「事業間のシナジーがなく、企業としての一体感がない」
「企業のファンがおらず、ビジネスのベースが安定していない」
「企業としての判断基準がなく、評価やマネージメントに一貫性がない」
「同志となれる人材と出会えず、定着もしない」
企業を経営する上では、さまざまな課題や悩みがあることと思います。一体何から手をつければいいのかさえ、わからない場合もあるかも知れません。しかし、これらは一見バラバラな問題に見えて、実は根本の問題は同じであり、企業として、“理念経営”ができていないことに起因すると考えられます。
企業の運営に関わる全てを、理念に基づいて経営をするのが理念経営。本記事では、理念経営とはどういうことなのか、そのために何をすれば良いのかについてご説明していきます。
あらかじめお伝えしておくと、理念経営はとても長い道のりを地道に継続していくもの。一つひとつのプロセスも複雑で難易度が高く、一朝一夕にできるものではありません。
そのため、各プロセスについては、個別に詳細を説明する本メディアの記事を、該当する項目の終わりに記載しています。
本記事で理念経営の全体像を把握し、実践の際には個別の記事を参考にしていただけますと幸いです。
1:理念経営とは
理念経営とは、文字通り「理念」を元に行う「経営」のこと。
まずは以下の図をご覧ください。
こちらは理念経営の全体を表した図です。この図の通り、理念経営の根本にあるのは、もちろん「企業理念」。理念経営は、企業としての使命や存在意義をしっかりと言語化し、従業員にも納得感のある企業理念を掲げるところから始まります。
当たり前ですが、企業理念がない、あるいはカタチだけで、実際には機能していない状態では、理念経営がうまくいくわけではもちろんありません。
理念経営の実践には、理念を策定したのち、以下の3つのカテゴリーでやる必要のあることがあります。
●企業文化づくり(インナーブランディング)
●事業づくり(商品・事業ブランディング)
●人・組織づくり(採用・育成ブランディング)
これら3つをそれぞれ実践し、掛け合わせていくことで、企業を一つの有機的な組織にしていくことを、企業づくり(コーポレートブランディング)と呼びます。そして、企業理念を起点にこれら一連のプロセスを通じ、企業全体を経営していくことが理念経営です。
理念経営を行う際に、欠かすことができない企業理念ですが、当然、存在すれば良いというわけではありません。企業理念を中心に良い組織をつくり上げていくには、まず社員にとって共感できる企業理念を掲げることが第一歩です。
このコンテンツでは、社員が共感している企業理念がすでに存在しており、かつ理念がある程度浸透されていることを前提に、理念経営の進め方やその効果についてお話ししていきます。
企業理念の構築や理念浸透についての詳細は下記コンテンツにより詳細な説明はしておりますので、参考にしていただければ幸いです。
▼企業理念のつくり方について、詳しくはこちらをご覧ください。
*会社のらしさを一発で伝えるコーポレートアイデンティティ(CI)の作り方
*企業の根幹を担うミッション ビジョン バリューの意味合いと作り方
▼理念浸透について、詳しくはこちらをご覧ください。
以降のコンテンツは、企業文化づくり、事業づくり、人・組織づくりの順番で説明していきますが、企業の現状や文化、体質によって取り組む優先順位は変わってきます。実際に行う際には、自社にとって最適な順序で着手していただけると幸いです。
2:企業文化づくり(インナーブランディング)
理念経営を行うには、理念に基づいた企業文化を組織に根付かせる必要があります。例えば、農業を始める際にも、いきなり地面にタネを蒔いても芽は育ちません。作物が根を張りやすいように、まず土壌づくりから始めるのが基本です。
まさに理念経営における土壌づくり、それが企業文化づくりです。
この章では、企業における文化づくりについて、取り上げていきたいと思います。この企業文化づくりは理念浸透を通じて行われることも多く、私たちは理念浸透や企業文化づくりをインナーブランディングの一環として捉えています。
「会社の目指すべき方向が曖昧なので、自分の仕事との紐づけが難しい。」
「共通の価値観がないので、評価基準や判断基準が属人的になってしまう。」
「マネージメントが人によって異なり、誰が正しいのかわからない。」
上記のような悩みや不安の声が社員から生まれている場合、それは企業理念に紐づいた企業文化の欠如が大きな原因の一つと言えるかもしれません。
ブランディングにもさまざまな種類があり、本記事でも順を追って紹介していきますが、最初に手をつけたいのは、このインナーブランディングです。最終的な理念経営の土台になるものなので、この他の商品・サービスブランディングや、採用・育成ブランディングと並行してでも、継続的に実施すべきだといえるでしょう。
社員が企業理念への理解を深め、自然にみずからの行動にうつせるようになり、はじめて企業文化と言えるのですが、文化が醸成されるまでには時間がかかります。一般的には、企業文化づくりにも、「理解」「共感」「実践」の3つのフェーズがあるといわれています。それぞれについて簡単にご説明しましょう。
2−1:自分を知る「理解」
最初の理解フェーズでは、社員一人ひとりが自らのミッション・ビジョンを知ることから始まります。自分自身の理解を踏まえたうえで、個の集合体である会社が目指すべきミッション・ビジョンを理解し、双方の接続を行っていきます。
企業理念によって、目指すべき大きなベクトルが明確になっていれば、メンバー自身が、どうやって会社と同じ方向に向かえば良いか。もしくは、そこに共通点を見いだせるか。を考える上での道しるべとなります。
一人ひとりがいまいる場所から、自らの個性や強みを活かしたアプローチで、どうやってそのゴールに向かえば良いかを考えていく。この考えるという過程において、企業理念への理解が深まると共に、徐々に自らの実現したい未来と、仕事を通じて実現できる未来の共通点をイメージできるようにすることが大事です。
ここではマネージャーが、個々のメンバーが成し遂げたいことやキャリア形成における目標をしっかり理解した上で、会社の方向性を掛け合わせて、その人なりのキャリア形成ができるようにサポートするという大事な役割を担います。
▼「自分自身のミッション・ビジョンが見つからない……」というメンバーにおすすめの記事はこちら
*答えはすぐそばにある。人生に迷った時の「生きる意味」の見つけ方。
2−2:仲間を知り、組織を知る「共感」
メンバーそれぞれが自らのミッションやビジョンをイメージできたら、次のステップでは、それをメンバー同士やチーム内で共有します。自分の足りないところを補ってくれるようなメンバーや、考え方が似ているメンバーと出会うことで、他人への共感が生まれます。
他人が何を考え、どんな強みや夢・目標を持っているのかを知り、共感できれば、普段の仕事の中で、見つけた有益な情報や機会について、その本人に教えるなど、応援をすることができます。
こうした非公式なコミュニケーションによって、組織や上下関係を超えた有機的な社内ネットワークが活発化していきます。最終的にはお互いの夢や目標を知り、叶え合える組織になることが理想の姿と言えるでしょう。
ここでもマネージャーには、これらの情報を活かして個と組織と会社をどう組み合わせながらマネジメントをしていくかを考えることが求められます。
本来、個人のミッション・ビジョンを知らずして、配属やチーム編成、プロジェクトの割り振りを進めることはおすすめできませんが、ほとんどの組織でこの大事なステップが飛ばされているのが現状です。
配置やチーム編成などでうまくいかない場合は、個々のスキルや経験といった目に見える情報だけではなく、それぞれのミッション・ビジョンからヒアリングをしていくことをお勧めします。
こうして、個と組織、そして会社のミッション・ビジョンを理解することにより、お互いに信頼と共感が生まれます。各々が組織の中、会社の中での自分の役割を理解することで、すべきことが明確になり、主体的に動きやすくなっていること。これが共感フェーズで実現していきたい企業文化の状態です。
2−3:知るから行動へ「実践」
最後の実践フェーズでは、企業側が社員に対して、企業理念に沿った積極的な行動を促す仕組みを整えたり、他者のエピソードを紹介したり、実践機会を作り出していくことに注力をしていきます。
例えば、実戦フェーズでは以下のような施策がよく行われています。
・企業理念に沿った行動をした社員のエピソード共有
・企業理念を体現する人の表彰
・企業理念に沿った行動を評価する評価制度の改定
企業理念を軸にした文化づくりは、一度実行して終わりではなく、継続的に「理解」「共感」「実践」のサイクルを回転させていく必要があります。
定期的に企業理念を振り返って理解を深めながら、自分とチーム、会社としての目標をチューニングし、より高いレベルのステージへと螺旋階段を上に登り続けるように進み続けていく、終わりのない活動とも言えます。
▼インナーブランディングの詳しい進め方について詳しくは、こちらをご覧ください
*リモートワークでも社員の意思統一をするために!インナーブランディングによる企業文化の作り方。
3:事業づくり(商品・事業ブランディング)
続いては、理念に基づいた事業や商品(製品・サービス)づくりについてみてきましょう。例えば、次のような事業課題があれば、企業理念に基づいた事業が運営できていないことが原因として考えられます。
「事業に一貫性がなく、提供価値の本質がわからない。」
「本当に大事にすべき真の顧客がわからない。」
「社員が自社商品を愛せていない。もしくは、その価値を理解できていない。」
これらはすべて、事業や商品を立ち上げる際に、ターゲットと提供価値の設定が曖昧なまま動き出してしまうことが原因である場合が多いです。
現在は、マーケットがモノ・コトであふれ、あらゆるものがコモディティ化し、いくら商品の質が良くても差別化ができないと売れない時代です。
競争が激化するマーケットを目の前にすると、私たちはどうしても既存の商品そのものを、どうやって売るかということに意識が向いてしまいます。しかし、本来は事業や商品を通じて何を売っているか、つまり提供価値が何かを理解するところから始める必要があるでしょう。
そして、その提供価値が何かを知っているのは、売り手である自分たちではなく、買い手である顧客です。これもよくあるケースなのですが、知らず知らずに、外から見た自分たちの価値を自分たちで決めてしまう。
結果として、世の中との価値交換にギャップが生まれ、いつの間にか独りよがりな事業や商品ばかりに貴重な経営資源を使ってしまうケースはどの企業にも考えられる落とし穴です。
忘れてはいけないのは、事業だけでなく商品においても、理念を起点に使命・提供価値・真の顧客という関係性がしっかりと描けているかということです。
【使命】
私たちの使命・理念とは何か?
なぜ、この事業・商品をつくったのか?
【顧客】
誰のために、つくったのか?
私たちの使命実現に関わる対象は誰か?
【価値】
相手にとって、真の価値とは何か?
それが提供できているのか?
使命・顧客・価値という、3つの要素をしっかりと組み合わせながら、事業・商品を展開していくことが求められています。
3−1:使命・理念に基づいたストーリーづくり
「商品はストーリーで買う時代」
と、よく言われます。ストーリーとはその商品が持つ背景のこと。それは必ず作り手(売り手)の企業の使命や理念からスタートしている必要があります。なぜ・誰が・どのようにして、誰にその商品を提供するに至ったのかがはっきりとしている必然性のあるストーリーであることが大切です。
例えば、隣同士に並んだ2つのカフェがあるとします。
A店
(流行りの飲食チェーンが、マーケット拡大のためにつくった、回転率の高い)
美味しいコーヒーを出すカフェ。- B店
(コーヒー豆屋が、落ち着いてコーヒーの味と匂いを楽しむためにつくった)
美味しいコーヒーを出すカフェ。
この2つを比べてみるとどうでしょう。2つとも美味しいコーヒーを出すカフェには変わりませんが、Bのカフェの方が事業・商品自体に必然性があり、より本格的な体験をすることができそうで、思わず行きたくはなりませんか?これがストーリーの力です。
もちろん、とって付けたようなストーリーを商品に与えれば良いのではありません。繰り返しになってしまいますが、大事なのは使命や理念に紐づいたストーリーかどうか、そこに必然性があるかという点です。
▼商品・事業ブランディングについて詳しくは、こちらをご覧ください
*誤解しがちなリブランディング。 本当の意味とその手法とは?
3−2:ブランドパートナーの設定
理念に基づくストーリーのある商品が生まれると、次は真の顧客探しです。この真の顧客のことを、私たちはブランドパートナーと呼んでいます。
ブランドパートナーとは、そのブランドにとっての理想のお客様。ただたくさん商品を買ってくれたり、サービスを利用してくれるだけではなく、ブランドの価値をよく理解し、その価値についてまわりの人に広めてくれる人。そして、ブランドのいまを愛しているだけではなく、これからの未来を一緒につくっていってくれる存在ともいえます。
商品・事業ブランディングにおいては、このブランドパートナーの存在が最も重要です。彼ら・彼女らがどのような人物なのかを知り、本当に求めている価値を推測ではなく、正しく理解し、提供していく必要があります。
▼ブランドパートナーについて詳しくは、こちらをご覧ください
3−3:ブランドパートナーとの価値共創
ブランドパートナーを定め、一方的に価値提供をするだけでは、いずれ歩みが止まるときが訪れます。さらに事業・商品を成長させるステップへ進むには、彼ら・彼女らの意見を聞き、より良い商品を生み出していく必要があります。
企業の理念に共感してくれたブランドパートナーが見つかれば、積極的にその声を聞きにいくことをお勧めします。なぜなら、往々にして、作り手(売り手)が考えている商品の提供価値と、実際に買い手が評価している商品の提供価値は“ずれている”ことが多いからです。
ブランドパートナーのことを100%理解していると過信した企業が、良かれと思って独自に商品のリニューアルを行った結果、ブランドパートナーが買っていた本当の価値が薄れてしまい、せっかくの支持者が離れていってしまうケースは珍しくありません。
逆に、その価値観のギャップを的確に掴み続けることができれば、商品の改善や次の商品開発の大きなヒントにつながり、企業にとっては貴重な資産になります。
企業の想いとブランドパートナーの想いを掛け合わせた共創から、新しい価値を持った商品を生み出していく仕組みづくりができれば理想的です。
4:人・組織づくり(採用・育成ブランディング)
組織の進化には、当然人材の採用・育成活動が不可欠。ただし、必要な人員を集めるのではなく、理念に共感する同志を集め、育てることが、理念経営におけるHR活動の必須条件です。大事にしておきたいのは、頭数(あたまかず)ではなく、心数(こころかず)です。
人材採用・育成は、企業の未来を左右する重要な要素です。理念実現に向けた事業・人材戦略、そしてそこに紐づく採用・育成戦略という大きなストーリーを描いた上で、さらには理念共感による採用から入社後の育成という細部に至るまで、地続きで設計していくことが欠かせません。
理念を基にした人・組織づくりは、大きく以下の順に添って進めていくことができます。
①事業戦略
理念の実現に向け、必要な事業戦略を立てる。
②人材戦略
事業戦略を進める上で必要な役割と、割り当てる人材の要件を作成。
各ポジションについて、社内の人材を育成・抜擢する、または新たな人材を採用するかを整理する。
※理念実現へのルートによっては、①と②の優先順位が変わることもあります
③採用戦略/育成戦略
既にいる人材をどのように育成するか、新たな人材をどのように採用するかの戦略を立てる。
④採用コミュニケーション戦略
新たな人材採用にあたり、ターゲットの設定やコミュニケーションツールの用意、実施する施策について戦略を立てる。
採用が上手くいっていない企業で多いのが、経営と人事が完全に分離しているケースです。人の集合体である企業にとって、人事は経営に直結する重要課題です。現在、ヒト・モノ・カネ・情報などといった企業資産の中で、得にくいのがヒトであり、人的資源だといえるでしょう。
国内の人口減少はもちろんのこと、海外の人材から見ても、日本で働くということが、以前に比べて魅力的に見えていない可能性もあります。大量に採用した後は育成せず、自然に残った人材だけで企業を運営できるような時代はすでに過去の話です。
企業の組織構成バランスにおいて、優秀な向上心のある人材20%、一般的な現状維持を望む人材60%、周りの足を引っ張る人材20%という、2:6:2の法則があると言われますが、そもそもの労働人口の母数が少ない日本においては、企業は最後の20%の人材の可能性をいかに最大化できるかどうかが問われる時代になっていきます。
つまり、これからの企業にとっては、入り口の採用力だけでなく、育成力こそが他社との大きな差別化となってくるでしょう。
現在、採用ブランディングと聞くと、多くの方は採用コミュニケーションの課題から始まり、「どのようなターゲットに向けて」、「どのようなメッセージでコミュニケーションをしていくか」、そのためには「どのようなWebサイトをつくるか」「説明会は何回開くか」などを想像するかもしれません。
しかし、本来の採用ブランディングは、採用・育成ブランディングであるといえるでしょう。
事業・人材戦略からの採用・育成戦略をふまえて行うものであり、アウトプットとしてわかりやすいWebサイトやパンフレット作成や説明会実施などは、採用コミュニケーション施策であり、手段の一つにすぎません。
理念経営に欠かせない人材の採用・育成だからこそ、しっかりと理念に紐づいた採用・育成ブランディングの構築を目指してください。
▼採用・育成ブランディングにおける「企業理念から紐解く採用コミュニケーション」について詳しくは、こちらをご覧ください
*企業の成長に必要不可欠な同志が集まる「採用ブランディング」を徹底解説。
5:企業づくり(コーポレートブランディング)
ここで、改めて最初の図に戻ります。企業理念の構築と初期浸透が終わった後は、上記の3つのブランディングを組み合わせていくことで、立体的に企業づくり(コーポレートブランディング)をしやすくなります。
すでに本メディアの各記事をご覧になっていただいた方は、お分かりかも知れませんが、理念経営による、各領域におけるブランディングには終わりがなく、常に次の高みに向かって改善していくことが必要です。つまり、その集大成であり、最終的なアウトプットともいえる企業づくりもまた、終わることはありません。
変化の激しい現代社会で、唯一変わらないことは、“変わり続けなければいけないこと”です。
理念経営に真摯に取り組めば取り組むほど、次々と新しい改善点が見つかりますが、悲観する必要はありません。改善点があるということは、世の中からの期待に対し、応えられていないということであり、企業や働く人々にとって、まだまだ伸び代があるということです。そして、その伸び代がある限り、企業は成長を続けることができるのです。
6:最後に
理念経営とは、どのようなものか。何をすべきなのか。何に気をつけるべきか。大枠でありますが、ここまでお付き合いいただきまして、ありがとうございます。
今回の理念経営という大きなテーマについてのコンテンツを書かせて頂いた背景には、理念経営という経営者にとって、基本的かつ重要であると思われるテーマについての情報が少なかったという理由があります。
正確にいうと、印刷物やウェブメディアとしては点在しているのかもしれませんが、立体的、且つ、できるかぎり実施のイメージが付くようなステップに沿いながら説明しているコンテンツは見あたりませんでした。
もちろん、理念経営に唯一の正解があるわけではなく、私たちも完全に網羅できているわけではありませんが、普段のプロジェクトを体系立てて皆様に紹介することで、理念経営に取り組もうとされている経営者、経営チームの皆様にはその全体のイメージをお伝えできるのではないかと考えております。
とはいえ、各工程においても、かなり複雑なため、本記事では概要に留め、詳細な説明や具体的なやり方は、各項目に参考となる記事へのリンクを記載しています。理念経営を実践する際には、ぜひ参考にしてみてください。
実際に理念経営の全体像がイメージできたことで、逆にその取り組みに躊躇してしまうこともあるかもしれません。確かにこれら全てを実践し、やりきった!と言えるようになるまでには時間がかかります。むしろ、会社が継続する限り、永遠に終わらないというのが真実でしょう。しかし、だからこそ経営者・経営チームにしか取り組むことができない、経営人生をかけられる至高のプロジェクトとも言えます。
その結果が感じられた時の手応えには、他のものには変えがたい喜びがあります。
このような理念経営に取り組んだ結果は、徐々にですが、現れるはずです。まず、はじめに社内の雰囲気が変わりだします。社員が前向きになり、ポジティブな発言が目立つようになる。それが変化の兆しです。企業が変化する際には、やはり中から変わっていくようです。その社員の変化は、パートナーに伝わり、採用活動を通じて応募者にも伝わる。最終的には店舗や商品を通じて、社外のブランドパートナーにも伝わっていくのです。
理念経営がうまく機能しだすと、企業文化、人と組織、採用・育成、そして事業というように良い影響が各所に波及していきます。個別の経営課題の解決に、取り組んでいくことも大切ですが、より本質的で根本的な解決を目指すのであれば、ぜひこの理念経営に取り組んでみることをお勧めいたします。
最後にはなりますが、上記のような理念経営を掲げ、長く困難な道を歩みながらも、企業を良い未来へ導くことに成功した企業事例をご紹介します。どれも皆さんがご存知の一流企業ですが、これから取り組む理念経営の参考になると考えております。お時間のある際にご覧いただけますと幸いです。
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