、できることかもしれませんが、大きな企業が、地域それぞれに対してメッセージングをしていることで、さらに企業の姿勢と深い感謝が伝わりますね。

※参照:https://www.panasonic.com/jp/corporate/ad/100th.html

4:企業の軸を明確にする施策

続いてこの章では、企業・ブランドの根っこや幹の部分である、企業の軸を明確にしていく、コーポレートブランディング寄りの施策をご紹介していきます。

ここまでで社内・社外向けの施策を見てきましたが、実は、そもそも目的や軸がない&ブレていると、どんな良い施策もブレてしまいます。

理念やフィロソフィーと呼ばれるものをもっていないor自分たちがどこに向かっているのかよくわからない!という企業の方々は、これまで見てきた社内・社外向けの施策が楽しそうでつられてしまいそうですが、ちょっとSTOP!まず、一番近い周年では、こちらに注力してほしいと思います。

(本当は周年に限らず、いますぐ取り掛かってほしいのが本音です!汗)

4-1:理念策定・見直し

周年になにをやっていくかを考える上でも立ち返りたいのが、企業やブランドの理念です。周年に限らず、ブランディングをしていく上でいつでも立ち返る幹の部分になります。 

2-1でも記載しましたが、ここでいう理念というのは、基本理念とも言われる、人として大切にしたいこと(たとえば「質実剛健」など、漢字の熟語が並ぶような言葉)とは違います。また、「世界ナンバーワンブランドに」、というような目標とも違います。 

ここでは、どうしてその企業やブランドが存在しているのか、どういう世界をつくりたいのか、という「WHY=なぜ」を言語化したものを指します。ミッション(日々果たすべき使命)を起点に、ビジョン(実現したい未来)やバリュー(提供する価値)など、体型立ててつくられることが多いです。 

この理念は企業の想いを社内にも社外にも伝えていくためになくてはならないもの。もしもそういった理念がなかったり、だいぶ前につくったので現状と合っていなかったりする場合、この周年のタイミングに理念の策定や見直しをしてみてください。

※企業理念について詳しく知りたい方はこちらの記事へ

理念策定は大きなパワーがかかることではありますが、ここが定まっていないまま、他にパワーと時間をかけることはあまりおすすめしません。企業としての軸がないドーナツ化現象ですね。 

大きなパワーがかかるからこそ、なにかのきっかけが必要なことでもあるので、これまで何度か理念策定は頭をよぎっていたけれど後回しにしていたという方も、周年をきっかけに取り組んでいただきたいと思います。

大切なことなのに、大変なことだから、後回しにされがちな、この理念策定。「周年だから、いまやるべきでしょ!」という本質的な発想が大事です。 

1章で、過去の振り返りは、未来をセットに考えてほしい、とお伝えしましたが、この理念策定のときにも、自分たちがこれまでなにをしてきたのか、から、そこに流れるDNAを導き出し、その上で今後どうしていきたいのかを時代の要請と掛け合わせて考えていくことが重要。

あなたの企業・ブランドの軸は、いかがでしょうか?

5:周年記念になにをするか考える際の進め方

施策の例を色々と見てきましたが、すべてを一度にできるわけではありませんし、すべてをする必要もありません。この章ではなにをするか考えようというときの進め方を、簡単に、ではありますがお伝えいたします!

5-1:ゴール設定

まずは周年記念のゴール設定。目的や成果を明確に言葉にしましょう。

悩まれる方は、まずは、現状の社内の課題を書き出してみてもいいかもしれません。社内に関するもの、社外に関するもの、大きなものから小さなものまで。このタイミングで社内にアンケートをとってみて、課題を集める、という手もありますね。

一年後、周年イヤーが終わったときに、どうなっていたいですか?

“どうなっていたいかが見えないとき”

課題というのは、ありたい姿と現状のギャップから生まれてくるもの。その「ありたい姿」が見えていない、理念が言語化されていない、理念が古くて見直したほうがいいかもしれない、という方は、その周年記念では、4-1の「理念策定・見直し」のみに注力していただきたいところ。

軸が定まらないと、なにをやってもうまく機能していきません。理念策定は時間も労力もかかるもの。そこに集中して進めるようにしましょう。

5-2:施策ロードマップの作成

ゴール設定ができたら、お次はロードマップの作成。

ゴールに行き着くまでに必要な施策、そして会社のリソースに見合った施策として、なにをしたいかを、いつやるのかの時間軸に載せながら整頓していきます。

周年の施策を考えはじめた時期によっては、たとえば周年の日にイベントをするのが難しい、という場合もあるかもしれません。そんなときは無理をせず、実現できそうな日にち設定をしてくださいね!

5-3:社員の巻き込み・プロジェクトチームの作成

ゴール設定とロードマップの作成ができたら、必要に応じて、追加で人を誘い、プロジェクトチームを結成して、各施策を分担しながら進めていくといいでしょう。

すべてを少人数でやろうとすると、破綻してしまう可能性があるのと、この施策を実現する過程そのものをいろんな社員と共有することが大切だったりします。

プロジェクトチーム以上に、社員の巻き込みが必要な場合は、協力をお願いする理由やメリットを明確に伝えながら、ポジティブな気持ちで参加をしてもらえるようにコミュニケーションをとっていきましょうね。

通常の仕事を離れて時間を使う場面も出てくるはず。プロジェクトメンバーや協力者の周りの人たちの理解を得ておくことも忘れずに。

5-4:準備・事前告知・制作

それぞれの施策で必要な準備をしていきます。制作物を社内だけではなく社外のパートナーに依頼する必要がある場合には、パートナー探しや彼らに意図を伝えるキックオフMTGなどをしておきます。

他にも社内での確認・承認をとっておいたり、日時・場所の確保など、細かいところに気を配っておいておくと後が楽になりますね。

また、こういうことをやっていきます!という事前告知をし、注目してもらったり、楽しみにしてもらうきっかけをつくっておきましょう。社外に向けては、プレスリリースしておく、という手もあります。

制作は、余裕をもって進行していけるといいですね。複数の施策が動いている場合には、それぞれのリーダーが集まって進捗報告する場を設けて、必要があれば助け合うことができる状態にしておきましょう。

5-5:リリース・実施!

いよいよ、しっかり準備をしてきた制作物のリリースや、キャンペーン・イベントなどの実施です!なにより運営側も楽しむ気持ちで望みましょう!

5-6:振り返り・効果測定

おつかれさまでした!

ただ周年イヤーが終わったら、よかったね、で終わるのではなく、必ず最後に効果測定や振り返りと次に目指すべきことの話し合いをしてください。ここでも社内・社外アンケートを用いてもいいかもしれません。

なにがよくて、なにが足りなかったのかを明確にし、次に目指すことはここかもな、という目星をつけて、未来に向かっていきましょう。

6:まとめ

ここまでお読みいただいてありがとうございました!最後に、ポイントになる内容をまとめておきます。

“この記事でお伝えしてきたこと”

・周年記念はもっと意味あるものにできる!重い腰をあげられるグッドタイミング!

・周年記念は未来をつくるための振り返り!過去を振り返るだけでなく、未来とセットで考えてみる!

・社内に向けても、社外に向けても、周年でできることはたくさんある!

・といいつつ、軸になる理念がないとブレてしまうので、理念策定・見直しが必要じゃないかをまずは考える!

一見意味があるのか分からず、なんとなくやることが目的になってしまいがちな周年記念ですが、ちゃんと考えてプランニングをすれば、社内外に価値を生み出すことができ、何より楽しめるものにできるはずです。

近々周年を迎えられる皆様。ぜひともそのチャンスをうまく活かしてみてくださいね!この記事が少しでもそのヒントになれば嬉しいです。 

 

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PARADOX創研 メディア編集部
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